書籍 「2015 知財判例年鑑」
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2011年2012年2014年2015年
1
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裁判所:大阪地裁
判決日:2013-02-07
事件番号:平成23(ワ)10693
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:株式会社和泉利器製作所
被告:株式会社リバーライト/株式会社タカツ
判決:請求棄却
裁判部:第21 民事部
裁判官:谷有恒(裁判長) 松川充康 網田圭亮
発明の名称等:「鍋」
争点:新規性(なし)
参照条文:29条1項2号
分野:化学
分類:構造(鍋コーティング層)
ポイント: 平成7年5月以降,伊勢工業が販売したフライパン等(伊勢工業製品),平成6年10月以降,東洋金属熱錬が頒布したフライパン等(前同)及び平成7年10月頃に同社の労働組合が配布したフライパン(前同)は,いずれも本件発明と技術的に全く同一であり,原告は,その内容について,平成18年12月に至って特許出願したことになる。本件発明は,東洋金属熱錬及び同社の労働組合が,上記態様において伊勢工業製品を頒布したことにより,本件特許出願前に公然実施されていたといえることから,新規性がなく(29条1項2号),本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。
2
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-14
事件番号:平成24(行ケ)10302
事件種別:審決取消請求
原告:日亜化学工業株式会社
被告:三洋電機株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 田中芳樹 齋藤巌
発明の名称等:「窒化物系半導体素子」
争点:新規性(あり→あり)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:構造(半導体素子)
ポイント: 甲12・13には,研磨によって生じる「転位」に関する記載は一切ない。ここで行われる研磨は,表面歪み及び酸化膜の除去を目的とするものであって,原子レベルの線状の結晶欠陥である「転位」の除去を目的とするものとは認められない。甲14には,研磨によって生じる「転位」に関する記載は一切ない。甲17に記載された接触抵抗率は,Ga面(表面)についてのものであって,N面(裏面)に関するものではない。甲17・31・32の文献には,結晶欠陥である転位についての記載はあるものの,研磨によって転位が生ずること,研磨によって生じた転位をエッチングによって除去することに関する記載はなく,そのような過程を経ることによってコンタクト抵抗が低下することに関する記載もない。これらの記載から,機械研磨で生じた「転位」を電極形成前にエッチングで除去することが記載されていると認めることはできない。技術事項2及び3は周知の技術であったと認めることができない。
3
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-03-25
事件番号:「甲事件」平成23(ワ)35168 「乙事件」平成23(ワ)35169
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:日亜化学工業株式会社 <甲・乙事件原告>
被告:燦坤日本電器株式会社 <甲・乙事件被告>/ユニティー オプト テクノロジー カンパニー リミテッド<甲・乙事件被告補助参加人>
判決:請求棄却
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 小川雅敏 西村康夫
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:新規性(なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:装置(発光ダイオード)
ポイント: 本件原出願から分割出願された本件特許出願には分割要件違反があるから,本件特許の出願日である平成21年3月18日の時点における新規性・進歩性の有無を判断すべきことになる。本件原出願の特開2008-160140号公報は,本件特許出願日より前である平成20年7月10日に国内において頒布された刊行物である。乙5発明1と本件発明1とは,「乙5発明1の蛍光体が,本件組成を有する蛍光体であるのに対し,本件発明1の蛍光体は本件組成を有するものに限られない点」において相違し,その余の点は同一である。本件発明1は,基準時において公知であった乙5発明1を含む上位概念の発明であり,新規性を欠いている。
4
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-16
事件番号:平成24(行ケ)10405
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社スタックシステム
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「殺菌消毒液の製造方法」
争点:新規性(なし→手続違背あり)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:方法(殺菌消毒液製造)
ポイント: 本願手続の経過に照らすと,本願発明が引用発明と一致し相違点を有しないから新規性を欠如するとの拒絶理由は,拒絶査定において示されていないから,159条2項の「査定の理由と異なる拒絶の理由」に当たる。本願発明は,実質的には補正前発明2に当たるところ,補正前発明2については,本件拒絶理由通知においては進歩性を欠如するとの拒絶理由が通知されていたものの,補正前発明1とは異なり,引用発明と差異はないから新規性を欠如するとの拒絶理由が通知されたとは認められない。審決は,かかる拒絶の理由を通知することなく行った点で,159条1項の準用する50条の規定に違反したものであるといわざるを得ず,出願人の防御権を保障し,手続の適正を確保するという観点からすれば,かかる手続違背は,審決の結論に影響を及ぼすものというべきである。
5
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-21
事件番号:平成24(行ケ)10196
事件種別:審決取消請求
原告:ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「孔なし且つむき出しのエラストマー層を含有する使い捨て吸収性物品」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(使い捨ておむつ)
ポイント: 引用発明の課題及びその解決手段は,異なる伸縮性の伸縮性積層体を「カット・アンド・スリップ」プロセスで製品の望ましい位置に貼り付ける工程を効率化する目的で,エラストマー構成成分を形成する工程と基材に結合する工程を1つの工程の連続したプロセスに組み合わせるというものであって,本願発明の課題及びその解決手段である,エラストマーフィルムから剥離ライナーを分離,除去し,巻き上げるためのプロセスを促進する目的で,不織布層を含むかかるフィルムの積層プロセスを促進するのに必要とされるブロッキング防止を助ける機構を備えることとは全く異なる。引用発明における伸縮性複合体の製造方法において,エラストマー構成成分を形成後,基材に結合する前に,ブロッキング防止処理を適用する動機付けはなく,これにブロッキング防止処理工程を含むとすることは,当業者が容易に想到することではない。引用発明から,相違点2に係る本願発明の構成である「当該エラストマー層の1以上の表面への粉末の塗布を含むブロッキング防止処置を当該エラストマー層に施す工程を含む方法によって得られ」との構成に至ることは,当業者にとっても容易ではない。
6
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-30
事件番号:平成24(行ケ)10233
事件種別:審決取消請求
原告:興亜硝子株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「抗菌性ガラスおよび抗菌性ガラスの製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(ガラス)
ポイント: 引用例1には,溶解性ガラスが全て溶けるまで,水処理材としての効果を大幅に変化させずに持続させることを解決課題とした,Ag+を溶出する溶解性ガラスからなる硝子水処理材を提供する技術が開示されており請求項1及び実施例の記載によれば,溶解性ガラスとして「P2O5を含む燐酸塩系ガラス」のみが記載され,他の溶解性ガラスの記載はない。請求項1には,溶解性ガラスは,形状,最長径,金属イオンの含有量などと共に,P2O5の含有量が特定されており,発明の詳細な説明には,溶解性ガラスの形状及び組成を厳選した旨の記載がある。引用例1の請求項1及び実施例1において,溶解性ガラスとして硼珪酸塩系ガラスを含んだ技術に関する開示はない。請求項1及び実施例1に基づいて,引用例1発明について「硼珪酸塩系の溶解性硝子からなる硝子水処理材」であるとした審決の認定には誤りがある。
7
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-28
事件番号:平成24(行ケ)10111
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:コニカミノルタエムジー株式会社
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「シンチレータパネル」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(シンチレータ層)
ポイント: 基板と蒸着により形成された蛍光体層との間に反射層が設けられている蛍光体パネル/スクリーンにおいて,蛍光体層を反射層の表面に蒸着により形成することは,周知技術であり,バインダー樹脂を含んだ反射層の表面又は反射機能を有する樹脂基板の表面に,蛍光体層を蒸着により形成することも,周知技術である。甲1発明,すなわち,放射線吸収性蛍光体層22bが,CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からなり,支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に,拡散反射層を設け,拡散反射層は,二酸化チタンおよび結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後,これを支持体上に塗布乾燥することにより形成する発明において,上記拡散反射層上にCsI:Tlを蒸着によって柱状結晶を成長させることは,当業者にとって格別の創意工夫を要するものとは認められない。
8
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-28
事件番号:平成24(行ケ)10227
事件種別:審決取消請求
原告:ジンテーズ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「外科的インプラントおよび用器のための干渉を生成する有色コーティング」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(コーティング)
ポイント: 補正発明と引用発明とは,いずれも体内に埋め込まれる器具であるインプラントに用いられるという点で技術分野が共通する。本件出願時において,外科インプラント及び用器をカラーコード化(色標識および特徴付け)することは周知の技術事項であり,引用発明も周知の技術事項もインプラントに着色するための技術という点で共通するのであるから,インプラントの技術分野に属する引用発明におけるコーティングを,周知の外科インプラント及び用器におけるカラーコード化(色標識および特徴付け)として用いることにより,相違点1に係る補正発明の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得るというべきである。
9
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-28
事件番号:平成24(行ケ)10304
事件種別:審決取消請求
原告:凸版印刷株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「突き刺し強度耐性のあるガスバリア積層体」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(ガスバリア積層体)
ポイント: 引用例1の特許請求の範囲には,「ポリビニルアルコール」と「金属アルコキシド及びその加水分解物」を含むコーティング剤における両成分の配合比は特定されてなく,発明の詳細な説明にも配合比に関する一般的な指針について記載はない。当業者は,引用発明について,配合比は「40/60」のものに限定される訳ではなく,適宜に変更できると認識する。一方,引用例2には,引用発明と同様の積層構造を有するものが記載されており,水溶性高分子/金属アルコキシドの加水分解物の配合比として「5/95~80/20」が好適である旨記載されている。引用例3には,引用発明と積層フィルムの層構成が実質的に同様の,ガスバリア性を有する積層フィルムが記載されており,水溶性高分子/金属アルコキシド又はその加水分解物の配合比として「100/100~800/100」,「50/50~88.9/11.1」が特に好ましい旨記載されている。これらの記載によれば,引用発明と同様の積層構造を有するガスバリア積層体において,水溶性高分子/金属アルコキシド又はその加水分解物の配合比として「50/50~70/30」の範囲を含む配合比は,通常のものと認められる。当業者は,ガスバリア性積層体に関する発明である引用発明において,ガスバリア性等に優れた積層体を製造するための配合比は「40/60」のものに限定されるわけではなく,適宜に変更できると認識できるから,適宜に変更する範囲として,引用例2及び3に記載されている通常の配合比を採用することは当業者に自明のことである。
10
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-24
事件番号:平成25(行ケ)10003
事件種別:審決取消請求
原告:アルケマ フランス
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「無臭ガス燃料のための臭気化混合物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:組成物(ガス臭気化)
ポイント: 周知例からすれば,審決が,「アクリル酸エチルやアクリル酸メチルのようなアクリル酸エステルは,重合し易い性質を持っており,貯蔵時や移送時に重合を防止すべきという課題があること,及び,当該課題は,アクリル酸エステルに限らずアクリル酸においても同様であり,当該課題の解決手段として添加される重合防止剤は,アクリル酸に対しても,…アクリル酸エステルに対しても,いずれにも有効に機能する共通の手段となることは,本願の優先権主張日当時における技術常識である」とした判断に誤りはない。
11
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-28
事件番号:平成25(行ケ)10066
事件種別:審決取消請求
原告:三菱レイヨン株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:組成物(脂肪族ポリエステル)
ポイント: 刊行物1・2に接した当業者は,①刊行物1の多層構造重合体及び刊行物2の多層構造グラフト共重合体は,樹脂の耐衝撃性改良剤として耐衝撃性及び耐熱性に優れた効果を奏し,刊行物1の多層構造重合体を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物を添加して得られる樹脂組成物と刊行物2の多層構造グラフト共重合体を添加して得られる樹脂組成物は,いずれも自動車用部品,OA機器等に有用であること,②刊行物1からは,多層構造重合体のコア層を構成するゴム層の肥大化は不明であるが,刊行物2には,肥大化したブタジエン系ゴム重合体ラテックスを含む多層構造グラフト共重合体は,肥大化していないブタジエン系ゴム重合体ラテックスを含む多層構造グラフト共重合体よりも耐衝撃性に優れ,酸基含有共重合体を用いて肥大化した場合には耐衝撃性に優れると共に熱安定性を低下させることなく耐熱性にも優れていることが示されているから,刊行物1の多層構造重合体を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物において,組成物の耐熱性を維持したまま耐衝撃性の向上した組成物を得る目的で,刊行物1の多層構造重合体に代えて刊行物2の肥大化したブタジエン系ゴム重合体ラテックスを含む多層構造のグラフト共重合体を置換することを試みる動機付けがある。
12
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-25
事件番号:平成25(行ケ)10076
事件種別:審決取消請求
原告:ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「シリコーンオイルを含む単位用量の洗剤製品」
争点:進歩性(なし→誤認定あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:組成物(洗剤)
ポイント: 審決は,引用例に“The composition typically has a viscosity of from 500cps to 3,000cps, when measured at a shear rate of 20s-1 at ambient conditions.”とあるにもかかわらず,甲12文献の該当部分に,「本組成物の粘度は,周囲条件で20s-1のせん断速度で測定する場合,典型的には,0.05Pa・s(500cps)~0.3Pa・s(3,000cps)である。」とあることを踏まえ,引用発明における本組成物の粘度を認定した上,引用発明の「液体洗濯洗剤組成物」は「ずり減粘液体」であるから,剪断速度の増加に対して粘度が大きく低下,即ち剪断速度の減少に対して粘度が大きく上昇するものであるから,「周囲条件で20s-1のせん断速度で測定する場合,0.05Pa・s~0.3Pa・sである」ものであれば,周囲条件と略同等の温度条件である20℃で,「0.5s-1」なる極めて低い剪断速度で測定される場合に「少なくとも3Pa・s(3,000cps)」なる剪断粘度を有すると理解するのが自然であるとして相違点2が実質的な相違点であるとはいえないと結論付けた。審決は,本組成物がその摘示したとおりの数値範囲の粘度を有すると認定した上でこれを前提に,本願発明との相違点2があると認定し,これが実質的な相違点ではないと判断したのであるから,審決による本組成物の認定における粘度の数値範囲記載(0.05Pa・s~0.3Pa・s)は単なる誤記とはいえず,審決は引用発明の認定を誤ったといわざるを得ない。
13
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-15
事件番号:平成24(行ケ)10160,平成24(行ケ)10204
事件種別:審決取消請求,同参加
原告:X
被告:Y(脱退;原特許権者)/大伍貿易株式会社(参加人;特許権移転登録)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 古谷健二郎 田邉実
発明の名称等:「封水蒸発防止剤」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(封水蒸発防止)
ポイント: 甲1公報の記載によれば,甲1発明の水系成分と水不溶性成分(油系成分)とは,比較的短時間に分離するものと認められるから,本件発明1と甲1発明とでは,エマルジョン化の程度が異なる。また,甲1公報には,排水管内壁に付着した汚れ層からの封水の蒸発防止という課題は記載されておらず,汚れ層を目詰まりさせるのに適したエマルジョン状態を設定するという動機付けが存在しない。
14
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10221
事件種別:審決取消請求
原告:アクゾノーベル株式会社
被告:昭和電工株式会社
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「洗浄剤組成物」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(洗浄剤)
ポイント: 本件発明1及び引用発明1は,生分解性に優れた洗浄剤(金属イオン封鎖剤)の開発を解決課題の一つとする,組成物の発明である。本件発明1の洗浄剤組成物はグリコール酸塩を含有し,引用発明1の洗浄剤混合物に含まれる金属イオン封鎖剤組成物も,グリコール酸塩の1種であるグリコール酸ナトリウムを含有している。引用発明1の洗浄剤混合物は,グルタミン酸二酢酸塩類,グリコール酸塩,陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含み,本件発明1の洗浄剤組成物と組成において一致し,かつ各成分量は,本件発明1において規定された範囲内である。このように,引用発明1の洗浄剤混合物は,本件発明1の規定する3つの成分をいずれも含み,かつその成分量も本件発明1の規定する範囲内であることに照らすと,単に,グリコール酸ナトリウムが主成分の一つであると規定したことをもって,容易想到でなかったとはいえない。
15
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10177
事件種別:審決取消請求
原告:アクゾノーベル株式会社
被告:昭和電工株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「洗浄剤組成物」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(洗浄剤)
ポイント: 本件発明は、主成分として,水酸化ナトリウム,アミノジカルボン酸二酢酸塩類であるアスパラギン酸二酢酸塩類及び/又はグルタミン酸二酢酸塩類,並びにグリコール酸ナトリウムの3成分を混合した洗浄剤組成物は,それぞれの相乗効果により優れた洗浄性能を有するところ,甲1文献にはこの点について何らの示唆もない。また,甲2~6にもこの点について何の示唆もない。洗浄剤組成物が上記3成分を主成分とし,それによって洗浄効果を高める効果がある点では,当業者が予測し得ない効果であると認められ,本件発明1は,甲1や甲2~6から当業者が容易に想到し得ないものといえる。
16
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-21
事件番号:平成24(行ケ)10260
事件種別:審決取消請求
原告:シェブロンジャパン株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「エンジン潤滑油組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(エンジン潤滑由組成物)
ポイント: 引例には,潤滑油組成物におけるジアルキルジチオリン酸亜鉛,即ちジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛について,摩耗の抑制に有効な,ヒドロカルビル基が第二級アルキル基のものを単独で用いる場合の他に,耐熱性に優れたヒドロカルビル基が第一級アルキル基のものと,摩耗の抑制に有効なヒドロカルビル基が第二級アルキル基のものとの混合物も好ましいと開示されている。このことは,引例のみならず特開2003-165991号公報の【0018】,特開2003-336089号公報の【0034】,特開2003-327987号公報の【0033】にも開示されており,当業者にとって技術常識であった。このように,引用発明が記載された引例自体にも上記の技術常識が開示されていることに照らすと,当業者にとって,潤滑油組成物に関する発明である引用発明のジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛について,上記技術常識を参酌し,摩耗の抑制と耐熱性の双方を考慮して,ヒドロカルビル基が第一級アルキル基のものと第二級アルキル基のものとの混合物とすることは容易に想到し得る。その際に,耐熱性と耐摩耗性のバランスを考慮して両者の配合の最適値を決定することも,適宜なし得る。引用発明について,相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得る。
17
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-21
事件番号:平成24(行ケ)10241
事件種別:審決取消請求
原告:アロン化成株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「医療用ゴム栓組成物」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(医療用ゴム栓組成物)
ポイント: 補正発明は,当裁判所が認定した刊行物1の組成物におけるベースポリマーの種類及び分子量,軟化剤及びポリプロピレンの配合量,並びに組成物の硬さを特定の範囲に限定することにより,針刺部分を針の針刺方向に撓ませて針刺し止栓を成形する手法を用いなくとも,液漏れのない医療用ゴム栓を得ることができる効果を見出したものである。針刺部分を針の針刺方向に撓ませて針刺し止栓を成形することを液漏れのない針刺し止栓を得るために必要とする刊行物1記載の針刺部分組成物のベースポリマーの種類及び分子量,パラフィン系オイル及びポリオレフィンの配合量,並びに硬さの範囲の中から,針刺部分を針の針刺方向に撓ませることが不要な特定の組成を見出すという発想は,刊行物1の記載から見出すことができず,刊行物1記載事項と補正発明とは前提とする技術的思想が異なる。補正発明の構成は,前記技術的課題からの発想に伴うものであり,そのような発想である技術的思想が刊行物1には記載も示唆もない以上,補正発明の構成が容易想到であると認めるまでの発明としての構成が刊行物1に記載されているとはいえない。
18
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-30
事件番号:平成24(行ケ)10191
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社日新電気
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「紫の可視光線と不可視光線近紫外線を透過する安全マスク」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(マスク)
ポイント: 本願時において,紫色の可視光線や紫外線による殺菌が様々な分野において利用されており,マスクにおいても紫色の可視光線や紫外線により殺菌をすることができることは,当業者に周知であったと認められ,また,紫外線による殺菌と,紫外線を光源とする光触媒による殺菌とを併用することができることも,当業者の技術常識であったと認められるから,引用発明のマスクにおいて,殺菌作用のある紫の可視光線と不可視光線の近紫外線の働きを用いた本願発明に係るマスクに至ることは,当業者にとって容易である。
19
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-28
事件番号:平成24(行ケ)10165
事件種別:審決取消請求
原告:大王製紙株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 髙部眞規子 齋藤巌
発明の名称等:「ティシュペーパー製品」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(ティッシュペーパー)
ポイント: 引用例3には,薬液を含有したティシュペーパー製品において,本件補正発明と同じ「JIS P 8111」の条件下で尾崎製作所ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK G型」を用いて測定した紙厚が2プライで134μm及び139μmであるものが記載されているものの,引用例2に記載の紙厚はそれと同様の結果をもたらすとはいえない方法で測定されたものである。引用例2及び3以外に,紙厚100~140μmがティシュペーパー製品において普通に採用されていると認めるに足りる証拠はない。引用例2及び3の記載のみをもって「紙厚100~140μmはティシュペーパー製品において普通に採用されている範囲」であるとした本件審決の認定は是認できない。上記認定を前提として相違点1に係る本件補正発明の構成を容易想到とした本件審決の判断も誤りである。
20
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-06
事件番号:平成24(行ケ)10278
事件種別:審決取消請求
原告:日本ノンテックス株式会社/日本製箔株式会社
被告:東洋アルミエコープロダクツ株式会社
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「換気扇フィルター及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(換気扇フィルター)
ポイント: 発明Aは,フィルター材のみを廃棄するフィルター材交換タイプの換気扇フィルターである。フィルター材とフィルター枠を共に廃棄する全部廃棄タイプの本件発明1とはタイプが異なる。両発明は,解決課題及びその解決手段も全く異なる。発明Aは,フィルター材交換タイプの換気扇フィルターについて,交換用フィルタの交換時期になったとき,フィルタ本体の汚れの程度をフィルタを通気口から取り外すことなく簡単に判定できることを特徴し,引用例1の記載からしても,これに接した当業者が,発明Aのフィルター材交換タイプを本件発明1の全部廃棄タイプに変更しようとする動機付けや示唆を得るとはいえない。フィルター材交換タイプの換気扇フィルターである発明Aにおいて,全部廃棄タイプの換気扇フィルターである本件発明1が解決課題としている「通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得るようにして,素材毎に分離して廃棄することを可能すること」と同様の解決課題が当然に存在するともいえない。全部廃棄タイプの換気扇フィルターを使用することが周知事項であって物品を分別(分離)して廃棄すること自体,日常生活で普通に行われているとしても,本件発明1は,発明A及び上記周知事項から容易想到ではないし,使用した後,廃棄する際に,水に浸漬すれば,金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを手指で容易に剥離でき,金属と不織布とを分別廃棄できる本件発明1の作用効果は,発明Aの及び上記周知事項から容易に予測できない。
21
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-12
事件番号:平成24(行ケ)10230
事件種別:審決取消請求
原告:台湾積體電路製造股份有限公司
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「導線近傍にスキャッタリング・バーを配置させてなる半導体デバイス」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体デバイス)
ポイント: 本願発明は,ダマシン法により半導体デバイスに導線を形成する際,孤立領域の導線パターンの両側近傍にスキャッタリング・バーパターンを配置するという構成によって,密集領域と孤立領域における導線の「外形寸法」が等しくなり,これによって導線の抵抗率Rsも均一になる効果を奏する。本願発明が,フォトリソグラフィー技術により半導体デバイスの材料層にパターンを形成する技術,即ち「平面的な」パターンを材料層に転写する技術の問題点を解消するものであることに照らすと,本願発明の解決課題及び作用効果にいう導線の「外形寸法」が,立体的形状に関係する導線の「厚さ」ではなく,平面的な形状に関係する導線の「幅」を指すことは,当業者にとって自明である。引用発明との相違点2に係る本願発明の構成の「シート抵抗」の語は,本願発明の効果が導線の抵抗率Rsを均一にする点にあることに照らすと,相違点2に係る本願発明の構成の「シート抵抗」は,導線の抵抗率Rsを言い換えたものと認められる。本願発明は,孤立領域の導線パターンの両側近傍にスキャッタリング・バーパターンを配置するという構成によって,密集領域と孤立領域における導線の「幅」が等しくなり,これによってそれらの導線の抵抗率Rs,即ちシート抵抗も等しくなる効果を奏するものといえる。パターン密度が低い領域にダミーパターンを設けることにより,均一のパターン幅の配線(導線)を形成するという技術は引例2・3に開示されるように周知技術であって,これを引用発明に適用することは当業者にとって適宜なし得る。密集領域と孤立領域とで導線の幅が均一になれば,それらのシート抵抗も等しくなることは当然の帰結である。
22
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-19
事件番号:平成24(行ケ)10265
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東芝
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「半導体装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体装置)
ポイント: 補正発明のIny2Ga1-y2N層のMg含有濃度を1×1017cm-3~1×1019cm-3とすることについては,本明細書の発明の詳細な説明に「不純物拡散防止層は,Mgが1×1017cm-3程度以上1×1019cm-3程度以下ドープされていても良い。」との記載があるのみで,本願明細書中の他の部分には上記特定事項に係る作用効果に関する記載はない。上記段落の記載の体裁に照らせば,1×1017cm-3~1×1019cm-3というMg含有濃度の数値範囲は,原告が適宜選択したものにすぎず,臨界的意義を有しないと認定できる。補正発明と引用発明の相違点に係る構成,即ちMgをドープしないInGaN層において,Mg含有濃度を1×1017cm-3~1×1019cm-3とする発明特定事項とすることに格別の技術的意義(臨界的意義)はない。言い換えれば,p型層からMgが拡散してきた結果,Mgを含有することとなったInGaN不純物拡散防止層においても,所期のMg拡散防止機能を果たすものとして当業者が適宜調整できる範疇を出るものではない。当業者において上記相違点に係る構成を採用する上で困難性は存せず,この旨をいう審決の容易想到性判断に誤りはない。
23
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-25
事件番号:平成24(行ケ)10077
事件種別:審決取消請求
原告:エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「有機発光素子」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(有機発光素子)
ポイント: 引用発明における「バリア層」は,有機化合物層を形成した後,陽極形成時に有機化合物層の表面に与えるダメージを防止する目的で,有機化合物と陽極との間に設けられる。その設置目的からすると「バリア層」は,陽極と有機化合物層との間に,これらに接して設置されるものである。陽極と「バリア層」の間,又は「バリア層」と有機化合物層の間に別の層が存在する場合,その層が有機化合物層の表面に与えられるダメージを防止する効果を奏するから,そのような層に重複して「バリア層」を設ける必要はない。引用発明においては,陽極と有機化合物層との間に「バリア層」以外の層が存在することは予定されていない。ところで,引用文献によれば,本願優先日当時,有機発光素子において,駆動電圧を低下させ,発光効率を高めるために,陽極とEL層との間に,正孔注入層を設けるとの技術常識が存在した。しかし,かかる技術常識が存在したからといって,有機化合物層を形成後,陽極形成時に有機化合物層の表面に与えるダメージを防止する目的で,「バリア層」を設ける引用発明の技術に,有機発光素子に正孔注入層を設けるとの課題・目的において異なる技術を組み合わせることが,容易とはいえない。補正発明においては,本明細書の表1~9のとおり,陽極キャッピング層にPd,Mg,又はCrを含む構成とすることで,陽極キャッピング層を設けない比較例又は陽極キャッピング層にPd,Mg,Cr以外の物質を使用した比較例と対比して輝度安定性向上の効果が生じている。一方,引用文献や文献1・2には,有機発光素子にCrを含む層を設けることにより輝度安定性が向上することにつき何の記載も示唆もない。
24
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-29
事件番号:平成24(行ケ)10275
事件種別:審決取消請求
原告:三洋電機株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「窒化物系半導体レーザ素子および窒化物半導体レーザ装置の製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(窒化物系半導体レーザ素子)
ポイント: 甲6,3,2において,いずれもn電極の形状とp電極の形状は,互いに技術的関連性をもって決定されることは記載も示唆もされていないから,当業者において,甲6発明を改良するために,n電極の形状については甲3を,p電極の形状については甲2を,それぞれ独立に参照することが不合理とはいえない。本件明細書をみても,本件発明1~4に関する限り,n電極の形状とp電極の形状が互いに技術的関連性を有することや,それらの形状の組合せによる特別な作用効果を示す記載は見当たらない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-10
事件番号:平成24(行ケ)10328
事件種別:審決取消請求
原告:ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「臭気中和化および液体吸収性廃棄物袋」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(廃棄物袋)
ポイント: 本願発明は,飲食物廃棄物の処分のための容器であって,液体不透過性壁と,液体不透過性壁の内表面に隣接して配置された吸収材と,吸収材に隣接して配置された液体透過性ライナーとを備え,吸収材上に被着された効果的な量の臭気中和組成物を持つ。本願発明は,上記構成により,一般家庭において,ゴミ収集機関により収集されるまで,飲食物廃棄物からの液体の流出を防止し,腐敗に伴う不快な臭気を中和する,経済的なプラスチック袋を提供できる。引用発明は,厨芥など水分の多いごみを真空輸送する場合などに適用されるごみ袋に関し,これらのごみをごみ袋に詰めて真空輸送すると,輸送途中で破袋により,ごみが管壁に付着したり,水分が飛散して他の乾燥したごみを濡らして重くするなどのトラブルの原因となっていたという課題を解決するために,水分を透過する内面材と,水分を透過させない表面材と,上記内面材と上記表面材とに挟まれ水分を吸収して凝固させる水分吸収体との多重構造のシート材でごみ袋を構成することにより,厨芥などのごみの水分を吸収して凝固させ袋内に閉じ込めるようにした。上記引用例1の記載等に照らすと,真空輸送とは,住宅等に設置されたごみ投入口とごみ収集所等とを輸送管で結び,ごみ投入口に投入されたごみを収集所側から吸引することにより,ごみを空気の流れに乗せて輸送,収集するシステムであって,通常,ごみ投入口は随時利用でき,ごみを家庭等に貯めておく必要がない。引用発明に係るごみ袋は,真空輸送での使用における課題と解決手段が考慮されているものであって,住宅等で厨芥等を収容した後,ごみ収集時まで長期間にわたって放置されることにより,腐敗し,悪臭が生じるような状態で使用することは,想定されていない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-05-23
事件番号:平成24(行ケ)10243
事件種別:審決取消請求
原告:台湾積體電路製造股份有限公司
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「配線構造の形成方法,配線構造およびデュアルダマシン構造」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(配線)
ポイント: Blokが有機ケイ素ガスを用いたPECVD法により形成されたSiC膜であること及びPECVD法によって形成されたSiC膜中に,不可避的に酸素が含まれることは,本件出願に係る優先権主張日当時,集積回路用の配線構造の技術分野において周知事項ないし技術常識であった。引用発明において応力再分配層の材料となるSiC膜について,これに不可避的に混在する酸素を考慮して,本願発明と同様の組成式で表すと,SiaCbOc(a≒1,b≒1,c:不可避に混在する程度の微量)となることは当業者にとって自明である。酸素の組成比は,引用発明では不可避的に混在する程度の微量であるが,本願発明においても,0に限りなく近いもの,即ち不可避的に含まれるような微量の場合を含むから,本願発明と引用発明との間に酸素の構成比において実質的な相違はない。本明細書には,実施例において,圧縮応力を有する少なくとも1つの応力調整層を形成することにより,配線構造を構成する低k誘電層により生じる引張り応力は調整され,低k誘電体を利用する場合,配線構造の信頼性を向上しつつ,ダマシン構造に発生するような問題を防止できるとの作用効果は記載されているものの,応力調整層の組成比について,「a=0.8~1.2,b=0.8~1.2」との数値限定を設定することの根拠については何ら記載されておらず,その臨界的意義を認めることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-05-29
事件番号:平成24(行ケ)10289
事件種別:審決取消請求
原告:日立造船株式会社
被告:Y
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「破砕カートリッジおよび破砕カートリッジによる岩盤あるいはコンクリート構造物の破砕方法」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(破砕カートリッジ)
ポイント: 発熱のための金属細線として,銅製の細線を用いることも銅―ニッケル製の細線を用いることもいずれも周知である。そして,放電破砕においても,金属細線は発熱を前提としたものであるから,周知技術としての銅―ニッケル製の細線を採用することに格別の困難性は認められない。また,本件明細書においても,「銅―ニッケル抵抗細線3が溶融スパークし,高温で大衝撃力の火花が発生し」と記載されているにとどまり,銅-ニッケル製を用いることによる格別の作用効果については何ら記載されていない。相違点3に係る構成は,単なる設計的事項であり,当業者において容易に想到できる。
28
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-20
事件番号:平成24(行ケ)10251
事件種別:審決取消請求
原告:三星ディスプレイ株式會社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「有機電界発光表示装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(有機EL装置)
ポイント: 本願発明の「補強トラス」は,互いに直交する横トラスと縦トラスとを含む構造からなるものを包含する。引用発明の「複数の梁部材」は,横方向の梁部材と縦方向の梁部材が互いに直交する構造である。両者は同じ構造といえる。本願発明の「補強トラス」は,表示パネルとベゼルとの間に配置されるのに対し,引用発明の「複数の梁部材」は,有機ELパネルと筺体の間に配置されるから,両者は同じ配置関係となる。引用発明の「複数の梁部材」と本願発明の「補強トラス」とは,同じ構造,配置関係にあり,補強部材の材質も審決が認定したように一致しているから,引用発明の「複数の梁部材」は,本願発明の「補強トラス」と同様に,表示パネルに加えられる外部からの衝撃を著しく減少させ,表示パネルの変形及び破損を防止するという機能を必然的に有しており,両者は同じ機能を有する。これらの構造等により実現される表面パネルに対する衝撃保護機能は,可搬型ディスプレイであろうと据置型ディスプレイであろうと同様に得られる。したがって,審決が,引用発明の「平面視略井桁状を成して互いに交差して支持基板(361)上に配設された複数の梁部材」と本願発明における「補強トラス」とを「『表示パネルとベゼルとの間に配置される補強部材』である点で共通する。」と判断した点に誤りがあるとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-17
事件番号:平成24(行ケ)10180
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社MARUWA
被告:京セラ株式会社
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「誘電体磁器及びこれを用いた誘電体共振器」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(誘電体磁器)
ポイント: 甲1発明は,希土類元素の種類を特定するものではない。甲1には,希土類元素について,「希土類元素(Ln)としては,Y,La,Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Dy,Er,Yb,Nd等があり,これらのなかでもNdが最も良い。本発明では,希土類元素(Ln)は2種類以上であっても良い。比誘電率の温度依存性の点からは,Y,Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Dy,Er,Ybが好ましい。」と記載され,希土類元素としてLaを使用できることが記載され,希土類元素としてLaを単独で使用した実施例が記載されている。甲1には,希土類元素としてLaを単独で使用すること,即ちLaを希土類元素のうちモル比で100%含有するものを使用することについての示唆がある。甲1において希土類元素としてLaを単独で使用したものについては,Q値は39000とされ,本件発明1の下限値に近接する値が示されている。甲1発明の組成と一致し,希土類元素としてLaを単独で使用した誘電体磁器において,40000以上のQ値が得られることは当業者において広く知られた事項であるから,甲1発明のうち,希土類元素としてLaを単独で使用したものにおいて,40000以上のQ値が得られることは,当業者が十分に予測し得る。
30
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-19
事件番号:平成24(行ケ)10435
事件種別:審決取消請求
原告:三洋電機株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「窒化ガリウム系発光素子」
争点:進歩性(あり→審決審理不十分)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(発光素子)
ポイント: 本件においては,審決が,認定した相違点1及び3に関する本件発明1の構成の容易想到性について判断をしていないこともあって,当事者双方とも,この点の容易想到性の有無を本件訴訟において主張立証してきていない。相違点2(当裁判所の認定では相違点2”)に関する本件発明1の構成については,原告がその容易想到性を主張しているのに対し,被告において具体的に反論していない。このような主張立証の対応は,特許庁の審決の取消訴訟で一般によく行われてきた審理態様に起因するものと理解されるので,当裁判所としては,当事者双方の主張立証が上記のようにとどまっていることに伴って,主張立証責任の見地から,本件発明1の容易想到性の有無についての結論を導くのは相当でなく,引用発明の認定誤りが審決にあったことをもって,少なくとも審決の結論に影響を及ぼす可能性があるとして,ここでまず審決を取り消し,続いて検討すべき争点については審判の審理で行うべきものとするのが相当と考える。
31
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-30
事件番号:平成24(行ケ)10373
事件種別:審決取消請求
原告:シャープ株式会社
被告:住友金属鉱山株式会社
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「半導体装置および液晶モジュール」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体)
ポイント: 原出願日当時,当業者において,半導体キャリア用フィルムにおいて,端子間の絶縁抵抗を維持するため,マイグレーションの発生を抑制する必要があると考えられており,マイグレーションの発生を抑制するため,吸湿防止のための樹脂コーティングを行ったり,水に難溶な不動態皮膜を形成したり,半導体キャリア用フィルムを高温高湿下におかないようにしたりする方法が採られていた。しかし,原出願日当時,本件発明1のように,ニッケル-クロム合金からなるバリア層におけるクロム含有率を調整することにより,バリア層の表面抵抗率・体積抵抗率を向上させ,バリア層の表面電位を標準電位に近くすることによって,マイグレーションの発生を抑制することについて記載した刊行物,又はこれを示唆した刊行物は存在しない。甲2文献に接した当業者は,原出願日当時の技術水準に基づき,引用発明において本件発明1に係る構成を採用することにより,バリア層の溶出によるマイグレーションの発生を抑制する効果を奏することは予測し得ない。
32
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-30
事件番号:平成24(行ケ)10361
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ユニバーサルトレジャー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「制電性多機能カーペット」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(制電性多機能カーペット)
ポイント: 引用発明1に係るタフテッドカーペットと引用発明2に係るパイル織物は,いずれもパイル糸を用いて形成された繊維製品である点で共通し,硫化銅を付与して形成した導電性繊維をパイル糸に用いることにより制電性を得させた点においても共通する。制電性タフテッドカーペットに関する引用発明1において,制電性を得させるためにパイル糸に含ませる導電性繊維として,アクリル繊維に硫化銅を導入して形成したものに代えて,引用発明2のアクリル繊維あるいはナイロン繊維の表面に硫化銅の一種であるダイジェナイトを被膜して形成したものを用いることは,当業者が容易に想到し得る。
33
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-16
事件番号:平成25(行ケ)10035
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(合わせガラス用中間膜)
ポイント: 周知例には,①遮熱性を有するITO等の金属酸化物を含有する合わせガラス用中間膜において,熱,光等による耐久性試験により,ITO微粒子等が化学変化を起こしたり,それが周辺のポリビニルアセタール樹脂マトリックスにまで影響を与えたりして,可視光透過率が大きく低下し,黄色味が大きく増加すること,②これを抑制するために,合わせガラス用中間膜に用いる可塑化ポリビニルアセタール樹脂組成物に,紫外線吸収剤として,マロン酸系化合物及び/又はシュウ酸アニリド系化合物を含有させることが記載されている。引用例1発明におけるA及びB層はITO粒子を含有する遮熱層であるから,引用例1発明に係る合わせガラス用中間膜においても,上記①の課題を有している。引用例1には,A層及びB層には必要に応じて紫外線吸収剤等の添加剤が添加されてもよいことが記載されている。周知例の記載に従えば,引用例1発明におけるA及びBの各層に用いる各ポリビニルアセタール樹脂組成物に,紫外線吸収剤として,マロン酸系化合物及び/又はシュウ酸アニリド系化合物を含有させることは当業者が容易に想到する。
34
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-19
事件番号:平成25(行ケ)10068
事件種別:審決取消請求
原告:三洋電機株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「窒化物半導体素子」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体素子)
ポイント: 引用発明における半導体装置の寿命又はこの動作に係るキャリアの寿命若しくは移動度を当該半導体装置の実用化に十分な値に改善するとの目的は,上記結晶成長方法と共に上記ダイシング法及びリッジストライプ構造を採用したことにより達成できるのであって,刊行物1においては,図6A(1),(2)において,結晶欠陥密度が「1×107個/cm2」よりも大きい,目空き部(108~1011cm-2)及び合体部(106~107 cm-2程度)が残されることが記載されており,ダイシングする際に,それらの欠陥密度の高い領域を積極的に全て除去して欠陥密度の低い領域のみを形成すべき動機付けがあるとはいえない。
35
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裁判所:大阪地裁
判決日:2013-12-19
事件番号:平成24(ワ)13084
事件種別:損害賠償請求
原告:京セラ株式会社
被告:株式会社MARUWA
判決:請求棄却
裁判部:第26 民事部
裁判官:山田陽三(裁判長) 松阿彌隆 西田昌吾
発明の名称等:「誘電体磁器及びこれを用いた誘電体共振器」
争点:進歩性(なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(誘電体磁器)
ポイント: 乙1公報によれば,乙9発明の組成と一致し,稀土類元素としてLaを単独で使用した誘電体磁器において,40000以上のQ値が得られることは,当業者において広く知られた事項である。乙9発明のうち,稀土類元素としてLaを単独で使用する(Laを稀土類元素のうちモル比で90%以上含有するものを使用する)と共に,Q値を40000以上とすることに困難性はない。乙9発明のうち,稀土類元素としてLaを単独で使用する(Laを稀土類元素のうちモル比で90%以上含有するものを使用する)と共に,Q値を40000以上とすることに困難はなく,本件訂正発明は顕著な作用効果を奏するものであるとはいえない。本件訂正発明は当業者が乙9発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-26
事件番号:平成24(行ケ)10426
事件種別:審決取消請求
原告:ユニティー オプト テクノロジー カンパニーリミテッド
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「窒化物半導体発光素子」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体発光素子)
ポイント: 相違点1は,半導体が,本件発明1では「窒化物半導体」であるのに対し,引用発明1では「InGaAlP緑色LED用光半導体結晶」である点である。引用発明1は,発光効率を上げて光の有効利用が可能となる短波長の光を発する半導体発光素子InGaAlPの四元素混晶材料で構成される活性層から得られる輝度が1cd以上になるLEDを提供することを目的とした発光ダイオードであるところ,引用例1をみても,引用発明1に係るLEDの構成が,InGaAlP緑色LEDのほか,InGaAlP活性層の組成を適宜変えることにより,黄色,橙色,赤色,赤外LEDにも適用できることは開示されているものの,青色LEDやGaN等の窒化物半導体を活性層に用いたLEDに適用することについては,何ら記載がない。引用例1には,引用発明1について,同発明を構成する「InGaAlP緑色LED用光半導体結晶」に代えて,本件発明1のような「窒化物半導体」を採用することの動機付けはないから,本件出願当時,GaN等の窒化物半導体は,青色光を発する半導体材料として周知であったことを考慮しても,当業者において,引用発明1に基づき,相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-28
事件番号:平成24(行ケ)10035
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社島津製作所
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「飛行時間型質量分析装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(質量分析装置)
ポイント: 引用例には本願明細書における(t|x),(t|a)及び(t|d)が全て0であるという時間的収束の条件に相当する時間的収束の条件が記載されているものの,審決が引用発明を認定するに当たってその根拠とした引用例記載のMULTUMIIは,時間的な収束条件を満たしておらず,検出器に設けられたイオンミラーによって補償されるものであるから,本願発明と同様,「時間的な非収束性が許容された」ものである。審決が本願発明と引用発明との相違点1として認定した点は,実質的には一致点であるというべきであり,審決の認定には誤りがある。しかしながら,審決は,相違点1について,「当業者が適宜なし得る設計的事項」であるとして容易想到性を肯定し,特許を受けることができないものであると判断しているから,上記認定誤りは審決の結論に影響を及ぼすものではない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-28
事件番号:平成24(行ケ)10049
事件種別:審決取消請求
原告:栗田工業株式会社
被告:オルガノ株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「超純水製造装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(超純水製造装置)
ポイント: 甲1発明は,紫外線酸化装置と,その後段に合成炭素系粒状吸着剤を充填した酸化性物質分解装置及び膜式脱気装置を設けた超純水製造装置に関する。甲2発明は,紫外線酸化装置と,その後段にパラジウム触媒樹脂が充填された触媒樹脂装置を設けた超純水製造装置に関する。甲1発明と甲2発明はいずれも超純水製造装置に関し,紫外線酸化装置で生成された過酸化水素を,その後段に設けた過酸化水素分解除去手段により分解除去する点で共通する。技術分野が共通する発明において,機能が共通する手段の置換を試みることは当業者が通常行うことである。甲1発明において,過酸化水素分解除去手段として,合成炭素系粒状吸着剤を充填した酸化性物質分解装置及び膜式脱気装置に換えて,甲2発明におけるパラジウム触媒樹脂が充填された触媒樹脂装置を用い,相違点1に係る構成とすることは当業者が容易に想到する。超純水製造装置で処理される水に一定程度のDOが存在すること,超純水製造装置においてDO濃度を低減すべきことは,当業者に自明の事項であり,甲1発明においても同様と認められる。甲1発明において,DO濃度をより低減するために,周知の脱気装置を更に設けることは,当業者が適宜なし得る。その設置位置は設計的事項であり,過酸化水素分解除去手段の後段とすることも,当業者が目的に応じて適宜決定し得る。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-18
事件番号:平成24(行ケ)10226
事件種別:審決取消請求
原告:サルトリアス ステディム バイオテック ジーエムビーエイチ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「血液製剤中の汚染物質を不活性化する方法及び装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(ウイルス不活化)
ポイント: 引用例Eには,254nmに最大波長を有するCタイプ紫外線を用いたウィルス殺菌装置において,紫外線の照射条件が一定に制御されることが望ましいことから,試料溶液の流速を制御することの記載はあるが,紫外線の照射強度を変更ないし制御することの記載はない。しかし,紫外線の殺菌力は,紫外線線量で表され,紫外線線量=紫外線強度×時間の関係にあることは,本願優先日当時の技術常識である。引用例Eにおいて,「紫外線の照射条件が一定に制御されることが望ましい」と記載され,照射条件は,殺菌のための条件であるから殺菌力を考慮したものであることは当業者に明らかであるから,上記技術常識を勘案すれば,「紫外線の照射条件」とは,紫外線線量を意味すると理解される。引用例Eには,紫外線の照射時間のみならず,照射線量を制御するためのシステムというべき構成を備えることが示唆されている。引用例Eにおいて,Cタイプ紫外線を用いたウィルス殺菌装置において,紫外線の照射条件を一定とするために,照射線量を制御するためのシステムを設けることは示唆されているといえるから,審決判断に誤りはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-24
事件番号:平成24(行ケ)10270
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「気相成長結晶薄膜製 造装置」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(結晶薄膜製造)
ポイント: 本願発明1と引用発明の間の相違点についての容易想到性の有無を判断するに当たっては,前回判決が指摘した本願発明1の「高温炉」と引用発明の「チャンバー」との相違点の技術的意義が考慮されてしかるべきである。引用文献2の記載からすると,引用文献2に記載された発明は,微粒子化された溶液中の化合物を,ヒータにより加熱される搬送ベルトからの伝熱とマッフル炉内からの輻射熱によりあらかじめ加熱した膜形成用基板の表面に接触させることにより,基板表面又は基板近傍で熱分解させるものである。引用文献2に記載された発明のマッフル炉は,輻射熱によって膜形成用基板を加熱するためのものであって,引用文献2には,マッフル炉の壁面に接触した超微粒子を含んだ霧粒が加熱されて分解されることについての記載はない。引用文献2に記載された発明のマッフル炉は,輻射熱によって膜形成用基板を加熱するためのもので,その壁に接触した超微粒子を含んだ霧粒を加熱して分解するためのものではないから,引用発明に引用文献2に記載された発明(及び周知の技術的事項)を組み合わせることによっては,相違点Dに係る構成に,容易に至ることはない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-03-25
事件番号:平成23(ワ)32776
事件種別:損害賠償請求
原告:日亜化学工業株式会社
被告:燦坤日本電器株式会社/ユニティー オプト テクノロジー カンパニー リミテッド(被告補助参加人)
判決:請求棄却
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 小川雅敏 西村康夫
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:進歩性(なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(発光ダイオード)
ポイント: 蛍光体の配置方法としては,甲34のように樹脂を用いず発光素子の前面に設置した透明板に蛍光体層を形成する構成も考え得るが,「発光素子を蛍光染料や蛍光顔料を含有する樹脂で包囲する」技術も周知技術であったのであり,そのような構成も当業者は当然技術的に選択し得る。「発光素子を蛍光染料や蛍光顔料を含有する樹脂で包囲する」技術には,「発光素子からの発光が全部蛍光体を含有する樹脂を通り,変換効率が高くなる」という効果があることが乙30に開示されている。可視発光ダイオードの明るさの改善について研究を続けてきた当業者が,同一の発光ダイオード素子を使用しても,それを封止している樹脂の性状によって,可視発光ダイオードの明るさが向上するという知見を提供していたのであるから,乙3発明と乙30,31の周知技術とに接した当業者は,これを組み合わせて発光ダイオード素子からの光の視感度の向上を図る動機があり,発光素子を蛍光染料や蛍光顔料を含有する樹脂で包囲する構成は容易に想到し得ると認められ,特に阻害要因も認められない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-20
事件番号:平成24(行ケ)10311
事件種別:審決取消請求
原告:日本写真印刷株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「相互静電容量方式タッチパネル」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(タッチパネル)
ポイント: 引用発明の課題は,本願発明の骨見え現象の低減という課題の解決手段として電極間の間隙を電極の幅よりも十分に狭く形成した結果生じる検知機能の低下という課題と同等の課題と解される。引用発明は,検出電極の幅を太くした場合,即ち反面からいえば隣接する検出電極間の間隙を狭くした場合であっても,検出電極にスリットを形成し,スリットを介したフリンジ電界も生じさせてタッチセンサの検出感度を向上させることにより,この課題の解決を可能とする。検知機能の低下という課題の解決手段として構成されている引用発明に,骨見え現象の低下という本件発明の課題の解決手段として,本願発明の属するタッチパネルの技術分野において周知技術である「透明電極の設けられていない領域をできるだけ少なくすることで,均一な視認性を確保すること」を適用して,「隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する上部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する下部電極同士が近づいて配置され」たとの相違点に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得る。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-31
事件番号:平成24(行ケ)10314
事件種別:審決取消請求
原告:ザ,トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ/ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
被告:株式会社半導体エネルギー研究所
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:「高透明性非金属カソード」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(有機発光デバイス)
ポイント: 引用例1には,「常温でもリン光が観測される有機色素があり,これを第2の有機色素として用いることにより,第1の有機色素の励起三重項状態のエネルギーを効率よく利用することができる。このような有機色素としては,カルボニル基を有するもの,水素が重水素に置換されているもの,ハロゲンなどの重元素を含むものなどがある。これらの置換基はいずれもリン光発光速度を速め,非発光速度を低下させる作用を有する。」との記載しかなく,「常温でリン光を発光する有機電界発光素子」に該当する化学物質の具体的構成等,上記技術的思想を実施し得るに足りる技術事項について何らかの説明をしているものでもない。引用例1に接した当業者が,思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもなく,本件優先権主張日当時の技術常識に基づいて,「常温でリン光を発光する有機電界発光素子」を見いだすことができる程度に,引用例1にその技術事項が開示されているということはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-29
事件番号:平成24(行ケ)10157
事件種別:審決取消請求
原告:中央発條株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「高強度ばねの製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(高強度ばね製造)
ポイント: 引用例1に,「常温でショットピーニング加工を施したものに比し,疲れ強さなどばねの性能を簡単な手段で更に向上させようとするものである。すなわち前述したようなショットピーニング加工を施すと,・・・常温加工に比し温間加工では転位が増大するので,材質がより強靭となり疲れ強さなどの性能が向上する。」と記載されていることからすると,引用発明は,ばねの疲労強度の向上を目的としている。引用例2には,ショットピーニング処理後急冷したばね等の被処理品の疲労強度は,ショットピーニング処理のみを行ったものに比べて向上することが記載されている。引用発明と引用例2に記載された技術的事項とは,ばね等の被処理品の疲労強度の向上という点で共通の目的を有している。引用発明において,ばねの疲労強度をより向上させるために,引用例2に記載されているようにショットピーニング処理後に急冷することは,当業者であれば容易に想到し得る。
45
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-17
事件番号:平成24(行ケ)10184
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:独立行政法人科学技術振興機構
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「ポーラス銀の製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(ポーラス銀製造)
ポイント: 引用例には,①加圧,減圧又は一定圧に制御した水素又は他のガス雰囲気下に,②銅,鉄,マグネシウム,ニッケル等の基材材料を,③鋳造法において溶融した後,凝固させる,④ポーラス材料の製造方法であって,⑤溶融した基材材料に対して水素又は他のガスは高い溶解度を示し,⑥水素又は他のガスと基材材料は共晶組成を有するものである,ポーラス材料の製造方法(引用発明)が記載されているものと認められる。引用例に記載された発明は,ポーラス金属を製造するに当たり金属を溶融及び凝固させる方法として専ら鋳造法を採用している。引き上げ法がチョクラルスキー法と称されており,かつ,それが単結晶材料の製造方法であることは,本件出願日当時の当業者の技術常識であると認められるものの,本件証拠のうち審判手続でも提出されたものの中には,引用発明の鋳造法に代えて,通常は多結晶材料であることが当然に想定されるポーラス金属の製造に当たり単結晶材料の製造方法である引き上げ法を採用することを動機付けるものはない。引用例に接した当業者は,引用発明に基づき,引用発明の鋳造法に代えて,本件発明3の相違点3に係る構成である引き上げ法を採用することを容易に想到することができなかったものというべきである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-21
事件番号:平成24(行ケ)10262
事件種別:審決取消請求
原告:ショット アクチエンゲゼルシャフト
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「ガラス溶融物を形成する方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(ガラス溶融物製造)
ポイント: 本願発明と引用発明はいずれも,溶融段階,純化(清澄)段階,均質化段階を有するガラス溶融物を形成する方法に関し,技術分野が共通し,溶融物が1700℃を超える温度に加熱され,純化(清澄)段階における温度が1850℃である点でも共通する。しかし,本願発明の解決しようとする課題は,ガラスを溶融し,純化しかつ均質化する方法を,白金からなる構成部分を使用する場合でも酸素リボイルが防止されるように構成することであるのに対して,引用発明の解決しようとする課題は,溶解に高温度(特に1700℃以上)を要するガラスを,不純物や泡・異物等の無い高品質なガラスとして製造する技術を提供することであり,本願発明と引用発明とでは,解決課題が相違する。また,引用発明は,粗溶解したガラスを高周波誘導直接加熱により直接加熱して,溶解・均質化・清澄するものであるが,清澄は,ガラス中に発生する誘導電流に伴う強制対流混合によりなされるものであり,一種の物理的清澄と解される。引用文献1には,溶融ガラスに清澄剤を添加して清澄ガスを発生させて清澄すること,即ち化学的清澄については記載も示唆もない。引用文献1は,物理的清澄を行う引用発明において化学的清澄を併用する動機付けがあることを示すものとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-21
事件番号:平成24(行ケ)10239
事件種別:審決取消請求
原告:ショット アクチエンゲゼルシャフト
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「溶融ガラスの清澄方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(溶融ガラス製造)
ポイント: 化学的清澄方法において1700℃以上の温度で清澄剤を使用することや,1800℃ないし2000℃の温度で溶融ガラスを物理的清澄方法により清澄する引用発明に対して,清澄剤を添加して化学的清澄方法により溶融ガラスを清澄する引用例2に記載された発明を組み合わせることについては,本件においてはこれを示唆ないし動機付ける証拠の存在が認められない。本願発明は,例えば清澄時間を従来技術の約3時間から約30分に著しく短縮するという作用効果を有するものであるところ,当該温度により清澄時間をこのように著しく短縮できることについては,前掲各証拠には何ら記載も示唆もないから,引用発明を含む従来技術に接した当業者は,本願発明の奏する上記作用効果を予測することはできない。
48
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-25
事件番号:平成24(行ケ)10245
事件種別:審決取消請求
原告:本州化学工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンの製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(トリメチルシクロヘキサン製造)
ポイント: 一般に,化学物質の製造工程において,目的物質を主に含む画分以外の画分にも目的物質や製造反応に有用な物質が含まれる場合には,それをそのまま,あるいは適切な処理をした後に製造工程で再利用して無駄を減らすことは周知の技術思想であって,実際,フェノールとカルボニル化合物からビスフェノール類を製造する場合においても,さまざまな具体的製造方法において,途中工程で得られた有用物質を含む画分が再利用されている。しかし,ある製造方法のある工程で得られた,有用物質を含む画分を,製造方法のどの工程で再利用するかは,製造方法や画分の種類に応じて異なる。この点,引用発明においては,再結晶濾液を再利用できる工程として,フェノールと3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンとを反応させる前反応及び後反応のみならず,中和後の結晶化工程や再結晶工程が想定されるところ,審決には,フェノールと3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンとを反応させる工程に循環させるという構成に至る理由が示されていない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-06
事件番号:平成24(行ケ)10335
事件種別:審決取消請求
原告:栗田工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「斑点防止方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(製紙斑点防止)
ポイント: 補正発明と引用発明とは,製紙工程水に,塩素系酸化剤とアンモニウム塩との反応物を添加する点で共通する。しかし,引用発明は,パルプスラリーの濃原液における微生物を殺害し,生物汚染を阻害するものであり,炭酸カルシウムが存在する製紙工程において,紙に発生する炭酸カルシウムを主体とする斑点を防止するものではない。刊行物1には,循環水における微生物の増殖は,紙シートの欠陥を引き起こすことの記載はあるが,その具体的な内容は明らかではなく,例6においても,パルプスラリーの濃原液に各種の薬剤(生物殺生剤)を添加した場合における,微生物の生存計数が示されるのみである。刊行物1には,炭酸カルシウムが存在する製紙工程において,微量スライムが炭酸カルシウムを凝集させることで,紙に炭酸カルシウムを主体とする斑点が発生すること,また,製紙工程水に上記一致する反応物を添加することで,このような斑点を防止できることは記載も示唆もない。刊行物1は,引用発明に係る方法を,炭酸カルシウムが存在する製紙工程において実施することにより,紙に発生する炭酸カルシウムを主体とする斑点を防止することを動機づけるものではない。周知技術の斑点は,填料を含むものではあるものの,補正発明における炭酸カルシウムを主体とする斑点とは異なる。周知例1,2にも,炭酸カルシウムが存在する製紙工程において,微量スライムが炭酸カルシウムを凝集させることにより,紙に炭酸カルシウムを主体とする斑点が発生すること,製紙工程水に上記反応物を添加することにより,このような斑点を防止できることについては記載も示唆もない。周知例1,2も,引用発明に係る方法を,炭酸カルシウムが存在する製紙工程において実施することにより,紙に発生する炭酸カルシウムを主体とする斑点を防止することを動機づけるものではない。
50
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-18
事件番号:平成24(行ケ)10349
事件種別:審決取消請求
原告:サン-ゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「多孔質研磨工具及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(研磨用品製造)
ポイント: 砥石に形成される気孔が,①切粉を容易に排出する,②砥石と冷却液とを十分に接触させ,砥石の冷却効果を高める,③砥石の自生作用を促進し,切れ味を保つ,④研削中に自動的に目立てが行われる,等の機能を有するものであることは,技術常識と認められる(刊行物1~4)。このような機能を有する気孔について,どの程度の体積率とするかは,砥石の用途(何を研削するか)や使用態様(研削条件等)のほか,砥粒及び結合材の材質や割合,砥石の各種特性と耐久性のバランス等も考慮して,当業者が適宜決定しうる事項である(刊行物1~4)。砥石において,「少なくとも50体積%」の「連通」気孔を設けたものは,通常のものと認められる(刊行物2~4)。刊行物1には,「砥石中の気孔率は,混入する気孔形成用物質の混入量によって調節することができる。」と記載されており,所望の体積率の気孔を形成すること自体に何ら困難性はない。刊行物1発明において,砥石の用途や使用態様からみて,気孔の機能を十分に発揮させる必要がある場合に,砥粒及び結合材の材質や割合,砥石の各種特性と耐久性のバランス等も考慮して,連通気孔の体積率を「約32%」から「少なくとも50体積%」に高めることは,当業者が容易に想到する。
51
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-31
事件番号:平成24(行ケ)10305
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社アマダ
被告:三菱電機株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「レーザ加工方法,被レーザ加工物の生産方法,およびレーザ加工装置,並びに,レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(レーザ加工)
ポイント: 本件発明1は,被覆材をあらかじめ除去するのに対し,甲1発明は,保護シート(被覆材)が剥離するのを防止するために,ワーク(被加工物)にあらかじめ保護シートを焼付ける。この点において両発明は相違する。甲1公報には,保護シートをあらかじめ除去することの記載も示唆もなく,甲1発明の保護シートが剥離するのを防止するために,保護シートをあらかじめ除去することを動機付けるものはない。甲2公報及び甲3公報には,アシストガスについての記載はなく,アシストガスが被加工物と被覆材との間に侵入して,被覆材が剥離することについても何ら記載はない。上記周知技術における「被覆材を除去する」ことと,甲1発明における「ワークに保護シートを焼付ける」ことは,相互に置換可能な手段であるとはいえないから,甲1発明において,ワークにあらかじめ保護シートを焼付けることに代えて,保護シートをあらかじめ除去する動機付けがあるということはできない。
52
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-31
事件番号:平成24(行ケ)10020
事件種別:審決取消請求
原告:パナソニック株式会社
被告:Y
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「発光装置」
争点:実施可能要件(違反あり→なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:材料(蛍光体層)
ポイント: 本件明細書の発明の詳細な説明に内部量子効率が80%未満の赤色蛍光体が記載されているにすぎなかったとしても,当業者は,蛍光体の製造方法において,製造条件の最適化を行うことにより,赤色蛍光体についても,その内部量子効率が80%以上のものを容易に製造することができる。実際,証拠によれば,本件出願後ではあるが,平成18年3月22日,内部量子効率が86ないし87%のCaAlSiN3:Euの赤色蛍光体が製造された旨が発表されたことが認められる。以上によると,本件明細書の発明の詳細な説明には,当業者が内部量子効率80%以上の赤色蛍光体を製造することができる程度の開示が存在する。
53
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-16
事件番号:平成24(行ケ)10321
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社
被告:株式会社クラレ
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」
争点:実施可能要件(違反あり→なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:材料(合わせガラス用中間膜)
ポイント: 審決は,TOF-SIMSでアルカリ(土類)金属塩ばかりでなくアルカリ(土類)金属イオンをも検出していることを実施可能要件違反の根拠の1つとするが,まず,訂正明細書の【0093】では,例えばアルカリ土類金属塩の1種であるマグネシウム塩が中間膜中で電離せず塩の形で存在することが示されているから,本件発明において,アルカリ(土類)金属塩が相当程度(相当割合)電離してイオンを生成することが予定されているものではない。原告のグローバルテクニカルセンターのC作成の実験成績証明書によれば,中間膜表面の赤外線分光法測定で,本件発明の技術的範囲に属する中間膜では,遊離している酢酸(イオン)に特有の吸収スペクトルが確認されなかったから,添加された酢酸マグネシウムの電離(解離)の度合いはごく低水準であったものと認めることができる。上記Cが作成した別の実験成績証明書によれば,中間膜をFE-TEMで撮影した写真でみられる凝集物の像とEDSで撮影した写真でみられるマグネシウム,酸素の像とが位置的に符合するから,酢酸マグネシウムは中間膜表面で凝集していることが認められる。本件発明の中間膜,とりわけその表面では,ポリビニルアセタール樹脂を製造するときに中和工程に用いる薬剤あるいは接着力調整剤に起因する残留アルカリ(土類)金属塩の大部分が電離せず塩の形で残っており,電離してアルカリ(土類)金属イオンとなる割合はごく小さい。TOF-SIMSの二次イオン像のイメージングの分析において,アルカリ(土類)金属イオンの存在を考慮外としても差し支えないというべきである。TOF-SIMSがアルカリ(土類)金属イオンをも検出していること,ないしその可能性があることを根拠に,当業者において本件発明を実施可能でないとはいえない。
54
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-23
事件番号:平成24(行ケ)10178
事件種別:審決取消請求
原告:フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「LEDおよびLEDの組立方法」
争点:実施可能要件(違反あり→あり)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:構造(LED)
ポイント: 本願発明の発明の詳細な説明には,実質的には,『サファイア基板の上部表面上に陥凹部又は突出部を被うように半導体材料の層をエピタキシャル成長させる。』との記載があるだけであり,半導体材料の層をエピタキシャル成長させる際の手順及び条件を示した具体的な説明が記載されていない。本願発明の優先日当時の技術常識に照らして,本願明細書の発明の詳細な説明の記載から本願発明を実施し(本願発明のLEDの生産),本願発明にいう「改善されたLED」を得ることは,当業者に期待し得る程度を超える過度の試行錯誤を強いるものといわざるを得ない。
55
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-31
事件番号:平成24(行ケ)10052
事件種別:審決取消請求
原告:リスパック株式会社
被告:株式会社エフピコ
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「光沢黒色系の包装用容器」
争点:サポート要件(違反あり→あり)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(包装用容器)
ポイント: 本件発明2が本件明細書に記載されている,あるいは,本件発明2の「光沢」黒色系容器が本件明細書に実施可能に記載されているというためには,昇温結晶化温度及び結晶化熱量の物性値について,容器成形前のシート層と容器成形後の容器切り出し片との間で,当業者が通常採用する条件であればこれらの物性値が不変であるか,当業者が通常なし得る操作によりこれらの物性値の変化を正確に制御し得るか,あるいは,これらの物性値が変化しないような成形方法や条件が本件明細書に記載される必要がある。成形前後で昇温結晶化温度及び結晶化熱量の物性値がほとんど変化しない場合もあれば,成形後に大きく低下する場合もあると認めるのが相当であり,当業者が通常採用する成形条件の下において,これらの物性値が不変であるとは認められない。成形温度のみならず,成形時間や延伸の程度によっても,上記の物性値は変化するものと認められるのであって,当業者であっても,それらの物性値の変化を正確に予測したり,制御したりすることは容易ではない。上記物性値が変化しないような成形方法や条件について,本件明細書には記載も示唆も認められない。本件発明2は,技術常識を参酌しても,発明の詳細な説明によりサポートされているとは認められない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-20
事件番号:平成24(行ケ)10151
事件種別:審決取消請求
原告:JFEスチール株式会社
被告:新日鐵住金株式会社 (審決上の名称 新日本製鐵株式会社)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「高強度高延性容器用鋼板およびその製造方法」
争点:サポート要件(違反なし→あり)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(鋼板)
ポイント: 合金は,通常,その構成(成分及び組成範囲等)から,どのような特性を有するか予測することは困難であり,また,ある成分の含有量を増減したり,その他の成分を更に添加したりすると,その特性が大きく変わるものであって,合金の成分及び組成範囲が異なれば,同じ製造方法により製造したとしても,その特性は異なることが通常である。訂正明細書の発明の詳細な説明に開示された鋼の組成についてみると,含有する成分として,C:0.005~0.040%のほか,Si:0.001~0.1%,Mn:0.01~0.5%,P:0.002~0.04%,S:0.002~0.04%,Al:0.010~0.100%,N:0.0005~0.0060%と特定しているところ,上記以外の成分及び組成範囲を有する鋼を用いる場合においても,所定の製造方法により製造された鋼板が,良好なフランジ成形性を有するものであるとは,当業者が認識できず,また,そのように認識できると認めるに足りる証拠もない。鋼の組成について,「C:0.005~0.040%を含有」することを特定するのみで,C以外の成分について何ら特定していない本件訂正発明は,訂正明細書の発明の詳細な説明に開示された技術事項を超える広い特許請求の範囲を記載していることになるから,訂正明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
57
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-17
事件番号:平成24(行ケ)10300
事件種別:審決取消請求
原告:スリーエム カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「可撓性ポリウレタン材料」
争点:サポート要件(違反あり→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(可撓性ポリウレタン)
ポイント: 「構成gないし構成k」の部分は,限定的な意味を有するものではないことから,本願発明1の技術的範囲は,「構成aないし構成f」の記載によって限定される範囲であると合理的に解釈される。本願明細書の【0049】【0050】【0059】ないし【0061】並びに表3,表5及び表6には,本願発明1の構成aないし構成fを充足する実施例1,13及び14が記載されていると理解される。本願発明1については,本願明細書の発明の詳細な説明において,「構成gないし構成k」の部分に係る「要件bのみ」及び「要件c」を満足する具体例を記載開示しなかったことが,少なくとも,36条6項1号の規定に反すると評価することはできない。
58
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-26
事件番号:平成24(行ケ)10451
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社クラレ
被告:積水化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(合わせガラス)
ポイント: 本件明細書の記載事項は,合わせガラス用中間膜にナトリウム又はカリウムのいずれか一方を含有する場合にその含有量が請求項1に規定する数値範囲にあるときは,耐湿性及び帯電防止性がいずれも「良好」であることを示しているから,耐湿性等の合わせガラス用中間膜としての基本的な性能に優れ,かつ,帯電防止性に優れた合わせガラス用中間膜を提供するという本件発明1の課題を解決できることを当業者が認識できる。ナトリウムのみを含有する場合とカリウムのみを含有する場合において,それぞれの含有量と表面固有抵抗及び白化距離との関係は,含有量が減少すると,表面固有抵抗が大きくなって,帯電防止効果が低くなり,含有量が増加すると,白化距離が長くなって,耐湿性が低くなるという同様の傾向を示していることに鑑みると,ナトリウム及びカリウムの両方を含有する場合においても,本件明細書には具体的な実施例の記載はないものの,上記同様の傾向を示すものと理解できる。
59
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-19
事件番号:平成24(行ケ)10387
事件種別:審決取消請求
原告:アルベマール・コーポレーション
被告:株式会社カネコ化学
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「安定化された臭化アルカン溶媒」
争点:サポート要件(違反あり→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:組成物(臭化アルカン)
ポイント: 本件発明は,臭化n-プロピル溶媒とその安定剤系の最良の組合せを調査することにより,使用者及び環境に優しく,かつ,より高い温度で使用した場合に金属が腐食されないという安定化効果を示す脱グリ-ス及び洗浄用溶媒を提供するという課題を解決しようとする発明であることから,発明の詳細な説明に開示された課題を解決するために使用する臭化n-プロピルの安定剤にかかる化学物質が,過不足なく特許請求の範囲に記載されていれば,サポート要件を満たすというべきである。本件発明1及び4~10は,安定剤系部分を「ニトロアルカン,1,2-ブチレンオキサイドおよび1,3-ジオキソランを含んでいて1,4-ジオキサンを含まない」と特定し,本件発明2は,上記安定剤系部分におけるニトロアルカンを「ニトロメタン,ニトロエタンまたはそれらの混合物」と特定し,本件発明3は,上記安定剤系部分におけるニトロアルカンを「ニトロメタン」と特定するものであるが,これらの安定剤系部分は,発明の詳細な説明に実施例により開示された安定剤系に一致するので,本件発明1~10はサポート要件を満たす。
60
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-17
事件番号:平成24(行ケ)10211
事件種別:審決取消請求
原告:イルジンマティリアルズ株式会社
被告:ソニー株式会社/古河電気工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池用の平面 状集電体」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:構造(非水電解液二次電池)
ポイント: 本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,①従来,リチウムイオン二次電池の集電体として一般に銅箔が使用されているが,この銅箔として市販の電解銅箔を使用した場合には,電解銅箔の一方の主面に大きな凹凸が形成され,両主面の表面粗さの差が大きすぎて,活物質と集電体の接触が悪いため,電池特性,特に充放電でのサイクル特性が悪くなるという問題が生じること,②このような問題点を解決し,活物質と集電体の接触性を良好に保って,充放電サイクルに優れた安価な非水電解液二次電池用の平面状集電体を提供することを目的として,電解銅箔のマット面及び光沢面の表面粗さが10点平均粗さにして3.0μmより小さく,このマット面と反対側の光沢面との表面粗さの差が10点平均粗さにして1.3μm以下とすること,③上記数値限定を満足する実施例1~3と,一方の主面であるマット面に大きな凹凸が形成されて両主面の表面粗さの差が大きすぎて上記数値限定を満足しない比較例1の電解銅箔を,それぞれ負極集電体に用いた円筒形非水電解液二次電池について,100サイクル後の容量維持率とインピーダンスを測定し,前者が後者より優れたものであることが記載されている。本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,本件発明の課題とその課題を解決する手段,その具体例において課題が解決されたことが記載されている。本件発明は,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであり,サポート要件を満たす。
61
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-17
事件番号:平成24(行ケ)10212
事件種別:審決取消請求
原告:イルジンマティリアルズ株式会社
被告:ソニー株式会社/古河電気工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池用の平面 状集電体」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:構造(非水電解液二次電池)
ポイント: 本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,①従来,リチウムイオン二次電池の集電体として一般に銅箔が使用されているが,この銅箔として市販の電解銅箔を使用した場合には,電解銅箔の一方の主面に大きな凹凸が形成され,両主面の表面粗さの差が大きすぎて,活物質と集電体の接触が悪いため,電池特性,特に充放電でのサイクル特性が悪くなるという問題が生じること,②このような問題点を解決し,活物質と集電体の接触性を良好に保って,充放電サイクルに優れた安価な非水電解液二次電池用の平面状集電体を提供することを目的として,電解銅箔のマット面及び光沢面の表面粗さが10点平均粗さにして3.0μmより小さく,このマット面と反対側の光沢面との表面粗さの差が10点平均粗さにして1.3μm以下とすること,③上記数値限定を満足する実施例1~3と,一方の主面であるマット面に大きな凹凸が形成されて両主面の表面粗さの差が大きすぎて上記数値限定を満足しない比較例1の電解銅箔を,それぞれ負極集電体に用いた円筒形非水電解液二次電池について,100サイクル後の容量維持率とインピーダンスを測定し,前者が後者より優れたものであることが記載されている。本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,本件発明の課題とその課題を解決する手段,その具体例において課題が解決されたことが記載されている。本件発明は,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであり,サポート要件を満たす。
62
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-27
事件番号:平成24(行ケ)10292
事件種別:審決取消請求
原告:DIC株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「強接着再剥離型粘着剤及び粘着テープ」
争点:サポート要件(違反あり→あり)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:構造(粘着テープ)
ポイント: 粘着剤が請求項1に記載された組成を満たしているとしても,それ以外の多数の要因を調整しなくては,請求項1に記載された粘弾特性を満たすようにならないことは明らかであり,実施例1ないし4という限られた具体例の記載があるとしても,請求項1に記載された組成及び粘弾特性を兼ね備えた粘着剤全体についての技術的裏付けが,発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。そうである以上,請求項1に記載された粘着剤は,発明の詳細な説明に記載された事項及び本件出願時の技術常識に基づき,当業者が本願発明の前記課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。本願発明に係る特許請求の記載の範囲の記載は,サポート要件に適合しない。
63
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10200
事件種別:審決取消請求
原告:サムスンコーニング精密素材株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「外光遮断層,外光遮断層を含むディスプレイフィルタおよびディスプレイフィルタを含むディスプレイ装置」
争点:明確性要件(違反あり→なし)
参照条文:36条6項2号
分野:化学
分類:材料(外光遮断層)
ポイント: 本願発明に係る特許請求の範囲の記載及び本願明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,本願発明は,PDP装置において,明室条件では,外部環境光がPDPフィルタを通過してパネルアセンブリ内に流入し,パネルアセンブリ内の放電セルから発生した入射光との重畳が発生する結果,コントラスト比が低下し,PDP装置の画面表示能力が劣るところ,輝度,視野角及び明室条件におけるコントラスト比を向上させることができる外光遮断層を提供することを目的とし,透明樹脂材質の基材の一面に一定の周期で互いに離隔して,所定濃度で着色剤を含む樹脂を含むくさび形遮光パターンを,所定の面積割合で形成するものであり,着色剤を含む樹脂は金属粉末を樹脂に添加したもので,その金属粉末は黒色の金属である。本願発明における遮光パターンは,0.5~1.5wt%重量濃度で着色剤を含む樹脂を含むものであり,その着色剤を含む樹脂は,金属粉末を前記樹脂に添加したもので,その金属粉末は,黒色の金属であると特定されている。本願発明に係る特許請求の範囲の「前記金属粉末は,黒色の金属である」との記載は,その文言どおり,樹脂に添加される金属粉末の色が黒色であることを意味するものと理解することができる。
64
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-14
事件番号:平成24(行ケ)10303
事件種別:審決取消請求
原告:日亜化学工業株式会社
被告:三洋電機株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 田中芳樹 齋藤巌
発明の名称等:「窒化物系半導体素子の製造方法」
争点:明確性要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項2号
分野:化学
分類:方法(半導体素子製造)
ポイント: 「転位」とは,「結晶中に存在する原子レベルの線状の格子欠陥」を意味し,研磨によって「転位」が発生することは,一般に知られていたものである。「転位密度」なる用語は,本件出願当時,当業者において慣用されていたものである。本件発明にいう「転位」あるいは「転位密度」との用語が,それ自体明確性を欠くとはいえない。「転位密度」は,本件明細書の「エッチングによる効果を確認するために,エッチング前後におけるn型GaN基板の裏面の結晶欠陥(転位)密度を,TEM分析により測定した。」との記載や「これらの試料において,n型GaN基板の裏面の結晶欠陥(転位)密度を,TEM分析により測定したところ,試料3の結晶欠陥密度は1×109cm-2であった。」等の記載からすると,TEM分析により測定しているものと認められるところ,甲29・30によれば,TEM分析によって,GaN半導体に機械研磨によって生じた転位を観察し,かつ,転位密度を測定することができる。本件発明は,「前記研磨により発生した転位を含む前記第1半導体層の裏面近傍の領域を除去して前記第1半導体層の裏面の転位密度を1×109cm-2以下とする」ものであるから,測定を要する「転位密度」は,研磨によって発生した転位を含む第1半導体層(GaN基板)の裏面近傍の領域の「転位密度」ではなく,この領域を除去した後の第1半導体層(GaN基板)裏面の「転位密度」をいうのであり,これ自体明確な記載であって明確性要件を欠くものとはいえない。
65
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-27
事件番号:平成24(行ケ)10362
事件種別:審決取消請求
原告:エヴァーライト エレクトロニクス カンパニー リミテッド
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:新たな無効原因(分割要件違反)
参照条文:178条
分野:化学
分類:構造(発光ダイオード)
ポイント: 本件審決は,本件訂正前の特許請求の範囲請求項1ないし4の記載に基づいて各請求項に係る発明を認定し,これを前提に29条2項,36条4項及び同条6項1号の各規定の違反はないと判断して,各請求項に係る発明について特許無効とはできないとしたが,本件審決の取消しを求める本件訴訟の係属中に,特許請求の範囲の減縮を含む本件訂正に係る審判が請求され,特許庁は本件訂正を認める審決をし,これが確定しているものである。そうすると,本件審決は,結果として,請求項1ないし4について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったこととなり,この誤りが各請求項についての審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
66
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-05
事件番号:平成25(行ケ)10073
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:「光電変換装置」
争点:補正(新規事項追加あり→あり)
参照条文:17条の2第3項
分野:化学
分類:装置(光電変換装置)
ポイント: 本件補正によって【0019】に追加された下線部の記載は,括れ形成部及び抉れ部について,一連の具体的な製造プロセスを説明したものと認められる。しかし,当初明細書等には,括れ形成部及び抉れ部の形成方法について,「尚,太陽電池の製造プロセスは,蒸着,露光,蝕刻(エッチング)など,従来からの,半導体,液晶パネルの製造プロセスを踏襲しており,前記括れ形成部9,および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を形成することは,CVD法や選択式露光,等方性エッチング,選択式エッチング,あるいはCMP法であるダマシン法やデュアルダマシン法を選択的に駆使して形成することが出来る。と,CVD法,選択式露光,等方性エッチング,選択式エッチング,CMP,ダマシン法及びデュアルダマシン法という半導体製造技術における一般的な処理方法が記載されているものの,補正後明細書の【0019】の下線部に記載された括れ形成部及び抉れ部についての一連の具体的な製造プロセスについては,何らの記載もない。また,補正後明細書の【0019】の下線部に記載された括れ形成部及び抉れ部についての一連の具体的な製造プロセスが,当初明細書等の【0019】の半導体製造技術における一般的な処理方法の記載から,本願出願当時の技術水準に照らして自明な事項ではない。
67
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-14
事件番号:平成24(行ケ)10229
事件種別:審決取消請求
原告:ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 髙部眞規子 齋藤巌
発明の名称等:「グリセロールからジクロロプロパノールを製造するための方法であって,該グリセロールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法」
争点:補正(限定的減縮違反あり→あり)
参照条文:17条の2第5項2号
分野:化学
分類:方法(ジクロロプロパノール製造)
ポイント: エナメルスチール(鋼板ホウロウ)には,耐腐食性に優れたガラスライニングのような物質も存在するものの,一般的には耐腐食性が小さいものであるから,反応器の材質であるエナメルスチールに関して,「反応条件下で前記塩素化剤に対して耐性があり」を削除することは,ガラスライニングのように耐腐食性に優れたもののみならず,広く一般的なエナメルスチールをも含むように特許請求の範囲を拡張するものといわなければならない。
68
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-16
事件番号:平成25(行ケ)10064
事件種別:審決取消請求
原告:アルケマ フランス
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有する耐老化性コポリマー」
争点:発明の要旨認定(遺漏なし)
参照条文:36条5項
分野:化学
分類:材料(耐老化ポリマー)
ポイント: 審決において,請求人の提出に係る補正案の記載のある書面につき,その当否について個々的具体的な理由を示さなかったとしても,審決が当然には違法となるものではない。36条1項は,特許を受けようとする者は,願書を特許庁長官に提出しなければならない旨を定め,同条2項は,願書に特許請求の範囲等を添付しなければならない旨を定めている。そして,同条5項は,同条2項の定める願書に添付すべき特許請求の範囲の記載に関し,請求項に区分して,各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める全ての事項を記載しなければならないことを定めている。そうすると,同条項にいう「特許出願人が特許を受けようとする発明」は,願書に記載された特許請求の範囲を指すことは明らかであり,本件上申書や本件回答書に記載された補正案発明がこれに該当しないことは明らかである。
69
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-08-01
事件番号:平成25(行ケ)10007
事件種別:審決取消請求
原告:ユニティー オプト テクノロジー カンパニー リミテッド
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「発光ダイオードの形成方法」
争点:発明の要旨認定(違法性なし)
参照条文:36条5項
分野:化学
分類:方法(発光ダイオード形成)
ポイント: 審決は,本件発明の構成を,特許請求の範囲のとおりに認定し,以下のように分説したうえで甲1発明と対比し,の構成における「基板」と甲1発明の「マウント・リード105」は,いずれも「発光素子を載置する部材」といえるとし,相違点1として,両者は,「発光素子を載置する部材」の構成(上位概念)を有する点で一致するものの,本件発明が「発光素子が基板に載置され」との構成であるのに対し,甲1発明が「発光素子がマウント・リード105のカップ部105a上に設けられ」との構成で相違する(相違点1の一部)と認定したものである。このように認定する過程として,上記のように原告の主張に応えた箇所はあるものの,審決は,明細書の記載を参酌しているものではない。
70
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10122
事件種別:審決取消請求
原告:燦坤日本電器株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:発明の同一性(非同一→非同一)
参照条文:39条2項
分野:化学
分類:材料(窒化ガリウム系化合物半導体)
ポイント: 第2分割出願の特許訂正明細書には,「青色,紫外発光の発光素子はII-VI族のZnSe,IV-IV族のSiC,III-V族のGaN等の半導体材料を用いて研究が進められ最近,その中でも一般式がGaXAl1-XN(但しXは0≦X≦1である)で表される窒化ガリウム系化合物半導体が,常温で,比較的優れた発光を示すことが発表され注目されている。」と記載されている。「青色領域に発光ピークを有する可視光を発光する窒化ガリウム系化合物半導体」よりなる本件特許発明の発光素子に対して,「青色の可視光が発光可能な一般式GaXAl1-XN(但しXは0≦X≦1である)で表される窒化ガリウム系化合物半導体」よりなる第2分割出願発明の発光素子は,常温で,比較的優れた発光を示すという新たな効果を奏するものであるから,相違点1は実質的な相違点であると認められる。
71
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10123
事件種別:審決取消請求
原告:燦坤日本電器株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:発明の同一性(非同一→非同一)
参照条文:39条2項
分野:化学
分類:材料(窒化ガリウム系化合物半導体)
ポイント: 第2分割出願の特許訂正明細書には,「青色,紫外発光の発光素子はII-VI族のZnSe,IV-IV族のSiC,III-V族のGaN等の半導体材料を用いて研究が進められ最近,その中でも一般式がGaXAl1-XN(但しXは0≦X≦1である)で表される窒化ガリウム系化合物半導体が,常温で,比較的優れた発光を示すことが発表され注目されている。」と記載されている。「青色領域に発光ピークを有する可視光を発光する窒化ガリウム系化合物半導体」よりなる本件特許発明の発光素子に対して,「青色の可視光が発光可能な一般式GaXAl1-XN(但しXは0≦X≦1である)で表される窒化ガリウム系化合物半導体」よりなる第2分割出願発明の発光素子は,常温で,比較的優れた発光を示すという新たな効果を奏するものであるから,相違点1は実質的な相違点であると認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-19
事件番号:平成24(行ケ)10433
事件種別:審決取消請求
原告:日立金属株式会社(日立電線株式会社訴訟承継人)
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「太陽電池用平角導体及びその製造方法並びに太陽電池用リード線」
争点:発明の同一性(同一→非同一)
参照条文:41条
分野:化学
分類:材料(太陽電池用芯材)
ポイント: 本願発明と先願基礎発明とは,耐力に係る数値範囲について重複部分すら存在せず,全く異なる。先願基礎明細書には,太陽電池用平角導体の0.2%耐力値を,本願発明のように,90MPa以下(ただし,49MPa以下を除く)とすることを示唆する記載はない。半導体基板に発生するクラックが,半導体基板の厚さにも依存するものであるとしても,耐力に係る数値範囲を本願発明のとおりとすることについて,本件出願当時に周知技術又は慣用技術であると認めるに足りる証拠はない。先願基礎発明において,本願発明と同様の0.2%耐力値を採用することが,周知技術又は慣用技術の単なる適用であり,中間層の構成や半導体基板の厚さ等に応じて適宜決定されるべき設計事項であるとはいえない。
73
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-18
事件番号:平成24(行ケ)10306
事件種別:審決取消請求
原告:日亜化学工業株式会社
被告:エヴァーライト エレクトロニクス カンパニー リミテッド
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「窒化物半導体発光素子」
争点:国内優先権(無効→無効)
参照条文:41条2項
分野:化学
分類:構造(発光素子)
ポイント: 本件基礎出願明細書におけるInGaN活性層の膜厚の下限が200Åである旨の記載は,従来技術のAlGaNクラッド層で挟んだ構造において,InGaN活性層の膜厚の下限を200Åとすることを記載しているにすぎず,InGaN活性層をInGaNクラッド層で挟む構造を採用した本件基礎出願発明のInGaN活性層の膜厚の下限を200Åとすることを意味するものではない。本件基礎出願明細書の実施例において,活性層の膜厚として記載されているのは,400Å及び1000Åであって,200Åの膜厚は記載されていない。本件基礎出願明細書の【発明の効果】欄には,活性層の膜厚について何ら記載されていない。甲13によると,本件基礎出願明細書には,本件基礎出願発明のInGaN活性層の膜厚の下限を200Åとすることについて,これを示唆する記載もない。本件基礎出願明細書において,InGaN活性層の膜厚を200Åにすることが記載されているとまではいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10144
事件種別:審決取消請求
原告:燦坤日本電器株式会社
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:分割の適法性(適法→適法)
参照条文:44条
分野:化学
分類:材料(窒化ガリウム系化合物半導体)
ポイント: 最初の原出願の当初明細書の記載によれば,最初の原出願に記載の発明の技術的課題及び解決方法は,窒化ガリウム系化合物半導体である発光素子を包囲する樹脂モールド中に蛍光染料又は蛍光顔料を添加することにより,蛍光染料又は蛍光顔料から発光素子からの光の波長よりも長波長の可視光を出して,発光素子からの光の波長を変換し,LEDの視感度を良くする点にあると合理的に理解できる。最初の原出願の当初明細書には,「一般式GaXAl1-XN(但し0≦X≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体」,あるいは,「発光ピークが430nm付近,および370nm付近にある窒化ガリウム系化合物半導体材料よりなる発光素子を有するLED」,「GaAlNがn型およびp型に積層されてなる青色発光素子」等の記載もある。しかし,これらの記載があったとしても,最初の原出願の当初明細書に接した当業者は,最初の原出願に記載の発明の技術的課題及び解決方法の趣旨に照らすならば,「窒化ガリウム系化合物半導体」において青色等の短波長の光を発光する点が,発明の解決課題及び解決方法に関連する共通の性質であると解されるから,上記組成や発光ピークの「窒化ガリウム系化合物半導体」のみに限定して理解することはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-13
事件番号:平成24(行ケ)10059
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:Y
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「二重瞼形成用テープまたは糸及びその製造方法」
争点:共同出願(違反なし→なし)
参照条文:38条
分野:化学
分類:構造(二重瞼形成用テープ)
ポイント: 本件発明1~3の特徴的部分が完成したといえるためには,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」によって構成した二重瞼形成用テープのテープ状部材の粘着剤を塗着した部分を瞼におけるひだを形成したい部分に押し当ててテープ状部材をそこに貼り付け,両端の把持部を離すことによって,弾性的に縮んだテープ状部材がこれを貼り付けた瞼にくい込む状態になって二重瞼のひだが形成され,二重瞼形成用テープとして使用できることを確認したことを要し,このような確認をすることなく,単に,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」を二重瞼形成用テープとして使用することを着想しただけでは足りない。これを原告の供述に係る原告の関与についてみると,原告は両面テープを二重瞼に当てるなどの実験もしていないというのであるから,原告が,実際に,両面テープによって二重瞼のひだが形成され,二重瞼形成用テープとして使用できることを確認していないことは明らかである。原告が本件発明1~3の特徴的部分の完成に現実に関与したとはいえない。
76
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-11
事件番号:平成25(ネ)10014 <原審;東京地裁平成23(ワ)32488,平成23(ワ)32489>
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:日亜化学工業株式会社 <控訴人>
被告:株式会社立花エレテック <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:実施行為(譲渡の申出に非該当)
参照条文:2条3項
分野:化学
分類:装置(発光ダイオード)
ポイント: 被控訴人は,仕入先メーカーから仕入れた各種半導体製品を顧客に販売している。被控訴人の半導体製品の仕入先メーカーの一つにエバーライト社がある。被控訴人はエバーライト社の取扱代理店ではない。被控訴人ウェブサイトには,半導体デバイスのページに15社を数える半導体の取扱メーカーの一つとしてエバーライト社についての記載があり,同社のウェブサイトのトップページへのリンクや同社がLED製品を取り扱っている旨の記載があるが,具体的にどのLED製品を取り扱っているかは記載がない。同社のウェブサイトのトップページへのリンクをクリックすると,同社のトップページに移動するが,このページには具体的なLED製品の記載はない。このページからさらに具体的な製品が掲載されたページにたどり着くためには,複数回リンクをたどる必要があり,本件製品1に関する情報が掲載されたページにたどり着くためには,トップページの「Products」のボタン,「Visible LED Components」の項目,「Low-Mid Power LED」の項目,「5050(0.2w)」の項目,「Datasheet」の欄の下にあるPDFファイルのアイコンを順次たどる必要がある。これらの事情に鑑みると,被控訴人ウェブサイトの記載をもって,被控訴人が本件各製品について譲渡の申出をしていると認めることはできない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-01-31
事件番号:平成23(ワ)32488 平成23(ワ)32489
事件種別:各特許権侵害差止等請求
原告:日亜化学工業株式会社
被告:株式会社立花エレテック
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 小川卓逸
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:実施行為(譲渡の申出に非該当)
参照条文:2条3項
分野:化学
分類:装置(発光ダイオード)
ポイント: 被告は,仕入先メーカーから仕入れた各種半導体製品を顧客に販売している。エバーライト社は,10社を超える被告の半導体製品の仕入先メーカーの一つである。被告ウェブサイトには,半導体デバイスのページに半導体の取扱いメーカーの一つとして,エバーライト社についての記載があり,同社のウェブサイトのトップページへのリンクや同社がLED製品を取り扱っている旨の記載があるが,具体的にどのLED製品を取り扱っているかについては記載がない。同社のウェブサイトのトップページへのリンクをクリックすると,同社のトップページに移動するが,このページには具体的なLED製品の記載はない。このページからさらに具体的な製品が掲載されたページにたどり着くためには,複数回リンクをたどる必要があり,本件製品1に関する情報が掲載されたページにたどり着くためには,トップページの「Products」のボタン,「Visible LED Components」の項目,「Low-Mid Power LED」の項目,「5050(0.2w)」の項目を順次たどる必要がある。これらの事情に鑑みると,被告ウェブサイトの記載をもって,被告が本件各製品について譲渡の申出をしていると認めることはできない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-03-15
事件番号:平成23(ワ)6868
事件種別:損害賠償請求
原告:電気化学工業株式会社
被告:新日鉄住金マテリアルズ株式会社(旧商号・新日鉄マテリアルズ株式会社)
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:大鷹一郎(裁判長) 髙橋彩 上田真史
発明の名称等:「シリカ質フィラー及びその製法」
争点:技術的範囲の属否(属さない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:材料(シリカ)
ポイント: 本件発明の真円度の測定に当たり乾式の試料を測定対象とするか,又は湿式処理をした試料を測定対象とするかによって真円度の数値に有意の差が生じる場合,当業者がいずれか一方の試料を測定対象として測定した結果,構成要件所定の真円度の数値範囲外であったにもかかわらず,他方の試料を測定対象とすれば上記数値範囲内にあるとして構成要件を充足し,特許権侵害を構成するとすれば,当業者に不測の不利益を負担させる事態となる。このような事態は,特許権者において,特定の測定対象試料を用いるべきことを特許請求の範囲又は明細書において明らかにしなかったことにより招来したものである以上,上記不利益を当業者に負担させることは妥当でない。乾式の試料及び湿式処理をした試料のいずれを用いて測定しても,本件発明の構成要件Dが規定する粒径30μm未満の粒子の真円度の数値範囲(0.73~0.90)を充足する場合でない限り,構成要件Dの充足を認めるべきではない。原告測定データ3は,被告製品の乾式の試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構成要件Dの数値範囲内にある。しかし,他方で,本件においては,被告製品の湿式処理をした試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構成要件Dの数値範囲内にあることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,湿式処理をした試料を対象にした被告測定データ1によれば,被告製品は構成要件Dに規定する数値の範囲外にある。被告製品は,構成要件Dを充足するとは認められない。
79
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裁判所:大阪地裁
判決日:2013-08-27
事件番号:平成23(ワ)6878
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:ヒメノイノベック株式会社
被告:株式会社フッコー
判決:一部請求認容
裁判部:第21 民事部
裁判官:谷有恒(裁判長) 松阿彌隆 松川充康
発明の名称等:着色漆喰組成物の着色安定化方法
争点:技術的範囲の属否(属する)
参照条文:70条
分野:化学
分類:方法(着色安定化)
ポイント: 被告は,被告製品1で酸化チタンを配合するのは,光触媒機能を得るためであって着色を安定させるためではないとして前記構成要件A1の非充足を主張するが,着色漆喰組成物の組成が各構成要件を客観的に充足するよう調整,調合すれば,着色安定化方法を使用したというべきであり,酸化チタンを配合する目的が光触媒機能を得ることにあったとしてもこの結論を左右するものではない。
80
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-03-06
事件番号:平成24(ワ)1716
事件種別:職務発明対価請求
原告:X
被告:三井・デュポンフロロケミカル株式会社
判決:一部請求認容
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 西村康夫 森川さつき
発明の名称等:「マイクロパウダー」
争点:職務発明対価
参照条文:35条
分野:化学
分類:材料(マイクロパウダー)
ポイント: 勤務規則等に使用者等が従業者等に対して支払うべき対価に関する条項がある場合において,勤務規則等による額が35条4項により算定される額に満たないときは,特許を受ける権利を承継させた従業者等は,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができる。しかし,同条4項により算定される額よりも勤務規則等により算定した額の方が大きいときは,当該勤務規則等が有効であり,従業者等は当該勤務規則等による対価の支払を求めることができる。被告は,発明Ⅰにつき,被告規程に基づく対価として,原告を含む発明者6名に対し,出願補償金として1万円,登録補償金として1万5000円,第1回の実績補償金として15万円,第2回の実績補償金として15万円の合計32万5000円を計上している。これを発明者6名で均等割りすると,原告が被告規程に基づき受け取るべき対価は5万4166円(端数切り捨て)となる。これは,上記(1)から(7)までで算定した35条4項に基づく相当対価(の最大値)5万1694円を上回るから,原告が受け取るべき対価は合計5万4166円である。
81
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-06-27
事件番号:平成24(行ケ)10385
事件種別:審決取消請求
原告:ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「生物学的利用可能なレベルが増大した第四級アンモニウム抗菌剤を含む口腔ケア組成物類」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:用途(口腔ケアすすぎ剤組成物)
ポイント: l-メンチル-β-D-マルトシドが配合されている引用発明は,相違点Cに係る「前記第四級アンモニウム抗菌剤の生物学的利用能にマイナスの影響がある賦形剤本質的に含まず」の構成を充足すると認められ,相違点Cを実質的な相違点ではないとした本件審決判断に原告主張の誤りはない。本願明細書に示された本願発明の「実施例H」は,本願発明の構成を全て備えているはずであるから,引用例の「本発明品」の№10においても,本願発明の「実施例H」と同様に,相違点A及びDに係る本願発明の構成を充足すると理解される。引用例における抗菌活性の評価の「○」が区分上は抗菌活性が「12.5%超100%以下」の数値範囲のものを含み得ることは,引用発明が相違点A及びDに係る本願発明の構成を充足するとの推認を妨げるものではなく,この点に関する原告の主張は理由がない。
82
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-08-09
事件番号:平成24(行ケ)10350
事件種別:審決取消請求
原告:デュポン ニュートリション バイオサイエンシズ エイピーエス (審決上の名称:ダニスコ エイ/エス)
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「満腹化剤としてのバルク剤」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:用途(満腹化)
ポイント: 本願補正発明は,哺乳動物の食欲抑制に有効な量のポリデキストロースを含む,哺乳動物の食欲抑制のための組成物であって,ポリデキストロースの服用により食欲が抑制され,摂食量が抑制される。一方,引用例発明は,ラットの摂食量を低下させる作用を有する,ポリデキストロースを10%添加した食餌であり,これはポリデキストロースを含む組成物の効果が食欲抑制に有効な量であるため,ラットの摂食量を抑制することを意味する。本願補正発明の「哺乳動物の食欲抑制のための組成物であって,食物摂取抑制有効量のポリデキストロースを含む組成物」と,引用例発明の,ポリデキストロースを10%添加した食餌が,そのかさ効果によりラットの食欲を抑制し,その摂食量を抑制するという点において一致しているから,本願補正発明は引用例に記載された発明である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-27
事件番号:平成25(行ケ)10093
事件種別:審決取消請求
原告:日本曹達株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「マイコトキシンの生成抑制方法」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:用途(マイコトキシン生成抑制農薬)
ポイント: 甲2においては,F粒率(Fusarium汚染粒率)の変化,即ち菌類の防除効果に着目することなく,収穫後のマイコトキシン含量を減少させているものであるから,引用発明においても「菌類の防除効果とは相関せずに」マイコトキシン含量を減少させているものであって,引用発明と補正発明の間の相違点は実質的なものではないことになる。補正発明と引用発明は同一であって,補正発明が新規性を欠くとした審決の判断に誤りはない。
84
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-27
事件番号:平成25(行ケ)10134
事件種別:審決取消請求
原告:コスメディ製薬株式会社
被告:株式会社バイオセレンタック
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「経皮吸収製剤,経皮吸収製剤保持シート,及び経皮吸収製剤保持用具」
争点:新規性(あり→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:製剤(経皮吸収)
ポイント: 請求項1の「基剤に保持された目的物質」との記載は,目的物質が基剤に保持されていることを規定しているのであり,その保持の態様について何らこれを限定するものでないことは,その記載自体から明らかである。「保持」とは,広辞苑にあるとおり,たもちつづけること,手放さずに持っていることを意味する用語であり,その意味は明確である。請求項1の「保持」の技術的意義は,目的物質を基剤で保持する(たもちつづける)という意味のものとして一義的に明確に理解することができるのであるから,審決が,請求項1の「基剤に保持された目的物質」との記載について,目的物質が基剤に混合されて基剤とともに存在していると理解されることと解したのは,請求項1を「基剤に混合されて保持された目的物質」と解したのと同義であって,誤りである。本件訂正発明の請求項1の記載は,請求項の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないなど,発明の詳細な説明を参酌することができる特段の事情がある場合にも当たらないから,少なくとも請求項1の要旨認定については,発明の詳細な説明を参酌する必要はない。甲7発明の,目的物質が基剤からなる医療用針内に設けられたチャンバに封止されていることや縦孔に収容されていることは,本件訂正発明の目的物質が「基剤に保持された」構成に含まれている。
85
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-08-22
事件番号:平成24(行ケ)10348
事件種別:審決取消請求
原告:フュアエスツェー アクチェンゲゼルシャフト
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 大鷹一郎 荒井章光
発明の名称等:「抗炎症剤,免疫調製剤及び増殖防止剤としての新規化合物
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:物質(非芳香族環誘導体)
ポイント: 本願補正発明1において「q=0」,「Eは1個の塩素で置換された炭素原子6個を有する芳香族である1個のアリール基で置換されたアルキル基で置換される飽和アルキル基」,「Yは1個の芳香族環を含有する単環式置換環系」のとき,本願補正発明1のN-置換基(「-E-[Dm-(CHR3)n]q-Y」)は,引用発明のN-置換基と同じである。本願補正発明1のN-置換基(「-E-[Dm-(CHR3)n]q-Y」)と引用発明(化合物20)のN-置換基は化合物の構造が一致するとして,引用発明が本願補正発明1に含まれるとした本件審決の判断は,その結論において誤りはない。
86
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-30
事件番号:平成24(行ケ)10443
事件種別:審決取消請求
原告:シーエスエル,リミテッド/モナシュ,ユニバーシティ
被告:ノボ・ノルデイスク・エー エス
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「安定化された成長ホルモン処方物およびその製造方法」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:方法(成長ホルモン組成物製造)
ポイント: 「比率」とは,①二つ以上の数量を比較したときの割合,及び,②全体の中でその物事が占める割合,という二通りの意味があるため,上記「最終比率」については,①水性ヒト成長ホルモン製剤中の上記三成分間の割合(この場合,製剤中の三成分の各濃度は最終濃度に比例した濃度となる。),②上記三成分の各最終濃度,のいずれかに解釈する余地がある。引用発明が,非イオン界面活性剤を0.1ないし5%(w/v)含む緩衝液により水性ヒト成長ホルモン製剤の安定化を達成しようとするものであり,「〈B.製剤調製〉」の目的が,かかる効果を示すための安定性確認試験において用いる水性ヒト成長ホルモン製剤を調製することにあることに照らすと,ここにおけるゲル濾過カラム上での溶離緩衝液交換とは,緩衝液を上記濃度の非イオン界面活性剤を含む水性ヒト成長ホルモン製剤の緩衝液に交換する操作と考えるのが自然である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-27
事件番号:平成25(行ケ)10018
事件種別:審決取消請求
原告:ドリッテ パテントポルトフォーリオ ベタイリグングスゲゼルシャフト エムベーハー ウント コー.カーゲー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「薬剤中におけるアミジン基を有する活性物質の生物学的利用率の向上」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:方法(アミジン基を有する薬剤製造)
ポイント: 引用化合物と本願発明におけるアミジン基の構成とを対比すると,刊行物Aに記載された化合物36におけるN,N'-ジヒドロキシアミジンジメチルエーテル構造は,本願発明における「N,N'-ジヒドロキシアミジンジエーテル(Ⅲ)」でRがメチル基である場合に相当し,化合物48及び82におけるN,N'-ジヒドロキシアミジン構造は本願発明における「N,N'-ジヒドロキシアミジン(Ⅰ)」に相当し,化合物50におけるN,N'-ジヒドロキシアミジンモノメチルエーテル構造は本願発明における「N,N'-ジヒドロキシアミジンエーテル(Ⅱ)」でRがメチル基である場合に相当する。刊行物Aにおけるアリール-アミジン基を有する化合物は,凝血プロセスを有効かつ選択的に制御する化合物として見いだされたものであることから,医薬製剤における有効成分であり,これは本願発明における「少なくとも1種の活性アミジン基を有する薬物」に相当する。刊行物Aに記載された技術は,医薬製剤を製造するための技術であることから,刊行物Aにおけるアミジン基を有する化合物から各種誘導体化した化合物を得る方法は,本願発明における「薬剤中の前記薬物のアミジン基を,…とする薬剤の製造方法」に相当すると。本願発明は刊行物Aに記載された発明を包含するものであり,本願発明と引用発明との間には相違点を見出すことができないので,本願発明は刊行物Aに記載された発明であると認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-26
事件番号:平成25(ネ)10016 <原審;大阪地裁平成23(ワ)4836>
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:株式会社KBC<控訴人>
被告:株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ<被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「二酸化炭素含有粘性組成物」
争点:進歩性(あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(炭酸ジェル)
ポイント: 本件特許発明1と構成αを採用したパック剤とを対比すると,両者は2剤のキット構成である点で一致する。2剤の剤形が,本件特許発明1では「炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と,酸を含む顆粒(細粒,粉末)剤の組み合わせ」であって,担体を使用していないのに対し,構成αを採用したパック剤では「炭酸塩及び公知のパック剤成分を担持させ,かつ,水分を保持させた担体」(構成α)と「酸を担持させた担体」である点などで相違する。乙3には,「本発明のパック剤」の「③の形態」において,炭酸塩及び酸を不織布,布,紙等の担体に担持させないことについての記載や示唆はない。乙3には,「③の形態」の「本発明のパック剤」の使用態様について,二つの担体を使用時に被パック部位に重ねて付着させ,水の存在下に炭酸塩と酸とを反応させて炭酸ガスを発生させるとの記載があるが,他の使用態様の記載がない。乙3の記載事項から,乙3記載の構成αを採用したパック剤において,担体を使用せずに,その剤形を,炭酸塩を含有する含水粘性組成物と,酸を含む顆粒(細粒,粉末)剤の2剤の組合せとする動機付けを見いだすことはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-30
事件番号:平成23(行ケ)10340
事件種別:審決取消請求
原告:メルク・エンド・カンパニー・インクズ・ エム・エス・デイー・オーバーシーズ・マニュフアクチュアリング・カンパニー (アイルランド)
被告:日本薬品工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「4-アミノ-1-ヒドロキシブチリデン-1,1-ビスホスホン酸又はその塩の製造方法及び前記酸の特定の塩」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(骨吸収を伴う疾病)
ポイント: 一般に薬物の製剤化に際して,その塩を用いることを検討するのは当業者の通常行うことであって,かつ,フリー体にモノナトリウム塩が存在することは甲5の記載によっても技術常識によっても明らかであることからすると,フリー体をモノナトリウム塩とすることは,容易想到であると認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-28
事件番号:平成24(行ケ)10205
事件種別:審決取消請求
原告:マクニール・アクチェボラーグ
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「口腔内投与のためのニコチンを含む液体医薬製剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(口腔用液剤)
ポイント: 本願発明は,喫煙以外の手段で喫煙の満足感を与えることを目的として,ニコチンをスプレーにより専ら口腔粘膜経由で取り込ませるための液体医薬製剤であって,唾液中のニコチンが優先的に吸収される形態である遊離塩基に保つことを可能とするために薬剤自体をアルカリ性化することにより,ニコチンの急速な経口腔粘膜取り込みを実現する。他方,引用発明1は,本願発明と同様の目的を有する液体薬剤ではあるが,単にニコチンを摂取するだけではなく,喫煙という行為を再現する方法でニコチンを摂取させることを意図しており,喫煙時と同様に,使用者の好みに応じてニコチンの含有量を選択した上で,口腔粘膜,鼻腔粘膜,肺などから吸入される。引用例2及び3には,口腔粘膜からのニコチン吸収がアルカリ環境で促進されることが開示されている。しかしながら,引用発明1は,使用者の好みに応じて,口腔粘膜のみならず鼻腔粘膜や気道などからもニコチンが吸入されることを念頭においた薬剤であるから,口腔粘膜からの吸収を特に促進する必要性を認めることはできないし,引用例1には,口腔粘膜からの吸収を特に促進させる点に関する記載や示唆も存在しない。引用発明1に,引用発明2及び3を組み合わせることについて,動機付けを認めることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-27
事件番号:平成24(行ケ)10284
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社大長企画
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「強筋肉剤,抗炎症剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(強筋肉剤、抗炎症剤)
ポイント: 引用例1には,実施例においてシムノールサルフェート,ダイズイン等を含む健康食品で,環境ホルモンの排出が促進されたことが記載されるが,アルツハイマー病,加齢による認識記憶喪失,痴呆,喘息,心臓疾患,運動障害,運動麻痺及び筋肉の引きつり等に対する効果を示唆する記載はない。引用例1に接した当業者は,引用発明に含まれるダイズインが,環境ホルモン排出促進ないしこれと関連性のある生理的作用を有することを予期し,そのような生理的作用を向上させるべく,津液作用を有する生薬のエッセンス及びその活性成分と補血・活血作用を有する生薬のエッセンスを組み合わせて使用することに想到するとは考えられるが,ダイズインが,環境ホルモン排出促進と関連性のない生理的作用を有することにまで,容易に想到するとは認められない。当業者にとって,引用例2ないし4及び甲6に記載されるアルツハイマー病,加齢による認識記憶喪失,痴呆,喘息,心臓疾患,運動障害,運動麻痺及び筋肉の引きつり等に対する効果が,環境ホルモン排出促進ないしこれと関連性のある生理的作用であると認めるに足りる証拠はないから,当業者が,引用例1の記載から,ダイズインが,上記の各効果をも有することに容易に想到すると認めることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-11
事件番号:平成24(行ケ)10124
事件種別:審決取消請求
原告:セルジーン コーポレイション
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 髙部眞規子 齋藤巌
発明の名称等:「癌および他の疾患を治療および管理するための免疫調節性化合物を用いた方法および組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(多発性骨髄腫)
ポイント: 引用例は,サリドマイド及びそのアナログがヒト多発性骨髄腫細胞の伝統的療法に対する薬剤耐性を克服したことを報告する学術論文であり,サリドマイド又はそのアナログであるIMiD1,IMiD2又はIMiD3をデキサメタゾンと組み合わせることにより,多発性骨髄腫細胞の増殖を効果的に抑制できることが具体的デ-タによって開示されているが,IMiD1ないし3の化学構造はいずれも明らかにされていない。しかし,学術論文においては,通常,研究のための実験方法や用いた材料を具体的に明らかにした上で,実験結果やそれに基づく考察を発表するものであり,当業者は,それらの記載に基づいて研究成果を理解し,必要に応じてこれを利用するものである。引用例に接した当業者であれば,そこに記載されたIMiD1ないし3がいかなる化合物であるのかを確認することは,当然に行うことである。引用例に接した当業者であれば,IMiD1ないし3に関する引用例の記載及びそこに掲げられた参照文献の記載を併せ見ることにより,さしたる困難もなく,引用例に記載されたIMiD1ないし3のうちの1つが本願化合物であることを認識することができるものである。本件補正発明における本願化合物は,引用例に記載されたIMiD1ないし3のうちの1つに該当するものであるから,相違点1は実質的な相違点ではないとした本件審決の判断に誤りはない。
93
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-11
事件番号:平成24(行ケ)10297
事件種別:審決取消請求
原告:宇部興産株式会社/田辺三菱製薬株式会社
被告:遼東化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「経口投与製剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(ベポタスチン経口投与用固形製剤)
ポイント: 当業者は,引用例1の記載から,水分がベポタスチンのベンゼンスルホン酸塩の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあることを理解する。引用発明2及び3には,原薬の安定性に対する水分による悪影響を回避するという課題を解決するものであるから,引用例1ないし3は,共通の課題を開示している。当業者が引用発明1に引用発明2又は3を適用することについては,引用発明1ないし3が原薬の安定性に対する水分による悪影響の回避という共通の課題を有する以上,当該悪影響の詳細や作用機序が明らかではなかったとしても,十分動機付けが存在するものと認めることができる
94
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-30
事件番号:平成25(行ケ)10013
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「薬用育毛剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(育毛剤)
ポイント: 本願明細書の【0011】並びに図2及び図3によると,本願発明に係る育毛剤の毛の再生率は,育毛剤の成分のうち血行促進剤であるミノキシジルと同程度のものであると認められる。引用例1の表1には,末梢血流促進剤であるミノキシジルにオイゲノール配糖体であるオイゲニル-β-D-グルコシドを組み合わせた養毛料が,ミノキシジルのみを配合した養毛料と比較して,発毛率及び毛成長促進度において優れていること,ミノキシジル以外の末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体であるオイゲニル-β-D-グルコシドを組み合わせた養毛料の発毛率及び毛成長促進度も,ミノキシジルのみを配合した養毛料と比較して優れていることが示されており,引用例1の請求項1に記載された発明である,末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体とを含有する養毛料は,ミノキシジルのみを含有する養毛料と比較して,優れた育毛効果を有すると認められる。引用例1発明は請求項1の実施例をもとに認定されたものであるから,引用例1発明も,ミノキシジルのみを含有する養毛料と比較して優れた育毛効果を有するものと認められる。ミノキシジルと同程度の育毛効果を有する本願発明は,引用例1発明と比較して,予想外の顕著な効果を有するということはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-03
事件番号:平成24(行ケ)10415
事件種別:審決取消請求
原告:壽製薬株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「血清コレステロール低下剤或はアテローム性硬化症の予防又は治療剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(コレステロール低下剤)
ポイント: 実験動物における薬理作用を比較検討するに当たっては,実験条件をそろえることが必須である。本願明細書記載の実験と引用例1記載の実験とでは,被験動物の種類が異なり,投与量等の条件も異なる上,被験動物の種類により薬剤に対する応答が異なることは技術常識であるから,本願明細書記載の実験結果と引用例1記載の実験結果とを比較することにより,本願補正発明の効果の顕著性を立証することはできない。また,コレステロール生合成吸収阻害剤であるアトルバスタチンとロバスタチンとは異なる物質であり,両者がβ-ラクタムコレステロール吸収阻害剤との併用において同等であると認めるに足りる証拠はないから,この点において,本願明細書記載の実験結果と引用例1記載の実験結果とを比較することにより,本願補正発明の奏する作用効果が当業者が予測し難い顕著なものであることを立証することはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-10
事件番号:平成25(行ケ)10014
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ECI
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「eMIPを有効成分とするガン治療剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(ガン治療剤)
ポイント: 引用文献1の目的欄の記載からみて,引用文献1において,樹状細胞の数を増やすのは,放射線照射により誘発されるアブスコパル効果は免疫反応に仲介されるとの仮説について調べるのに,免疫反応を増幅して直接的に観察しやすくするためである。引用文献1では,Flt3-L を用いて放射線照射により誘導される免疫反応に関与する樹状細胞の数を増やしているものの,樹状細胞以外の免疫細胞の増加を妨げる事情があるとは認められないから,Flt3-L と eMIP の作用の相違は,引用発明の Flt3-L を eMIP に置換することを阻害するともいえない。むしろ,ガンに対する免疫療法の開発が広く行われていたという本願の優先権主張日当時の技術水準を考慮すると,樹状細胞のみに作用する増殖因子である Flt3-L よりも,CCR1 や CCR5 を発現する免疫系細胞に広く作用し,増殖ないし活性化させる eMIP の方が,免疫作用増強の観点から有利なものとして,当業者が容易に置換し得る。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-10-16
事件番号:平成24(行ケ)10419
事件種別:審決取消請求
原告:沢井製薬株式会社
被告:第一三共株式会社
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「うっ血性心不全の治療へのカルバゾール化合物の利用」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(うっ血性心不全治療)
ポイント: カルベジロールの8週間の投与により虚血性のうっ血性心不全患者の血行動態パラメータが改善することが記載された甲1文献に接した当業者であれば,カルベジロールを使用して虚血性のうっ血性心不全の治療を行う場合,カルベジロールの投与期間については,甲1文献に記載された血行動態パラメータの改善効果が示された8週間に限定して理解するものではなく,虚血性のうっ血性心不全患者の生命予後の改善という治療目的を達成するためには,数か月から年単位の期間が必要であると理解する。本件発明1と甲1発明の相違点のうち,カルベジロールの投与期間の点については,甲1発明に甲4文献,甲5文献及び甲10文献並びに周知技術を勘案することにより当業者が容易に想到可能な事項である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-27
事件番号:平成25(行ケ)10027
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社大長企画
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「皮膚用剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(皮膚)
ポイント: 「クルクミン(ウコンエキス)」は,引用例1において,補血・活血作用を有する生薬として例示され,実施例6でも使用され,引用例2に津液改善剤の例として記載されていることに照らすならば,引用例1に接した当業者が,津液作用をより向上させるために,引用発明に係る組成物に,補血・活血作用を有する成分として「クルクミン(ウコンエキス)」を付加して,相違点2に係る構成に至ることは,容易である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-21
事件番号:平成25(行ケ)10114
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社大長企画
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「栄養剤,消化器剤」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(栄養剤)
ポイント: 引用例1に記載された「水の科学」に関連する作用と引用例2に記載された「津液作用」とは,共に中国伝統医学の「気血水」の概念に基づくものであり,引用例1の「水の科学」に関連する作用が「血管で運ばれた機能発揮のための必要物質を更に血管のない体内各部へ供給するための手段である体内の水流を促進する作用」とされ,引用例2の「津液作用」が「水分の体外への分泌を司る器官を刺激し,体内水分の体外への分泌を促進させる作用」とされていることから,両者は同等の作用を有するものに対応することが明らかである。引用例2に記載された「津液改善剤」は,引用例1に記載された「水の科学」に関連する作用を有する成分に相当する。引用例2には「津液作用」を有する生薬が多数列挙され,「津液改善剤」を複数用いることが記載されているから,引用例2記載の「津液改善剤」は「津液作用」(「水の科学」に関連する作用)を有する成分を複数併せて用いることが予定されているといえ,一方,引用例1にはシムノール,シムノール硫酸エステル,大豆イソフラボン又は大豆イソフラボン配糖体以外のその他の成分を混合してよいことが記載されている。引用発明の「水の科学」に関連する作用を更に増強するために,引用例2に記載された「津液改善剤」を引用発明に組み合わせることとし,引用例2において実際に作用が確認されたとするカプサイシン,シナピン及びクルクミンの3種のうちからクルクミンを選択することは,当業者が容易になし得る程度のことであり,格別の創意工夫を要しない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-24
事件番号:平成24(行ケ)10206
事件種別:審決取消請求
原告:遼東化学工業株式会社
被告:宇部興産株式会社/田辺三菱製薬株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「光学活性ピペリジン誘導体の酸付加塩及びその製法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:光学活性体(ピペリジン誘導体)
ポイント: 本件特許の優先日における技術常識を参酌すれば,ある化学物質の発明について光学異性体の間で生物に対する作用が異なることを見出したことを根拠として特許出願がされた場合,ラセミ体自体は公知であるとしても,それを構成する光学異性体の間で生物に対する作用が異なることを開示した点に新規性を認めるのが相当である。本件化合物の(S)体は,その(R)体と比較して,当業者が通常考えるラセミ体を構成する2種の光学異性体間の生物活性の差以上の高い活性を有するものということができる。本件化合物の(S)体のベンゼンスルホン酸は,審決が認定した引用発明であるラセミ体の本件化合物のベンゼンスルホン酸塩と比較して,当業者が予測することのできない顕著な薬理効果を有する。
101
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-07-24
事件番号:平成24(行ケ)10207
事件種別:審決取消請求
原告:遼東化学工業株式会社
被告:宇部興産株式会社/田辺三菱製薬株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「光学活性ピペリジン誘導体の酸付加塩及びその製法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:光学活性体(ピペリジン誘導体)
ポイント: 本件特許の優先日(平成8年12月26日)における技術常識に照らせば,ある化学物質の発明について光学異性体の間で生物に対する作用が異なることを見出したことを根拠として特許出願がされた場合,ラセミ体自体は公知であるとしても,それを構成する光学異性体の間で生物に対する作用が異なることを開示した点に新規性を認めるべきである。本件化合物の(S)体は,その(R)体と比較して,当業者が通常考えるラセミ体を構成する2種の光学異性体間の生物活性の差以上の高い活性を有する。本件化合物の(S)体のベンゼンスルホン酸は,審決が認定した引用発明であるラセミ体の本件化合物のベンゼンスルホン酸塩と比較して,当業者が予測することのできない顕著な薬理効果を有する。
102
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-12
事件番号:平成24(行ケ)10071
事件種別:審決取消請求
原告:マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「処方した人の脳シチジンレベルを上昇させる薬を調合するためのウリジンの使用方法及び同薬として使用する組成物」
争点:実施可能要件(違反あり→あり)
参照条文:36条4項1号
分野:医薬類
分類:用途(脳シチジンレベル上昇)
ポイント: 請求項7に係る本願発明は,(a)ウリジン,ウリジン塩,リン酸ウリジン又はアシル化ウリジン化合物,及び,(b)コリン又はコリン塩,の2成分を組み合わせた組成物が人の脳シチジンレベルを上昇させるという薬理作用を示す経口投与用医薬である。本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が本願発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したといえるためには,薬理試験の結果等により,当該有効成分がその属性を有していることを実証するか,又は合理的に説明する必要がある。本願明細書には,例2として,アレチネズミに前記(a)成分であるウリジンを単独で経口投与した場合に,脳におけるシチジンのレベルが上昇したことが記載されているものの,(a)成分と(b)成分を組み合わせて使用した場合に,脳のシチジンレベルが上昇したことを示す実験の結果は示されておらず,(b)成分単独で脳のシチジンレベルが上昇したことを示す実験結果も示されていない。また,(b)成分であるコリン又はコリン塩を(a)成分と併用して投与した場合,又は(b)成分単独で投与した場合に,脳のシチジンレベルを上昇させるという技術常識が本願発明の優先日前に存在したと推認できるような記載は本願明細書にはない。詳細な説明には,本願発明の有効成分である(a)及び(b)の2成分の組合せが脳シチジンレベルを上昇させるという属性が記載されていないので,発明の詳細な説明は,当業者が本願発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したということはできない。
103
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-14
事件番号:平成24(行ケ)10215
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社KBC (旧商号:株式会社カルゥ)
被告:株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 髙部眞規子 齋藤巌
発明の名称等:「二酸化炭素含有粘性組成物」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:医薬類
分類:用途(炭酸ジェル)
ポイント: 本件明細書のこれらの記載に接した当業者であれば,アルギン酸ナトリウムと各種炭酸塩及び各種酸を,本件発明の「1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と,酸を含む顆粒(細粒,粉末)剤の組み合わせ」や「2)炭酸塩及び酸を含む複合顆粒(細粒,粉末)剤と,アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ」として任意に組み合わせて用いることで,酸としてクエン酸を用いた試験例8,9及び13と同様に,二酸化炭素を発生させることができ,部分肥満改善効果が得られることを理解できる。当業者であれば,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された各種炭酸塩や各種酸をアルギン酸ナトリウムと組み合わせることにより,本件発明の「1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と,酸を含む顆粒(細粒,粉末)剤の組み合わせ」や「2)炭酸塩及び酸を含む複合顆粒(細粒,粉末)剤と,アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ」を製造でき,これらを混合することにより二酸化炭素を発生させて部分肥満改善用に使用できる。
104
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-19
事件番号:平成24(行ケ)10037
事件種別:審決取消請求
原告:メリアル エス アー エス
被告:フジタ製薬株式会社
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 真辺朋子 田邉実
発明の名称等:「ペット寄生虫の治療・予防用組成物」
争点:発明成立性(未完成→完成)
参照条文:29条1項柱書
分野:医薬類
分類:用途(ペット寄生虫治療)
ポイント: 審決が29条1項柱書にいう「産業上利用することができる発明」に当たらない根拠とする事柄のうちガラススライドの大きさに関しては,上記結晶化阻害試験の目的ないし技術的性格にかんがみれば,訂正明細書の発明の詳細な説明ないし特許発明の範囲中に「ガラススライド」の大きさを明示した記載がなくても,当業者が適宜「ガラススライド」の大きさを選択して試験を実施し得ることは明らかである。A博士が行った試験などのとおり,訂正明細書の発明の詳細な説明ないし特許請求の範囲の記載及び当業者の技術常識に基づいて,当業者は構成要件1F(2)の結晶化阻害試験を現に実施することができる。結局,訂正明細書の発明の詳細な説明ないし特許請求の範囲に記載がなくても,当業者は構成要件1F(2)の結晶化阻害試験の目的,技術的性格に従って,①ガラススライドの大きさ,②温度・湿度の調節及びこれに伴う空気の流れの制御方法,③相対湿度を適宜選択することができ,試験条件いかんで試験結果が一定しないわけではないから,訂正発明1ないし34が未完成の発明であるとはいえない。
105
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-30
事件番号:平成24(行ケ)10268
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテク,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「特定Fcεレセプターのための免疫グロブリン変異体」
争点:訂正(誤記の訂正非該当→非該当)
参照条文:126条1項但書
分野:医薬類
分類:抗体(オマリズマブ)
ポイント: 請求項15では「残基60がアスパラギン酸で置換され,残基61がプロリンで置換され,残基67がイソロイシンで置換されている」と記載されており,発明の詳細な説明中の本件記載部分においても,「他の好ましい態様」として「残基60がアスパラギン酸で置換され,残基61がプロリンで置換され,残基67がイソロイシンで置換されている」と記載されている。「請求項15の記載」と「本件記載部分」とは,3か所のアミノ酸置換の内容において,相矛盾する点は存在せず,技術常識を前提としても,不自然,不合理な点はない。本件明細書中の他の記載部分では,残基60の置換が一貫してアスパラギンであることを理由として,上記2か所の「アスパラギン酸」が「アスパラギン」の誤記であると認定することはできない。
106
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裁判所:大阪地裁
判決日:2013-01-17
事件番号:平成23(ワ)4836
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
被告:有限会社サンクス製薬/株式会社サレア化研/株式会社KBC(旧商号:株式会社カルゥ)
判決:一部請求認容
裁判部:第26 民事部
裁判官:山田陽三(裁判長) 松川充康 西田昌吾
発明の名称等:「二酸化炭素含有粘性組成物」
争点:技術的範囲の属否(属する)
参照条文:70条
分野:医薬類
分類:用途(炭酸ジェル)
ポイント: 被告各製品は,構成aからdまでを有するところ,これらの構成は,構成要件1-A,1-B,1-C及び1-Dをそれぞれ充足し,本件特許発明1の技術的範囲に属すると認めることができる。構成要件中「部分肥満改善」の該当性については,被告各製品に係る広告宣伝の内容からすれば,被告各製品は,小顔効果,顔やせ,部分痩せの効果を奏する化粧料として販売されていることが認められるので,被告各製品が本件各特許発明の「部分肥満改善用化粧料として使用される」という構成を文言上充足することは明らかである。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-02-28
事件番号:平成23(ワ)19435 <第1> 平成23(ワ)19436<第2>
事件種別:各特許権侵害行為差止等請求
原告:武田薬品工業株式会社 <両事件原告>
被告:日新製薬株式会社/高田製薬株式会社/日医工株式会社/富士フイルムファーマ株式会社/サンド株式会社/第一三共エスファ株式会社/テバ製薬株式会社/辰巳化学株式会社/小林化工株式会社<平成23(ワ)19435被告>/持田製薬株式会社<平成23(ワ)19436被告>
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 志賀勝
発明の名称等:「糖尿病または糖尿病合併症の予防・治療用医薬」
争点:間接侵害の成否(不成立)
参照条文:101条2号
分野:医薬類
分類:用途(糖尿病治療)
ポイント: 本件各発明が,個々の薬剤の単独使用における従来技術の問題点を解決するための方法として新たに開示したのは,ピオグリタゾンと本件各併用薬との特定の組合せである。ピオグリタゾン製剤である被告ら各製剤は,それ自体では,従来技術の問題点の解決方法として,本件各発明が新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段について,当該手段を特徴付けている特有の構成ないし成分を直接もたらすものに当たらないから,本件各発明の課題の解決に不可欠なものであるとは認められない。本件各発明は,ピオグリタゾンと本件各併用薬という,いずれも既存の物質を組み合わせた新たな糖尿病予防・治療薬の発明であり,このような既存の部材の新たな組合せに係る発明において,当該発明に係る組合せではなく,単剤としてや,既存の組合せに用いる場合にまで,既存の部材が「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するとすれば,当該発明に係る特許権の及ぶ範囲を不当に拡張する結果をもたらすとの非難を免れない。このような組合せに係る特許製品の発明においては,既存の部材自体は,その発明が解決しようとする課題とは無関係に従来から必要とされていたものに過ぎず,既存の部材が当該発明のためのものとして製造販売等がされているなど,特段の事情がない限り,既存の部材は,「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当しない。
108
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-10-24
事件番号:[甲事件]平成24(ワ)5743 [乙事件]平成24(ワ)19120
事件種別:[甲事件]特許権侵害差止等請求 [乙事件] 特許権侵害差止等請求
原告:ワーナー-ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (甲・乙事件原告)
被告:サンド株式会社 (甲・乙事件被告)
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 植田裕紀久
発明の名称等:「結晶性のR体アトルバスタチン」
争点:104条の3抗弁の成否(成立)
参照条文:104条の3
分野:医薬類
分類:結晶(アトルバスタチン)
ポイント: 本件特許1は,別件判決において,本件発明1は乙7発明及び技術常識に基づき当業者が容易に発明できたとして本件審決の取消判決が確定している。原告は,別件判決確定の日から1週間以内に訂正請求のための期間指定の申立てをしなかった。特許庁は,上記無効審判請求事件につき,更に審理を行い審決をするに当たり,別件判決の主文を導き出すのに必要な事実認定及び法律判断に拘束され,これに抵触する認定判断をすることは許されないから(181条2項前段,行訴法33条1項,最高裁平成4年4月28日第三小法廷判決参照),別件判決に再審事由があることが明らかであるなど特段の事情のない限り,本件特許1を無効とする審決をするほかない。本件において上記特段の事情が存在することをうかがわせる事情はなく,また,原告もそのような事情を具体的に主張するものではない。別件判決は,①本件審決には,実施可能要件に係る判断に誤りがあり,その審理を尽くさせる必要がある,②本件発明1には進歩性が認められない旨の判断をして,本件審決を取り消したものであるが,別件判決は,①の判断と②の判断との間に主従ないし軽重の区別を設けておらず,両者を全く同等の取消理由として取り扱っていることが判文上明らかであり,別件訴訟においては,当事者双方が上記の各争点のみを争点として十分に主張立証を尽くした上で別件判決がされたものであるから,特許庁における再度の審理及び審決に当たっては,上記①及び②の判断の双方に別件判決の拘束力が及ぶと解するのが相当である。念のため,本件各証拠に照らして検討しても,別件判決の上記②の認定判断を不当とすべき事情は見当たらない。本件特許1は,29条2項違反の無効理由があり,無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対して本件特許1に基づく権利行使をすることができない。
109
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-30
事件番号:平成24(行ケ)10309
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテク,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「特定Fcεレセプターのための免疫グロブリン変異体」
争点:存続期間の延長登録(不可→審決判断に不備あり)
参照条文:67条の3
分野:医薬類
分類:抗体(オマリズマブ)
ポイント: 請求項15に係る配列番号8のアミノ酸配列における125番の「Lys」及び126番の「Gly」の各記載は,誤記による挿入であると認定解釈できる。したがって,審決が,本件処分の対象とされた医薬品オマリズマブ(遺伝子組換え)が451アミノ酸からなるH鎖(重鎖)を有するヒト化マウス抗体であって,請求項15の453アミノ酸からなるものであるとの構成を充足しないとの理由のみにより,請求項15に係る特許発明の実施に本件処分を受けることが必要であったとはいえない,とした判断には,少なくとも,そのことを理由とする限りにおいては,誤りがある。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-18
事件番号:平成24(行ケ)10295
事件種別:審決取消請求
原告:武田薬品工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「パシーフカプセル30mg」
争点:存続期間延長登録(処分を受けることが必要であったとは認められない→認められる)
参照条文:67条の3
分野:医薬類
分類:剤型(組合せ剤)
ポイント: 本件速放性組成物の組成とFRGの組成とは,●を含有するか否かの点で異なる。薬剤の最高血中薬物濃度到達時間が,有効成分の含有量のみならず,結合剤の含有量や種類によって影響を受けることは技術常識である。審決が,本件対象医薬が本件クレームの「最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物」との要件を充足するか否かを判断するに当たり,本件速放性組成物とは組成の異なるFRGの最高血中薬物濃度到達時間である1.04±0.498時間を判断の基礎としたことは誤りである。この誤りは審決の結論に影響を及ぼす。原告は,本件出願時から審決時まで,本件速放性組成物がFRGであることを前提として,本件対象医薬における「速放性組成物」が本件特許発明における「(A)薬物を含有し,最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物」との要件を満たすと主張していた。しかし,FRGの最高血中薬物濃度到達時間である1.04±0.498時間は,本件クレームに記載された60分という時間を一見して超え,本件クレームにおける最高血中薬物濃度到達時間である「約60分以内」を文言上充足しないと判断される余地が十分にある。本件訴訟において,原告が本件速放性組成物の最高血中薬物濃度到達時間であると主張する0.705±0.188時間よりも大きな数値であることも併せ考えると,原告が,特許権の延長登録を得るために,あえてFRGが本件速放性組成物であるとの真実と異なる主張をしたとは認め難く,他にこれを認めるに足りる証拠もない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-31
事件番号:平成24(ネ)10052 <原審;東京地裁平成21(ワ)34203>
事件種別:職務発明対価支払請求控訴
原告:X <控訴人兼被控訴人>
被告:アステラス製薬株式会社 <被控訴人兼控訴人>
判決:原判決変更
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「スルフアモイル置換フエネチルアミン誘導体」
争点:職務発明対価(使用者貢献度)
参照条文:35条
分野:医薬類
分類:物質(ハルナール)
ポイント: ハルナールの有効成分である塩酸タムスロシンの合成後における第1審原告の貢献は限定的であるのに対して,山之内製薬は,塩酸タムスロシンの合成前,合成時の貢献度が大きく,合成後の売上高に対する貢献は極めて大きかった。本件物質発明に係る特許を受ける権利が山之内製薬に承継された時点ではハルナールの有効成分である塩酸タムスロシンがそもそも合成されていなかったことに加えて,当該合成後の山之内製薬による適応症の選定及び製品化に向けた関連する技術の開発が,ハルナールが前記の巨額な売上高を獲得するに当たって特に大きな貢献をしていることを重視する必要がある。これらの事情は,本件物質発明に係る特許を受ける権利が山之内製薬に承継された時点では使用者及び発明者において予見することが極めて困難な事情であったといえ,塩酸タムスロシンの合成後の事情は,専ら使用者である山之内製薬の貢献に係るものであるから,当該承継時点における本件物質発明の価値を承継後に達成されたハルナールの上記売上高に基づいて算出するに当たり,山之内製薬の貢献度を高めるものとして特に有利に考慮する必要がある。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-18
事件番号:平成24(ネ)10028,平成24(ネ)10045 <原審;東京地裁平成21(ワ)17204>
事件種別:職務発明対価請求控訴・同附帯控訴
原告:三菱化学株式会社 (被告) <控訴人・附帯被控訴人>
被告:Y (原告) <被控訴人・附帯控訴人>
判決:一部控訴認容
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:職務発明対価請求控訴
争点:職務発明対価
参照条文:35条
分野:医薬類
分類:用途
ポイント: 被告は,原告の請求のうち,当初の請求額である150万円を超える部分(増額部分)の消滅時効は平成10年10月7日から進行し,上記150万円の訴訟提起によってもその時効は中断せずに進行を続け,平成20年10月6日の経過をもって時効期間が満了し,被告の消滅時効の援用により増額部分の請求債権は時効消滅したと主張する。しかし,数量的に可分な債権の一部につき訴えを提起したとしても,当該訴訟においてその残部について権利を行使する意思を継続的に表示していると認められる場合には,請求されている金額についてその残部の訴訟物が分断されるものではなく,残部について催告が継続的にされていると認めることができるから,当該残部の債権についても消滅時効の進行が中断するものと解すべきである。当該訴訟係属中に訴えの変更により残部について請求を拡張した場合には,消滅時効が確定的に中断する。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-11-29
事件番号:平成24(ワ)17747
事件種別:営業誹謗行為差止等請求
原告:コアフロント株式会社
被告:株式会社アイ・ティー・オー
判決:請求棄却
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 小川雅敏 西村康夫
発明の名称等:化粧水「VE lotion」
争点:虚偽の陳述(なし)
参照条文:不競法2条1項14号
分野:医薬類
分類:用途(化粧水)
ポイント: 被告分析結果の移動相及び溶媒の選択に問題はなく,他に被告分析結果が虚偽であることを裏付けるに足りる事情の主張,立証はない。被告が,平成23年11月21日及び同月25日頃,被告分析結果と同一の方法で,被告の製造販売する被告製品(APPS+Eローション)の分析を日本食品分析センターに依頼した結果,平成24年1月24日付け分析試験成績書で,APPS0.90%,TPNa2.01%という結果が得られている。また,原告分析結果では,本件商品の分析結果として,APPS1.0%,TPNa2.0%との試験結果が示されているが,他方,被告が,原告分析結果と同一の方法で,本件商品及び被告製品の分析を,原告分析結果の作成者である株式会社ブルームに依頼した結果,平成25年3月29日付け分析試験成績書で,本件商品についてはAPPS0.13%,TPNa検出されず,被告製品についてはAPPS0.73%,TPNa2.0%という結果が得られている。これらの事実から見ても,被告分析結果が虚偽であるとは認められない。
114
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-27
事件番号:平成24(行ケ)10247
事件種別:審決取消請求
原告:シーメンス・ヘルスケア・ ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「多数の微生物ファミリーを同定するためのユニバーサルテストシステムおよびその使用」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:装置(微生物の同定)
ポイント:本願明細書の実施例1には,微生物の増殖・発育に必要な栄養分を全て含んでいるものが開示されている。原告は,本願明細書の糖発酵酵素テストでは,ペプトンは酵素反応を促進するために加えられている物質であり,その濃度は低く,糖を0.05ないし2%w/vの濃度で含んでいるとしても,微生物が増殖することができる培地を構成しないと主張する。しかし,仮にその濃度が低いとしても,サンプル中の微生物が少なければ微生物は増殖可能であり,また,その成分が残存している限りは微生物の増殖は可能であるといえるのであって,原告の主張は失当である。本願補正発明は「基質」を使用するのに対し引用発明は微生物培養のための「培地」を使用するとの点は,相違点と解することはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-18
事件番号:平成24(行ケ)10252
事件種別:審決取消請求
原告:タカラバイオ株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「耐熱性リボヌクレアーゼH」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:酵素(リボヌクレアーゼ)
ポイント: 本願明細書には,①本願補正発明のポリペプチドは,様々な耐熱性RNaseHIIのアミノ酸配列の間で保存されている部分の配列情報に基づいてクローニングされた遺伝子がコードするサーモコッカス リトラリス由来RNaseHII(Tli RNaseHII)であって,RNase H活性を有することが確認されたこと,②Pfu RNase HII(パイロコッカス フリオサス由来のRNase HII)に対するアミノ酸配列相同性は,Pho RNase HII(パイロコッカス ホリコシイ由来のRNase HII)が69%,本願補正発明であるサーモコッカス リトラリス由来のRNaseHIIが65%,Tce RNase HII(サーモコッカス セラー由来のRNase HII)が58%,Afu RNase HII(アルカエオグロバス フルギダス由来のRNase HII)が45%であること,③一方の鎖にRNAを1つ含む2本鎖DNAのうちRNAを含む鎖を切断するという基質切断特異性を,Pho RNase HII及びPfu RNase HIIは有することが確認され,Afu RNase HIIは有さないことが確認されたことが記載されていると認められるが,本願補正発明であるサーモコッカス リトラリス由来RNase HII及びTce RNase HIIについて,基質切断特異性を有することが確認されたことの記載はない。本願明細書には,本願補正発明が,一方の鎖にRNAを1つ含む2本鎖DNAのうちRNAを含む鎖を切断するという基質切断特異性を有していることが開示されているとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-25
事件番号:平成24(行ケ)10324
事件種別:審決取消請求
原告:ジェリジーン メディカル コーポレーション
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「真皮,皮下,および声帯組織欠損の増大および修復」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:方法(細胞増殖)
ポイント: 引用刊行物Aには,非ヒト血清(ウシ胎児血清)中で継代した後に行われる無血清培地中での培養は,「存在すれば被験者に対して免疫原性でありアレルギー反応を引き起こすであろう,ウシ胎児血清由来のタンパク質を細胞から実質的に除去する」目的であることが明示されている。引用発明において,無血清培地中で細胞をインキュベートする目的は,被験者に対して免疫原性でありアレルギー反応を引き起こす危険性のある,ウシ胎児血清由来のタンパク質を細胞から実質的に除去することにある。免疫原性の問題を解決するために,本願発明が採用する「非自己由来血清に暴露させることなく,自己由来血清を含む少なくとも1つの培地中で細胞数を増やす」との方法を採用することに,何らの阻害要因はない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-27
事件番号:平成24(行ケ)10354
事件種別:審決取消請求
原告:ジェリジーン メディカル コーポレーション
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 岡本岳 武宮英子
発明の名称等:「老齢関連の軟組織の欠陥の増強と修復」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:方法(組織再生)
ポイント: 引用例には,引用例発明における治療の対象である「笑いじわ(鼻唇ひだ),口周囲のしわ,眉間の溝,陥没瘢痕,口唇形成不全,及び光線性頬しわ」という欠損以外に,「非外傷性の皮膚の陥没」に対しても,下部隣接組織内に懸濁物(すなわち,自己の皮膚繊維芽細胞)を注入して修復できることが記載されている。ここで,技術常識及び「陥没」の語義からして,「非外傷性の皮膚の陥没」は,皮膚に外傷はなく,表皮,真皮,皮下組織のうち少なくともいずれかに欠陥がある状態やその部位の皮膚が薄くなっていることを意味すると,当業者には理解できるから,本願発明における補修の対象である「真皮欠損,皮下欠損」,「皮欠損,皮膚薄弱化」に該当するということができる。引用例には,本願発明における補修の対象となる欠陥についても記載されているといえるから,「本願発明における真皮欠陥,皮下欠陥,皮欠陥,又は皮膚薄弱化のいずれかに該当する『非外傷性の皮膚の陥没』を改善するため,しわ,陥没瘢痕,及び口唇の発育不全にかえて,『非外傷性の皮膚の陥没』に対して引用例発明を用いてみることは,当業者にとり格別困難な事項とはいえない。引用例発明はしわ等に対して治療効果を示すことを明らかにしており,非外傷性の皮膚の陥没に対しても同様に効果を示すことが期待できるものといえるところ,本願発明が引用例発明からみて格別優れた作用を示すことは明らかにされていない。」とした審決の相違点に関する判断にも誤りは認められない。
118
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-12
事件番号:平成24(行ケ)10377
事件種別:審決取消請求
原告:栄研化学株式会社
被告:独立行政法人理化学研究所/株式会社ダナフォーム
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「核酸の増幅法およびこれを利用した変異核酸の検出法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:方法(核酸増幅)
ポイント: 引用発明1においては,2回の加熱工程は,増幅反応の前処理であって,プログラムや繰返しが不要な単発的な処理にすぎないものということができ,核酸増幅反応自体を等温反応とし,プログラム可能な熱サイクラーを不要とすることが達成されているといえる。引用発明1には更に等温化を進めるという課題が内在するとはいえない。仮に,引用発明1において2回目の加熱工程をなくすという課題が内在すると評価したとしても,加熱せずに鋳型核酸からFPによる増幅反応生成物を解離させる手段としては,引用発明2のTPを用いること以外に,標準プライマーやアルカリ変性などのより一般的な手段が既に存在する。刊行物1及び2のいずれについても,引用発明1のプライマーセットの一方のFPをTPに置換することについての示唆はない上,そもそも引用発明1は,FP-FPのプライマーを対として用いることで,定温反応を進めるという点に特徴を有するものであるから,格別の示唆がない限り,当業者が一方のFPをFP以外のものとするとの技術思想に容易に思い到ることはない。
119
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-11-21
事件番号:平成24(行ケ)10438
事件種別:審決取消請求
原告:ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「連続的灌流および交互接線流による細胞培養の方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:方法(細胞培養)
ポイント: 刊行物2の記載は,マイクロキャリアに付着させない細胞を培養する場合のことについて言及したものではない。「凝集体を形成する固有の傾向を有する細胞」が形成し得る凝集体のサイズが,マイクロキャリアと同程度又はそれ以上のサイズに至ることがあるとしても,「凝集体を形成する固有の傾向を有する細胞」を刊行物1発明における濾過システムで培養した場合には,凝集体は解離されるものと理解できるし,刊行物2のATFシステムは,細胞を含む流体が中空繊維の内部を往復する点において刊行物1発明と同様のものである。刊行物2の記載を参照した当業者であっても,「凝集体を形成する固有の傾向を有する細胞」を培養する場合に,中空繊維モジュールよりもスクリーンモジュールが適していると考える理由はない。
120
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-07
事件番号:平成24(行ケ)10195
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ダナフォーム
被告:栄研化学株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「核酸の合成方法」
争点:分割の適法性(不適法→不適法)
参照条文:44条1項
分野:バイオ
分類:方法(核酸合成)
ポイント: 甲1発明16及び17における第2及び第4のオリゴヌクレオチドプライマーは,本件発明4のⅲ)及びⅳ)のオリゴヌクレオチドに相当するものであって,本件発明1ないし3もそのいずれかを備えるものであるものの,いずれも第1ないし第3明細書には記載がなく,本件出願日(平成11年11月8日)に後れる本件補正(平成20年3月24日)によって第3出願の特許請求の範囲に付加されたものであって,第1ないし第3明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものというべきであるから,第1ないし第3明細書に記載した事項の範囲内のものとはいえない。39条1項の適用に当たって,第2及び第4のオリゴヌクレオチドプライマーを含む甲1発明16及び17が第1出願の日(平成11年6月24日)又はその優先権主張日(平成10年6月24日)に特許出願がされたものとみる余地はなく,本件発明の先願発明とはいえないことが明らかであって,本件審決は,結論において相当である。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-10-24
事件番号:平成24(ワ)32450
事件種別:特許を受ける権利確認等請求
原告:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
被告:国立大学法人東京工業大学
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 藤田壮
発明の名称等:「生体吸収性の傾斜した多孔質複合体及びそれを用いた人工骨,並びにそれらの製造方法」
争点:特許を受ける権利の有無(なし)
参照条文:29条1項柱書
分野:バイオ
分類:材料(人工骨)
ポイント: 本願発明の構成中に本件共同発明と異なる部分があることは,原告が自認するところであるから,仮にAが被告の研究担当者らとともに本件共同発明をしたと認められることがあるとしても,このことをもって,Aが被告の研究担当者らとともに本願発明の発明者の一人であるということはできない。Aは本願発明に係る特許を受ける権利を有しないから,原告がこれを承継することはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-19
事件番号:平成24(ネ)10054 <原審;東京地裁平成21(ワ)31535>
事件種別:損害賠償請求控訴
原告:アンティキャンサーインコーポレイテッド <控訴人>
被告:大鵬薬品工業株式会社 <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「ヒト疾患に対するモデル動物」
争点:技術的範囲の属否(属さない)
参照条文:70条
分野:バイオ
分類:動物(モデル動物)
ポイント: 本訴マウスが有する腫瘍組織塊は,ヒトの器官から採取した腫瘍組織をヌードマウスの皮下で継代したものであって,ヒト器官から採取した腫瘍組織塊そのものではないから,本訴マウスは構成要件Bを充足しない。本訴マウスについて文言侵害は成立しない。①乙14・27発明は,肝癌患者の肝臓から採取した肝腫瘍組織片をヌードマウスの皮下で継代移植して得られた腫瘍組織塊をヌードマウスに同所移植することによってモデル動物を作成するという同一の技術分野に属し,その技術分野において,本件出願の優先権主張日当時,転移過程を再現できるヒトモデル動物を作製することは共通の技術課題とされていたこと,②その技術課題に直接関するヌードマウスに肺転移が認められたとする部分について,乙14は乙27を参照文献として引用していることに照らすならば,乙14・27に接した当業者であれば,乙14発明に乙27に記載された知見を適用して本訴マウスの構成とすることは容易である。本訴マウスは,本件出願の優先権主張日当時における公知技術から容易に推考できたものであり,均等の第4要件を満たさない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-02-21
事件番号:平成24(行ケ)10225
事件種別:審決取消請求
原告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
被告:ツルヤ化成工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「高温加熱殺菌飲料の甘味付与方法」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:食品
分類:方法(飲料の甘味付与)
ポイント: 本件発明1と引用発明とでは,「高温加熱殺菌される飲料に,予めシュクラロースを添加して甘味を付与した後,高温加熱殺菌することを特徴とする,高温加熱殺菌飲料の甘味付与方法」である点で一致するが,引用例には高温加熱殺菌の手法が明記されていない(本件相違点)。飲料をレトルト,プレート又はチューブ式の高温加熱殺菌方法により殺菌することは,いずれも本件出願日当時の当業者の技術常識であり,特にプレート式の高温加熱殺菌方法は,飲料の殺菌方法における代表的な技術であるから,引用例に接した当業者は,飲料の高温加熱殺菌方法として上記の各方法を当然に想起する。本件相違点は,実質的な相違点ということはできず,引用発明は,本件発明1の高温加熱殺菌方法を一部包含するものであって,本件発明1と実質的に同一の発明である。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-05
事件番号:平成25(行ケ)10019
事件種別:審決取消請求
原告:ピジョン バイタリティー エーエス/X1/X2
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:「食品及び飼料サプリメントとその使用」
争点:進歩性(なし→判断遺漏あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:組成物(健康食品)
ポイント: 引用発明においては,ビタミンB12の安定化について何らの記載もない以上,そこに含有されるビタミンB12は,安定化されておらず,保存中にビタミンB12を不安定化する成分によって分解等を受け,その残存率が低下する。投与するビタミンB12が安定化されているとの条件の下においてヒトへの1日当たりのビタミンB12の投与量を約1~1500μgとする乙1及び乙2の技術事項を,ビタミンB12が安定化されていない引用発明に直ちに適用することは困難である。引用発明の目的を達成するために必要十分な各栄養素の摂取量や配合比を詳細に検討し最適化を図った場合,ビタミンB12の量が,必ず,本願補正発明の発明特定事項であるサプリメント中の純カルボン酸の含有量の乾燥重量1g当たり1~1500μgの範囲内となるということはできない。引用発明におけるビタミンB6,B9及びB12の量を,本願補正発明の「サプリメントの乾燥重量1g当たり10~50mgの量」とすること,並びに引用発明におけるビタミンB12の量を,本願補正発明の「サプリメント中の純カルボン酸の含有量の乾燥重量1g当たり…1~1500μgの範囲」内とすることは,設計事項とはいえず,当業者において適宜なし得たとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-12-24
事件番号:平成25(行ケ)10106
事件種別:審決取消請求
原告:佐藤食品工業株式会社
被告:越後製菓株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「餅」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:構造(餅)
ポイント: 仮に引用発明3が公知であるとしても,引用発明1の切り欠き面は,切り込みを入れるとともに残存部を設けた切餅を,その切り込みに沿って欠いたことにより小割餅体を得た結果として必然的に形成されるもので,切り欠き面を形成する技術的意義について甲6には何ら記載されていないのであるから,引用発明1において,切り欠き面に代えて,何らかの技術的手段を適用しようとする理由がないことは上記のとおりであり,引用発明1に引用発明3の側面切り込みを組み合わせる動機付けはない。
126
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-14
事件番号:平成24(行ケ)10192
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社明治
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「風味物質が添加されたポーションタイプのカビによる表面熟成軟質チーズ及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:構造(ポーションタイプチーズ)
ポイント: 食品類を内包した白カビチーズ製品という従来にはない技術が刊行物1において完成した後には,当該技術に接した当業者は,この技術の改良を試みるものであり,その際に,上記の慣用技術を用いて,刊行物1の白カビチーズ製品の改良を目指す。刊行物3及び4には,発酵途中のカマンベールチーズをポーションカットし,特定の包装材を使用して,包装材をチーズの切断面に密着するようにして個包装し,さらに発酵を継続させた後に加熱殺菌することにより,加熱殺菌時にチーズが切断面から漏れ出さないという技術が開示されている。刊行物1発明に対して,ポーションカット及び各ポーションの個包装という慣用技術の適用可能性を検討する場合に,刊行物3及び4に示された技術を採用することにより,熟成途中の白カビチーズをポーションカットした場合であっても,加熱殺菌時にチーズが切断面から漏れ出さないようにすることが可能であることを当業者は予測できる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-08-01
事件番号:平成24(行ケ)10237
事件種別:審決取消請求
原告:サッポロビール株式会社
被告:サントリーホールディングス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「麦芽発酵飲料」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:飲料(麦芽発酵飲料)
ポイント: 甲1~6のいずれにも,アルコール分のうちB成分由来のものの率が本件発明1の構成(d)で特定するほど少ない飲料の開示も示唆もない。各種カクテルを記載する「飲食店の業種別カクテル・メニュー」,「カクテル大事典800」及び「新カクテル全書」をみても,複数種類のアルコール飲料を混合して飲料を調整するにあたって,一つの種類のアルコール飲料の混合容積を全体の5%程度まで少なくすることが一般的であるとは認めることができない。甲1~6のみならず,いずれの証拠からも,B成分の混合容積を全体の5%程度以下まで少なくすることの動機付けは見いだせず,構成(c)及び構成(d)を兼ね備えた技術思想を導き出すことはできないから,本件発明1は,A成分とB成分とを混合してなる周知の麦芽発酵飲料の当然に行われたバリエーションの一つであるとはいえないし,当業者が容易に想到し得たものともいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-07
事件番号:平成24(行ケ)10246
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社マルハニチロ水産
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 髙部眞規子 齋藤巌
発明の名称等:「ミオグロビン含有生食用赤身魚肉の加工食品」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:加工(マグロ魚肉)
ポイント: 引用発明は,マグロ肉を酸素透過率の低い合成樹脂製包装材料で真空パックして冷凍保存するに当たって,ブロック状にすることで,包装材料とマグロ肉との密着状態をより確実とし,酸素との接触を高度に防止することにより,メト化による変色を防止し,鮮度のよい状態に保持することを実現した。引用例2には,マグロ肉等の赤身肉のヘム色素中の鉄が大気中の酸素と反応して酸化,すなわちメト化して変色することを防止するために,アスコルビン酸やエリソルビン酸等の還元剤を10~10000ppm,即ち0.001~1%含有させることが記載されている。両者は,マグロ肉と酸素との接触を断つことにより変色を防止するという技術思想において共通する。しかも,引用発明は,そのための手段として,酸素透過率の低い合成樹脂製包装材料で真空パックすることに加えて,マグロ肉をブロック状にして包装材料との密着状態をよりよくするという手段を採用しているから,更に他の手段を併用する動機付けを与える。引用発明において,引用例2記載のアスコルビン酸やエリソルビン酸等の還元剤を併用することとし,その際,その含有率を引用例2に記載された値に基づき最適化することは,当業者が容易になし得たといえる。マグロ肉等を酸素に接触させずに真空パック保存するのに用いる合成樹脂製包装材料として,本件補正発明におけるものと同程度に酸素透過率の低いものは周知であった。引用発明で用いる酸素透過率の低い合成樹脂製包装材料は,マグロ肉と酸素との接触を防止するためのものであるから,引用発明において上記周知の包装材料を用いることは当業者にとって自明である。相違点2に係る本件補正発明の構成は,容易に想到できる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-19
事件番号:平成24(行ケ)10276
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 古谷健二郎
発明の名称等:「乳酸菌共棲培養物と薬用植物とからなる食品及びその製造法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:組成物(健康食品)
ポイント: 刊行物1には,乳酸菌と酵母との共棲培養物を含み,肝及び腎機能改善作用,抗変異原性作用,腫瘍細胞増殖抑制作用並びに腸内細菌叢改善作用等を有する機能性食品用組成物が記載されていることが認められる。乳酸菌と酵母との共棲培養物を含み,肝及び腎機能改善作用,抗変異原性作用,腫瘍細胞増殖抑制作用並びに腸内細菌叢改善作用等を有する機能性食品用組成物が記載された刊行物1に接した当業者にとって,共棲培養物を同様の効能を有する他の機能性食材と組み合わせて使用しようとすることは,ごく自然な発想である。刊行物2~4,6の記載から,肝機能改善作用を有する健康食品として,ウコンは広く普及し注目されていたことは明らかであるから,肝機能改善の観点からウコンを刊行物1記載の共棲培養物に組み合わせることに困難性は見いだせない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-03-13
事件番号:平成24(行ケ)10263
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:芝田俊文(裁判長) 西理香 知野明
発明の名称等:「新規漬物、調味液及びその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:組成物(醤油漬)
ポイント: 引用刊行物1には,唐辛子の醤油漬が開示されている。主として香辛料として利用するか,それ自体を漬物として食するかはともかく,野菜のしょうゆ漬け自体は一般的なものであり,その原料野菜として非加熱のものを使用することも周知である。引用発明の熱処理は,原料野菜である唐辛子の殺菌のためである。漬物の製造工程において原料野菜の前処理として行う殺菌には,熱処理のほか,水,殺菌剤,酢酸液又は食酢による洗浄など種々あり,いずれの方法によるかは,保存期間,製造における手間暇・コスト,完成品の味,食感等を考慮して,適宜選択される。唐辛子に含まれる強い辛味成分であるカプサイシンが強い保存性,殺菌作用を有することも周知の事項である。引用発明について,原料野菜として,殺菌のため熱処理を行わず,非加熱の青唐辛子を使用することに想到することは容易であって,原告主張のような阻害要因が存在するともいえない。一般に,醤油漬に使用される醤油には種々のものが考えられるところ,引用刊行物2の記載に照らすと,風味の点などから生醤油を選択することも適宜行われる。この際,生醤油は醤油よりも保存性が劣ることが問題となるが,引用刊行物2には,アリシンのような防菌,防カビ作用を有する成分を含む材料を浸漬する場合,浸漬液が保存性の悪い生醤油であってもカビが発生し難いとの技術事項が開示されていること,唐辛子に含まれるカプサイシンも強い保存性,殺菌作用を有することなどを勘案すれば,引用発明において,漬け液として生醤油を用いることに格別の阻害要因があったとはいえない。審決の相違点2に係る容易想到性判断に誤りはない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-30
事件番号:平成24(行ケ)10036
事件種別:審決取消請求
原告:日清食品ホールディングス株式会社
被告:サンヨー食品株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「即席麺およびその製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:方法(即席麺製造)
ポイント: 甲1発明は「原料粉にパーム食用油を添加混合」するものであるが,甲1には,この「パーム食用油」の形状についての記載はない。原料粉にパーム食用油を添加する際に,粉末又は粒状の状態で添加することも,液体の状態で添加することも,いずれも従来から行われていたことであり,甲1には,「パーム食用油」により麺線内部及び麺線表面に穴が形成されること,また,その穴を利用して麺線内部の水分をスムーズに蒸発,乾燥させることにより,均一に膨化乾燥させることについても何ら記載も示唆もない。他方,甲2には,蒸煮工程において麺の表面及び内部に無数の微小孔を生じることが記載されているものの,その微小孔による効果としては,麺の復元が極めて早いということが記載されているに留まる。甲2には,その微小孔を利用して麺線内部の水分をスムーズに蒸発,乾燥させることにより,均一に膨化乾燥させることは何ら記載も示唆もなく,甲2の記載から当業者にとって自明の事項ともいえない。そのようなことは,その他のいずれの証拠にも記載されていない。甲1に接した当業者が,粉末油脂を添加することで麺線内部及び麺線表面に形成した穴を利用して,麺線内部の水分をスムーズに蒸発,乾燥させることを容易に想到できない。
132
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-01-30
事件番号:平成24(行ケ)10048
事件種別:審決取消請求
原告:サンヨー食品株式会社
被告:日清食品ホールディングス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「即席乾燥麺およびその製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:方法(即席麺製造)
ポイント: ドウを用いて製麺し,麺線とする際に,本件発明1では,ドウを,「押し出し成形機を用いて,減圧下において圧力を加え小塊又は板状となした後に」製麺し,麺線とするのに対し,甲1発明では,ドウを,常法により製麺し,麺線とする点で相違する。甲2には,麺生地を麺線に製麺し,蒸煮し,熱風により予備乾燥し,高温熱風により本乾燥する即席麺の製造方法において,原料として小麦粉等を用い,必要により副原料を添加したものを混捏した生地を,押し出し成形機において減圧下で押圧力を加えることにより,脱気して生地の密度を高くし,小塊又は板状体とし,これを麺線に製麺することが記載されており、このことは,本件特許出願時における技術常識である。脱気して生地の密度を高くして製麺し麺線とすることが技術常識であることからすると,甲1発明において,甲2の記載事項を適用して,甲1発明におけるドウを,押し出し成形機において減圧下で押圧力を加え,小塊又は板状体とし,これを製麺し,麺線とすることに,何ら困難性は認められず,当業者が通常の創意工夫の範囲内で容易になし得る。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-09-03
事件番号:平成24(行ケ)10421
事件種別:審決取消請求
原告:ライコード・リミテツド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:塩月秀平(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「植物栄養素により食料品の栄養価を高める方法及びそれにより得られた食品」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:方法(トマトオレオレジン添加)
ポイント: トマトオレオレジンであるLyc-O-Mato (R)を,食料品に,栄養補給,着色,抗アレルギー等の機能を付与するために添加する場合,食料品の風味が影響を受けないような量とすることは,本件出願日前に周知であったと認められる。刊行物1発明は,健康上の予防という機能を付与するためにLyc-O-Mato (R)を食品に添加するものであるから,その量を上記周知のものとすることは,当業者が容易になし得る。
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裁判所:知財高裁
判決日:2013-04-11
事件番号:平成24(行ケ)10299
事件種別:審決取消請求
原告:X
被告:花王株式会社
判決:一部請求認容
裁判部:第4部
裁判官:土肥章大(裁判長) 井上泰人 荒井章光
発明の名称等:「液体調味料の製造方法」
争点:サポート要件(違反なし→あり)
参照条文:36条6項1号
分野:食品
分類:方法(液体調味料製造)
ポイント: 本件明細書の発明の詳細な説明に,コーヒー豆抽出物及びγ-アミノ酪酸を本件発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合の実施例があり,それにより液体調味料の風味変化を改善し,本件発明の解決すべき課題を解決できることが示されているとしても,これらは,ACE阻害ペプチドを本件発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合し加熱処理した場合に,液体調味料の風味変化の改善という本件発明の解決すべき課題を解決できることを示したことにはならない。血圧降下作用を有する物質として,コーヒー豆抽出物に加えてACE阻害ペプチドを使用する場合を包含する本件発明1ないし5及び9は,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるといえるが,発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できるものではなく,また,当業者が本件出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できるともいえないから,サポート要件を満たすとはいえない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2013-11-26
事件番号:平成24(ワ)33474
事件種別:損害賠償請求
原告:雪印メグミルク株式会社
被告:株式会社明治/明治ホールディングス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 髙橋彩 植田裕紀久
発明の名称等:「食品類を内包した白カビチーズ製品及びその製造方法」
争点:技術的範囲の属否(属さない)
参照条文:70条
分野:食品
分類:構造(チーズ製品)
ポイント: 構成要件C及びFにおける「香辛料を内包したカマンベールチーズ製品」とは,本件各発明を実施することにより製造されたチーズ製品の完成品を指すものと解すべきであるから,上記各構成要件における「内包」とは,完成品であるチーズ製品の外観から香辛料が見えない状態で内部に含み持たれていることを意味するものと解するのが相当である。被告製品は,各個片の表面のうち上面,底面及び外縁部を構成する面は白カビで覆われるものの,6ポーションカット切断面は白カビに覆われずに黒胡椒とチーズが露出しているカマンベールチーズ製品である。上面,底面及び外縁部から見た場合には香辛料は見えないが,6ポーションカット切断面から見た場合は香辛料が外部に露出している。被告製品及びその製造方法が構成要件C及びFを充足するといはいえない。被告製品及びその製造方法は,本件各発明の技術的範囲に属しない。