書籍 「2016 知財判例年鑑」
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2011年2013年2014年2015年2016年
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-16
事件番号:平成23(行ケ)10053
事件種別:審決取消請求
原告:ソルヴェイ ソレクシス エス.ピー.エー.
被告:特許庁長官
判決:請求棄却 <拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),古谷健二郎,田邉実
発明の名称等:「極性末端基が存在しないフルオロエラストマーとその製造方法」
争点:新規性 (なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:物質(フルオロエラストマー)
ポイント:重合方法の相違すなわち乳化重合か(本願発明),懸濁重合か(刊行物1発明)は当業者において適宜選択される程度の差違にすぎず,この差異によってフルオロエラストマーの化学構造に差違が生じるものではない。刊行物1発明との相違点は実質的なものではない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-16
事件番号:平成23(行ケ)10130
事件種別:審決取消請求
原告:酒井化学工業株式会社 (特許権者)
被告:川上産業株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求認容 <無効審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「気泡シート及びその製造方法」
争点:進歩性 (なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(気泡シート)
ポイント:刊行物5は自己粘着性エラストマーシート(いわばシール)に関する文献であって,被着体の運搬・施工時の衝撃から被着体を保護するための気泡シートに関する発明である引用発明1Aとは技術分野ないし用途を異にするものであり,刊行物2,5から認定できるのは表面保護フィルムや自己粘着性エラストマーシートの組成としての技術にすぎない。また,引用発明1Aを構成しているのは「粘着剤層32」であるから,当業者は,気泡シート内でポリオレフィンフィルム31上に形成されている粘着剤層32を審決が認定した周知の粘着剤とすることを想到することはできたとしても,両者を合わせて気泡シートの構造自体を変更すること(すなわち,「ポリオレフィンフィルム31上に形成されている粘着剤層32」という二層構造を,気泡シートの構造と粘着剤の双方を合わせ考慮して一層構造とすること)まで,容易に想到することができたとはいえない。
3
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-18
事件番号:平成23(行ケ)10143
事件種別:審決取消請求
原告:帝國製薬株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却 <拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「貼付剤用支持体およびそれを用いた外用貼付剤」
争点:進歩性 (なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(外用貼付剤の支持体)
ポイント:エンボス加工において文字形状の凹凸を形成する場合,当該文字形状のシャープさや形状保持性等を考慮して,不織布に低融点繊維を含ませたものを採用することは当業者が容易に着想し得ることであって,その際,不織布が硬くなる等の副次的効果をも考慮して低融点繊維の割合やエンボス加工の際の温度条件等を最適又は好適にしようとすることについても,当業者が通常期待される創作能力の範囲内であるということができる。
4
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-24
事件番号:平成22(ネ)10032 平成22(ネ)10041
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:アクシネット・ジャパン・インク (一審被告) <控訴人・附帯被控訴人>
被告:ブリヂストンスポーツ株式会社 (一審原告;特許権者) <被控訴人・附帯控訴人>
判決:一部認容<一審被告は一審原告に9億円強支払え>
裁判部:第1部
裁判官:中野哲弘(裁判長),東海林保,矢口俊哉
発明の名称等:「ソリッドゴルフボール」
争点:損害額
参照条文:102条1項
分野:化学
分類:材料(ゴルフボール)
ポイント:特102条1項につき,無償譲渡分も「譲渡」の数量に含まれる。権利者製品は当該特許の実施品である必要はなく,侵害行為がなければ権利者が販売できた代替可能な競合品であれば足りる。一審被告の実施能力を設備ライン数から供給能力を推定することは合理的である。特102条1項ただし書の適用につき,本件特許の寄与率は50%と認定する。特102条1項ただし書と3項との重畳適用は否定すべきである。被告各製品は本件特許を侵害しているが,その認容すべき金額は,原判決と異なり,元本で9億2152万4064円と判断する。
5
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-25
事件番号:平成23(行ケ)10192
事件種別:審決取消請求
原告:バクマ工業株式会社 (無効審判請求人)
被告:フネンアクロス株式会社 有限会社鈴木技術研究所 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「耐火二層管継手用目地装置」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(環状目地部材)
ポイント:周知技術は管継手のシール部位に熱膨張性部材を利用することにとどまり,引用発明において,環状パッキンとして無機質繊維断熱材からなるものに代えて,熱膨張性部材からなるものを採用することは容易想到ではない。
6
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裁判所:大阪地裁
判決日:2012-01-26
事件番号:平成22(ワ)9102
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:田岡化学工業株式会社 (特許権者)
被告:大阪ガスケミカル株式会社
判決:請求棄却<先使用権認容>
裁判部:第26民亊部
裁判官:山田陽三(裁判長),達野ゆき,西田昌吾
発明の名称等:「フルオレン誘導体の結晶多形体およびその製造方法」
争点:先使用権(あり)
参照条文:79条
分野:化学
分類:製法(BPEFの製造)
ポイント:大阪ガスは,遅くとも平成11年3月からは本件特許発明2の技術的範囲に属する被告製品を製造していたこと,その後も,大阪ガス及びその事業を承継した被告は,複数の譲渡先に対し,反復,継続して被告製品を譲渡してきたこと,本件特許の優先日前に,被告らが委託するなどして製造した被告製品の数量は少なくとも合計約40トンを超えており,譲渡した数量も少なくとも約25トンを超えることが認められる。これらのことからすれば,被告は,本件特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者に当たると優に認めることができる。かかる被告製品の製造数量や譲渡数量からすれば,被告らは,本件特許発明2について反復・継続して実施してきたものというほかない。また,大阪ガスが本件特許の優先日より約8年も以前から被告製品を製造してきたことなどからすれば,大阪ガスは本件特許発明2の内容を知らないで自らその発明をしたものであること,被告は,大阪ガスから被告製品に係る発明の内容を知得したものであることについても優に認めることができる。したがって,被告は,本件特許発明2に係る本件特許権について,先使用による通常実施権を有する。
7
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-27
事件番号:平成21(行ケ)10284
事件種別:審決取消請求
原告:協和発酵キリン株式会社 (無効審判請求人)
被告:テバ ジョジセルジャール ザートケルエン ムケド レースベニュタールシャシャーグ (特許権者)
判決:請求棄却 <維持審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:中野哲弘(裁判長),東海林保,矢口俊哉
発明の名称等:「プラバスタチンラクトン及びエピプラバスタチンを実質的に含まないプラバスタチンナトリウム,並びにそれを含む組成物」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:物質(塩)
ポイント:本件訂正発明1は,工程a)~工程e)に記載された製造方法によって製造されるプラバスタチンラクトンの混入量が0.2重量%未満であり,エピプラバの混入量が0.1重量%未満であるプラバスタチンナトリウムという発明であるから,単にプラバスタチンをアンモニウム塩の形態で「塩析結晶化」する方法が知られていたということのみで容易に想到し得ると断言できるものでない。本件訂正発明1と甲1発明とは,エピプラバの混入量が前者では「0.1重量%未満」であるのに対し,後者では0.19重量%であること,また,前者は塩析結晶化法等により製造されたものであるのに対し,後者はその製造方法が明らかでない点で相違するところ,少なくとも,塩析結晶化法等を用いてエピプラバの混入量が0.1重量%未満であるプラバスタチンナトリウムを製造することが容易であったと認めるに足りる的確な証拠はないから,本件訂正発明1が甲1発明及び技術常識に基づき当業者が容易に発明できたとはいえない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-01-27
事件番号:平成22(ワ)48102
事件種別:特許権移転登録等請求
原告:株式会社べセル X
被告:デンカ生研株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<発明者非該当>
裁判部:民事第40部
裁判官:岡本岳(裁判長),鈴木和典,寺田利彦
発明の名称等:「フロースルー型リガント検出装置」,「フロースルー型アッセイ装置」,「簡易メンブレンアッセイ法及びキット」
争点:発明者(非該当)
参照条文:29条1項柱書
分野:バイオ
分類:装置(インフルエンザ診断用デバイス)
ポイント:甲2は,被告担当者Eが原告Xに宛てて送信した平成12年3月9日付けファクシミリ文書であり,「診断用デバイスのハウジングに関してお知恵を拝借したく,是非一度直接お話をさせていただきたい」と記載されているが,本件デバイスの共同開発の提案に当たるような趣旨の記載はない。また,上記甲3,4,6~52は,いずれもその大半が本件デバイスのハウジングの試作及び量産に関する原告ベセルと被告との間のやり取りで交わされた連絡文書や図面にすぎず,これらの証拠から,原告べセルと被告が本件デバイスの共同開発を行った事実を認めることはできない。
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裁判所:知財高裁 (大合議)
判決日:2012-01-27
事件番号:平成22(ネ)10043 <原審;東京地裁平成19(ワ)35324>
事件種別:特許権侵害差止請求控訴
原告:テバ ジョジセルジャール ザートケルエン ムケド レースベニュタールシャシャーグ (特許権者) <控訴人>
被告:協和発酵キリン株式会社 <被控訴人>
判決:控訴棄却 <侵害不成立(請求棄却)判決維持>
裁判部:特別部
裁判官:中野哲弘(裁判長),飯村敏明,塩月秀平,滝澤孝臣,東海林保
発明の名称等:「プラバスタチンラクトン及びエピプラバスタチンを実質的に含まないプラバスタチンナトリウム,並びにそれを含む組成物」
争点:進歩性(なし→なし),技術的範囲の属否(否→否)
参照条文:29条2項,68条,70条,104条の3
分野:医薬
分類:物質(塩)
ポイント:被告製法は,「液-液抽出法」を用いた場合に水と完全に混和してしまうため,比重の差により水と2層に分離することのできないもの)を添加していることから,比重の差により水と2層に分離できるものではない。そうすると,本件発明1の工程a)の「濃縮有機溶液」には該当しないと認めるのが相当である。被告製品は本件発明1の技術的範囲には属さないと認められる。 本件発明1は,クレームに特定される工程a)~工程e)によって高純度のプラバスタチンナトリウムを得るものであるが,乙30発明も,本件発明1で特定される工程a)~工程e)を備えるものであるから,乙30文献に記載された精製方法によって,本件発明1で達成できた純度が達成できないとは考えられず,そのようにして達成された高度に精製されたプラバスタチンナトリウム塩の純度は,本件明細書の実施例と同程度であると考えられる。さらに,不純物がより少ない方がよいことは技術常識であるから,この高度に精製されたプラバスタチンナトリウム塩について,低減すべき不純物の含有量の上限値を特定することも,当業者の容易になし得ることである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-31
事件番号:平成22(行ケ)10292
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社巴川製紙所 (特許権者)
被告:大日本印刷株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求棄却 <無効審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「坊眩材料及びそれを用いた偏光フィルム」
争点:進歩性 (なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(偏光フィルム)
ポイント:樹脂マトリックスとフィラーとの屈折率差を0.1以下することに技術的意義はなく,課題に差がない甲1発明と甲3・5の記載事項との組合せは容易想到である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-31
事件番号:平成23(行ケ)10142
事件種別:審決取消請求
原告:X1 X2
被告:特許庁長官
判決:請求認容 <拒絶審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「電子レンジのマイクロ波を利用し,陶磁器に熱交換の機能性を持たせ,調理,加熱,解凍を行う技術」
争点:進歩性 (なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(マイクロ波の陶磁器への照射)
ポイント:引用発明は,素材を内外から加熱することに特徴があり,引用刊行物2技術は,マイクロ波の素材への直接照射を遮断することに特徴があり,両発明は,解決課題及び解決手段において大きく異なる。引用発明においては,外部加熱のみによって加熱を行わなければならない必然性も動機付けもないから,引用発明を出発点として,引用刊行物2記載の技術事項を適用することによって,本願発明に至ることが容易であるとする理由は存在しない。
12
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-31
事件番号:平成23(行ケ)10270
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社日新電気
被告:特許庁長官
判決:請求棄却 <拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「赤い可視光線と不可視光線の近赤外線を透過する帽子」
争点:進歩性 (なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(帽子)
ポイント:毛根活性化,発毛促進という課題を解決するため,引用例1に記載された引用発明に,引用例2,3に開示された技術的事項を参酌して,「赤い光」と「近赤外線」を透過する本願発明の構成に想到することは困難とはいえない。
13
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-01-31
事件番号:平成23(ネ)10031 <原審;東京地裁平成21(ワ)19013>
事件種別:製造販売禁止等請求控訴
原告:株式会社ナカタ・株式会社安田製作所 (特許権者) <控訴人>
被告:株式会社カーボテック 協同組合カーボテック飛騨 有限会社山下木材 株式会社成基 <被控訴人>
判決:控訴棄却 <侵害不成立(請求棄却)判決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「炭化方法」
争点:技術的範囲の属否(否→否)
参照条文:68条,70条
分野:化学
分類:構造(ベントナイト被覆)
ポイント:被告製造方法における木質チップに対するベントナイトの被覆の状態は判然とせず,被告製造方法は,ベントナイトによって,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面が覆われているとともに,原料に着火させ,原料のガス成分を燃焼することができる程度には原料の表面を覆わない部分が存在するものと認めることはできない。被告製造方法は,本件特許発明の構成要件B及びDを充足すると認めることはできない。
14
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-06
事件番号:平成23(行ケ)10134
事件種別:審決取消請求
原告:新日本製鐵株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容 <拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,古谷健二郎
発明の名称等:「高強度部品の製造方法と高強度部品」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(合金)
ポイント:焼入れ硬度を低下させた部位を設けることで加工を容易にする技術思想の刊行物1記載の発明における,成形型内で加工を行う技術事項のみを抜き出して,本願発明の容易推考性の判断をすることは許されない。
15
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-08
事件番号:平成23(行ケ)10115
事件種別:審決取消請求
原告:オルガノサイエンス株式会社 株式会社CHIRACOL
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「シクロヘキサン化合物及び該化合物を含有した液晶組成物」
争点:新規性 (なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:用途(ネマティック液晶混合用途のシクロヘキサン化合物)
ポイント:引用発明を合成するにはグルニヤール試薬の前駆体のB物質の入手方法が不明である。しかし,乙3学術論文にはその入手方法が記載されている。純粋なB物質の入手方法は本件出願当時,当業者に周知である。当業者であれば,これらの記載から引用発明を合成でき,本件発明は新規性がない。
16
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-08
事件番号:平成23(行ケ)10185
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東芝
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「負極活物質,非水電解質電池及び電池パック」
争点:新規性 (なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:用途(リチウムチタン複合酸化物粒子含む負極活物質)
ポイント:本件製法と引用発明製法とは実質的に同一の製法。製造の原料が同一で方法が同一ならば,同一の物が製造されると解するのが自然。本件相違点に係る本願発明の構成が,引用発明とは相違するものであるということはできない。
17
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-15
事件番号:平成23(行ケ)10195
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「竹エキスを主成分とした飲料及び医薬」
争点:補正要件(新規事項追加あり→あり)
参照条文:17条の2第3項
分野:医薬
分類:用途(抗癌剤)
ポイント:当初明細書には,発明に係る竹エキスの有効成分として,カルシウム,マグネシウム,亜鉛,カリウム等が含まれること,サイトカイニンという植物のみに存在する成長ホルモンが含まれること,強い還元力を有するアブシジン酸が含まれることが,それぞれ記載されているものである。そして,本件第1次補正明細書【0027】の記載が追加されることにより,竹エキスは,「ジベレリン」を含有するものであることが明記されることになる。しかしながら,当初明細書には,竹エキスに有効成分として「ジベレリン」が含有されていることは何ら記載されていない。また,本件出願日当時,竹エキスに「ジベレリン」が含有されていることが自明であるとも認められない。したがって,本件第1次補正によって前記【0027】の「ジベレリン」に関する記載を追加することは,当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
18
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-02-17
事件番号:平成21(ワ)17204
事件種別:職務発明の対価請求
原告:X
被告:三菱化学株式会社
判決:請求認容<5900万円支払え>
裁判部:民事第40部
裁判官:岡本岳(裁判長),鈴木和典,坂本康博
発明の名称等:「セロトニン拮抗剤」
争点:職務発明対価額
参照条文:35条3項・4項
分野:医薬
分類:用途(虚血性諸症状改善「アンプラーグ錠」)
ポイント:相当対価額は,被告の自己実施期間におけるアンプラーグの売上高565億3720万円に,超過売上割合40%,仮想実施料率5%,本件各特許権の寄与割合(1:2=60%:40%),共同発明者間の原告寄与割合(1:50%,2:10%),発明者貢献度5%を乗じ,中間利息を控除した金額であって,1914万2328円である。
19
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-22
事件番号:平成23(行ケ)10178
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ダイセル 富士フイルム株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「セルロースアシレート,セルロースアシレート溶液およびその調製方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(セルロースアシレート)
ポイント:本願発明と引用発明とはセルロースアシレートの特定方法が異なり,直接比較できない。しかし,共通のパラメータを用いて特定しており,互いに重複する範囲を有する。引用例記載の方法によってフィルムを製膜してみることは容易想到である。
20
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-28
事件番号:平成23(行ケ)10152
事件種別:審決取消請求
原告:東洋紡績株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「水性樹脂分散組成物およびその製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(ポリオレフィンの酸変性)
ポイント:刊行物1には「無水マレイン酸」が「アクリル酸系樹脂」の共重合成分の一つになり得ることを示すが,「アクリル酸系樹脂」が「無水マレイン酸のみ」によることも可能であることを示したものとは理解できず,ポリオレフィンに無水マレイン酸のみを使用して酸変性を行うことは容易想到ではない。
21
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-28
事件番号:平成23(行ケ)10160
事件種別:審決取消請求
原告:ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンの製造方法」
争点:発明の同一性(同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:化学
分類:製法(物質)
ポイント:本願発明と先願発明は,五塩化アンチモン触媒の存在下で1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンをフッ化水素と液相中で連続的に反応させる1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンの製造方法であって,1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンが気体である温度及び圧力下で前記反応が実施され,1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン及び塩化水素をそれらが形成されるにつれて気相で抜き出して反応混合物から分離し,1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン1モル当たり5~30モルのフッ化水素を使用する製造方法である点において一致しており,両者は相違しない。
22
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-28
事件番号:平成23(行ケ)10191
事件種別:審決取消請求
原告:セントラル硝子株式会社 (無効審判請求人)
被告:ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「ポリウレタンフォームおよび発泡された熱可塑性プラスチックの製造」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(ポリウレタンフォームの発泡剤)
ポイント:甲1には,オゾン層に悪影響を与えるHCFC-141bの代替物質としてHFC-245fa及びHFC-365mfcを発泡剤としての使用が提案されている。混合気体からHCFC-141bを除去し,その代替物としてこれらを使用した発泡剤組成物を得ることは容易想到である。
23
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-29
事件番号:平成23(行ケ)10108
事件種別:審決取消請求
原告:ジャンスー サイノーケム テクノロジー カンパニー リミテッド (無効審判請求人)
被告:フレクシス アメリカ エル・ピー (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「4-アミノジフェニルアミンの製造法」
争点:新規性(あり→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:物質(4-アミノジフェニルアミン)
ポイント:本件発明1は,プロトン性物質として水を用いる場合に無水条件を含むものであるから,この構成を採用する点において引用発明と同一の発明であり,新規性を有しない。
24
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-02-29
事件番号:平成23(行ケ)10183
事件種別:審決取消請求
原告:コーロン インダストリーズ インク
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),古谷健二郎,田邉実
発明の名称等:「液晶ディスプレイのバックライトユニット用光拡散フィルム」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(光拡散フィルム)
ポイント:引用発明1との相違点である,透明支持体両面に光拡散層を設けることは周知技術ゆえ,容易想到である。光拡散剤の多分散性率の数値範囲は設計事項である。
25
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-06
事件番号:平成22(行ケ)10140
事件種別:審決取消請求
原告:第一三共株式会社 (特許権者)
被告:沢井製薬株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求認容<無効審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「うっ血性心不全の治療へのカルバゾール化合物の利用」
争点:訂正審決確定
参照条文:127条
分野:医薬
分類:用途(心不全治療薬)
ポイント:訂正審決が確定した結果,訂正の遡及効により,本件無効審決は取消されるべきものである。
26
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-08
事件番号:平成23(行ケ)10406
事件種別:審決取消請求
原告:エボニック デグサ ゲーエムベーハー
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「水/アルコールを基礎とするフルオロアルキル官能性オルガノポリシロキサン含有組成物,その製造方法および使用法」
争点:審決の手続違背(違法性あり)
参照条文:159条2項,50条
分野:化学
分類:材料(オルガノポリシロキサン)
ポイント:意見書提出期限より約2ヶ月前に審理終結通知がされ,審決がされたことには,手続違背の違法がある。
27
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-12
事件番号:平成23(行ケ)10165
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社 (特許権者)
被告:Y (無効審判請求人)
判決:請求棄却<一部無効審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「液晶表示装置の製造方法及びスペーサ粒子分散液」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(液晶素子のスペーサ用インクジェットインク)
ポイント:引用発明1において,比重差を小さくすることは,甲3に比重がスペーサ材料と同等の溶媒を使用することが望ましいことが示されていることからすれば容易想到である。
28
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-21
事件番号:平成22(ネ)10062
事件種別:職務発明譲渡対価等請求控訴
原告:X (1審原告)<控訴人兼被控訴人>
被告:株式会社日立製作所 (1審被告)<被控訴人兼控訴人>
判決:1審原告控訴棄却<6302万6136円から290万3066円に減額>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「エッジ強調型位相シフトマスク」
争点:職務発明対価額・包括クロスライセンス
参照条文:35条3項・4項
分野:化学
分類:構造(ハーフトーン型位相シフトマスク)
ポイント:包括的クロスライセンス契約において,一方当事者が自己の保有する特許発明等の実施を相手方に許諾することによって得るべき利益とは,相手方に本来支払うべきであった実施料の支払義務を免れることによる利益(クロス利益)である。本件各特許の寄与率は3%をもって相当である。1審被告は,本件発明により,実施料及びクロス効果の額の合計につき,それぞれ3%の寄与率を乗じた額の利益を得ていたものと認められる。1審被告が貢献した程度は,95%をもって相当である。1審被告は,1審原告に対し,290万3066円を支払え。
29
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-22
事件番号:平成23(行ケ)10180
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社巴川製紙所
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<訂正棄却審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「防眩材料及びそれを用いた偏光フィルム」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(偏光フィルム)
ポイント:樹脂マトリックスとフィラーとの屈折率差を0.05以下することに技術的意義はなく,課題に差がない甲1発明と甲3・5の記載事項との組合せは容易想到である。
30
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-22
事件番号:平成23(行ケ)10314
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ナカタ 株式会社安田製作所 (特許権者)
被告:株式会社カーボテック (無効審判請求人)
判決:請求認容<請求項1無効審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「炭化方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(ベントナイト被覆)
ポイント:引用発明は,脱水したパルプ廃滓の表面をベントナイト等で被覆しなくても酸化が抑制され炭化することができるものであり,本件訂正発明とは技術的意義を異にする。本件訂正発明は,引用発明から容易想到ではない。
31
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-03-28
事件番号:平成23(行ケ)10227
事件種別:審決取消請求
原告:富士レビオ株式会社 (特許権者)
被告:バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「病原性プリオン蛋白質の検出方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:タンパク分析
ポイント:当業者が,引用発明1の遠心分離処理の条件に,引用発明3の1万5000回転程度の「超遠心分離処理を除く遠心分離処理」を適用することは容易想到である。
32
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-03-29
事件番号:平成22(ワ)2535
事件種別:職務発明補償金請求
原告:A
被告:和光純薬工業株式会社
判決:請求認容<150万4000円支払え>
裁判部:民事第47部
裁判官:阿部正幸(裁判長),志賀勝,小川卓逸
発明の名称等:検査薬「マイクロTP」
争点:職務発明対価額
参照条文:35条3項・4項
分野:化学
分類:用途(検査薬)
ポイント:本件各発明と本件特許がなければ,被告の販売していた臨床検査薬「マイクロTP」の施設採用率は約86%まで増加することはなかった可能性が高く,本件各発明と本件特許により,本件各検査薬の施設採用率は約86%にまで至った。本件発明3による独占の利益の額は,1510万円となる。原告は,本件各発明の明細書案を起案し,また,本件各発明の無断実施を発見して同社に対する有償の実施許諾につなげるなど,本件各発明の権利化や事業化に相応の寄与をした。以上の事情を総合的に考慮すると,本件各発明がされるについて被告が貢献した程度は,90%と認めるのが相当。本件各発明により被告が受けるべき利益の額1510万円に,本件各発明がされるについて原告が貢献した程度である10%を乗じた151万円となり,被告の未払額は,既払の報奨金6000円を控除した150万4000円となる。
33
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-03-29
事件番号:平成22(ワ)30777
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:富士レビオ株式会社 (特許権者)
被告:バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社
判決:請求棄却<権利行使不能>
裁判部:民事第46部
裁判官:大鷹一郎(裁判長),上田真史,石神有吾
発明の名称等:「病原性プリオン蛋白質の検出方法」
争点:進歩性(なし)
参照条文:29条2項,104条の3
分野:バイオ
分類:タンパク分析
ポイント:乙7には,脳又は脾臓から試料を調製する場合に,両者を区別せずに「69,000×g」で遠心すると記載されているのに対し,乙9には,脳の場合には15,000回転とされている。本件発明は,乙7及び9に記載の発明に基づいて容易想到である。
34
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-11
事件番号:平成23(行ケ)10118
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東和コーポレーション (特許権者)
被告:株式会社ユニワールド 株式会社ウィード 株式会社布施商店 (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「樹脂表面の形成方法,表面に異なる大きさの凹状部が混在する物品の製造方法及びその物品,手袋の製造方法及び手袋」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(手袋表面の発泡樹脂層)
ポイント:引用例2及び3は,表面層に発泡層を有する手袋に関する点で引用発明1と共通。引用例2には,発泡層の気泡量を15~30%程度とすることが,引用例3には,平均径10~400μmの気泡を作ることが記載されている。引用発明1aのテクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法に引用例2及び3に記載された事項を組み合わせることは容易想到である。
35
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-11
事件番号:平成23(行ケ)10146 平成23(行ケ)10147
事件種別:審決取消請求
原告:沢井製薬株式会社 (無効審判請求人) <第10146号事件被告,第10147号事件原告>
被告:武田薬品工業株式会社 (特許権者) <第10146号事件原告,第10147号事件被告>
判決:請求認容(審決取消<請求項1~6はサポート要件の違反なし(特許維持),請求項7~9の進歩性なし(特許無効)>)
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「糖尿病治療薬」
争点:進歩性(あり→なし),サポート要件(違反あり→違反なし)
参照条文:29条2項,36条6項1号
分野:医薬
分類:用途(ピオグリタゾン組合せ剤)
ポイント:ビグアナイド剤がピオグリタゾンとは異なる作用機序を有することは知られており,両者が拮抗するなどの証拠が見当たらない以上,併用効果の存在を認識できる。ビグアナイド剤の実施例がないからといって,サポート要件に違反することにはならない。 ピオグリタゾンとグリメピリドとの併用投与による記載がなく,当業者の予測を超える顕著な作用効果(相乗効果)の立証がない。
36
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-11
事件番号:平成23(行ケ)10148
事件種別:審決取消請求
原告:沢井製薬株式会社 (無効審判請求人)
被告:武田薬品工業株式会社 (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「糖尿病治療薬」
争点:新規性・進歩性(あり→なし)
参照条文:29条1項3号・2項
分野:医薬
分類:用途(ピオグリタゾン組合せ剤)
ポイント:引用例の図3には,本件発明1等の構成がいずれも記載されている。作用機序が異なる薬剤を併用する場合,薬剤同士が拮抗するとは考えられにくいから,併用する薬剤がそれぞれの機序によって作用し,それぞれの効果が個々に発揮されると考えられるところ,これらの作用機序が異なる糖尿病治療薬の併用投与により,少なくともいわゆる相加的効果が得られるであろうことまでは当然に想定するものと認められる。
37
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-11
事件番号:平成23(行ケ)10186
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社クボタ クボタシーアイ株式会社 (無効審判請求人)
被告:積水化学工業株式会社 (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「硬質塩化ビニル系樹脂管」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(樹脂管)
ポイント:シート状物(甲4)から「管」を想到することは容易である。カーボンブラックよりも有機黒色顔料の方が赤外線透過性に優れ,太陽光線による温度上昇が少なく,残留歪の復元に起因する変形が少ない(甲3)。よって,相違点に係る構成Bは容易想到である。
38
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-26
事件番号:平成23(行ケ)10225
事件種別:審決取消請求
原告:大阪ガスケミカル株式会社 (無効審判請求人)
被告:田岡化学工業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「フルオレン誘導体の結晶多形体およびその製造方法」
争点:新規性(あり→あり)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:物質(多形結晶)
ポイント:甲1においては,再結晶精製方法の具体的操作方法等について,特に限定はないものの,目的物である結晶析出の際,得られた粗製品に溶媒を加え,濾液を攪拌しながら徐々に冷却することが推奨されており,冷却して結晶を析出させる際にも攪拌を継続したと認めるのが合理的である。 追試5-1と甲31の3の追試実験とは,結晶析出の際の冷却速度において相違し,結晶析出について重要な条件において相違するから,追試5-1の結果が「得られたBPEFの融点は161.0℃であった」というものであったとしても,「製造されたBPEFの『示差走査熱分析による融解吸熱最大』は108.4℃であった」との甲31の3の追試実験の結果を覆すものとはいえない。甲1には結晶析出の際の冷却条件等に関する記載ないし示唆はないから,追試5-1の結果が,本件発明の「示差走査熱分析による融解吸熱最大が160~166℃」との要件を満たすものであったとしても,本件発明が甲1発明と実質的に同一とは認められない。
39
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-04-26
事件番号:平成23(行ケ)10325
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「ウイルス性及び各種アレルギー性鼻炎・皮ふ炎の治療薬としての抗鼻炎剤・抗アレルギー剤」
争点:補正要件(新規事項追加あり→あり)
参照条文:17条の2第3項
分野:医薬
分類:用途(アレルギー性鼻炎)
ポイント:図4の説明について「梅干(又は塩とクエン酸)の入った鼻栓と一体となったカプセル」に,変更した。しかし,当初明細書では,「梅干(又は塩とクエン酸の混合物)」を用いる旨の開示はない。また,鼻栓付カプセルに,麻酔剤をコーティングする旨の記載もない。また,「梅干(又は塩とクエン酸の混合物)」を用いることや,鼻栓付カプセルに,麻酔剤をコーティングすることが,当業者によって当初明細書の記載から導かれる技術的事項との関係で,新たな技術的事項を導入するものではないと認めるに足りる証拠もない。
40
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-04-27
事件番号:平成21(ワ)31535
事件種別:損害賠償請求
原告:アンティキャンサーインコーポレイテッド(特許権者)
被告:大鵬薬品工業株式会社
判決:請求棄却<権利行使不能・均等第4要件不充足>
裁判部:民事第46部
裁判官:大鷹一郎(裁判長),上田真史,大西勝滋
発明の名称等:「ヒト疾患に対するモデル動物」
争点:サポート要件(違反あり),進歩性(なし),均等第4要件(不充足)
参照条文:29条2項,36条6項1号,68条,70条,104条の3
分野:バイオ
分類:モデル動物
ポイント:本件詳細な説明の記載及び本件優先権主張日当時の技術常識に照らし,当業者が,ヌードマウスでの皮下継代を経た脳以外のヒト器官から採取したヒト腫瘍組織塊が同所移植された本件発明のモデル動物がヒト腫瘍組織を増殖及び転移させるに足る能力を有するモデル動物を作成するという本件発明の課題を解決できることを認識できるものと認めることはできず,サポート要件に適合しない。 乙14と乙27は,同一の技術分野に属し,これらに接した当業者であれば,乙14記載のヌードマウスに,乙27記載のヒトの肝癌組織片を「原発臓器」であるヌードマウスの「肝臓」に「同所移植」することによって肺転移が生じるヌードマウス(モデル動物)を得られるとの知見を適用する動機付けがある。乙14記載のヌードマウスに乙17記載の上記知見を適用することにより相違点に係る本件発明の構成は容易想到である。 本訴マウスの構成は,当業者が,本件出願の優先権主張日前の公知技術である乙14に記載された発明及び乙27に記載された知見に基づいて当業者が容易に推考できたものと認められるから,均等論の第4要件を満たさない。
41
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-04-27
事件番号:平成21(ワ)34203
事件種別:職務発明対価支払請求
原告:A1
被告:アステラス製薬株式会社
判決:請求認容<1億6538万円支払え>
裁判部:民事第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長),小川雅敏,菊池絵理
発明の名称等:「スルファモイル置換フエネチルアミン誘導体」
争点:職務発明対価額
参照条文:35条3項・4項
分野:医薬
分類:物質(置換フェネチルアミン誘導体)
ポイント:被告は,平成21年11月11日の本件第1回口頭弁論期日において,上記各請求権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。したがって,原告の日本物質特許に係る請求,スペイン・ロシア・ポルトガルの物質特許に係る請求については,時効により消滅しており,その請求を認めることができない。以上によれば,前記相当対価の算定において算定した対価額のうち,日本物質特許に係る相当対価請求権,スペイン・ロシア・ポルトガルの物質特許に係る相当対価請求権は,時効より消滅しているものと認められるから,前記総合計の額1億9974万円から,これらの時効消滅した額の合計3100万円を除いた1億6874万円が相当対価の額と認められる。そして,被告は,上記額のうち335万9900円を既に支払っているから,これを控除した1億6538万円(1000円未満切り捨て)が,最終的に認容すべき額となる。
42
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-07
事件番号:平成23(行ケ)10091
事件種別:審決取消請求
原告:沢井製薬株式会社(無効審判請求人)
被告:ワーナーランバートカンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「安定な経口用のCI-981製剤およびその製法」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:製剤(経口薬)
ポイント:審決が判断の前提としたように,CI-981半カルシウム塩がラクトン体に比べて有利な化合物であり,そのことは本件発明において見出された,と評価することはできないのであり,本件発明1は,単に「最も好ましい態様」としてCI-981半カルシウム塩を安定化するものと認めるべきである。本件発明1と甲2に記載された技術的事項は実質的に相違するものではなく,この技術的事項を,甲1発明との相違点に関する本件発明1の構成を適用することの可否について前提とした審決の認定は誤りであって,甲1発明との相違点の容易想到性判断の前提において,結論に影響する認定の誤りがあるというべきである。
43
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-16
事件番号:平成23(行ケ)10199
事件種別:審決取消請求
原告:ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ ザ ユニバーシティー オブ サザン カリフォルニア (特許権者)
被告:株式会社半導体エネルギー研究所 (無効審判請求人)
判決:請求棄却<請求項1~3無効・請求項4~7維持の審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「電気リン光に基づく高効率有機発光装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(有機ELリン光性発光材料)
ポイント:引用例1は,高いPL効率を示すオスミウム錯体及びイリジウム錯体が電圧を印加した場合にリン光(EL)を生じる可能性等について教示。引用例2の記載によれば,fac-Ir(ppy)3のPL効率は,上記オスミウム錯体のPL効率とほぼ同等又はそれ以上である。引用例3には,fac-Ir(ppy)3及びこれと化学構造が類似するfac-Ir(thpy)3に光を照射した場合に,いずれも発光(PL)を示したことについての記載がある。引用例2及び3のこれらの記載は,fac-Ir(thpy)3に電気エネルギーを印加した場合のELの発生を期待させる。引用例1に記載された教示に基づき,技術分野を同じくする文献である引用例2及び3の記載を組み合わせることで,引用例1に記載の本件相違点に係る構成に代わり,本件発明の本件相違点に係る構成に包含されるfac-Ir(thpy)3を採用することは容易想到である。本件実施例が達成した8%というEL効率は,発光層のホスト材料としてCBPを採用し,かつ,BCPからなる励起子阻止層を採用した場合に限って得られるもので,発光層に「芳香族配位子を有するリン光性有機金属イリジウム錯体」を採用したことによって当然に得られるものとは認められない。
44
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-23
事件番号:平成23(行ケ)10248
事件種別:審決取消請求
原告:ユニチカ株式会社 (無効審判請求人)
被告:東洋紡績株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「生分解性農業用繊維集合体」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(生分解性ポリ乳酸繊維)
ポイント:引用発明2は,農業用不織シートの保温性と耐候性のいずれも優れたものとすることを課題とするもので,その課題を解決するために,芯鞘型の複合繊維の素材を選択したものである。そして,引用例3ないし6には,ポリ乳酸が保温性や耐候性に優れた素材であることは記載がなく,引用発明2に係る素材を,課題が異なる生分解性の素材であるポリ乳酸に変更する動機付けがあるとはいえない。本件訂正発明と引用発明2との相違点が,当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
45
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-23
事件番号:平成23(行ケ)10249
事件種別:審決取消請求
原告:ユニチカ株式会社 (無効審判請求人)
被告:東洋紡績株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「生分解性土木用繊維集合体」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(生分解性ポリ乳酸繊維)
ポイント:引用発明1-1及び引用発明1-2において,素材を自然に分解させたいという課題はないから,そのような課題を解決するために素材をポリ乳酸とする動機付けが存在することを示すものでもない。引用発明1-1において,単糸の素材をポリ乳酸とする動機付けがあるということはできず,また,引用発明1-2において,マルチフィラメントの素材をポリ乳酸とする動機付けがあるということはできないから,本件発明と上記発明との相違点が,当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
46
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-23
事件番号:平成23(行ケ)10250
事件種別:審決取消請求
原告:ユニチカ株式会社 (無効審判請求人)
被告:東洋紡績株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「生分解性衛生用繊維集合体」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(生分解性ポリ乳酸繊維)
ポイント:周知例1ないし3に,上記事項が記載されているとしても,エアベッド用フィルタシーツについては何ら記載されていない。そうすると,周知例1ないし3の上記記載は,エアベッド用フィルタシーツ地に関する引用発明1において,前記の必要性から選択した素材であるポリエステルを,別の素材であるポリ乳酸に変更するほどの動機付けがあることを示すものとはいえない。引用発明1において,ポリエステルをポリ乳酸に変更する動機付けがあるということはできないから,本件発明と引用発明1との相違点が,当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
47
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-05-23
事件番号:平成22(ワ)26341
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:株式会社ファンケル (特許権者)
被告:株式会社ディーエイチシー
判決:請求認容<1億6569万8740円支払え>
裁判部:民事第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長),森川さつき,菊池絵理
発明の名称等:「油性液状クレンジング用組成物」
争点:損害額
参照条文:102条2項・3項
分野:化粧品
分類:クレンジング組成物
ポイント:被告各製品は,適度な粘性を有する旨が宣伝広告において強調されているものであり,さらに,透明であることも,その商品の特性として重要な要素を占めている。本件各発明に係る作用効果が被告各製品の特性の中核をなしている。これに加えて,被告各製品が,本件各発明をいずれも侵害するものであることを考慮すると,被告各製品に関し,本件各発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定するための相当実施料率は●%と認めるのが相当である。被告各製品が,本件各発明に係る作用効果を享受しており,かつ,同作用効果が被告各製品の売上げに寄与するものであることは明らかである。特許法102条3項に基づく原告の損害は,被告各製品の売上高に相当実施料率●を乗じることにより算出されるものと認められ,下記計算式のとおり,1億5069万8740円となる。
48
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-28
事件番号:平成22(行ケ)10203
事件種別:審決取消請求
原告:イッサム リサーチ ディヴェロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティ オブ エルサレム エルティディー
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「腫瘍特異的細胞傷害性を誘導するための方法および組成物」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:ベクター
ポイント:本件優先日当時,外来の遺伝子を導入して腫瘍(癌)を傷害するのは,プロモーターの活性が不十分であるなどの理由のため困難であるというのが当業者一般の認識であった上,H19遺伝子の生物学的機能は完全には解明されていなかった。また,引用例3の表1は,種々の腫瘍においてH19遺伝子の発現の有無の状況が異なることを示すものであることが明らかである。同表には,7例の腎臓のウィルムス腫瘍(癌)のうち4例でH19遺伝子の発現が見られ,また4例の腎細胞癌(腫瘍)ではH19遺伝子の発現が見られなかった旨の記載がある。引用例6の118頁には,ウィルムス腫瘍細胞株であるG401ではH19遺伝子の発現が見られない旨の記載があり,同一臓器の癌(腫瘍)であっても,H19遺伝子の発現には差異があることが分かる。そうすると,引用例3にH19遺伝子の発現の状況が記載されているとしても,この記載に基づく発明ないし技術的事項を単純に引用発明1に適用して,腫瘍(癌)の傷害という所望の結果を当業者が得られるかについては,本件優先日当時には未だ未解明の部分が多かったというべきである。
49
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-05-29
事件番号:平成22(ワ)5719
事件種別:不正競争行為差止等請求
原告:保土谷化学工業株式会社
被告:出光興産株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<不競法4条損害賠償請求棄却>
裁判部:民事第46部
裁判官:大鷹一郎(裁判長),上田真史,石神有吾
発明の名称等:有機EL素子
争点:過失の有無(なし)
参照条文:不競法4条
分野:化学
分類:装置(有機EL素子)
ポイント:本件特許は,無効審決の確定により無効である。原告製品を正孔輸送材料として使用したSDI社製の燐光発光有機EL素子は,本件特許権を侵害するものではないから,被告がSDI社に対して告知した事実は,この点において真実に反するものであり,不正競争防止法2条1項14号の「虚偽の事実」に該当する。被告において,別件判決2が第2次訂正発明1の作用効果が顕著でないとした点について調査確認をすべき注意義務違反があったものとはいえず,被告に過失があるものと認めることはできない。原告の不正競争防止法4条に基づく請求は,理由がない。
50
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-31
事件番号:平成23(行ケ)10277
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,知野明
発明の名称等:「セミフルオロアルカン及びその使用」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:用途(呼吸剤)
ポイント:引用例Aには,フッ素原子の一部をフッ素原子より軽い水素原子に置換したセミフルオロアルカンである「一般式CnF2n+1Cn’H2n’+1(nおよびn’は,約1から約10)を有する化合物」が開示されていること,また,線形又は分岐ペルフルオロアルキル基の炭素原子の総数,線形又は分岐飽和(炭化水素)アルキル基の炭素原子数は,いずれも3ないし10である範囲で重なっていることに照らすならば,本願発明における呼吸剤が,上記化合物に比べて,当業者にとって予測困難な顕著な効果を奏するとは認められない。
51
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-05-31
事件番号:平成23(行ケ)10345
事件種別:審決取消請求
原告:ニッタ・ハース株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「半導体研磨用組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(シリカ水分散液)
ポイント:引用発明及び刊行物2に記載された発明は,本願発明と同様に,半導体研磨用のヒュームドシリカの水分散液において,凝集粒子が原因で発生するスクラッチを低減させることを解決課題とし,解決課題において共通する。引用発明に接した当業者が,引用発明における,ヒュームドシリカの水分散液中の0.5μm以上の粒径を有するヒュームドシリカの凝集粒子を適宜選択した範囲の個数とし,かつ,スクラッチの発生をより確実に防止するために,刊行物2に開示された発明を組み合わせ,ヒュームドシリカの水分散液中の1.0μm以上の粒径を有するヒュームドシリカに着目して,その凝集粒子数を適宜選択した範囲の個数とすることに,困難な点はない。
52
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-06
事件番号:平成23(行ケ)10254
事件種別:審決取消請求
原告:X (無効審判請求人)
被告:花王株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「減塩醤油類」
争点:サポート要件(違反なし→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:食品
分類:減塩醤油
ポイント:本件発明の課題は,本件明細書の記載によれば,塩味がより強く感じられ,味が良好であって,カリウム含量が増加した場合にも苦味が低減できる減塩醤油を得ることである。本件明細書の発明の詳細な説明には,食塩濃度が8.3~9w/w%,カリウム濃度が1~3.7w/w%,窒素濃度が1.9~2.2w/v%,かつ窒素/カリウムの重量比を0.44~1.62である減塩醤油については,本件発明1の課題を解決できるように記載されている。また,本件発明1において食塩濃度が7w/w%台と本件発明が特定する食塩濃度の下限に近い場合であっても,塩化カリウムが食塩の塩味を代替する成分であるという技術常識に照らし,カリウム濃度を本件発明1が特定する数値範囲の上限付近とすることによって,本件発明1の課題を解決できると当業者が理解することができ,本件発明は,発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されている。さらに,本件明細書の記載から,本件発明1では,カリウム濃度を上限値とした場合であっても,食塩濃度,窒素濃度及び窒素/カリウムの重量比が本件発明1で特定する数値の範囲内であれば,カリウムを配合することによる苦味に関する課題は,解決されている。
53
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-06
事件番号:平成24(行ケ)10061
事件種別:審判請求書却下決定取消請求
原告:ジャンセン・ファーマシューチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<却下決定維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「てんかんおよび関連疾患を治療するためのスルファメートおよびスルファミド誘導体」
争点:審判請求書却下決定(違法性なし)
参照条文:133条3項
分野:医薬
分類:用途(てんかん治療薬)
ポイント:原告は,本件拒絶査定により本件審判における争点を認識しており,当該争点についての立証について,本件審判の請求まで約4か月,本件指令書により指定された補正のための指定期間の満了まで約6か月にわたる準備期間を与えられていながら,その立証準備の状況等について何ら具体的に説明をせずに当該指定期間を徒過していたのであるから,原告が外国法人であって,本件事務所との間の意思疎通について内国人よりも時間と費用を要することや,本件決定に先立って,郵便はがきによる却下処分前通知又は電話による手続続行の意思の有無の確認といった特許庁内部で行われていた運用に従った取扱いがされていなかったこと,そして,そのことから,仮に,本件事務所において自ら補正の理由書を提出するまで本件請求書が却下されることはないと期待していたとすれば,本件審判長がその期待を与えたことを考慮しても,本件審判長は,本件請求書を却下した時点において,当該決定を遷延させ,もって原告のために更に補正のための猶予期間を与える必要はなかったものというほかなく,本件拒絶査定から約7か月後であって当該指定期間の満了から43日後にされた本件決定は,審判長が有する請求書の却下決定をする時期についての裁量権を逸脱又は濫用したものとはいえない。
54
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-13
事件番号:平成23(行ケ)10202
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社利川プラスチック (無効審判請求人)
被告:大鳳株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「樹脂管ジョイント並びにその製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(樹脂管成形)
ポイント:本件発明は,管内面に止水材を一体成形することによって,止水材の剥離や異物の付着等を防止することを課題とするものであるに対し,引用発明は2層成型機を用いることなく2層中空成型品の型成形を行うことによって,各層の開始,終了等の関係を正確に決定することなどを課題とするものであって,本件発明と引用発明はその課題を異にする。また,本件発明は,外金型と,止水材を全周にわたり巻き付けた内金型との間に,ブロー成形機のダイより押し出したパリソンを位置させ,内金型と外金型とでパリソンを挟んで閉じることにより止水材を管内面に一体成形するという構成(金型成形)を備えるものであるのに対し,引用発明は,そのように外金型と協働する内金型に相当する部材はなく,ブロー成形により筒状インサートとパリソンが一体化するという構成を有するものであるから,引用例1には,相違点2及び3に係る本件発明の構成とすることの動機付けや示唆も見当たらない。
55
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-13
事件番号:平成23(行ケ)10364
事件種別:審決取消請求
原告:アビオメド ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「流体によって冷却される,比出力が高い電動モータ」
争点:実施可能要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:材料(モーターのハウジング)
ポイント:本願発明の「ポリマー材料」となるデュロマー(液体エポキシ樹脂)の物性や充填剤(Al2O3の細粉)の熱伝導性が一義的に決まらないから,本願発明の作用効果が推認できず,デュロマーが40重量%以上含有されることで熱伝導率が著しく増大する理由(臨界性)が不明である。しかしながら,作用効果の有無や,デュロマーの重量比が有する技術的意義は,いずれも本願発明の容易相当性の判断において考慮され得る要素の一つであるにすぎず,実施可能性とは直接関係がないばかりか,上記の液体エポキシ樹脂及びAl2O3の細粉の材料は,いずれも市販品として容易に入手可能であるから,これらの材料の詳細が本願明細書に示されていないからといって,当業者が本願発明を実施できなくなるものではない。
56
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-14
事件番号:平成24(行ケ)10084
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<審判請求書却下審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「多糖類由来化合物の生成方法並びに生成装置」
争点:期限徒過
参照条文:121条2項,135条
分野:化学
分類:製法(多糖類由来化合物の製法)
ポイント:原告の上記主張に係る事情は,結局,原告の注意が不足したため,錯誤に陥り,手違いが発生したというものであるから,原告の「責めに帰することができない理由」とはいえない。地震による二次的被害としての諸事情と,本件審判の請求が1日遅れたこととの間に因果関係は認められず,原告の「責めに帰することができない理由」により審判請求期間内に請求をすることができなかったとはいえない。
57
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-26
事件番号:平成23(行ケ)10198
事件種別:審決取消請求
原告:フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:製剤(口腔内投与製剤)
ポイント:記引用例2の記載によれば,生理活性ポリペプチド含有の経口投与用または口腔内投与用製剤に使用できるポリペプチドは,比較的低分子量のものであればよく,そのようなものの一つとしてデスモプレシンが周知であったことが認められる。そうすると,ペプチドを活性成分とし,口腔内で分散させる,すなわち口腔内投与される引用発明の製剤において,活性成分のペプチドとしてデスモプレシンを使用することは容易であったといえる。
58
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-26
事件番号:平成23(行ケ)10300
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「アレルゲン低減化繊維製品およびその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(アレルゲン低減化剤処理繊維)
ポイント:チリダニは,その死がいや糞などもアレルゲンとなること,生きているダニよりもその死がいや糞の方が細粒化し,アレルゲン性が高いことも,本願の優先日当時における技術常識である。そうすると,引用文献2に接した当業者が,上記技術常識に基づき,除去が困難である繊維製品の内部,すなわち最表層以外の部分にアレルゲン低減化剤による処理をすることに,何ら困難性はないといえる。のみならず,引用文献1には,防虫剤を立毛・パイル繊維製品の基布又はその裏面にのみ付与することによって,立毛・パイル繊維製品の外観・風合いを損なうことのない防虫加工製品を提供するという記載があり,引用文献1記載の発明と本願補正発明とでは,防虫剤とアレルゲン低減化剤との違いはあるものの,いずれも薬剤を立毛繊維製品に使用するという点で共通するものであることからすると,アレルゲン低減化剤の使用を最表層以外の部分とすることによって,繊維製品本来の触感を維持できるという効果を奏することは,当業者が容易に予測し得るものである。
59
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-26
事件番号:平成23(行ケ)10316
事件種別:審決取消請求
原告:東レ・ダウコーニング株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「半導体装置の製造方法および半導体装置」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(封止樹脂の硬化シリコーン組成物)
ポイント:本願発明は,半導体装置を樹脂封止するに当たり,半導体チップや回路基板の反りが大きくなるのを防止するとの課題を解決するために,封止樹脂である硬化性シリコーン組成物として特定の組成物を選択することにより,比較的低温で硬化性シリコーン組成物を圧縮成形することを可能にした発明である。引用例1には,半導体チップや回路基板の反りが大きくなるのを防止するという課題に関し,何らの記載も示唆もなく,また,樹脂材に関しては熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でも使用可能であるとの記載があるものの,封止用樹脂の組成については何らの限定もない。引用発明に接した当業者が,引用発明に引用例2に記載された技術的事項を組み合わせ,引用発明における封止用樹脂として引用例2に開示された硬化性シリコーン組成物を使用することを,容易になし得るとはいえない。
60
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-06-28
事件番号:平成23(行ケ)10179
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテック, インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:飯村敏明(裁判長),池下朗,武宮英子
発明の名称等:「血管内皮増殖因子拮抗剤」
争点:実施可能要件(違反あり→違反あり)
参照条文:36条4項1号
分野:医薬」
分類:用途(hVEGF拮抗剤)
ポイント:本件発明の内容が,本件明細書における実施例その他の説明により,「hVEGF(ヒト血管内皮増殖因子)拮抗剤」を使用することによって,加齢性黄斑変性に対する治療効果があることを,実施例等その他合理的な根拠に基づいた説明がされることが必要となる。しかし,本件明細書には,hVEGF拮抗剤が加齢性黄斑変性に対し治療効果を有することを示した実施例等に基づく説明等は一切存在しないから,本件明細書の記載が,本件発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものということができない。
61
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-11
事件番号:平成23(行ケ)10297
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「球技用ボールにおける外皮側とボール側との接着方法
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(競技用ボールの接着剤)
ポイント:本件出願時の技術常識として,シアノアクリレートやポリウレタン等の水反応型接着剤が知られており,電気カーペット等の面状採暖具の接着用途のみならず,卓球ボール,ソフトテニスボール,ゴルフボールなどの球技用ボールの接着用途も含めて,一般的に用いられる,すなわち,汎用性を有するものと認められる。引用発明2において,水反応型接着剤の一つである「反応型ホットメルト樹脂」が,IDカードやICカードの接着用途に特化されたものであるとはいえず,一般的な接着剤と同様,他の用途にも適用可能な汎用性を有するものというべきである。甲3,4についても同様である。このような水反応型接着剤の汎用性に照らせば,引用発明1のメルトン貼りボールの接着用途として,水反応型接着剤を適用することは,単なる設計的事項にすぎず,動機づけを否定することができない。引用発明2,周知技術及び自明な事項1~3を引用発明1に適用することに格別の困難性は認められない。
62
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-12
事件番号:平成23(行ケ)10354
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社アイシス
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「電解装置」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:装置(電解装置条件)
ポイント:本願発明と引用例に記載された発明は,無隔膜式の電解装置において,電極の電流密度を2mA/mm2以上とし,被処理水を流速は,0.3mm3/mA・sec(単位電流流速)以上で流通させるようにした,電解装置である点で構成が一致する。引用例に記載された発明の単位電流流速「0.5×103mm3/mA・sec」は,本願発明の単位電流流速「0.3mm3/mA・sec以上」に含まれており,両者は単位電流流速「0.5×103mm3/mA・sec」で一致しているから,引用例に記載された発明の単位電流流速の下限が限定されている必要はない。
63
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-18
事件番号:平成23(行ケ)10353
事件種別:審決取消請求
原告:イエフペ エネルジ ヌヴェル
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「内燃エンジンの排気管内で窒素酸化物を除去する方法および装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(ディーゼル機関における窒素酸化物の再生)
ポイント:内燃機関の排気浄化装置において,排気管内に還元剤供給弁を配置し,機関排気通路内に炭化水素を供給するという手法は,周知の技術である以上,引用発明に当該周知技術を適用し,流入排気ガスの空燃比をリーンからリッチに切り換えてCO発生触媒の上流側における未燃HCの濃度を増大させる手段に代えて,炭化水素処理手段(CO発生触媒)の上流側に炭化水素注入手段を設け,相違点3に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものであるということができる。
64
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-18
事件番号:平成24(ネ)10016<原審;大阪地裁平成22(ワ)9102>
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:田岡化学工業株式会社 (特許権者) <控訴人>
被告:大阪ガスケミカル株式会社 <被控訴人>
判決:控訴棄却<侵害不成立判決維持>
裁判部:第4部
裁判官:滝澤孝臣(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:フルオレン誘導体
争点:先使用権(あり→あり)
参照条文:79条
分野:化学
分類:製法(BPEFの製造)
ポイント:大阪ガスは,遅くとも,本件特許の優先権主張日の約8年前である平成11年3月頃から,本件特許発明2の技術的範囲に属するBPEFを製造していることからすれば,大阪ガスは本件特許発明2の内容を知らないで自らその発明をしたものであることは明らかであるということができる。また,被控訴人は,大阪ガスから被控訴人製品に係る発明の内容を知得したものであることについても優に認めることができる。したがって,被告は,本件特許発明2に係る本件特許権について,先使用による通常実施権を有する。
65
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-25
事件番号:平成23(行ケ)10389
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社アート・ラボ (実用新案権者)
被告:不二貿易株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求認容<無効審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:高部眞規子(裁判長),井上泰人,齋藤巌
発明の名称等:「室内芳香器」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:実3条2項
分野:化学
分類:構造(芳香発散造花)
ポイント:引用考案においては,芳香の発散も,花の一部から行われるにとどまり,花弁や花全体から芳香を発散させるという技術的思想は存在しない。しかも,引用考案における気散管が,花弁等と接しないように構成されているのは,気散管を挿抜する際,気散管中の芳香剤が花弁等に付着しないようにするという積極的な理由に基づくものであり,そのために,気散管を敢えて中空のノズル内に収容しているものと認められる。花弁への芳香剤の付着を防止することは,花弁を含む花全体からの芳香の発散を否定することを意味するのであるから,この点において,花弁を含む花全体から芳香を発散させるソラフラワーを適用することの阻害要因が存在する。本件考案1は,引用考案に基づいてきわめて容易に想到できたものということができない。
66
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-07-25
事件番号:平成23(行ケ)10390
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社アート・ラボ (実用新案権者)
被告:株式会社ノルコーポレーション (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:高部眞規子(裁判長),井上泰人,齋藤巌
発明の名称等:「室内芳香器」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:実3条2項
分野:化学
分類:構造(芳香発散造花)
ポイント:引用考案の「揮散体」を,これと同様の作用・機能を有する周知のソラフラワーに置き換える動機は十分に存在し,それを阻害する要因も存在しないから,相違点1に係る構成は,きわめて容易に想到できるものである。そして,本件考案1が奏する作用効果,すなわち,ソラの木の皮で作製されたものを用いることにより,造花に吸収された液体芳香剤をゆっくり揮散させることができ,芳香の揮散を長時間安定的に持続できるという作用効果も,引用考案等から予測できる範囲内のものにすぎず,格別のものとは認められない。よって,本件考案1は,引用考案及び周知例に基づき,きわめて容易に想到し得るものである。
67
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-08-09
事件番号:平成23(ネ)10057<原審;東京地裁平成20(ワ)16895>
事件種別:特許権侵害差止請求控訴
原告:テバ ジョジセルジャール ザートケルエン ムケド レースベニュタール シャシャーグ (特許権者) <一審原告>
被告:株式会社東理 <一審被告>
判決:控訴棄却<権利行使不能>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「プラバスタチンラクトン及びエピプラバスタチンを実質的に含まないプラバスタチンナトリウム,並びにそれを含む組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項,104条の3
分野:医薬
分類:用途(高脂血症)
ポイント:本件発明は,クレームに特定される工程a)~工程e)によって高純度のプラバスタチンナトリウムを得る発明であるが,乙13発明も,本件発明で特定される工程a)~工程e)を備える発明であるから,乙13公報に記載された精製方法により,本件明細書の実施例と同程度の純度のプラバスタチンナトリウム塩を得るものと理解できる。さらに,不純物がより少ない方がよいことは技術常識であるから,この高度に精製されたプラバスタチンナトリウム塩について,低減すべき不純物の含有量の上限値を特定することも,当業者の容易になし得ることである。したがって,本件発明は,乙13発明並びに乙1資料及び技術常識によって,当業者が容易に想到し得た発明であると認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-08-28
事件番号:平成23(行ケ)10352
事件種別:審決取消請求
原告:ファイザー・プロダクツ・インク
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasmahyopneumoniae)を用いた単回ワクチン接種」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:用途(ブタ免疫ワクチン)
ポイント:甲3ないし甲5は,原告主張の技術常識を裏付けるとはいえない。むしろ,生後間もないブタは,発達途上のため成体ブタには多少劣るとしても,免疫系が機能することを示すものと認められる。甲3ないし甲5によっても,3~10日齢の動物に単回投与するという本願補正発明の構成を選択することを阻害するとまでは認められない。本願の優先日当時において,生後間もない動物において,母親由来の抗体によりワクチンの働きが阻害されることが一般論としてあるとしても,他方で,母親由来抗体の影響を予測することが困難であるとの技術常識もあったということができる。したがって,原告主張の技術常識が,3~10日齢の動物に単回投与するという本願補正発明の構成を選択することを阻害するとまではいえない。
69
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-10
事件番号:平成23(行ケ)10315
事件種別:審決取消請求
原告:日立化成工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「回路接続材料,及びこれを用いた回路部材の接続構造」
争点:審決の手続違背(違法性あり)
参照条文:159条2項,50条
分野:化学
分類:構造(回路接続材料)
ポイント:審決は,新たな公知文献として甲13を引用し,これに基づき仮定による計算を行って,相違点3の容易想到性を判断したものと評価すべきである。甲10を主引用発明とし,相違点3について甲13を副引用発明としたものであって,審決がしたような方法で粒子の突起部間の距離を算出して容易想到とする内容の拒絶理由は,拒絶査定の理由とは異なる拒絶の理由であるから,審判段階で新たにその旨の拒絶理由を通知すべきであった。本件拒絶理由通知には,かかる拒絶理由は示されていない。そうすると,審決には特許法159条2項,50条に定める手続違背の違法があり,この違法は,審決の結論に影響がある。
70
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-10
事件番号:平成23(行ケ)10356
事件種別:審決取消請求
原告:中川特殊鋼株式会社 X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「鉄粉混合物,鉄粉混合物の使用方法,鉄粉混合物の製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(鉄粉)
ポイント:刊行1発明において,それと同一の技術分野に属し,機能が共通する刊行2発明を組み合わせて併用し,「粉状鉄」(すなわち,鉄粉)及び「粉状炭」(すなわち,炭素)をさらに含有する4成分からなる「鉄粉」混合物とすることは,当業者が容易に想到できることというべきである。また,「粉状鉄」(鉄粉)として,通常の鉄粉と認められる「鉄,及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉」を用いることは,当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。上記混合物における各成分の含有量は,当業者が,各成分の機能が必要十分に発揮され,かつ阻害されることがないように,目的に応じて適宜決定しうる事項であり,各成分の含有量を,「前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計を100重量%とした場合,前記鉄粉の含有量が25重量%以上95重量%以下であり,前記炭素の含有量が10重量%以上80重量%以下であり,前記有機酸の含有量が7.7重量%以上55重量%以下」と限定することは,そこに臨界的意義があることにつき原告から特段の主張立証がない以上,当業者が適宜なし得ることというべきである。
71
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-12
事件番号:平成23(行ケ)10439
事件種別:審決取消請求
原告:エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「抗菌又は除菌用シート材料及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(マスクに用いるナノファイバー不織布)
ポイント:引用発明におけるナノファイバー不織布の捕集・除去性に着目して,当該ナノファイバー不織布を,汚染源を拭き取るための捕集・除去性が必要とされる清拭シートとして用いることに格別の技術的困難性はなく,単なる転用にすぎないというべきである。したがって,引用発明に上記周知技術を適用することにより相違点に係る構成を採用することは当業者が容易になし得る事項であるとした審決の判断に誤りはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-13
事件番号:平成23(行ケ)10253
事件種別:審決取消請求
原告:ザ・トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「有機発光ダイオード類に基づく青色リン光用の材料および素子」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(有機EL素子)
ポイント:引用発明は,三重項励起子エネルギーを希土類金属イオンに移行させて発光するという機構に基づく発光素子であるのに対して,本願発明は,当該技術分野で通常用いる意味での「リン光発光材料」の発光分子上で励起子を直接捕捉するものであるから,両者の発光機構は異なる。また,引用発明の構成が,導電性有機材料及び希土類金属の有機金属錯体が使用された発光素子において,発光効率が高くかつ有効寿命の長い有機エレクトロルミネッセント素子を提供することを目的として採用されたものであり,当該素子に特有の構成であるから,引用例1において,その発光材料を,別の発光機構のものに変更する動機付けはないというべきである。「周知のリン光発光材料を引用発明のリン光発光材料に適用し,上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を得ることも,当業者が適宜なし得たことである。」との審決の判断は誤りである。
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-09-13
事件番号:平成21(ワ)45432
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:メリアル エス アー エス (特許権者)
被告:フジタ製薬株式会社 共立製薬株式会社
判決:請求棄却<均等論侵害不成立>
裁判部:民事第47部
裁判官:高野輝久(裁判長),志賀勝,小川卓逸
発明の名称等:「ペット寄生虫の治療・予防用組成物」
争点:均等論侵害(不成立)
参照条文:68条,70条
分野:医薬
分類:用途(動物用寄生虫治療薬)
ポイント:本件発明1と各被告製品とは,構成要件1Bにおいて,本件発明1が「(b) ポリビニルピロリドン,酢酸ビニル/ ビニルピロリドン共重合体,ポリオキシエチレン化されたソルビタンエステルおよびこれらの混合物の中から選択される結晶化阻害剤」から成るのに対し,各被告製品ではクロタミトンという結晶化阻害剤から成る点で異なる。 補正により,本件各発明において使用可能な結晶化阻害剤としての化合物を構成要件1Bの構成における3種類の化合物とその組合せに限定した。原告の側においてクロタミトンを結晶化阻害剤として用いる各被告製品が本件発明1の技術的範囲に属しないことを外形的に承認したように解されるような行動をとった。したがって,各被告製品が本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がある。特許権者の側において,特許発明の技術的範囲に属しないことをおよそ外形的に承認したように解されるような行動をとったものである以上,特許権者が後にこれと反する主張をすることは,禁反言の法理に照らして許されない。 各被告製品は,本件発明1の構成と均等なものとはいえず,本件発明1の技術的範囲に属するものと解することはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-13
事件番号:平成23(ネ)10074(原審;東京地裁平成20年(ワ)32331)
事件種別:特許侵害不当利得返還請求控訴
原告:エルンスト・ミュールバウエル・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー (特許権者) <控訴人>
被告:株式会社ジーシー <被控訴人>
判決:控訴棄却<侵害不成立判決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「重合可能なセメント混合物」
争点:技術的範囲の属否(否→否)
参照条文:68条,70条
分野:化学
分類:材料(セメント混合物)
ポイント:被告両製品と本件発明は,歯科用アイオノマー系樹脂液体成分へのアプローチとしては別のタイプに分類される技術に基づいており,被告両製品は,エステル化反応を必要とせずに硬化するものであり,その液体成分中で経時的にエステル化が生じることがあるとしても,それは本来意図された反応ではなく,二重結合を有するポリカルボン酸は偶発的に生じた不純物にすぎないものといえる。そうすると,被告両製品は,偶発的にエステル化し,二重結合を有するポリカルボン酸が生ずる可能性があるとしても,その不飽和部分が互いに重合可能であるとともに,その酸基又は酸誘導基が成分(b)とセメント反応をなすように選択された成分(a)を含むものとはいえず,本件発明の構成要件Eを充足しない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-09-14
事件番号:平成22(ワ)411
事件種別:実績補償金請求
原告:A B
被告:住友金属鉱山株式会社 日本ケッチェン株式会社
判決:請求棄却<職務発明対価支払い不要>
裁判部:民事第46部
裁判官:大鷹一郎(裁判長),上田真史,石神有吾
発明の名称等:「炭化水素油の水素化処理触媒とその製造方法」
争点:雇用関係の有無(なし)
参照条文:35条1項
分野:化学
分類:材料(触媒)
ポイント:従業者等が特許法旧35条3項に基づく相当対価請求権を取得するには,従業者等がした職務発明について特許を受ける権利を「契約,勤務規則その他の定」により使用者等に承継させたことが要件となる。原告らと被告日本ケッチェンとの間には,本件発明に係る特許を受ける権利を被告日本ケッチェンに承継させることについての「契約,勤務規則その他の定」が存在することを認めるに足りる証拠はなく,また,原告らが被告日本ケッチェンに対し本件発明に係る特許を受ける権利を承継させた事実を認めるに足りる証拠もない。そうすると,原告らと被告日本ケッチェンとの関係においては,本件発明に係る特許を受ける権利について上記要件を充足するものと認められない。また,原告らと被告日本ケッチェンとの間には,雇用契約が存在しないのみならず,原告らが,本件発明を完成させるに至るまでの研究過程において,被告日本ケッチェンから指揮監督を受けたことも,直接金銭の支払を受けたこともなかった。これらの事実に照らすならば,仮に原告らが自ら本件発明について特許権を取得した場合に,被告日本ケッチェンに無償の通常実施権(特許法35条1項)を帰属させるべき合理的な理由があるものとはいえないから,原告らと被告日本ケッチェンとの間には,特許法35条1項の「従業者等」と「使用者等」との関係にあったものと認めることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-19
事件番号:平成23(行ケ)10423
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社大長企画
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:高部眞規子(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「動物用薬剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:用途(動物用食欲増進)
ポイント:当業者は,引用例1及び2の記載並びに本件出願当時の技術常識に基づき,引用発明に対してクルクミンを添加することで,本願発明の相違点2に係る構成を容易に想到することが可能であり,かつ,クルクミンを添加された引用発明を投与された動物について,クルクミンの有する抗酸化作用に基づく健胃作用及び発ガン抑制作用の発現を期待することができるというべきである。当業者は,引用発明に引用例2に記載の発明を組み合わせることで,本願発明の相違点2に係る構成を採用することを容易に想到できたというべきである。
77
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-24
事件番号:平成24(行ケ)10005
事件種別:審決取消請求
原告:帝國製薬株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「グルコサミン含有パップ剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:用途(グルコサミン含有ハップ剤)
ポイント:引用例Aに記載された発明は,従来技術では,ビタミンC又はその誘導体を,美白作用効果を得るための有効成分として化粧用パック等のパップ剤に配合しようとすると,ビタミンC又はその誘導体と金属架橋剤との相互作用により水溶性高分子間に架橋が形成されないため,安定したゲルを形成することができず,パップ剤としての成形が不可能であるという問題点があったことから,架橋剤としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウム,乾燥水酸化アルミニウムゲル,塩化アルミニウムのうち2種を,水溶性高分子等の練合物に配合することにより保形性の良いゲル状のパップ剤を得るようにしたものである。引用発明Aは,有効成分としてビタミンC又はその誘導体を用いる場合に特有の問題点を解決するために,そのような目的に適する架橋剤を限定したものであって,特定の有効成分と架橋剤の組み合わせに特徴があるパップ剤である。そして,引用例Bに,グルコサミンとビタミンC(L-アスコルビン酸)はともに代表的な美白剤として従来から知られていることが開示されているとしても,グルコサミンは,ビタミンCと化学構造等の理化学的性質が類似するわけではないから,パップ剤中での金属架橋剤との相互作用が同様であるとは考えられない。したがって,ともに美白剤として知られているというだけで,当業者にとって,引用発明Aの有効成分であるビタミンC又は誘導体をグルコサミンに変更することが容易に想到し得るとはいえない。
78
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-25
事件番号:平成24(行ケ)10025
事件種別:審決取消請求
原告:日清オイリオグループ株式会社 (特許権者)
被告:かどや製油株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「焙煎ごま油配合油脂組成物及びこれを用いた食品」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:ごま油
ポイント:ごま油と菜種油をブレンドするに当たって,引用発明の「食用ごま油」に代えて,香りのよいごま油として周知で市販されている「焙煎ごま油」を採用し,「食用なたね油」に代えて,周囲で市販されている「精製された菜種油」を採用することは,当業者が適宜なし得ることである。
79
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-26
事件番号:平成23(行ケ)10301
事件種別:審決取消請求
原告:ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「創傷部治療装置」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(創傷治療)
ポイント:引用発明2は,体内の創傷治癒因子あるいは創傷接触層に含まれる高分子成分の通過を防止しながら,創傷からの液体滲出物を中間吸収層に迅速に除去し,また,組織細胞が中に入り込むのを防止するために,孔径の大きさを設定したものであって,本件補正発明や引用発明1のように,創傷部から体液を積極的に真空吸引して真空キャニスターに収集するとともに,創傷部に負圧による修復作用をもたらすため,創傷部に連続的な負圧を加えることを前提として孔径の大きさを設定したものではない。そうすると,引用発明1には,多孔性パッドの外側表面部の孔群について,同発明とは目的及び機序が異なる引用発明2の孔径を適用することに関し,そもそも動機付けが存在しないものというほかない。
80
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-26
事件番号:平成24(行ケ)10003
事件種別:審決取消請求
原告:ジンテーズ ゲゼルシャフト ミトベシュレンクテル ハフツング
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「外科用インプラント」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(外科用インプラント)
ポイント:本件優先権主張日当時に公刊されていた複数の文献には,外科用インプラントのうち,椎間インプラントをPEEKなどのX線透過性のポリマー素材から作ることが記載されており,かつ,それらのうちには,そのような素材を利用する理由について,手術後の骨の融合を観察することを挙げているものがやはり複数存在している。したがって,上記当時,上記技術分野においては,手術後の骨の融合を観察できるようにするために椎間インプラントをPEEKなどのX線透過性のポリマー素材から作ることは,当業者間の周知技術であったものと認められる。本件優先権主張日当時に公刊されていた複数の文献には,骨のインプラントや人工関節について,相補的なテーパ,コーン又は円錐体等の形状により部材同士をプレス嵌めによって固定することが記載されている。したがって,上記当時,上記技術分野においては,このような結合技術が当業者の周知技術であったものと認められる。 そして,引用発明は,椎間インプラントに関するものであるから,当業者は,引用発明に同じ技術分野における上記周知技術を適用することを容易に想到することができたものというべきである。
81
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-26
事件番号:平成24(行ケ)10044
事件種別:審決取消請求
原告:メディヴァンス インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「改良型冷却/加温パッドおよびシステム」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(患者冷却パッド)
ポイント:引用発明から,パッドと患部とを接触状態を向上させるという課題を容易に理解し得る当業者が,同一の技術分野に属し,同様の課題に関する引用例2に開示された技術的事項を引用発明に適用し,パッドの皮膚と接触する面に貼着層を設けることは容易想到である。
82
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-27
事件番号:平成23(行ケ)10258
事件種別:審決取消請求
原告:カースル株式会社 (特許権者)
被告:東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (無効審判請求人)
判決:一部認容<請求項1の無効審決取消>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「通気口用フィルター部材」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(フィルター)
ポイント:甲4及び甲5には,「伸ばすことによる縮みができる限り抑制されたものを」使用することが記載又は示唆されておらず,したがって,甲1発明に甲4及び甲5に記載の技術を適用しても,本件訂正発明の相違点に係る構成に到達することはない。
83
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-27
事件番号:平成23(行ケ)10263
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社三和研究所 森村商事株式会社 (無効審判請求人)
被告:四国化成工業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「銅及び銅合金の表面処理剤」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(プリント配線板の表面処理)
ポイント:甲5発明と甲4発明は,プリント配線板の表面処理剤に関する発明であり,被膜の耐熱性を向上させるという点では,解決課題において共通する。しかし,キレート剤は銅イオンのみならず,鉄等の他の金属のイオンとも反応して錯化合物となり,その結果,当該金属イオンは表面処理剤から除去されることからすると,甲5発明において,表面処理剤にキレート剤を使用しながら,塩化鉄や酸化鉄を表面処理剤に添加するとの技術を組み合わせることは,想定できない。甲5発明に接した当業者が,これに甲4発明を組み合わせて,表面処理剤に塩化鉄や酸化鉄を加えるということを,当業者が容易に想到し得るとは認められない。
84
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-27
事件番号:平成23(行ケ)10391
事件種別:審決取消請求
原告:燦坤日本電器株式会社 (無効審判請求人)
被告:日亜化学工業株式会社 (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:分割要件(不備)
参照条文:44条
分野:化学
分類:材料(発光ダイオード)
ポイント:原出願の明細書で実施形態又は実施例として挙げられている蛍光体は,いずれも本件組成に属する蛍光体のみであること,及び,【0047】の冒頭には,「このフォトルミネセンス蛍光体」と,「この」との指示語が用いられているが,同指示語は,前後の文脈から,【0045】等に記載されている本件組成に属する蛍光体を指しているのは明白であること,【0047】には,「このような,フォトルミネセンス蛍光体の分布は,フォトルミネセンス蛍光体を含有する部材,形成温度,粘度やフォトルミネセンス蛍光体の形状,粒度分布などを調整することによって種々の分布を実現することができ,発光ダイオードの使用条件などを考慮して分布状態が設定される。」と記載され,同記載部分に接した当業者は,表面構成と下部構成は,使用条件により,適宜選択可能な設計的な事項であり,本件組成に属しない蛍光体についての何らかの発明を開示していると認識,理解することはできないこと等を総合するならば,【0047】の記載に接した当業者は,【0047】の「フォトルミネセンス蛍光体」について,本件組成に属する蛍光体に限定されないと理解するとまでは容易に認め難い。当業者が,原出願の明細書中に本件発明が記載されていると合理的に理解できるとまでは認められない。
85
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-09-27
事件番号:平成24(行ケ)10128
事件種別:審決取消請求
原告:カースル株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容<訂正棄却審決取消>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「通気口用フィルター部材」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(フィルター)
ポイント:甲4及び甲5には,「伸ばすことによる縮みができる限り抑制されたものを」使用することは,記載又は示唆されているものではないから,甲1に甲4及び甲5を適用しても,本件訂正発明の相違点に係る構成に到達することはない。被告は,その他縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。本件訂正発明における甲1発明との相違点に係る構成は,甲1発明に,甲4,甲5及び甲18等に記載の発明を組み合わせることにより容易に想到することはできない。
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裁判所:大阪地裁
判決日:2012-09-27
事件番号:平成23(ワ)7576<第1事件> 平成23(ワ)7578<第2事件>
事件種別:各特許権侵害差止等請求
原告:武田薬品工業株式会社 (特許権者) <第1事件及び第2事件原告>
被告:沢井製薬株式会社 東和薬品株式会社 全星薬品工業株式会社 ニプロファーマ株式会社 大原薬品工業株式会社 共和薬品工業株式会社 <第1事件被告> 田辺三菱製薬株式会社 大正薬品工業株式会社 <第2事件被告>
判決:請求棄却<非侵害,特許無効>
裁判部:第26民事部
裁判官:山田陽三(裁判長),西田昌吾,松川充康
発明の名称等:「ピオグリタゾン組合せ剤」
争点:間接侵害(不成立),特許無効(新規性(なし)・進歩性(なし))
参照条文:101条,29条1項3号,29条2項,104条の3
分野:医薬
分類:用途(組合せ剤)
ポイント:本件各特許発明における「物の生産に用いる物」には当たらないから,被告らの行為について本件各特許権に対する法101条2号の間接侵害が成立することはない。同様の理由により,被告らの行為について本件各特許権に対する直接侵害が成立することもない。引用例3の図3には,本件特許発明Aが記載されており,法29条1項3号に該当する。本件特許発明B-7は,構成要件Hに「0.05~5mg/kg 体重の用量」という限定があるという点において,引用発明3-B-7と相違する。そこで,上記相違点にかかる容易想到性についてみると,ピオグリタゾンの作用機序は,本件優先日B当時の技術常識であったことに加えて,引用例3には,ピオグリタゾンが30mg/日で十分な血糖降下作用を発揮するものと思われる旨の記載がある。糖尿病患者の体重を50ないし100kg と仮定すると,ピオグリタゾンの当該用量は,0.3ないし0.6mg/kg になり,本件特許発明B-7で特定されている用量(0.05~5mg/kg)と重複する。引用例3に接した当業者は,本件特許発明B-7の相違点に係る上記構成を容易に想到することができたものといえる。そうすると,本件特許発明B-1ないしB-3は,引用発明2及び4と同一のものであるか又は少なくともこれらの発明に基づき,当業者が容易に発明することができたものであり,本件特許発明B-1ないしB-3は,いずれも法29条1項3号又は2項に該当し,同発明にかかる特許は,法123条1項2号により特許無効審判により無効にされるべきである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-11
事件番号:平成24(行ケ)10016
事件種別:審決取消請求
原告:ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「ポリウレタンフォームおよび発泡された熱可塑性プラスチックの製造」
争点:サポート要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(硬質発泡ポリウレタン)
ポイント:本願明細書には,本願発明の課題は,選ばれた新規種類の好ましい発泡剤を用いてポリウレタン硬質発泡材料を製造するための方法を記載すること等であり,特定の発泡剤,すなわち,HFC-365mfcと一定の他の発泡剤との混合物を用いてポリウレタン硬質フォームを製造するための方法により製造されたポリウレタン硬質フォームは,約15度を下回る温度において,熱伝導率が低く,熱遮断能を有するという効果を有することが判明したこと,この方法で用いる発泡剤組成物は,成分a)HFC-365mfcと成分b)低沸点の脂肪族炭化水素等とを含むものであるが,有利な組合せの一つとして,本願発明で用いる発泡剤組成物である,成分a)HFC-365mfc及び成分b)HFC-245faの組合せがあることが記載されている。また,本願明細書には,本願発明で用いる発泡剤組成物を用いてポリウレタン硬質フォームを製造したことを示す実施例は記載されていないものの,成分a)HFC-365mfcと組み合わせる成分b)として,HFC-152a(例1a),HFC-32(例1b),及びHFC-152aとCO2(例1c)を用いてポリウレタン硬質フォームを製造したことが,具体的に開示されている。そうすると,本願発明で用いる発泡剤の成分b)であるHFC-245faは,上記のとおり,ひとまとまりの一定の発泡剤のひとつとして記載されている上,本願明細書の実施例で使用された成分b)であるHFC-152aやHFC-32と同様に低沸点であり,技術的観点からすると化学構造及び理化学的性質が類似するといえることも併せ考慮すると,実施例1a)~c)と同様にHFC-245faを使用することによりポリウレタン硬質フォームを製造する方法が開示されている。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-15
事件番号:平成24(行ケ)10040
事件種別:審決取消請求
原告:エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「フィルムインサート成形方法において取り扱い可能な,両面高光沢の,ゲル体不含の,表面硬化したPMMAフィルムの製造方法」
争点:明確性要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条6項2号
分野:化学
分類:構造(圧延フィルム製造用ロール)
ポイント:「反らされている」の意味を,上記技術常識のとおり,ロールの縁から中央に向かって放物線状に直径が増加すると解したとすると,ロールが湾曲した状態では,ロールギャップ内の形状は下記の【図2】に示すように線状となり,フィルムの全幅にわたって均一な厚さ分布とすることができ,上記のような矛盾を生じることがない。発明の詳細な説明を理解するに際しては,特定の段落の表現のみにこだわるべきではなく,全体を通読して吟味する必要がある。「反らされている」との請求項の文言において,これが技術的意味においてどのような限定をしているのかを特定するに際しても,同様である。請求項5における「ロール(110)が反らされている」について,特許請求の範囲の記載のみでは,具体的にどのように反らされているのか明らかでないものの,発明の詳細な説明の記載及び技術常識を考慮すれば,その意味は明確である。発明の詳細な説明に記載された「“反り”の定義」が誤りであるとしても,当業者は,上記「“反り”の定義」が誤りであることを理解し,その上で,本願発明5における「ロール(110)が反らされている」の意味を正しく理解すると解することができる。上記「“反り”の定義」が誤りであるからといって,請求項5が明確でないということはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-17
事件番号:平成24(行ケ)10017
事件種別:審決取消請求
原告:三星モバイルディスプレイ株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「有機電界発光表示装置及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(有機発光ダイオード)
ポイント:本件補正発明と引用発明は,本件補正発明では,封止部材がレーザー又は赤外線を吸収する吸収材を含むフリットであって,フリットと接触する表面は無機膜層であるのに対して,引用発明では,封止部材の構成が明らかでなく,同封止部材と接触する表面は絶縁層である点(本件相違点)において,相違するところ,引用例には,保護層は,多様な形態から構成され得るが,無機物又は有機物で形成されることもあることが記載されているように,有機電界発光表示装置の技術分野において,保護層すなわち絶縁層を無機膜で形成することは,慣用手段にすぎない。しかも,引用例には,封止層が無機材料で形成される実施例も記載されている。引用発明において,凹溝部が形成される絶縁層を無機膜で形成するとともに,封止部材として慣用のレーザー又は赤外線を吸収する吸収材を含むフリットを用いることによって,本件相違点に係る本件補正発明の構成とすることは,当業者であれば必要に応じて適宜選択し得るものということができる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-29
事件番号:平成24(行ケ)10076
事件種別:審決取消請求
原告:アルベマール・コーポレーション
被告:特許庁長官
判決:請求認容<拒絶審決取消>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「ヒンダードフェノール性酸化防止剤組成物」
争点:サポート要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:用途(ヒンダードフェノール性酸化防止剤)
ポイント:本願発明の課題は,従来のメチレン架橋化多環ヒンダードフェノール性酸化防止剤組成物よりも,向上した酸化安定性,向上した油溶解性,低い揮発性及び低い生物蓄積性を有するものを得ることと認められる。発明の詳細な説明には,「これらの単環ヒンダードフェノール化合物は水溶性であり,そして多環ヒンダードフェノール性酸化防止剤よりも揮発性である。多環ヒンダードフェノール性酸化防止剤はそのより高い分子量により,水溶性が一層低く,しかも揮発性が低い。」と記載されている,この記載は,単環フェノールがメチレン架橋化多環フェノールよりも,より揮発性であり,より水溶性であり,油溶解性が低いという当業者の技術常識に沿った記載である。また,発明の詳細な説明には,「低揮発性成分は,潤滑剤の使用期間中に蒸発により失われないのでより効果的な酸化防止剤である。それゆえにそれら(判決注:酸化防止剤組成物のこと)は潤滑剤中に留まり,潤滑剤を…酸化の悪影響から保護する。」と記載されているところ,酸化防止作用を示す成分が揮発することにって減少すれば,組成物の酸化防止能も減少するので,組成物中の揮発性の成分の量を減らすことにより組成物の酸化防止能が向上することも,当業者の技術常識に沿った記載である。このように,発明の詳細な説明には,非常に低レベルのOTBP,DTBP及びTTBPの単環ヒンダードフェノール化合物を含有することによって,従来のメチレン架橋化多環ヒンダードフェノール性酸化防止剤組成物よりも向上した油溶解性を有する組成物を得ることができ,また,低い揮発性を有し,その結果,向上した酸化安定性を有する組成物を得ることができる点が記載されているということができるから,発明の詳細な説明の記載から,本願発明の構成を採用することにより本願発明の課題が解決できると当業者は認識することができる。
91
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-30
事件番号:平成23(行ケ)10449
事件種別:審決取消請求
原告:コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「追記形記録用の光データ記憶媒体」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(DVD)
ポイント:本願補正発明において,第一の記録積層体及び第二の記録積層体の実効反射率を12%以上とすることに,課題解決上格別の技術的意義は認められず,これを前提とする「0.45≦TL0≦0.75」,「0.40≦RL1≦0.80」,「kL0<0.3及びkL1<0.3」との構成にも格別の技術的意義は認められない。引用発明において,積層体(2-2)の実効反射率は12%となり,積層体(1)及び積層体(2-2)の実効反射率は12%以上となるから,本願補正発明が奏する効果は,引用発明においても奏するものと認められる。以上のとおり,相違点2に係る本願補正発明の構成,すなわち「0.45≦TL0≦0.75」との構成に格別の技術的意義はなく,本願補正発明と引用発明は,相違点2に係る構成により,作用効果の点で相違が生じるともいえず,本願補正発明は,引用発明に基づいて,容易に発明をすることができたものと認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-31
事件番号:平成23(行ケ)10274
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ダナフォーム (無効審判請求人)
被告:栄研化学株式会社 (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「核酸の合成方法」
争点:発明の同一性(非同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:バイオ
分類:核酸合成
ポイント:本件発明1と先願発明とでは,その目的物及び材料の点で一致している。工程A)は,鋳型を提供する工程であるところ,本件発明1と先願発明とでは,最初の鋳型となる核酸が一致している。工程B)は,工程A)で与えられた鋳型核酸の3′末端からの自己伸長反応であり,この工程は,先願発明の工程2と一致する。工程C)は,鋳型核酸の3′末端側のループにオリゴヌクレオチド(プライマー)がアニールし,その3′末端を合成起点として鎖置換相補鎖合成反応を触媒するポリメラーゼにより相補鎖合成を行うものであり,その際,工程B)で合成された相補鎖を置換しながら相補鎖合成が進行し,その結果,工程B)で合成された相補鎖の3′末端が塩基対結合可能な状態となるという工程であるところ,本件発明1と先願発明とでは,使用するポリメラーゼ及びプライマーが一致するほか,本件発明1の工程C)のうち,プライマーのアニールと鎖置換型の相補鎖合成及び工程B)で合成された相補鎖の3′末端を塩基対結合可能な状態とする点は,いずれも先願発明の工程3と一致する。工程D)は,工程B)で合成された相補鎖を新たな鋳型とすることを規定するものである。他方,先願発明の工程4では,同じく工程2の自己伸長反応により合成された核酸にRCプライマーがアニールし,一連の反応が進行するものであって,当該工程2は,本件発明1の工程B)と一致するから,先願発明においても,工程2の自己伸長反応により合成された核酸を新たな鋳型として一連の反応が進行しているということができる。工程D)は,先願発明の工程4と一致する。本件発明1が特許請求の範囲に特定して記載した各工程は,先願発明における各工程と一致する。したがって,本件発明1は,先願発明と同一の発明であるといえる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-31
事件番号:平成23(行ケ)10275
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ダナフォーム (無効審判請求人)
被告:栄研化学株式会社 (特許権者)
判決:一部認容<請求項1及び2の維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「核酸の合成方法」
争点:発明の同一性(非同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:バイオ
分類:核酸合成
ポイント:工程a)につき,先願発明2の鋳型核酸は,本件発明1の鋳型核酸に包含される。工程b)は,工程a)で与えられた鋳型核酸の3′末端からの自己伸長反応であり,先願発明2の工程2と一致する。工程c)は,鋳型核酸のループにオリゴヌクレオチド(プライマー)がアニールし,その3′末端を合成起点として鎖置換相補鎖合成反応を触媒するポリメラーゼにより相補鎖合成を行うものであり,その際,工程b)で合成された相補鎖を置換しながら相補鎖合成が進行し,その結果,工程b)で合成された相補鎖の3′末端が塩基対結合可能な状態となるという工程であるところ,本件発明1と先願発明2とでは,使用するポリメラーゼ及びプライマーが一致するほか,本件発明1の工程c)のうち,プライマーのアニールと鎖置換型の相補鎖合成及び工程b)で合成された相補鎖の3′末端を塩基対結合可能な状態とする点は,いずれも先願発明2の工程3に包含される。工程d)は,工程c)の置換により塩基対結合可能な状態となった鋳型と相補的な1本鎖の任意の領域と相補的な塩基配列を有するポリオヌクレオチドが当該領域にアニールし,そこを合成起点とした相補鎖合成が生じるものであるところ,本件発明1では,鋳型核酸が5′末端側から順に領域R1c-R2-R1を備え,あるいは上記相補的な塩基配列を有するポリオヌクレオチドが自己伸長によって鋳型核酸から合成されることは,いずれも排除されていない。工程d)における上記「任意の領域」を鋳型核酸の領域R1に相補的な領域R1cとするならば,上記ポリオヌクレオチドは,3′末端側に領域R1を備え,これが当該領域R1cとアニールし,そこを合成起点とした相補鎖合成が生じ,その際,工程c)でアニールしたプライマーの伸長反応で合成された相補鎖が置換されるが,この工程は,先願発明2の工程4に包含される。本件発明1が特許請求の範囲に特定して記載した各工程は,先願発明2における各工程と一致する。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-10-31
事件番号:平成23(行ケ)10276
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ダナフォーム (無効審判請求人)
被告:栄研化学株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「核酸の合成方法」
争点:進歩性(あり→あり),実施可能要件・サポート要件(違反なし→違反なし)
参照条文:29条2項,36条4項1号・6項1号
分野:バイオ
分類:核酸合成
ポイント:本件明細書の記載及び本件出願日当時の当業者の技術常識に従えば,反応1ないし8が生じ,その結果,反応5及び7において「1本鎖上に相補的な塩基配列が交互に連結された核酸」が合成されるものと認められる。本件発明1は,いずれも本件明細書及び本件出願日当時の技術常識に照らして当業者が使用可能であると認められる。本件明細書は,本件発明1における核酸の合成反応及び技術的思想に関する詳細な説明を記載しており,本件発明3については,以上に加えて,それぞれその構成及びその技術的意義に関する詳細な説明を記載しており,これらの記載は,いずれも当業者が本件発明の課題を解決できると認識できるものである。 相違点Aについてみると,引用例1に記載の発明におけるヘアピン構造は,T4ホロ酵素のスナップバック機構により生ずるものであって,本件発明のループ形成配列における領域F2cに相当する部分を欠くものであるから,構成として自己完結しているものであって,引用例1には,鋳型となる核酸から新たな核酸を合成するに当たって,本件発明1の相違点Aに係る構成を採用させるに足りる示唆ないし動機付けがない。また,技術分野を同じくする他の文献にも,この点に関する示唆ないし動機付けはない。また,引用例1に記載の発明は,既存の2本鎖DNAに相同な直鎖ssDNAがuvsXリコンビナーゼの組換え反応に依存して侵入するというものであって,相補鎖の置換を開始するための方法としては,本件発明1における塩基対結合の相補性を利用したアニールと全く異なる原理に基づくものであるから,引用例1には,鋳型となる核酸から新たな核酸を合成するに当たって,引用例1に記載の発明の相違点Aに係る構成に代えて,本件発明1の相違点Aに係る構成を採用させるに足りる示唆ないし動機付けがない。また,技術分野を同じくする他の文献にも,この点に関する示唆ないし動機付けはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-07
事件番号:平成23(行ケ)10234
事件種別:審決取消請求
原告:ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (特許権者)
被告:株式会社半導体エネルギー研究所 (無効審判請求人)
判決:請求認容<無効審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「有機LED用燐光性ドーパントとしての式L2MXの錯体」
争点:サポート要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(有機LED用ドーパント)
ポイント:当業者は,以上の本件明細書の発明の詳細な説明の記載から,そこに記載の発明が電気エネルギー(電圧)を印加した場合に燐光を発するものであって,アノード,カソード及び発光層を含み,式L2MXで表される有機イリジウム錯体を発光層に含む燐光有機発光デバイス又はこれが組み込まれた表示装置という本件発明が,本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているものと理解することができる。以上に加えて,本件発明の課題は,「有機発光デバイスの発光層に使用した場合に燐光を発する新たな有機金属化合物を得ること」であるところ,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件出願日前に燐光を発することが知られていなかった特定の有機イリジウム錯体が,その製造方法及び本件発明の他の構成とともに具体的に記載されているばかりか,当該有機イリジウム錯体を有機発光デバイスの発光層に使用した場合に燐光を発することが,その作用機序とともに具体的に記載されているといえる。したがって,本件発明として特許請求の範囲に記載された発明は,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるというべきである。
96
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-07
事件番号:平成23(行ケ)10235
事件種別:審決取消請求
原告:ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (特許権者)
被告:株式会社半導体エネルギー研究所 (無効審判請求人)
判決:請求認容<無効審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「有機LED用燐光性ドーパントとしての式L2MXの錯体」
争点:サポート要件(違反あり→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(有機LED用ドーパント)
ポイント:本件明細書には,L配位子の具体例が10個以上,X配位子の具体例が4個以上も記載され,L2MX錯体の16個の具体例について,それぞれ分子構造,製造方法,発光スペクトル,発光寿命等が記載されている。ここで,発光寿命は1ないし4.7μsとされているから,当業者は,実用可能な有機発光デバイスの発光層に用いるのに十分な短さであることを理解できる。また,本件明細書には,効果的室温燐光発光のメカニズムについて,重原子に由来するスピン軌道カップリングが記載されているとともに,研究された広範なイリジウム錯体が強い燐光発光を示したこと,また,これらのイリジウム錯体の発光がMLCT又はMLCTとの配位子間遷移の混合という共通のメカニズムによるものであることが記載されている。そして,本件明細書には,L2MX錯体を発光層として用いた有機発光デバイスの構造が記載され,L2MX錯体の1つであるBTIrを発光層に含む有機発光デバイスにおいて,12%の量子効率が得られたことも記載されている。そうすると,これらの記載に接した当業者は,重原子であるイリジウム原子を中心金属に持つL2MX錯体が燐光発光を示すことを認識することができ,BTIrを発光層に含む有機発光デバイスにおいて12%もの量子効率が得られたことからみて,イリジウム原子に配位する配位子の構造がBTIrと共通である他のL2MX錯体についても,これを発光層に含めることにより,実用的な有機発光デバイスを提供することができると認識することができる。本件明細書の発明な詳細な説明には,L2MX錯体を発光層に含む,有機発光デバイスの発光層として用いるための組成物についての技術的事項が開示されているといえるから,サポート要件に適合する。
97
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-13
事件番号:平成24(行ケ)10004
事件種別:審決取消請求
原告:ヤマウチ株式会社(特許権者)
被告:イチカワ株式会社(無効審判請求人)
判決:請求認容<無効審決取消>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「シュープレス用ベルト」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(硬化剤)
ポイント:硬化剤として,ジメチルチオトルエンジアミンを含有する硬化剤を用いることにより,クラックの発生が顕著に抑制されることが認められる。このような効果について,甲第1号証及び同第2号証には何らの記載も示唆もなく,ほかに,このような効果について,本件特許出願当時の当業者が予測し得たものであることをうかがわせる証拠はない。そうすると,硬化剤として,ジメチルチオトルエンジアミンを含有する硬化剤を用いることにより,クラックの発生が顕著に抑制されるという効果は,甲第1号証及び同第2号証からも,また,本件特許出願時の技術水準からも,当業者といえども予測することができない顕著なものというべきである。
98
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-13
事件番号:平成24(行ケ)10051
事件種別:審決取消請求
原告:DOWAホールディングス株式会社 (特許権者)
被告:Y (無効審判請求人)
判決:請求棄却<一部無効審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「光学的フィルター」
争点:発明の同一性(同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:化学
分類:構造(光学フィルター)
ポイント:本件特許発明1と先願発明との相違点である「本件特許発明1においては,光学的フィルターが,液晶表示装置と第1の位相差板との間に第1の直線偏光板を有しているのに対し,先願発明においては,液晶ディスプレイの表面が『吸収軸が右上がり45°方向の偏光板』からなり,この偏光板は,光学的フィルターの第1の位相差板の下に配置されているものの,光学的フィルターの構成要素とはされていない点。」について,技術的な観点から差異の有無を検討すると,次のことがいえる。光線の通過順序において,本件特許発明1と先願発明との間に差異はない。本件特許発明1の「第1の直線偏光板」と「第1の位相差板」の間に光の特性を変えるような要素はない。 「直線偏光板」や「吸収軸が右上がり45°方向の偏光板」が液晶表示装置側に設けられるか,光学的フィルター側に設けられるかにより,光学的作用に差異が生じることはない。本件特許発明1と先願発明とは,構成要素の表記の仕方が形式的に異なるものの,技術的な観点から見て差異はなく,両発明は同一であると認められる。
99
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-14
事件番号:平成23(行ケ)10431
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社 (無効審判請求人)
被告:ナトコ株式会社 (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「液晶用スペーサーおよび液晶用スペーサーの製造方法」
争点:訂正要件(新規事項追加あり)
参照条文:準126条3項
分野:化学
分類:材料(液晶用スペーサ)
ポイント:本件明細書の全ての記載を総合しても,「前記長鎖アルキル基を有する重合性ビニル単量体の一種または二種以上」としてラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレートが必須であること及び「前記他の重合性ビニル単量体の一種または二種以上」としてメチルメタクリレートが必須であること並びにラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレート,及びメチルメタクリレートと,これらの物質にそのほか任意に重合性ビニル単量体を付加した構成とがいずれも機能上等価であることに関する技術的事項が導き出せない以上,訂正事項1及び2により,多種類の他の化合物と同列に例示されていたにすぎないラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレート,及びメチルメタクリレートを必須のものとして含むように本件発明を訂正することは,本件明細書の実施例10及び11を上位概念化した新規な技術的事項を導入するものというべきであり,許されるものではない。
100
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-14
事件番号:平成23(ネ)10080
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:ナトコ株式会社 (特許権者)<控訴人>
被告:積水化学工業株式会社<被控訴人>
判決:控訴棄却<権利行使不能>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「液晶用スペーサーおよび液晶用スペーサーの製造方法」
争点:訂正要件(新規事項追加あり)
参照条文:準126条3項
分野:化学
分類:材料(液晶用スペーサ)
ポイント:本件明細書の全ての記載を総合しても,「前記長鎖アルキル基を有する重合性ビニル単量体の一種または二種以上」としてラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレートが必須であること及び「前記他の重合性ビニル単量体の一種または二種以上」としてメチルメタクリレートが必須であること並びにラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレート,及びメチルメタクリレートと,これらの物質にそのほか任意に重合性ビニル単量体を付加した構成とがいずれも機能上等価であることに関する技術的事項が導き出せない以上,訂正事項1及び2により,多種類の他の化合物と同列に例示されていたにすぎないラウリルメタクリレート又はステアリルメタクリレート,及びメチルメタクリレートを必須のものとして含むように本件特許発明を訂正することは,本件明細書の実施例10及び11を上位概念化した新規な技術的事項を導入するものというべきであり,許されるものではない。
101
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-27
事件番号:平成24(行ケ)10047
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社CHIRACOL
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「半導体用電解銅メッキ浴及び電解銅メッキ方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(銅メッキ浴組成)
ポイント:引用発明1は,その用途がプリント基板のビア部に用いることに限定されているものではなく,高集積化電子回路の製造におけるダマシン法など,溝や穴に電解銅メッキによって銅を埋め込むためにも用いられるものであることが認められる。ここで,高集積化電子回路における溝や穴に銅を埋め込む処理を必要とする用途としてシリコン貫通電極ビアは周知である。本願明細書には,TSV法は,Cuダマシン法と並列的に記載されている一方,本願明細書には,本願補正発明の用途を半導体のシリコン貫通電極用であるとすることによる特有の作用効果については何ら記載されていない。また,本願明細書には,一般式(2)におけるR1,R2をメチル基,Mをカリウムにしたことによる顕著な効果についても何ら記載されていない。そうすると,引用発明1の電解銅メッキ浴を,引用例3に示された半導体のシリコン貫通電極用のメッキ浴として使用することは,当業者が容易に想到し得るものであるといえる。
102
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-11-29
事件番号:平成23(行ケ)10415
事件種別:審決取消請求
原告:X (無効審判請求人)
被告:新日鉄マテリアルズ株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「ハンダ合金,ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材」
争点:補正要件(違反なし→違反なし),実施可能要件(違反なし→違反なし),明確性要件(違反なし→違反なし),新規性(あり→あり),進歩性(あり→あり)
参照条文:17条の2第3項,36条4項1号・6項2号,29条1項3号・2項
分野:化学
分類:材料(ハンダバンプ)
ポイント:このような当初明細書の【0017】の記載及び技術常識によれば,当初明細書の請求項1に係る合金が「Ag3Sn金属間化合物を有する無鉛ハンダ合金であ(る)」こと,「前記Ag3Sn金属間化合物がネットワークを形成して相互に連結されている」ことは,いずれも自明な事項として把握できる。 「Ag3Sn金属間化合物を有する無鉛ハンダ合金であ(る)」ことや,「前記Ag3Sn金属間化合物がネットワークを形成して相互に連結されている」ことについても,技術常識を前提とすれば,その意味を十分に理解できる。本件明細書の【0025】にも示されているとおり,はんだ合金である以上,溶解混練により製造されるのが当業者の常識である。そして,甲4,10,11によれば本件発明1の成分組成を有するハンダ合金が,「Ag3Sn金属間化合物を有する無鉛ハンダ合金であって」,「Ag3Sn金属間化合物がネットワークを形成して相互に連結されている」ことは当業者にとって明らかというべきである。 甲1には,Agをさほど使用しない2質量%以下の範囲のうち,Ag含有量1.5質量%付近において伸び(延性)が著しく向上するAg成分範囲が存在することについては,何ら記載されておらず,また,それを示唆する記載も見あたらない。Agの含有量を1.5質量%付近の「1.2~1.7質量%」に限定することによって,安価に無鉛ハンダ合金を提供することが可能となり,延性を顕著に増大して耐熱疲労特性及び耐衝撃性を著しく向上できるという効果を奏することは,当業者において予想することは困難であるといえる。したがって,甲1には,相違点1に係る事項が記載されているとはいえず,相違点1は実質的な相違点である。また,甲1発明において,Agの含有量を1.5質量%付近の「1.2~1.7質量%」に限定する動機付けがあるとはいえないから,相違点1が,当業者が容易に想到することということもできない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-11-30
事件番号:平成22(ワ)12777
事件種別:損害賠償請求
原告:大王製紙株式会社 ダイオーペーパーコンバーティング株式会社 (特許権者)
被告:ユニ・チャーム株式会社
判決:請求棄却<侵害不成立>
裁判部:民事第47部
裁判官:高野輝久(裁判長),志賀勝,小川卓逸
発明の名称等:「使い捨て紙おむつ」「紙おむつ」
争点:技術的範囲の属否(否)
参照条文:68条,70条
分野:化学
分類:構造(使い捨ておむつ)
ポイント:構成要件Dの「サイドフラップ」は,吸収体の裏面側を覆う裏面シートからなり,脚周り部位において,上記裏面シートの長手方向側縁を吸収体の側縁にほぼ一致させることによってなくなるものである。被告製品1の裏面シートの長手方向側縁は,脚周り部位において,吸収体の側縁と一致せず,裏面シートの一部は,吸収体の側縁よりも外方に延在して,「サイドフラップ」を形成している。したがって,被告製品1は,構成要件Dを充足しない。被告製品2の裏面シートの長手方向側縁は,脚周り部位において,吸収体の側縁と一致せず,裏面シートの一部は,吸収体の側縁よりも外方に延在して,「サイドフラップ」を形成している。したがって,被告製品2は,構成要件Dを充足しない。各被告製品は,構成要件Dを充足しないから,本件第1発明1の技術的範囲に属しない。
104
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裁判所:東京地裁
判決日:2012-11-30
事件番号:平成22(ワ)40006
事件種別:損害賠償請求
原告:大王製紙株式会社 ダイオーペーパーコンバーティング株式会社 (特許権者)
被告:ユニ・チャーム株式会社
判決:請求棄却<侵害不成立>
裁判部:民事第47部
裁判官:高野輝久(裁判長),志賀勝,小川卓逸
発明の名称等:「使い捨て紙おむつ」
争点:技術的範囲の属否(否)
参照条文:68条,70条
分野:化学
分類:構造(使い捨ておむつ)
ポイント:本件発明1における「ウエスト部」は,吸収主体10の長手方向端部(透液性トップシート11の端部)付近とウエスト開口縁との間の領域であり,「腰下部」は,吸収主体10の長手方向端部(透液性トップシート11の端部)付近とレッグ開口始端との間の領域であると認められる。各被告製品の吸収主体(210)は,本件発明1の吸収主体10に該当するから,各被告製品は,フィットギャザー(221-1)の一部が腰下部に配置されていることになる。ところが,フィットギャザー(221-1)は,周方向に連続して配置されていて,中央部を除く左右脇部に配置されていないから,各被告製品は,構成要件Cを充足しない。各被告製品は,「前記腰下部に配置された前記伸縮部材」であるフィットギャザー(221-2)の「伸張応力及び断面外径」が「前記ウエスト部に配置された前記伸縮部材」であるフィットギャザー(221-1)の「伸張応力及び断面外径」よりも小さいことにはならないから,各被告製品は,構成要件Dを充足しない。各被告製品は,構成要件Cを充足しないし,仮に構成要件Cを充足するものとしたとしても,構成要件Dを充足しないから,結局,本件発明1の技術的範囲に属しない。
105
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-03
事件番号:平成24(行ケ)10057
事件種別:審決取消請求
原告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (特許権者)
被告:ツルヤ化成工業株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「酸味のマスキング方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:材料(酸味マスキング)
ポイント:各種甘味料の中でも高甘味度甘味料として代表的な物質であったアスパルテーム,ステビア及びサッカリンで,酸味を呈する食品や調味料の酸味をマスキングする例が知られていた。そうすると,当業者が,他の高甘味度甘味料についても酸味マスキング作用の可能性を認識し,高甘味度甘味料として当業者において周知であったスクラロースについても,これを酸味を呈する製品に添加することにより,当該製品の酸味がマスクキングできると考えて,その作用効果を確認しようとすることは容易に想到することができたというべきである。高甘味度甘味料として代表的な物質であったアスパルテーム,ステビア及びサッカリンで,酸味を呈する食品や調味料の酸味をマスキングする例が知られていたことからすれば,①製品本来の味のバランスを保持する,②マスキングされた後の酸味自体の風味を良質なものにする,程度の効果は,これを予測できない顕著な作用効果ということはできない。また,③の長期安定性及び熱安定性という効果は,スクラロース自体の公知の特性であり,この特性は,酸味を有する製品の酸味マスキングにスクラロースを用いた場合にのみ生ずる特有の作用効果ではないことからすれば,この効果を酸味のマスキング方法についての発明における顕著な効果とすることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-05
事件番号:平成24(行ケ)10100
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社フッコー (無効審判請求人)
被告:ヒメノイノベック株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「着色漆喰組成物の着色安定化方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(着色)
ポイント:引用例1には,石灰及び水等に加えて無機の白色顔料及び無機の着色顔料等の全てを組み合わせて添加することについての記載も示唆もないから,引用発明にこれらの各周知技術を適用する動機付けが見当たらないばかりか,上記の各周知技術は,それぞれ,塗料又は漆喰の調色のために無機の白色顔料を配合し又は漆喰に無機の着色顔料を配合するというものであって,このようにして着色された塗料又は漆喰に対して,当該各周知技術を相互に組み合わせることで,更に石灰(漆喰)又は無機の白色顔料を配合し,引用発明と相俟って本件発明1の本件相違点に係る構成とすることについての示唆又は動機付けを有するものではない。 さらに,引用発明は,施工現場で加工することが想定されているものであって,良好な加工性性質及び撥水性性質を備えるという作用効果を有するものであるのに対し,本件発明は,調合及び調色済みの漆喰塗材又は漆喰塗料を提供し,併せて色飛びや色むらを生じない着色漆喰(着色漆喰組成物の着色安定化)を提供するという作用効果を有するものであるから,本件発明の作用効果は,引用発明の作用効果とは異質のものであって,引用発明から当業者が直ちに予測可能なものとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-05
事件番号:平成24(行ケ)10101
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社フッコー (無効審判請求人)
被告:ヒメノイノベック株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(着色)
ポイント:引用例1には,石灰及び水等に加えて白色顔料及び着色顔料等の全てを組み合わせて混合する方法についての記載も示唆もないから,引用発明にこれらの各周知技術を適用する動機付けが見当たらないばかりか,上記の各周知技術は,それぞれ,塗料又は漆喰の調色のために白色顔料を配合し又は漆喰に着色顔料を配合するというものであって,このようにして着色された塗料又は漆喰に対して,当該各周知技術を相互に組み合わせることで,更に石灰(漆喰)又は白色顔料を配合し,引用発明と相俟って本件発明1の本件相違点に係る構成とすることについての示唆又は動機付けを有するものではない。 さらに,引用発明は,施工現場で実施することが想定されているものであって,建築物被覆材料が良好な加工性性質及び撥水性性質を備えるという作用効果を有するものであるのに対し,本件発明は,漆喰組成物を均一かつ安定に着色し,塗膜を形成した際に,色飛び又は色飛びによる白色化や色むらが有意に抑制され(着色漆喰塗膜の色飛び抑制),重ね塗りをした場合にも色差のほとんどない着色漆喰塗膜が形成できるという作用効果を有するものであるから,本件発明の作用効果は,引用発明の作用効果とは異質のものであって,引用発明から当業者が直ちに予測可能なものとはいえない。
108
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-05
事件番号:平成23(行ケ)10445
事件種別:審決取消請求
原告:サンド株式会社 (無効審判請求人)
被告:ワーナーランバートカンパニー リミテッドライアビリティ カンパニー (特許権者)
判決:請求認容<維持審決取消>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「結晶性の〔R-(R*,R*)〕-2-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-〔(フェニルアミノ)カルボニル〕-1H-ピロール-1-ヘプタン酸ヘミカルシウム塩(アトルバスタチン)」
争点:進歩性(あり→なし),実施可能要件(違反なし→違反あり)
参照条文:29条2項,36条4項1号
分野:医薬
分類:多形結晶(アトルバスタチン多形結晶)
ポイント:補助溶剤を含む水中にアトルバスタチンを懸濁するというごく一般的な結晶化方法であるものの,結晶化に対して一般的に影響を及ぼすpH,スラリー濃度,温度,その他の添加物などの諸因子について具体的な特定を欠くものであるから,これらの諸因子の設定状況によっては,本件明細書において概括的に記載されている方法2に含まれる方法であっても,結晶性形態Ⅰが得られない場合がある。結晶化に対して特に強く影響を及ぼすpHやスラリー濃度を含め,温度,その他の添加物などの諸因子が一切特定されていない方法2の記載をもってしては,本件明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識を併せ考慮しても,当業者が過度な負担なしに具体的な条件を決定し,結晶性形態Ⅰを得ることができるものということはできない。 本件優先日前から,医薬化合物の結晶として水和物結晶が望まれており,非結晶の物質について,水を含む系から水和物として結晶させることを試みることは,当業者にとって通常なし得ることであった。引用例に開示されたアトルバスタチンの結晶について,水を含む溶媒を用いた水和物として結晶を得ることを試みることは,当業者がごく普通に行うことである。結晶性形態Iを得るために本件明細書が開示した方法は,水性溶媒中での懸濁物ないし湿潤ケーキを養生するというものであって,当業者が通常採用しないような手法を用いているものではなく,特殊な条件設定が必要であるというものでもないから,本件発明に係る結晶性形態Iは,当業者が通常なし得る範囲の試行錯誤で得られた結果物である水和物結晶にすぎない。必要に応じて結晶の粒度をそろえることは当業者がごく普通に行うことであるし,結晶性形態Ⅰの安定性が,通常の結晶から予測し得る範囲を超える顕著なものであるとまでいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-10
事件番号:平成24(行ケ)10164
事件種別:審決取消請求
原告:エンデバーハウス株式会社 (特許権者)
被告:株式会社コスモプロジェクト (無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),池下朗,古谷健二郎
発明の名称等:「断熱材」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(樹脂成形体)
ポイント:甲1の段落【0014】には,膜状化している部分の共振により,特定の周波数の音を吸音できることが記載されている。しかし,膜状化している部分の共振周波数は,その厚さのみならず,面積,形状,密度,硬度,材質などにより影響を受けることが明らかであるから,上記記載が,膜状化している部分の厚さが吸音の対象となる音の周波数に基づいて決定されることを意味しているとは認められない。また,甲13発明における支持層の厚さは,空隙内包部の厚さや重量のみに依存するのではなく,求められる構造強度や吸音,断熱,衝撃緩和性能の程度に応じて設定されるものである。しかも,自動車などの内装材や建材として用いられる短繊維集合体が,吸音性や断熱性を備えることは,当業者にとって周知であるから,甲1の吸音材が,例えば甲13発明のように断熱性をも兼ね備えていることは,自明であり,断熱性の向上の観点や,生産コストの低下という普遍的な観点から膜状層の厚さを検討することには動機付けがある。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-11
事件番号:平成24(行ケ)10015
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社クラレ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「ポリアミド組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(LEDリフレクタ成形)
ポイント:刊行物3~5は,いずれも本願発明1のLEDリフレクタ成形用樹脂組成物と重複するか,極めて近い技術分野に属するものであって,酸化チタンの配合量が少なすぎると満足な反射率や変色抑制効果といった光学的特性が得られず,多すぎると成形性や強度等の機械的物性が劣るという技術事項を開示しており,当該技術事項が当業者に広く認識されていたものであるといえるから,当業者であれば,引用発明1組成物についても,その技術事項の観点から酸化チタンの配合量の適正範囲を決定することは,容易である。そして,樹脂100重量部に対して15~70重量部という範囲は,刊行物3~5に開示された範囲とほぼ重複するものである。本願発明1組成物は,引用発明1組成物とポリアミドは同一であり,配合する酸化チタンの平均粒径の範囲及び配合量の範囲が,それぞれ引用発明1の範囲内において,より狭く限定されたものであるところ,本願明細書には,本願発明1の平均粒径及び配合量の範囲において,本願発明1の用途であるLEDリフレクタ成形において特有の効果が奏されることが示されているわけでもない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-12
事件番号:平成23(行ケ)10434
事件種別:審決取消請求
原告:ナサコア株式会社 (無効審判請求人)
被告:住友化学株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),高部眞規子,齋藤巌
発明の名称等:「蓄熱材の製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(蓄熱材)
ポイント:本件発明と引用発明とは,いずれも,硫酸ナトリウム10水塩を主材とする蓄熱材(熱エネルギー貯蔵用組成物)において,固液分離を防止するために硫酸カルシウムを用いる点で共通するものの,本件発明では,その硫酸カルシウムとして,硫酸カルシウム2水塩を用いるのに対して,引用発明では,硫酸カルシウム半水和塩及び溶解性硫酸カルシウム無水物からなる群から選択される多孔性固体を用いる点で相違する。この点に関し,引用例2には,チォ硫酸ナトリウム5水塩を主成分とする蓄熱材において,過冷却を防止するために硫酸カルシウムを用いること,引用例3には,塩化カルシウム6水塩を主成分とする蓄熱材において,過冷却を防止するために硫酸カルシウムを用いること,引用例4には,酢酸ナトリウム3水塩を主成分とする蓄熱材において,過冷却を防止するために硫酸カルシウム2水塩を用いることが記載されている。しかしながら,引用発明において,硫酸カルシウム半水和塩及び溶解性硫酸カルシウム無水物からなる群から選択される多孔性固体は,固液分離を防止するために用いられるものである。したがって,引用例2ないし4に記載されているように,硫酸カルシウム2水塩が,硫酸カルシウム半水和塩や硫酸カルシウム無水物と並んで,各種蓄熱材において過冷却を防止するために用いられることが公知であったとしても,引用発明において固液分離を防止するために用いられる硫酸カルシウム半水和塩及び溶解性硫酸カルシウム無水物からなる群から選択される多孔性固体に代えて,硫酸カルシウム2水塩を用いる動機付けはないというべきである。
112
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-13
事件番号:平成23(行ケ)10339
事件種別:審決取消請求
原告:X (無効審判請求人)
被告:花王株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),岡本岳,武宮英子
発明の名称等:「液体調味料」
争点:サポート要件(違反なし→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:食品
分類:減塩醤油
ポイント:本件特許発明1は,食塩含有量が低いにもかかわらず塩味のある減塩醤油を提供するという目的で,塩味がより強く感じられ,味の良好な液体調味料が得られるというものであるから,食塩を9質量%以下に低下させた場合であっても,通常の醤油に近い塩味を感じる減塩醤油を提供することが解決しようとする課題の1つとする。食塩の含有量8.11質量%では,カリウムが0.78~3.91質量%と,特許請求の範囲において特定される範囲のほぼ全域で本件発明の課題が解決でき,また,食塩の含有量が特許請求の範囲で特定される範囲の下限付近とした場合にも,乙3に示される試験結果より,コハク酸を配合することによって,本件特許発明1の課題が解決できる。一方,食塩の含有量を8.11質量%よりも増加させた場合には,塩味が増加するので,塩味についての問題が生じるとは考えられず,また,カリウムの含有量は増やさないので,苦味に代表される不快な味についての問題も生じることはない。したがって,本件特許発明1の食塩及びカリウムの含有量の範囲において,その課題が解決できるものと認められる。一方,コハク酸については,前記cで述べたように,コハク酸をコハク酸二ナトリウム0.005~1.30質量%の遊離コハク酸換算量(遊離のコハク酸換算で0.0036~0.93質量%)の場合に,本件特許発明1の課題が解決できる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-13
事件番号:平成24(行ケ)10072
事件種別:審決取消請求
原告:SABICイノベーティブ プラスチックスジャパン合同会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「プラスチック成形品の成形方法及び成型法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(樹脂成形)
ポイント:引用例A発明において,金型のゲートの具体的な構造及び径は特定されていないから,従来から知られているゲートの構造及び径を用いているものであると認められる。そして,ゲートの構造については,引用例A発明は,ウエルドラインやジェッティング等の外観不良,無機フィラー充填材料に起因する外観不良を解消し,また,成形品肉厚が1.5mm以下の薄肉成形に際して溶融樹脂の流動を向上する,高品質外観を有する熱可塑性樹脂の射出成形品を得る方法に関するものであるから,引用例A発明の金型は,ウエルドラインやジェッティング等の外観不良が発生する構造のゲートを用いているものであることは明らかである。そして,ゲートの構造としてピンポイントゲートは従来から知られており,ピンポイントゲートを有する金型で成形した成形品において,ウエルドライン,フローマーク,ジェッティングなどの外観不良が生じることは周知であるから,ウエルドラインやジェッティング等の外観不良が発生する引用例A発明の金型におけるゲートの構造は,ピンポイントゲートを含むものといえる。また,ゲートの径については,ピンポイントゲートの径として「0.5~1mm程度」,「0.8mm」,「1.2mm」は,通常の実施範囲のものである。そうすると,引用例A発明におけるゲートの構造を,従来から知られているピンポイントゲートとし,その径を最大径0.1mm~3mmとすることは,当業者にとって格別困難なこととはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-19
事件番号:平成23(行ケ)10448
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長),真辺朋子,田邉実
発明の名称等:「血管新生抑制剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:用途(血管新生抑制剤)
ポイント:引用例1には,非選択的(非特異的)カリウムイオンチャネル阻害剤であるテトラペンチルアンモニウムやテトラエチルアンモニウムが結腸癌由来の腫瘍細胞(癌細胞)であるDLD-1の増殖を抑制することが記載されている。ここで,腫瘍細胞DLD-1を用い,[3H]チミジン取込みの実験を行って候補物質の抗腫瘍活性を評価するという手法は,当業者が一般的に採用する程度の事柄にすぎない。この種の細胞の培養に一般的に使用され,引用例1の実験においても使用された培地RPMI1640は,塩化ナトリウムや塩化カリウム等の無機塩を含有するから,引用例1の実験において用いられたテトラペンチルアンモニウムやテトラエチルアンモニウムが,実験系内で無機塩から遊離した例えば塩化物イオンと塩を構成することは当業者にとって明らかである。引用例1に接した当業者が,テトラエチルアンモニウム塩に代えて他の非選択的カリウムイオンチャネル阻害剤を採用して腫瘍細胞増殖抑制効果を検証するのは,自然な発想ということが可能である。本願明細書では,マウスの大腿の腫瘍重量の大小を計測した旨の記載があるだけで,腫瘍組織の血管新生の増減等を実験を通じて検証したことを窺わせる記載は存しない。本願明細書中には,テトラブチルアンモニウム塩がテトラエチルアンモニウム塩等よりも顕著な腫瘍細胞増殖抑制効果を発揮した旨の記載はない。他方,引用例1にはカリウムイオンチャネル活性が腫瘍細胞の増殖にとって重要である旨が記載されているから,等しく非選択的カリウムイオンチャネル阻害剤であるテトラエチルアンモニウム塩の構成(引用例1)をテトラブチルアンモニウム塩の構成(本願発明)に置換することによって奏される腫瘍細胞増殖抑制効果は,引用例1,2から当業者が予測できる範囲を超えるものではない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-19
事件番号:平成24(行ケ)10099
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社アネスト
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「可食容器セット及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:乾燥海苔製容器
ポイント:引用発明は,シート状の素材が積層された食品等を収容する小型容器セットを製造する方法であるところ,容器の形状に成形するために折り曲げると切れが生じるという性質を有する乾海苔を素材とするものである。他方,シート状の素材が積層された食品等を収容する小型容器セットを製造するに当たり,当該容器を保護し,あるいはその保形性を維持するために加圧又は加熱される面(最上面及び最下面を含む。)に紙質材を添付し,かつ,素材の間に紙質材を挿入した積層体を設けた上で加圧又は加熱することは,本件出願日当時の当該技術分野における当業者に周知であったものと認められるから,引用例1に接した当業者は,上記動機付けに従って乾海苔を複数枚重ねて加工を行うに当たり,容器の素材である乾海苔を保護し,併せてその保形性を維持するため,引用発明に当該周知技術を組み合わせることについても動機付けを有したものといえる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-25
事件番号:平成23(行ケ)10418
事件種別:審決取消請求
原告:大日本印刷株式会社(特許権者)
被告:株式会社巴川製紙所(無効審判請求人)
判決:請求棄却<無効審決維持>
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長),八木貴美子,小田真治
発明の名称等:「防眩フィルム,偏光素子及び表示装置」
争点:明確性要件(違反あり→違反あり)
参照条文:36条6項2号
分野:化学
分類:構造(防眩フィルム)
ポイント:ヘイズは,試料表面の凹凸などの不規則性や物質中の密度や屈折率の不均一性に起因する光の拡散又は散乱によって生じるものであり,試料の全透過光量と拡散透過光量との比によって得られるヘイズ値(全ヘイズ値)は,当該光の拡散又は散乱の総和,すなわち,試料表面で生じるヘイズ(表面ヘイズ)と試料内部で生じるヘイズ(内部ヘイズ)の和である。「屈折率の異なる透光性拡散剤を含有する透光性樹脂からなる防眩層」の内部ヘイズ値を測定する方法は,発明の詳細な説明の記載,及び本件特許の出願当時の技術常識によって,明らかであるとはいえない。内部ヘイズ値が一義的に定まらない以上,総ヘイズ値から内部ヘイズ値を減じた値である表面ヘイズ値も一義的には定まることはない。内部ヘイズ値・表面ヘイズ値を一義的に定める方法が明確ではないから,本件特許発明に係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号の要件を充足しない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-25
事件番号:平成24(行ケ)10094
事件種別:審決取消請求
原告:三井金属鉱業株式会社 (無効審判請求人)
被告:ソニー株式会社 古河電気工業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却<維持審決維持>
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長),西理香,知野明
発明の名称等:「非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池用の平面状集電体」
争点:サポート要件(違反なし→違反なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:構造(電池)
ポイント:本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,①従来,リチウムイオン二次電池の集電体として一般に銅箔が使用されているが,この銅箔として市販の電解銅箔を使用した場合には,電解銅箔の一方の主面に大きな凹凸が形成され,両主面の表面粗さの差が大きすぎて,活物質と集電体の接触が悪いため,電池特性,特に充放電でのサイクル特性が悪くなるという問題が生じること,②このような問題点を解決し,活物質と集電体の接触性を良好に保って,充放電サイクルに優れた安価な非水電解液二次電池用の平面状集電体を提供することを目的として,電解銅箔のマット面及び光沢面の表面粗さが10点平均粗さにして3.0μmより小さく,このマット面と反対側の光沢面との表面粗さの差が10点平均粗さにして1.3μm以下とすること,③上記数値限定を満足する実施例1~3と,一方の主面であるマット面に大きな凹凸が形成されて両主面の表面粗さの差が大きすぎて上記数値限定を満足しない比較例1の電解銅箔を,それぞれ負極集電体に用いた円筒形非水電解液二次電池について,100サイクル後の容量維持率とインピーダンスを測定し,前者が後者より優れたものであることが記載されている。以上のとおり,本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,本件発明の課題とその課題を解決する手段,その具体例において課題が解決されたことが記載されている。したがって,本件訂正後の特許請求の範囲の記載のうち,光沢面の表面粗度の上限をマット面の表面粗度の上限と同一の3.0μmとする点に係る部分は,サポート要件を満たす。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-26
事件番号:平成24(行ケ)10131
事件種別:審決取消請求
原告:エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,齋藤巌
発明の名称等:「甘味を有する薬剤組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬
分類:製剤(甘味医薬)
ポイント:引用例1には,「苦味を有する薬剤」として,引用例1に具体的に記載された薬剤に限らず,広範囲の苦味を有する薬剤が使用できることが示されているものと認められる。他方,引用例2には,薬剤である塩酸ドネペジルが激しい苦味を有することが記載されている。そうすると,引用発明において,「苦味を有する薬剤」として,引用例2に記載された激しい苦味を有する「塩酸ドネペジル」を使用した薬剤組成物とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2012-12-26
事件番号:平成24(行ケ)10158
事件種別:審決取消請求
原告:フィリップス ルミレッズ ライディング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却<拒絶審決維持>
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長),井上泰人,荒井章光
発明の名称等:「発光素子」
争点:明確性要件(違反あり→違反あり)
参照条文:36条6項2号
分野:化学
分類:構造(発光素子)
ポイント:本願発明の特許請求の範囲の記載によれば,「主界面」と「2次界面」とは,同一の形状で特定されているばかりか,本願発明9ないし11に係る特許請求の範囲の記載には,「主界面」と「2次界面」との位置関係が記載されていないため,両者を区別することができず,本願発明の属する技術分野における技術常識を参酌しても,「主界面」と「2次界面」との相違及び位置関係は,一義的に明らかであるとはいえない。本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると,そこには,本願発明における「界面」について,異なる媒質間の領域又はこうした領域の隣接する組合せと定義されるほか,素子の幾何学的構造の残りの部分に対するその位置及び配向によっても指定されるものとする旨の記載があるが,当該記載は,「主界面」と「2次界面」との相違及び位置関係を説明するものではない。本願明細書の発明の詳細な説明には,素子の面取りされた側部や素子の端部エッジにもテクスチャ形成を施すことが望ましいとの記載があるが,これらのテクスチャ形成が施される箇所が,本願発明における「主界面」と「2次界面」のいずれに相当するかを特定する記載はない。本願明細書の発明の詳細な説明には,本願発明9ないし11について記載した箇所もあるが,ここには,本願発明9ないし11の特許請求の範囲の記載と同じ内容が記載されているにすぎず,本願発明の「主界面」と「2次界面」との相違及び位置関係を明らかにするものとはいえない。以上によれば,本願発明にいう「主界面」と「2次界面」との相違及び位置関係は,本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌しても明らかではなく,両者を区別することはできないというほかない。