書籍 「2015 知財判例年鑑」
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2011年2012年2013年2015年
1
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-04-18
事件番号:平成23(ワ)23424
事件種別:損害賠償等請求
原告:
被告:株式会社デコス/B
判決:請求棄却
裁判部:民事 第40部
裁判官:東海林保(裁判長) 今井弘晃 足立拓人
発明の名称等:「建物の断熱・防音工法 」
争点:発明者該当性(非該当)
参照条文:29条1項柱書
分野:化学
分類:方法(建物の断熱・防音工法)
ポイント:本件第2の特徴的部分は,床上から2mの内張りシートを配置した上で,第1の吹き込み穴形成工程及び第2の吹き込み穴形成工程において,それぞれ床上から50cm,150cmの位置に吹き込み穴を形成し,3段階で吹き込みを行うことを内容とするものである。そして,その技術的思想の基は,セルロースファイバーの吹き込み位置を2箇所とし,セルロースファイバーを3分の1ずつ3段階に分けて吹き込むものとする点にあるところ,原告は,天井の高さが2mの住宅はほとんど存在しないことを前提とした上で(原告本人尋問調書19頁),2mよりも壁が高い場合には,更に3箇所目の穴を第2の吹き込み穴から50cm上に開け,この穴を開ける工程をランダムに繰り返す,としている(原告本人尋問調書19,25頁)。しかし,このセルロースファイバーの吹き込み穴の形成位置に関する原告の認識は,本件明細書の記載から把握される技術的思想である,セルロースファイバーを均等な密度になるようにするために三つの段階に分けて吹き込むものとすることと異なることは明らかである。そうすると,本件特許発明の第2の特徴的部分については,原告が発明者の一人であるとまではいえないというべきである。
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-03-27
事件番号:平成24(ワ)11800
事件種別:特許権侵害差止請求
原告:東レ・デュポン株式会社 (特許権者)
被告:宇部興産株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 志賀勝 藤田壮
発明の名称等:「ポリイミドフィルムおよびそれを基材とした銅張積層体」
争点:新規性(なし)
参照条文:29条1項2号 104条の3
分野:化学
分類:材料(ポリイミドフィルム)
ポイント:被告は,平成14年4月5日から平成16年3月12日までの間に,複数の銅張積層体メーカーに対し,先行発明の技術的範囲に属する28本の先行製品のうち,αMDが10.1~14.4ppm/℃であり,αTDが3.5~7.0ppm/℃である19本の全部又は一部を譲渡した。そして,被告や上記銅張積層体メーカーが当該譲渡について相互に守秘義務を負っていたことを認めるに足りる証拠はない。原告は,前記譲渡がCOF用のポリイミドフィルムを共同開発するためであって,相互に守秘義務を負っていたと主張する。しかしながら,証拠によれば,前記銅張積層体メーカーの1社である東レ株式会社が平成15年1月に発行された業界誌に投稿した論文には,αTDをαMDより低くしたポリイミドフィルムがCOF用に適している旨の記載があることが認められ,この事実に照らすと,被告や前記銅張積層体メーカーが相互に守秘義務を負っていたとは考え難い。そうであるから,被告は,本件特許権の優先日に係る特許出願前に,先行発明のうちαTDが3.5ppm/℃以上のものを公然と実施したものである。
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-06-24
事件番号:平成24(ワ)15614
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:JX日鉱日石金属株式会社(特許権者)
被告:三菱電機メテックス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 髙橋彩
発明の名称等:「電子材料用銅合金及びその製造方法」
争点:新規性(なし)
参照条文:29条1項3号 104条の3
分野:化学
分類:材料(銅合金)
ポイント:乙3発明は「晶出物又は析出物の大きさが3μm未満」とする発明に係る実施例ないし比較例であること,乙3文献には,晶出物又は析出物の大きさが3μm以上だとめっき性等が悪化するとの記載があることからすれば,乙3発明における「晶出物又は析出物の大きさ」とは,これらの粒子の大きさの最大値をいうものと解される。したがって,乙3発明における「大きさが1.3~1.8μm」には,粒子の大きさが5μm未満である構成が開示されているものと解される。そして,乙3発明における「晶出物又は析出物」は,本件訂正発明2における「介在物」と同視できるから,乙3発明は,「介在物の大きさが10μm以下であり,かつ,5~10μmの大きさの介在物個数が圧延方向に平行な断面で45個/mm2以下(0個/mm2の場合を含む。)」(構成要件E及びF'')の構成を実質的に開示するものである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-07
事件番号:平成25(行ケ)10171
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社シンクロン(特許権者)
被告:株式会社オプトラン(無効審判請求人)
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「成膜方法及び成膜装置」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:製法(成膜)
ポイント:甲1論文におけるドームを支える軸の周囲に描かれた円形状の矢印をみた当業者は,本件特許出願当時の技術水準に従って,軸の回転に伴ってドームが回転し,ひいてはドームに載置された複数の基板も回転すると理解するものと解される。したがって,相違点2は実質的相違点でないとした審決の判断に誤りはない。引用発明1は,「前記基体保持面の一部の領域に向けてイオン照射可能となる成膜アシスト手段を用い,回転している前記基体保持面に対して前記イオンを連続して照射することによって,前記基体保持面の回転に伴って移動している前記基体のそれぞれにイオンが照射されているときと照射されていないときが確保されるように前記イオンを照射し,前記基体のそれぞれに対して前記イオンを照射することによるイオンアシスト効果を与えながら,すべての基体の表面に薄膜を堆積させることを特徴とする成膜方法。」といえるから,引用発明との相違点3は実質的相違点でなく,これを実質的相違点でないとした審決の判断に誤りはない。
5
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成26(ネ)10018 <原審;大阪地裁平成24(ワ)13084>
事件種別:損害賠償請求控訴
原告:京セラ株式会社(特許権者) <控訴人>
被告:株式会社MARUWA <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「誘電体磁器」
争点:新規性(なし)
参照条文:29条1項3号 104条の3
分野:化学
分類:材料(誘電体磁器)
ポイント:乙1公報の上記実施例の記載中には,本件訂正発明の構成要件C及びDに係る構成(結晶構造)が明示的に記載されてはいないものの,その結晶構造は,当業者が乙1発明の上記実施例を再現実験して誘電体磁器を作成すれば,確認し得る属性であるから,当業者からみれば,本件訂正発明は,乙1公報に「記載された発明」であると解するのが相当である。
6
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-23
事件番号:平成25(行ケ)10303
事件種別:審決取消請求
原告:東レ株式会社(特許権者)
被告:帝人株式会社(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「白色ポリエステルフィルム」
争点:新規性(なし→あり)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:材料(ポリエステルフィルム)
ポイント:ポリエステル組成物Aについてフィルムを成形したものが当業者にとって自明な技術事項であるとはいえず,また,甲1公報に記載された発明が,ポリエステル組成物Aについてフィルムを成形したものであることを当然の前提としていると同公報自体から理解することができるともいえない。そうすると,「ポリエステル組成物Aからなる白色ポリエステルフィルム」は,甲1公報に記載されているに等しい事項であると認めることはできないものというべきである。
7
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-30
事件番号:平成25(行ケ)10340
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社日本科学エンジニアリング(無効審判請求人)
被告:株式会社ケミカル山本(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大寄麻代 平田晃史
発明の名称等:「含弗素乃至含弗素・酸素系被膜層を形成させたステンレス鋼とその製造方法」
争点:新規性(あり→あり)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:材料(ステンレス鋼)
ポイント:甲1文献の記載によっても,甲1発明の不働態皮膜において,XPSによって測定された弗素濃度が,表層部に比べて,6Åエッチング後の表面のほうが高くなっているのかどうかは,不明であるというほかなく,他にこれを認めるに足りる証拠はない。以上によれば,甲1発明が,「表層部に比べてX線光電子分析ESCA法によって6Åエッチング後の表面について測定された弗素濃度が高くなった含弗素,酸素系被膜層」を備えていると認めることはできないから,本件特許発明1と甲1発明との間に相違点1があるとの審決の認定が誤りであるとは認められない。
8
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-10
事件番号:平成26(行ケ)10167
事件種別:審決取消請求
原告:有限会社日新電気
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「紫の可視光線と不可視光線の近紫外線で透過するウイルス殺菌安全施設」
争点:新規性(なし→なし)
参照条文:29条1項3号
分野:化学
分類:装置(ウイルス殺菌)
ポイント:引用発明の畜舎も,透明な合成樹脂シートを貼り付けた近紫外線及び紫を含む可視光線が透過した施設であるから,紫外線及び波長400nm近辺の可視光線が透過し,本願発明と相違する点はない。そして,本願発明は,紫色の可視光線と不可視光線の近紫外線に関する透過率を発明特定事項としていないから,ウイルス殺菌効果の程度を限定しない発明と解されるところ,引用発明においても,紫外線及び波長400nm近辺の可視光線が透過する以上,一定程度のウイルス殺菌作用があることは明らかであるから,作用効果の面から本願発明と引用発明とが異なる発明と認識されるものではない。したがって,本願発明は,引用発明と同一の発明ということができる。
9
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-01-29
事件番号:平成25(行ケ)10039
事件種別:審決取消請求
原告:積水化学工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(合わせガラス用中間膜)
ポイント:刊行物1発明において,建築物内や自動車内で携帯電話の通話ができるようにしたり,自動車内でGPSの電波を受信できるようにアンテナ性能を確保するというニーズに適合させるために,携帯電話やカーナビゲーションシステムの周波数帯を含む2000MHzまでの範囲の反射損失値(dB)について「KEC法測定」により電界シールド効果及び磁界シールド効果の双方を測定するものとし,ATO超微粒子の混合割合(含有量)を適宜調整するなどして,通常の板厚3mmのクリアガラス(FL3t)単板品と対比した「△dB」を10dB以下とする構成を採用し,「10~2000MHzでの電磁波シールド性能ΔdBが10dB以下」(相違点aに係る本願発明の構成)とすることに容易に想到することができたものと認められる。刊行物1及び2に接した当業者は,刊行物1発明において,耐湿性に関し,合わせガラスを湿度の高い雰囲気中に置いた場合,周縁部の中間膜の白化が起きるという課題があることを理解し,更なる耐湿性の改善を図るために,刊行物2記載の接着力調整剤を用いることなどにより,「80℃,相対湿度95%の環境下に2週間放置した際に合わせガラス端辺からの白化距離が7mm以下」のものを得る構成(相違点bに係る本願発明の構成)とすることに容易に想到することができたものと認められる。刊行物1及び3に接した当業者は,刊行物1発明の可塑剤について,「ポリエーテルエステルである3GH」と刊行物1記載の「トリクレシルホスフェート(TCP),トリオクチルホスフェート(TOP)などのリン酸エステル」の混合物とし,あるいは,刊行物1発明におけるATO(導電性アンチモン含有錫酸化物) 超微粒子を均一に分散するために,刊行物3記載の「リン酸エステル塩」を配合することによって,「リン酸エステル」を含有する構成(相違点cに係る本願発明の構成)を容易に想到することができたものと認められる。刊行物1及び2に接した当業者は,刊行物1発明において,ポリビニルブチラール樹脂を可塑化する可塑剤について,「トリエチレングリコール・ジ-2-エチルブチレート(3GH)」に代えて,刊行物2記載の「トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート」(相違点dに係る本願発明の構成)を採用することは,容易に想到することができたものと認められる。
10
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-01-30
事件番号:平成25(行ケ)10163
事件種別:審決取消請求
原告:パナソニック株式会社(特許権者)
被告:東芝ホームアプライアンス株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「帯電微粒子水による不活性化方法及び不活性化装置」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(殺菌)
ポイント:上記審決の認定判断は,甲1発明の内容を解釈するために本件特許明細書の記載を参酌しているところ,本件優先日時点においては本件特許明細書は未だ公知の刊行物とはなっておらず,当業者においてこれに接することができない以上,甲1発明の内容を解釈するに当たり,本件特許明細書の記載事項を参酌することができないことは明らかである。
11
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-02-12
事件番号:平成25(行ケ)10173
事件種別:審決取消請求
原告:X1/X2
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「天然鉱石を使用した還元水の製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(還元水)
ポイント:引用発明1のマグネシウム,トルマリンと同様に,麦飯石,ブラックシリカについても還元水を製造することができ,かつ,遠赤外線による水の活性化を行うものであることは,本願優先権主張日前に周知であったといえる。そうすると,補正発明において,その混合物の組成に特段の技術的意義が窺われない以上,引用発明1において,還元水を製造するとともに遠赤外線放射により水の活性化(改質)を行うものとして,金属マグネシウム,トルマリンに加えて,麦飯石及びブラックシリカを用いて,相違点1に係る補正発明の発明特定事項とすることは,当業者であれば必要に応じて適宜なし得るものである。アルカリ性の水を飲料水基準にしたり,飲料水として嗜好性を高めるために,酸性液を添加して中和し,中性の飲料水を製造することは周知であるから,引用発明1において,アルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水を,飲料水基準にしたり,飲料水として嗜好性を高めるために,還元水である飲料水を中和して,pH7~8とすることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-02-19
事件番号:平成24(行ケ)10423
事件種別:審決取消請求
原告:ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:「高速凝結性セメント組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(セメント)
ポイント:引用発明が,良好なワーカビリティを確保する点から,コンクリートの打設終了までは,コンクリートがあまりにも早期に凝結しないようにするものであるとしても,より短時間でコンクリート製品を製造するために,更にコンクリートを早期に凝結させるための手段を適用することが妨げられるものではなく,かかる手段を適用する動機付けがあることに変わりはない。コンクリートを構成する各成分を混合する時に,硬化(凝結)促進のために練り上り温度を高くする(スラリーの温度を高くする)ことは,本願優先日前の周知技術であったことは当事者間に争いがない。したがって,引用発明において,組成物を構成する各成分を混合する時のスラリーの具体的な温度は,コンクリートをどの程度早期に凝結させるかなどの目的に応じて,当業者が適宜決定し得る事項であり,スラリーの温度を「少なくとも90°Fの温度」とすることも,当業者が容易に想到することができたといえる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-02-19
事件番号:平成25(行ケ)10132
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社グラーブル パテントキャピタル(無効審判請求人)
被告:日立金属株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「R-Fe-B系希土類焼結磁石およびその製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(焼結磁石の拡散処理)
ポイント:本件発明1における「バルク体」とは,塊状の結晶・固体など,3次元的な拡がりをもち,かさばった状態の物質であって,薄膜,粒体,粉末に対して用いられ,表面,界面,端の効果が無視できる状態にあるものを意味するものであるから,甲1発明における平均粒度3μm程度の「粉末」(原料合金粉末)がこれと相違することは明らかである。したがって,本件審決の相違点1の認定に誤りはない。R-Fe-B系焼結磁石の結晶粒界にDyを拡散させることにより,保磁力が向上することは,技術常識であるから,甲1においてDyが焼結体内部に拡散しているのであれば,それにより保磁力が向上すると考えられるが,甲1において,実施例1で用いられた各サンプルの各製造工程における磁気特性の推移を示した表2(研磨加工前のもの),表3(研磨加工後のもの)及び表4(熱処理後のもの)の記載内容を比較すると,熱処理を施すことにより,研磨加工により劣化した保磁力が研磨加工前の状態に回復していることは認められるものの,熱処理によって保磁力が向上したといえる形跡は見ることができない。甲1発明において,Dyが焼結体内部にまで拡散しているか否かは不明であるといわざるを得ない。他方,本件発明1は,処理室内において,重希土類元素RH(Dy,Ho及びTbからなる群から選択された少なくとも1種)を含有するバルク体と,軽希土類元素RL(Nd及びPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR2Fe14B型化合物結晶粒を主相として有するR-Fe-B系希土類焼結磁石体とを対向配置させ,処理室内を減圧し,加熱手段によってバルク体及びR-Fe-B系希土類焼結磁石体を加熱処理することにより,バルク体から重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の表面に供給しつつ,重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させるというものである。したがって,本件発明1と甲1発明とは,重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させるように構成された拡散処理装置であるか否かという点で相違するのであるから,本件審決の相違点2の認定に誤りはない。
14
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-02-19
事件番号:平成25(行ケ)10133
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社グラーブル パテントキャピタル(無効審判請求人)
被告:日立金属株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「R-Fe-B系希土類焼結磁石およびその製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(焼結磁石)
ポイント:本件発明1における「バルク体」とは,塊状の結晶・固体など,3次元的な拡がりをもち,かさばった状態の物質であって,薄膜,粒体,粉末に対して用いられ,表面,界面,端の効果が無視できる状態にあるものを意味するものであるから,甲1発明における平均粒度3μm程度の「粉末」(原料合金粉末)がこれと相違することは明らかである。本件審決の相違点1の認定に誤りはない。R-Fe-B系焼結磁石の結晶粒界にDyを拡散させることにより,保磁力が向上することは,技術常識であるから,甲1においてDyが焼結体内部に拡散しているのであれば,それにより保磁力が向上すると考えられるが,甲1において,実施例1で用いられた各サンプルの各製造工程における磁気特性の推移を示した表2(研磨加工前のもの),表3(研磨加工後のもの)及び表4(熱処理後のもの)の記載内容を比較すると,熱処理を施すことにより,研磨加工により劣化した保磁力が研磨加工前の状態に回復していることは認められるものの,熱処理によって保磁力が向上したといえる形跡は見ることができない。甲1発明において,Dyが焼結体内部にまで拡散しているか否かは不明であるといわざるを得ない。他方,本件発明1は,処理室内において,重希土類元素RH(Dy,Ho及びTbからなる群から選択された少なくとも1種)を含有するバルク体と,軽希土類元素RL(Nd及びPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B型化合物結晶粒を主相として有するR-Fe-B系希土類焼結磁石体とを対向配置させ,処理室内を減圧し,加熱手段によってバルク体及びR-Fe-B系希土類焼結磁石体を加熱処理することにより,バルク体から重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の表面に供給しつつ,重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させるというものである。本件発明1と甲1発明とは,重希土類元素RHをR-Fe-B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させるように構成された製造方法であるか否かという点で相違するのであるから,本件審決の相違点2の認定に誤りはない。
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判決日:2014-02-27
事件番号:平成25(行ケ)10102
事件種別:審決取消請求
原告:栗田工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「膜分離用スライム防止剤及び膜分離方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(膜分離用スライム防止)
ポイント:引用例2には,次亜塩素酸ナトリウムとスルファミン酸を組み合わせて,結合ハロゲンを形成させて殺菌剤とし,逆浸透メンブランをその殺菌剤と接触させて,逆浸透メンブラン上の生物被膜を除去又は阻止することが記載されていることが認められ,このような引用例2の記載からすると,次亜塩素酸アルカリ金属塩及びスルファミン酸のアルカリ金属塩等を含有する引用発明についても,その用途を「膜分離用」とすることは,当業者が容易に想到することである。
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-03-20
事件番号:平成24(ワ)24822
事件種別:損害賠償等請求
原告:ペパーレット株式会社(特許権者)/ユニ・チャーム株式会社(損害賠償請求権の1/2債権譲受人)
被告:株式会社大貴
判決:請求認容
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 高橋彩 植田裕紀久
発明の名称等:「動物用排尿処理材」
争点:進歩性(あり)
参照条文:29条2項 104条の3
分野:化学
分類:構造(動物用排尿処理材)
ポイント:乙10文献に記載された乙10発明は,審決取消訴訟判決が判示するとおり,排尿を受けると表面皮膜層が崩壊状となって流出し,メチレンブルーが内部から発色することにより排尿の有無を判別するものである。これに対し,乙9発明は,コア層とスキン層から成る排泄物処理用粒状材に関するものであるが,その特許請求の範囲の記載によれば,スキン層は,高吸水速度を有し,吸水後は粘性を有する高吸水性樹脂と,パルプ,紙粉等のフィラ材を所定の割合で混合して成るものであり(乙9),その組成及び上記発明の目的に照らすと,吸水後もスキン層としての構成を維持しており,崩壊状となって流出することはないと認められる。そうすると,乙9発明と乙10発明は,吸水後に表層が維持されるか崩壊するかとの点で技術思想を異にするから,乙9発明に乙10文献の構成を適用することについては阻害要因があるというべきである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-26
事件番号:平成25(行ケ)10079
事件種別:審決取消請求
原告:エヴァーライト エレクトロニクス カンパニー リミテッド (無効審判請求人)
被告:日亜化学工業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「窒化物半導体発光ダイオードの製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(窒化物半導体)
ポイント:サファイア基板上に形成したGaN系半導体発光ダイオードにおいて,半導体層の結晶性を維持しつつ光の散乱又は回折による出力を向上させることを考慮し,基板表面に形成した凸部側面のテーパ角を120°超140°以下とすることは,甲1発明に記載ないし示唆はなく,また,その外のいずれの公知文献及び周知技術にも記載ないし示唆されていない。したがって,甲1発明において,本件発明1の相違点2に係る構成とすることは,当業者にとって容易に想到し得たものとはいえない。
18
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-26
事件番号:平成25(行ケ)10071
事件種別:審決取消請求
原告:エヴァーライト エレクトロニクス カンパニー リミテッド (無効審判請求人)
被告:日亜化学工業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「半導体発光素子」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(半導体発光ダイオード)
ポイント:サファイア基板上に形成したGaN系半導体発光ダイオードにおいて,半導体層の結晶性を維持しつつ光の散乱又は回折による出力を向上させることを考慮し,基板表面に形成した凸部の側面のテーパ角を120°超140°以下とすることは,甲1発明に記載ないし示唆はなく,また,その外のいずれの公知文献及び周知技術にも記載ないし示唆されてはいない。したがって,甲1発明において,本件発明1の相違点5に係る構成とすることは,当業者にとって容易に想到し得たものとはいえない。
19
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-26
事件番号:平成25(行ケ)10213
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社サムズ
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:「使用済み紙オムツの処理方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(使用済み紙オムツ処理)
ポイント:引用例1の実施例8には,濃度が1重量%となる塩化カルシウム及び濃度が1%となる次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液50リットルを回転ドラムの外胴内に供給し,室温において撹拌することが記載されているが,引用例1には,この薬剤水溶液50リットルの量並びに同薬剤水溶液に含まれる塩化カルシウム及び次亜塩素酸ナトリウムの濃度が,撹拌中に使用済み紙オムツの吸水性ポリマーから放出される水分の量を考慮して定められたものであることについての記載や示唆はない。次に,引用例1の記載事項を全体としてみても,「紙おむつを膨潤抑制剤水溶液に浸漬すると,…尿などの水分を吸収して膨潤していた高吸水性ポリマーは収縮して水分を染み出して小さな粒状あるいは粉末状になり」との記載はあるものの,使用済み紙オムツに含有する尿などの水分の具体的な量や,膨潤抑制剤水溶液に浸漬することにより吸水性ポリマーから染み出す水分の具体的な量について言及した記載はないし,また,撹拌中に使用済み紙オムツの吸水性ポリマーから放出される水分の量を利用することにより,撹拌に用いる薬剤水溶液の量あるいは薬剤水溶液に含有する水の量を必要最低限の量とすることができることについての記載や示唆もない。そうすると,引用例1に接した当業者において,引用例1発明における回転ドラム内に所定量の薬剤水溶液をあらかじめ供給し,その所定量の薬剤水溶液の中で紙オムツの撹拌を行う構成に代えて,薬剤(膨潤抑制剤及び消毒剤)の供給と水の給水(供給)とを別々に行うこととした上で,回転ドラム内で「撹拌可能な最低限の水を給水しながら」,「使用済み紙オムツに吸収されていた水分を用いて」撹拌を行う構成(相違点2に係る本願発明の構成)を採用することについての動機付けがあるものとは認められない。
20
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-16
事件番号:平成25(行ケ)10191
事件種別:審決取消請求
原告:三櫻工業株式会社(無効審判請求人)
被告:臼井国際産業株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「重合被覆金属管」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(重合被覆金属管)
ポイント:引用発明は,優れた耐食性及び耐飛石性という目的を実現するためにステンレス鋼管という金属管上に直接樹脂層を形成して,金属管と樹脂層との密着性を高めたというものである。このことは,甲1に記載された,ステンレス鋼管上に直接樹脂層を形成した実施例1ないし7と,ステンレス鋼管と樹脂層との間に表面処理層を設けた比較例との対比からも明らかである。そうすると,引用発明について,ステンレス鋼管と樹脂層の間に本件発明にいう表面処理層のような他の層を形成し,ステンレス鋼管という金属管上に樹脂層を直接形成する構成としないようにすると,樹脂層と金属管とは直接接しないことになり,引用発明の目的とする金属管と樹脂層との密着性を高めることを否定することになるから,このような構成とすることには,阻害要因があるというべきである。
21
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-23
事件番号:平成25(行ケ)10267
事件種別:審決取消請求
原告:興和株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「女性用マスク」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(マスク)
ポイント:引用例2には,「マスクに配置するシートにファンデーション,口紅の付着を抑制するため,シリコンやフッ素等の滑剤を塗布する技術」が開示されているところ,この技術は,本願発明におけるはっ水はつ油加工剤によるはっ水はつ油処理に相当するものである。そして,引用例3には,息や汗等の湿気を吸いとってマスク内部の濡れやべとつきを防止し,長時間の使用でも快適さを損なわないマスクを提供するために,はっ水処理を施すマスクのシート材として,マスク本体の顔面に触れる面,マスク本体とは別の当て布,又は,マスク本体の顔面に触れる面及びマスク本体とは別の当て布がそれぞれ開示されている上,「少なくとも口及び鼻に当たる部分が疎水性を有するように構成されていればよい」とも記載されていることを勘案すると,マスク本体にファンデーションや口紅等が付着するのを防ぐ観点からしても,当て布(裏当て)にはっ水はつ油処理を行うか,マスク本体の内側面にはっ水はつ油処理を行うかは,当業者が適宜選択すべき設計的事項であるということができる。そうすると,引用例1に接した当業者であれば,引用例2及び引用例3に記載された上記技術を勘案して,マスク本体に口紅等の付着を防止する手段として,引用発明のように裏当てを設けることに代えて,本願発明のようにマスク本体の内側面にフッ素剤の滑剤等のはっ水はつ油剤によりはっ水はつ油処理することを容易に想到することができたものと認められる。
22
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-23
事件番号:平成25(行ケ)10235
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ニッキ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「気体燃料用インジェクタ」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(気体燃料用インジェクタ)
ポイント:引用例1から引用発明1の燃料噴射弁が液体の状態で噴射するものに限定できるとは認められない。引用発明2は,気体燃料用インジェクタに係る発明であり,液化石油ガスなどの気体燃料を内燃機関の吸気通路に噴射するものであるから,引用発明1と引用発明2は,液化石油ガスを燃料とする燃料噴射弁(インジェクタ)という共通の技術分野に属する発明であり,共に,インジェクタ弁体と弁座のインジェクタシートの接離に関する発明である。両者を結びつける動機付けがあり,また,上記周知技術も勘案すると,上記相違点2に係る補正発明の発明特定事項は,引用発明1に引用発明2を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものである。複合めっきのためのNi-P系金属マトリクス中のフッ素樹脂粒子の含有量に適正範囲があること(フッ素樹脂量が少なすぎると,剥離性が発揮されず,フッ素樹脂量が多すぎると,めっきが付着しにくくなり,強度が低下する等)は,技術常識であると認められる。また,体積分率で10~60%程度,乙7において,10~50体積%が適切であるとされており,相違点3に係る数値は,これに含まれるものである。したがって,当業者が,Ni-P系金属マトリクス中のフッ素樹脂粒子,すなわち,コーティング層におけるフッ素樹脂粒子の好適な含有量とすることは,格別困難なことではなく,30~35容量%とすることは,当業者が必要に応じてなし得た設計的事項にすぎない。
23
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-24
事件番号:平成25(行ケ)10088
事件種別:審決取消請求
原告:ユニティー オプト テクノロジー カンパニー リミテッド(無効審判請求人)
被告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 八木貴美子 小田真治
発明の名称等:「窒化インジウムガリウム半導体の成長方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(窒化インジウムガリウム半導体)
ポイント:甲1文献には,キャリアガスとしてH2又はN2を用いることは開示されているものの,AlzGa1-zN層(0≦z≦1)(GaN層)の形成時とGaxIn1-xN層(0≦x≦1)の形成時とで,キャリアガスを切り替えることについての記載も示唆もない。また,有機金属気相成長法によって連続して異なる組成による層を形成するに当たり,形成させる層に応じてキャリアガスを切り替えることと,全ての層の形成を同じキャリアガスを用いて行うこととは技術思想が異なると解されるところ,優先日当時,有機金属気相成長法によって連続して異なる組成による層を形成するに当たり,形成させる層に応じてキャリアガスを切り替えるとの公知技術や周知技術があったと認めるに足りる証拠はない。したがって,優先日当時,形成させる層に応じてキャリアガスを切り替えるとの技術思想はなかったものと認められる。そうすると,甲1文献に接した当業者は,AlzGa1-zN層(0≦z≦1)(GaN層)形成時とGaxIn1-xN層(0≦x≦1)形成時を通して,キャリアガスとしてH2又はN2のどちらか一方を用いることができると理解するものと認められ,GaN層の形成時とGaInN層の形成時とでキャリアガスを切り替えるとの構成に容易に想到し得るとは認められない。したがって,当業者が,甲1文献の記載から,本件発明1の相違点1に係る構成に容易に想到し得るとはいえない。
24
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-24
事件番号:平成25(行ケ)10259
事件種別:審決取消請求
原告:東芝ホームアプライアンス株式会社 (無効審判請求人)
被告:パナソニック株式会社 (特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「帯電微粒子水によるエチレンガスの除去方法及びエチレンガス除去装置」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(エチレンガス除去)
ポイント:甲1発明1並びに甲2公報及び甲3公報に記載された技術は,いずれも,活性種が水と結合している状態のものを利用して空気等を清浄する点で共通するものと認められる。以上によれば,甲1発明1において,帯電微粒子水に含まれる活性種につき,アセトアルデヒドと反応させて消臭することに代えて,エチレンガスの除去に用いること,その際,帯電微粒子水を室内の空気中に浮遊させ,アセトアルデヒドを消臭することに代えて,帯電微粒子水を食品収納庫内の空気中に浮遊させて当該帯電微粒子水に含まれる活性種とエチレンガスを反応させ,二酸化炭素と水に分解することは,原出願時の当業者において容易に想到することができたものと認められる。よって,甲1発明1に甲2公報ないし甲5公報記載の技術並びに技術常識及び周知技術を適用して,本件特許発明1との相違点に係る構成とすることは,原出願時の当業者において,容易に想到することができたものと認められる。
25
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-07
事件番号:平成25(行ケ)10268
事件種別:審決取消請求
原告:
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「放射能除染装置及び放射能除染方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(放射能除染)
ポイント:引用例2には,除染用の洗浄液として「創生水」,「EM菌」,「水素水」,「水道水」を用いることにより,土壌に含まれる放射性セシウムが減ることが記載されているといえる。そして,その放射性セシウムの減少量は,いずれの洗浄液を用いた場合でも,標準土壌Bとの比較で20%ほどであり,ほぼ同程度と認められる。引用発明1は,洗浄液として,加温水だけの洗浄液のほか,加温水に対して除染剤を添加した洗浄液などを用いることができるものであり,洗浄液として,水以外の成分を含むものを用いることも予定されているから,引用例2の記載に接した当業者であれば,引用発明1において,洗浄液として,水に加えて,水素を用いることも動機付けられるといえる。そして,水素水の製造方法として,原料水に水素ガスを溶解させることは,周知技術であり,また,「常温常圧下における溶存水素量1.2~1.6ppmの水素分子が溶け込んだ水素水」も,水素水として通常のものである。そうすると,引用発明1に係る移動式除染装置において,洗浄液として「水素水」を用いることとし,引用発明1における洗浄液製造装置に,「水素ガスを供給する水素供給手段」を備えさせるとともに,「原料水に前記水素ガスを溶解させ,常温常圧下における溶存水素量1.2~1.6ppmの水素分子が溶け込んだ水素水を製造する水素水製造手段」を備えさせることは,当業者が容易に想到することである。
26
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-26
事件番号:平成25(行ケ)10248
事件種別:審決取消請求
原告:日産自動車株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「排気ガス浄化システム」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(排気ガス浄化)
ポイント:引用発明において,「Ce-Zr-Pr複酸化物」は作用効果を導くための必須の構成要件であり,引用発明の技術課題の解決手段として設けられたものであることからすれば,この発明から「Ce-Zr-Pr複酸化物」を取り除くと,発明の技術的課題を解決することにはならず,引用発明に接した当業者が,「Ce-Zr-Pr複酸化物」自体,あるいは,成分としての「Zr」を取り除くことを想起するとは考え難い。引用発明におけるHCの部分酸化は,「Ce-Pr複酸化物」に「Zr」を追加して「Ce-Zr-Pr複酸化物」としたことにより,スピルオーバー性を悪化させず,あるいは高温時のスピルオーバー性を高める一方,あえて,酸素吸蔵材の酸素吸蔵性能を適度に低下させることによって,過剰に酸素が放出されてしまうことを避けることで達成されるものである。補正発明は,排気ガス中のO2濃度を制御して,不完全燃焼を生じさせる,すなわち,HCの部分酸化により生じるH2とCOにより,脱離NOxを有効に還元し,浄化するとの技術思想に基づくものである.したがって,補正発明と引用発明とは,部分酸化反応を生起させる技術思想が全く異なっており,引用発明において,相違点2”に示されるようなO2濃度に係る数値範囲を適用しようとする動機付けがあるとはいえない。
27
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-28
事件番号:平成25(行ケ)10221
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ピーアイ技術研究所
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「印刷用ブロック共重合ポリイミドインク組成物
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(感光性インク)
ポイント:インキやワニスの技術分野において,溶媒は樹脂を溶解できるものの中から当業者が適宜選択して使用することが一般的である。もっとも,引用例で列挙された溶媒の選択肢の数は非常に多く,その組合せも更に多く,グライム系溶媒を積極的に使用する動機付けや技術常識(技術的背景)がなければ,実際には置換は必ずしも容易ではない。しかしながら,ジグライム,トリグライム等のグライム系溶媒は,単独あるいは他の溶媒と混合して,ポリイミドシロキサン用溶媒として本願出願日前から広く用いられてきたものであるという技術常識が認められる。そうすると,ポリイミドの溶解度やインクとしての性能を考慮して,引用発明の溶媒成分のうちγ-ブチロラクトンをグライム系溶媒に変更したものを選択することに格別の困難性を見出すことはできず,引用発明のインキにおいて混合溶媒の2成分のうちの片方をグライム系溶媒に変更してみることは,当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
28
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-28
事件番号:平成25(行ケ)10270
事件種別:審決取消請求
原告:バンドー化学株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 平田晃史
発明の名称等:「Vリブドベルト」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(Vリブドベルト)
ポイント:刊行物1及び刊行物2に接した当業者は,刊行物1記載のベルト20におけるベルトの外側の表面のニット繊維とベルトの内側(リブ側)の表面のニット繊維をそれぞれ円筒形に形成するに当たり,刊行物2に記載された,綿繊維と熱可塑性合成繊維との混紡糸により形成された帆布を材料として使用し,継ぎ合わせる帆布の各端部を超音波振動により熱圧着させて,溶着(熱溶着)する方法を適用する動機付けがあるから,引用発明(ベルト20)において,ベルトの内側(リブ側)の表面のニット繊維30が「融着接続されたジョイント部」を有する構成(「融着接続」に関する相違点に係る本願発明の構成)とすることを容易に想到することができたものと認められる。
29
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-06-10
事件番号:平成25(行ケ)10313
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社門林/有限会社エル山本(無効審判請求人)
被告:山崎産業株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「高吸水高乾燥性パイルマット」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:構造(パイルマット)
ポイント:引用発明は,甲2カタログ掲載の商品及びその商品を説明する内容の甲1陳述書によりその構成が把握されるにとどまり,これらの書証のみからは,引用発明においても肌触り性が課題として存在するのか否かは明らかではない。甲3カタログの記載をみても,同カタログには,「お客さまを迎える気持ちを足ざわりのやわらかい1枚のマットで伝えられたら。」との記載があるので,足触り(肌触り)を考慮した商品が掲載されていることはうかがえるものの,甲3カタログのこの記載のみからは,掲載商品につき更に肌触り性を課題とする技術思想が開示されているとみることは困難である。したがって,マットにおいて良好な肌触り性が求められており,また,室内マットにおいて綿以外の合成繊維を使用することや,モール糸の飾り糸として,綿などの紡績糸及びポリエステルなどのフィラメント糸のいずれを使用することも本件特許の出願前における周知の事項であったとしても,当業者が,引用発明における綿フィラメントを甲4公報記載のマットのパイル糸の素材の繊維である非吸水性のポリエステル及びナイロンに置き換えることを容易に想到することができたものということはできない。
30
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-06-26
事件番号:平成25(行ケ)10217
事件種別:審決取消請求
原告:ハネウエル・インターナショナル ・インコーポレーテッド(特許権者)
被告:ダイキン工業株式会社(無効審判請求人)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「フッ素置換オレフィンを含有する組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(熱移動組成物)
ポイント:本件明細書に「ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機に用いられるポリオールエステル(POE)およびポリアルキレングリコール(PAG)など,一般的に用いられる冷却潤滑剤が,本発明の冷媒組成物と共に用いられてもよい。」との記載があることに照らしても,本件優先日の当時,PAG及びPOEは,HFC系の冷媒に関しては,具体的な化合物によっては例外はあるものの,これと一般的には相溶性を有する潤滑剤として使用可能であることが,当業者において認識されていたということができる。そして,HFOは,水素,フッ素及び炭素からなり,炭素-炭素二重結合を有する化合物の総称であり,二重結合の有無の点でHFCとはその構造が異なるものの,水素,フッ素,炭素からなり,塩素を含まない化合物である点でHFCと共通する化合物であること,甲5文献には,HFOに属する点で甲1発明の冷媒化合物と共通する化合物であるHFO-1336を冷媒に用いる発明が開示され,具体的な実験条件は明記されていないものの,この冷媒がPAG及びPOEのいずれとも良好な相溶性を有することが記載されていることからすれば,当業者が,甲1発明に係るHFO系の冷媒化合物であるHFO-1234zeやHFO-1234yfと組み合わせるべき潤滑剤として,上記のようなPAGやPOEとの相溶性を示すHFC系の冷媒やHFO-1336との間で認められた相溶性と同程度の相溶性を示す可能性がそれなりに高いことを予測し,PAGないしはPOEを選択することは,特段の創意工夫を要することなく行うことができるといえる。
31
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-06-26
事件番号:平成25(行ケ)10218
事件種別:審決取消請求
原告:ハネウエル・インターナショナル ・インコーポレーテッド(特許権者)
被告:旭硝子株式会社 (無効審判請求人)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「フッ素置換オレフィンを含有する組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(熱移動組成物)
ポイント:本件明細書に「ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機に用いられるポリオールエステル(POE)およびポリアルキレングリコール(PAG)など,一般的に用いられる冷却潤滑剤が,本発明の冷媒組成物と共に用いられてもよい。」との記載があることに照らしても,本件優先日の当時,PAG及びPOEは,HFC系の冷媒に関しては,具体的な化合物によっては例外はあるものの,これと一般的には相溶性を有する潤滑剤として使用可能であることが,当業者において認識されていたということができる。そして,HFOは,水素,フッ素及び炭素からなり,炭素-炭素二重結合を有する化合物の総称であり,二重結合の有無の点でHFCとはその構造が異なるものの,水素,フッ素,炭素からなり,塩素を含まない化合物である点でHFCと共通する化合物であること,甲5文献には,HFOに属する点で甲1発明の冷媒化合物と共通する化合物であるHFO-1336を冷媒に用いる発明が開示され,具体的な実験条件は明記されていないものの,この冷媒がPAG及びPOEのいずれとも良好な相溶性を有することが記載されていることからすれば,当業者が,甲1発明に係るHFO系の冷媒化合物であるHFO-1234zeやHFO-1234yfと組み合わせるべき潤滑剤として,上記のようなPAGやPOEとの相溶性を示すHFC系の冷媒やHFO-1336との間で認められた相溶性と同程度の相溶性を示す可能性がそれなりに高いことを予測し,PAGないしはPOEを選択することは,特段の創意工夫を要することなく行うことができるといえる。
32
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-06-26
事件番号:平成25(行ケ)10216
事件種別:審決取消請求
原告:ハネウエル・インターナショナル ・インコーポレーテッド(特許権者)
被告:アルケマ フランス (無効審判請求人)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「フッ素置換オレフィンを含有する組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(熱移動組成物)
ポイント:本件明細書に「ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機に用いられるポリオールエステル(POE)およびポリアルキレングリコール(PAG)など,一般的に用いられる冷却潤滑剤が,本発明の冷媒組成物と共に用いられてもよい。」との記載があることに照らしても,本件優先日の当時,PAG及びPOEは,HFC系の冷媒に関しては,具体的な化合物によっては例外はあるものの,これと一般的には相溶性を有する潤滑剤として使用可能であることが,当業者において認識されていたということができる。そして,HFOは,水素,フッ素及び炭素からなり,炭素-炭素二重結合を有する化合物の総称であり,二重結合の有無の点でHFCとはその構造が異なるものの,水素,フッ素,炭素からなり,塩素を含まない化合物である点でHFCと共通する化合物であること,甲5文献には,HFOに属する点で甲1発明の冷媒化合物と共通する化合物であるHFO-1336を冷媒に用いる発明が開示され,具体的な実験条件は明記されていないものの,この冷媒がPAG及びPOEのいずれとも良好な相溶性を有することが記載されていることからすれば,当業者が,甲1発明に係るHFO系の冷媒化合物であるHFO-1234zeやHFO-1234yfと組み合わせるべき潤滑剤として,上記のようなPAGやPOEとの相溶性を示すHFC系の冷媒やHFO-1336との間で認められた相溶性と同程度の相溶性を示す可能性がそれなりに高いことを予測し,PAGないしはPOEを選択することは,特段の創意工夫を要することなく行うことができるといえる。
33
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-09
事件番号:平成25(行ケ)10239
事件種別:審決取消請求
原告:日揮触媒化成株式会社(無効審判請求人)
被告:三井金属鉱業株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(スピネル型マンガン酸リチウム)
ポイント:スピネル型マンガン酸リチウムであって,その原料として電解二酸化マンガンを用いる甲1発明において,高温保存性やサイクル特性を向上させるために,ナトリウムを取り込むという広く知られた手段を用いることとし,その際,水酸化ナトリウムで中和することによってナトリウムを含有することが広く知られている電解二酸化マンガンを原料として利用すること(甲5)に着目し,これを原料として使用することでLiMn1.85Li0.1Al0.05O4の結晶構造中にナトリウムを取り込み,それによりマンガンの溶出を抑制することは,当業者が容易に想到することであると認められる。また,電解二酸化マンガンについて,中和によりどの程度のpHとするか,また,ナトリウムの含有量をどの程度とするかは,ナトリウムの単なる量的条件の決定にすぎず,上記解決手段を具現化する中で適宜選択される最適条件にすぎないから,pHを2以上とするとともに,ナトリウムの含有量を0.12~2.20重量%とすることも,当業者が容易に想到することであるといえる。
34
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-17
事件番号:平成25(行ケ)10245
事件種別:審決取消請求
原告:ザ・エスエフ・マテリアルズ・コーポレイション
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「脱硫ゴムおよび方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(脱硫)
ポイント:引用文献においては,「Refining(精細)して再利用可能な程度の可塑性と粘着性を与える工程」については,「再生は脱硫のみならず Refining に依つても行われる」,「(Refiningを)をおろそかにしている工場の殆ど總ては・・・出来上つた再生ゴムは粒子が粗く著しい見劣りが感ぜられた」,「何れにしてもRefiningは斯くの如く重要なもの」等とされており,「Refining(精細)して再利用可能な程度の可塑性と粘着性を与える工程」を重視すべきことが強調されている(甲2)。そうすると甲2発明に接した当業者は,再生(本願発明の「脱硫」)に際して「Refining(精細)して再利用可能な程度の可塑性と粘着性を与える工程」を強化するべきことを想到するとしても,「Refining(精細)して再利用可能な程度の可塑性と粘着性を与える工程」を必須としない構成については,これを容易に想到し得ない。
35
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-07
事件番号:平成25(行ケ)10240
事件種別:審決取消請求
原告:日立マクセル株式会社(特許権者)
被告:住友金属鉱山株式会社(無効審判請求人)
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「半導体装置の製造方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(半導体装置)
ポイント:ステンレスに金メッキをする際に,化学エッチングにより不活性膜を除去することは,本件出願前に周知の技術であったといえる。引用例2記載の発明においても,選択的に金薄膜層を形成する前に,ステンレス基板の表面を化学エッチングによる表面酸化被膜除去等の表面活性化処理をすること,すなわち,「ステンレス基板の露出面に対し,化学エッチングにより不活性膜を除去する工程」を行うことは,当業者であれば,必要に応じて適宜なし得るものである。したがって,審決の相違点1の判断に誤りはない。金薄膜層とNi又はNi・Co薄膜金属層のそれぞれが別工程でパターニングして積層する引用例2記載の発明の方法が,一旦レジスト膜を除去して再度レジスト膜を形成する点において,膜を連続して形成する慣用手段と比較して,より工程数が多いことは自明である。そうすると,当業者は,「半可撓性平板状のステンレス基板の一面に,レジスト膜をパターンニングして半導体素子の登載部と外部導出用の金属層とを形成する金属基板面を露出させて,選択的に金薄膜層を形成した後,パターンニングしたレジスト膜を除去して,金薄膜層が選択的に形成された面,全面にNi又はNi・Coの薄膜金属層を形成し,続いて,Ni又はNi・Co薄膜金属層を選択的に除去」する工程に代えて,上記の慣用手段を適用して相違点2に係る構成とすることを容易に想到すると認められる。以上よりすると,本件特許発明1は,引用例2記載の発明と上記の慣用手段から容易に想到することができたというべきである。
36
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-27
事件番号:平成25(行ケ)10277
事件種別:審決取消請求
原告:コンステリウム フランス/コンステリウム ロールドプロダクツ-レイヴンズウッド,エルエルシー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「ロウ付け用のアルミニウム合金製の帯材」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:用途(ロウ付け用のアルミニウム合金製帯材)
ポイント:刊行物2そのものには,管理された窒素雰囲気下でのろう付けについて,何らの記載も示唆もない。また,芯材用アルミニウム合金にイットリウムを含有させることにより,管理された窒素雰囲気下でのろう付けにおいて,改善されたろう付け性が得られることについて,何らの記載も示唆もない。そして,本願出願時には,ろう付け法ごとに,それぞれ特定の組成を持ったろう材や芯材が使用されることが既に技術常識となっており,ろう付け法の違いを超えて相互にろう材や芯材を容易に利用できるという技術的知見は認められない。したがって,真空雰囲気下でのろう付け法である引用発明において,芯材用アルミニウム合金にイットリウムを含有させることにより,ろう付けの際に生じるエロージョンを抑制することができるものであるとしても,管理された窒素雰囲気下でのろう付け法において,改善されたろう付け性が得られるかどうかは,試行錯誤なしに当然に導き出せる結論ではない。
37
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-11
事件番号:平成25(行ケ)10275
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ブリヂストン(無効審判請求人)
被告:住友ゴム工業株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「加硫ゴム組成物,空気入りタイヤおよびこれらの製造方法」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(加硫ゴム)
ポイント:実施例8は,甲3文献の開示する技術思想を,疎水性媒体にスチレン-ブタジエンコポリマーを用いて具体化したものであると認められる。そして,セルロースミクロフィブリル表面を疎水性化して疎水性媒体との親和性を高めることにより,セルロースミクロフィブリルの疎水性媒体中での分散性を改善するという,上記技術思想の作用機序に照らすと,かかる作用機序は疎水性媒体一般に対して妥当するものであると理解することができる。したがって,甲3文献に接した当業者であれば,変性セルロースミクロフィブリルを強化充填剤として用いるべき疎水性媒体として,実施例8で用いられたスチレン-ブタジエンコポリマーに限らず,甲3文献に列挙された様々な製品の材料として慣用される様々なポリマー等の疎水性媒体を用いることができることを,ごく自然に認識するはずである。甲3発明Aにおけるスチレン-ブタジエンコポリマーに代えて,天然ゴム,変性天然ゴム,アクリロニトリルブタジエンゴム又はポリブタジエンゴムを用いることは,当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-17
事件番号:平成26(行ケ)10005
事件種別:審決取消請求
原告:日立化成株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「太陽電池ユニット,太陽電池セルの接続方法,太陽電池セルの接続構造及び太陽電池セル接続用導通材」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:方法(太陽電池セルの接続)
ポイント:原出願優先日当時,①引用発明においてはんだによる処理が許容されていた「リード線の端部」と「太陽電池素子の電極」との「接着」に,②はんだに代わる接続手段として,太陽電池も含む種々の対象物に幅広く使用し得ることが当業者に周知されていた,異方導電熱硬化型フィルム接着剤を使用することは,当業者にとって容易に想到し得たものといえる。そして,補正発明と引用発明との実質的相違点は,結晶系太陽電池セルと接続部材との接続に,補正発明は異方導電熱硬化型フィルム接着剤を用い,引用発明は熱硬化型の導電性接着剤を用いることであるから,引用発明において,接続部材である「リード線」の端部と,結晶系太陽電池セル,すなわち,「太陽電池素子」の電極との接着に異方導電熱硬化型フィルム接着剤を使用することにより,補正発明の構成に至ることは明らかである。したがって,原出願優先日当時,当業者において,引用発明から補正発明に想到することは容易であったものと認められる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(行ケ)10324
事件種別:審決取消請求
原告:京セラ株式会社(特許権者)
被告:株式会社MARUWA(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「誘電体磁器及びこれを用いた誘電体共振器」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(誘電体磁器)
ポイント:甲1発明は,高Q値の誘電体磁器組成物を提供することを課題の一つとするものであるが,このような課題は,甲1発明においては酸化物の組成を特定の範囲に調整することにより解決されている。甲1公報には,少なくとも,1/100000~3体積%のβアルミナ等の結晶相を存在させること,また,それによりQ値を向上させることについて記載も示唆もなく,甲1公報は,甲1発明において,Q値を向上させるために,1/100000~3体積%のβアルミナ等の結晶相を存在させることを動機付けるものではない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(行ケ)10266
事件種別:審決取消請求
原告:X(無効審判請求人)
被告:株式会社ブリヂストン(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「透明フィルム」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(ガラス用透明接着剤)
ポイント:甲2文献や甲11文献には,従来より,太陽電池用充填材層(本件発明の太陽電池用封止膜に相当する。)に用いられる熱可塑性透明有機樹脂として,エチレン/酢酸ビニル共重合体が好んで使用されてきたこと,太陽電池モジュールにおいて用いる際にはエチレン/酢酸ビニル共重合体を架橋することが好ましいことが記載されており,これらの記載に照らせば,太陽電池用封止膜の材料として,架橋された透明なエチレン/酢酸ビニル共重合体を用いることは周知であったと認められる。これに加え,太陽電池用封止膜が,甲1文献に示唆のある機器と接触する部材であることに照らすと,甲1文献に接した当業者にとって,甲1発明のフィルムを,架橋された透明なものとして太陽電池用封止膜の用途に用いることは,容易に想到し得ることであるということができる。
41
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-08
事件番号:平成25(行ケ)10296
事件種別:審決取消請求
原告:戸田工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「電子写真現像剤用磁性キャリア及びその製造方法,二成分系現像剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(現像剤キャリア)
ポイント:審決は,引用発明に含まれる磁性キャリアと,ポリエステル樹脂,銅フタロシアニン系着色剤,ジ-tert-ブチルサリチル酸亜鉛化合物などの材料から製造したシアントナーとからなるカラー用現像剤が,本願出願前に周知であるという本件周知技術を前提にして,引用発明の磁性キャリアを上記シアントナーと混合してカラー用現像剤とするとともに,引用発明の測定条件に基づいて算出した帯電立ち上がり指数を90以上のものにすることは,当業者にとって容易に想到できるとする。しかしながら,引用発明の磁性キャリアを上記シアントナーと混合してカラー用現像剤とすることが,本願出願前の周知技術であったとしても,上記シアントナーの確定的な成分及びその割合や製造方法などは不明なのであるから,引用発明の磁性キャリアと上記シアントナーとを用いて,引用発明の測定条件に基づいて算出した帯電立ち上がり指数が,90以上となる合理的な根拠はないというべきである。したがって,引用発明の測定条件に基づいて算出した帯電立ち上がり指数が90以上であるか否かは,技術的に不明であり,そのようにすることが容易ともいえないのであるから,審決の上記判断は,誤りである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-09
事件番号:平成25(行ケ)10323
事件種別:審決取消請求
原告:ナンテロ,インク.
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「電子製造プロセス内で使用するための塗布器液体」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(電子製造プロセス用塗布液)
ポイント:甲4文献(特開2004-162203号公報)には,ラジカル分解したポリマーがカーボンナノ繊維に結合してなる変性カーボンナノ繊維の発明が記載され,このような変性カーボンナノ繊維は,種々の溶媒中において,良好な分散性を安定して維持できること,当該変性カーボンナノ繊維をトルエン中に分散させたところ,1か月経過後にも良好な分散状態を保持していたことが記載されている。しかし,上記の変性カーボンナノ繊維は,ポリマーを利用することにより良好な分散性を維持するものであり,ポリマーも界面活性剤も含まない引用発明とは異なるものである。よって,このような甲4文献を参照しても,引用発明における複数のカーボンナノチューブが,「少なくとも1週間は分離状態を維持でき」るということはできない。以上に加え,引用発明における分散液中のカーボンナノチューブが,「少なくとも1週間は分離状態を維持でき」ると認めるに足りる証拠は他に見当たらないことに照らすと,引用発明における分散液中のカーボンナノチューブが,「少なくとも1週間は分離状態を維持でき」るかどうかは,明らかではないといわざるを得ない。そうすると,本願発明と引用発明との間の相違点1について,実質的には相違はないということはできないから,これを実質的な相違点ではないとした審決の判断は,誤りである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-15
事件番号:平成26(行ケ)10035
事件種別:審決取消請求
原告:財團法人工業技術研究院
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 柵木澄子
発明の名称等:「低エネルギー消費の脱着装置とその除湿装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(除湿)
ポイント:本件審決が,引用発明1の認定において,「電極11」を,これに接合された「吸湿ロータ10の両面に塗布された銀ペーストなどの低抵抗塗料」に言及することなく,本願補正発明の「電極構造」に相当するとしたことは不適切であるとはいえるものの,本願補正発明と引用発明1とが,本願補正発明の「電極構造」は吸着材料の両側に接続されているのに対し,引用発明1の「電極構造11」は吸着材料(吸湿ロータ10)の外周部に設けられている点(相違点A)において,相違するということはできない。本願補正発明の特許請求の範囲の請求項1の記載は,「電極構造」が抗酸化導電層を備えることを特定するものではない。そして,原告が指摘する本願明細書の段落【0017】及び【図6】の記載は,一実施例に関するものにすぎず,このような実施例が存するからといって,本願補正発明が上記実施例の態様に限られるものということはできない。本願明細書に記載された実施例として,電極構造として抗酸化導電層を備えた構造のみが開示されていたとしても,同様である。したがって,本願補正発明と引用発明1とが,本願補正発明の「電極構造」は抗酸化導電層を備えた構造であるのに対し,引用発明1がそのような抗酸化導電層を備えていない点(相違点B)において相違するということはできない。
44
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-04
事件番号:平成25(行ケ)10300
事件種別:審決取消請求
原告:X(無効審判請求人)
被告:独立行政法人産業技術総合研究所(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「炭化珪素半導体装置の製造方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(炭化珪素半導体装置)
ポイント:甲1記載発明における「開口」以外の部分の「60nmの厚みの熱酸化膜」と「1.0μmの厚みのLPCVD酸化膜」からなる「不動態化された酸化膜」は,パッシベーション膜(表面保護膜)として機能させるために形成されたものであり,残存することが予定されるものである。そうすると,甲1記載発明において,「60nmの厚みの熱酸化膜と,1.0μmの厚みのLPCVD酸化膜を形成して不動態化する工程」及び「続いて,緩衝フッ酸(BHF)エッチングによって,不動態化された酸化膜内に開口を形成する工程」を,本件発明1の相違点2に係る構成(二酸化珪素層を除去する工程)とすることには阻害要因があるものというべきである。また,他に,甲1記載発明に基づき,当業者において本件発明1の相違点2に係る構成に容易に想到し得ることを認めるに足りる証拠もない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-05
事件番号:平成26(行ケ)10061
事件種別:審決取消請求
原告:日鉄住金ロールズ株式会社(無効審判請求人)
被告:株式会社フジコー/株式会社中山製鋼所(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「熱間圧延用複合ロール,熱間圧延用複合ロールの製造方法及び熱間圧延方法」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(熱間圧延用複合ロール)
ポイント:甲2及び3には,そもそも,Tiの具体的な添加時期や場所に関して何ら示唆する記載はない。他方,甲4,5及び7には,接種の時期について,「取鍋」,「鋳型内」,「鋳型に注入する直前の溶湯」が記載されているが,これらはいずれも鋳鉄や遠心鋳造法に関するものであって,連続鋳掛け法に関する接種時期や場所を直接示唆するものではない。甲6は,連続鋳掛け法におけるTiの添加について記載されたものであり,第6図には,連続鋳掛け法における耐火枠直前の添加が示されていると解釈する余地があるが,他の添加時期や場所と適宜代替可能であることを示唆する記載はないし,そのようなことが可能であることを裏付ける科学的根拠もない。以上のとおり,甲2~7は,いずれも,甲1発明において,外層部を形成するための溶湯を溶解炉より出湯する際に,取鍋又は注湯炉に限定してTiを添加することを動機付けるものではない。そうすると,甲1発明において,外層部を形成するための溶湯を溶解炉より出湯する際に,取鍋又は注湯炉に出湯1kg当たりTiを0.5~5.0g添加することは,当業者が容易に想到することができたとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-26
事件番号:平成26(行ケ)10079
事件種別:審決取消請求
原告:三洋電機株式会社(無効審判請求人)
被告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「窒化ガリウム系発光素子」
争点:進歩性(あり→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(窒化ガリウム系発光素子)
ポイント:甲1の一般式の中から,AlNを選択することを想到した上で,AlNを保護膜として使用した場合に,大気雰囲気中の水分と反応することにより,分解し,変質するとの課題があることに着目し,更にそれを解決するための構成としてAl2O3により構成されるパッシベーション膜を採用するというのは,引用発明から容易に想到し得たものを基準にして,更に甲2記載の技術を適用することが容易であるという,いわゆる「容易の容易」の場合に相当する。そうすると,引用発明に基づいて,相違点2及び3に係る構成に想到することは,格別な努力が必要であり,当業者にとって容易であるとはいえない。
47
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-27
事件番号:平成25(行ケ)10234
事件種別:審決取消請求
原告:ナンテロ,インク.
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大寄麻代 平田晃史
発明の名称等:「基板製品を製造する方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:製法(基板製品)
ポイント:刊1発明は,「ナノチューブ薄膜は固着性が悪く,接触や空気の流れ(たとえば空気掃除機)により容易に除かれるほどである。」ため,「適切な固着性を有し,より有用で堅固なデバイス構造の形成を可能にするより便利で,融通のきく方法」を開発することを課題とし,これを実現するため,パターン形成材料にカーボン分解材料,カーバイド形成材料,低融点金属などを用いてパターン形成し,これにナノチューブを堆積させた上でアニールすることによって,カーボン分解,カーバイド形成又は溶融を誘発させて,固着性を確保するものである。したがって,固着性の確保は刊1発明の必須の課題であって,刊1発明におけるパターニングの方法については,刊1発明と同程度の固着性を確保できなければ,他のパターニングの方法に置き換えることはできないというべきである。そして,刊3発明のパターニング方法におけるカーボンナノチューブの固着性についてみると,刊3発明は,「カーボンナノチューブを塗布,圧着,埋込み等の方法で合成樹脂製の支持基板12上に供給する」と記載しているのみであって,固着性について特段の配慮はされておらず,カーボンナノチューブ層が支持基板12に対して,いかなる程度の固着強度を有するかも不明である。よって,刊1発明に刊3発明を適用することには阻害要因があるから,刊1発明に刊3発明を適用して相違点1に係る本願発明の構成とすることを当業者が容易に想到し得るとした審決の判断には誤りがある。
48
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-18
事件番号:平成26(行ケ)10020
事件種別:審決取消請求
原告:旭硝子株式会社(無効審判請求人)
被告:ダイキン工業株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大寄麻代 平田晃史
発明の名称等:「太陽電池のバックシート」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:材料(太陽電池のバックシート)
ポイント:「新規な塗料用フッ素樹脂」及び「塗料用ふっ素樹脂“ルミフロン”の特性と応用」のいずれの文献にも,ルミフロンを硬化(メラミン硬化)させると,硬化剤なしの場合と比べて,サンシャインウェザーメーターを用いた促進耐候性試験における力学的性質(破断強度,伸び)が向上することが記載されていること,原告が作成したルミフロンに関する説明が記載された「ルミフロンエマルション品種」の表4にも,ルミフロンに硬化剤を用いると,用いなかった場合と比べて60度光沢,鉛筆硬度,耐溶剤性が向上することが記載されていることなどによれば,ルミフロンを硬化させて使用すると各性質の向上が期待できることは,当業者にとって周知の事項であるといえる。そして,以上に加えて,技術説明資料の配合処方例(5枚目の表-2)についてもルミフロンを硬化させた例しか記載されていないことを含めて考慮すれば,当業者は,甲1発明2のルミフロンを硬化して用いることを容易に想到することができると認められる。
49
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-24
事件番号:平成26(行ケ)10042
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東芝
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「半導体装置」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:化学
分類:装置(半導体装置)
ポイント:直接半導体チップが実装されるプリント配線基板において,ハロゲンイオンが存在すると,回路部材の腐食による接合不良や絶縁不良が生じるため,その濃度は低ければ低いほど好ましく,Clイオンについては20ppm以下であることが好ましいということができ,また,プリント回路板にも有効に使用できるエポキシ樹脂形成材料の単位質量当たりの塩素イオン濃度を7.5ppm以下にすることも,実施可能であるということができる。したがって,封止部材におけるClイオンの濃度や,Clイオン及びBrイオンの合計濃度を7.5ppm以下にすることは,当業者であれば格別の困難なくなし得たことである。そうすると,引用発明において,本願発明における「前記基板のコア層およびソルダーレジスト層,および前記第1の封止部材,の樹脂の重量W0」に相当する「ガラスエポキシ基板3」,「ソルダーレジスト」及び「封止部材24」の樹脂の重量をW0’,本願発明における「前記コア層,前記ソルダーレジスト層,および前記第1の封止部材中のClイオンおよびBrイオンの合計重量W1」に相当する「ガラスエポキシ基板3」,「ソルダーレジスト」及び「封止部材24」中のClイオン及びBrイオンの合計重量をW1’,本願発明における「前記第1の封止部材中のClイオンおよびBrイオンの合計重量W2」に相当する「封止部材24」中のClイオン及びBrイオンの合計重量をW2’とした場合に,W0’に対するW1’の比が13.5ppm以下となり,W0’に対するW2’の比が7.5ppm以下となることは明らかである。
50
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-25
事件番号:平成25(行ケ)10199
事件種別:審決取消請求
原告:東京応化工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「高分子化合物,該高分子化合物を含有するフォトレジスト組成物,およびレジストパターン形成方法」
争点:発明の同一性(同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:化学
分類:材料(フォトレジスト)
ポイント:先願明細書には,先願単量体①及び②が,化学物質名によって示されているに等しいということができる。先願明細書の記載に照らして,先願単量体①及び②を上記の製造方法により製造するための出発物質である式(C)で表されるヒドロキシ化合物が1-アダマンタノール及び2-(アダマンタン-1-イル)エタノールであり,式(3)で表される不飽和カルボン酸が(メタ)アクリル酸であることは,いずれも当業者にとって明らかであり,さらに,上記各単量体を製造するには,上記ヒドロキシ化合物にホルムアルデヒド(又はその等価物)及びハロゲン化水素とを反応させてハロメチルエーテル化合物を合成し,当該ハロメチルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸とを,塩基の存在下で反応させればよく,その際の具体的な反応モル比や反応温度等の条件及び精製手段は,記載されたものの中から適宜選択すればよいことを認識することができる。式(B)で表される化合物に関し,この「化合物も,…フォトレジスト用の高分子化合物の単量体として有用である。この化合物に対応する繰り返し単位は,高分子化合物において,酸脱離性機能や親水性機能を発揮する。」と記載されていることからすれば,先願明細書中の式(1)で表される化合物の重合についての記載や,実施例における重合方法についての記載を参照して,先願単量体①又は②を重合することにより,酸脱離性機能を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物を製造することができるということができる。以上によれば,先願明細書には,先願明細書発明に係る高分子化合物そのものが確認され,製造でき,有用性があることが開示されているということができ,先願明細書発明が,当業者が反復実施して所定の効果を挙げる程度にまで具体的・客観的なものとして記載されているということができ,審決による先願明細書発明の認定に,誤りはない。
51
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-26
事件番号:平成26(行ケ)10097
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ルートジェイド(無効審判請求人)
被告:日立マクセル株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「扁平形非水電解質二次電池」
争点:発明の同一性(非同一→同一)
参照条文:29条の2
分野:化学
分類:構造(非水電解質二次電池)
ポイント:先願において,正極板と負極板との対向面の面数について具体的に明記されているのは,3面の場合のみであるが,もとより,先願発明は対向面の面数を3面に限定する発明ではないところ,先願発明は,正極板と負極板とを積層することにより,正極板と負極板との対向面積を大きくしようとするものであり,また,正極板と負極板との積層数(すなわち,正極板と負極板との対向面の面数)が多くなればなるほど,正極板と負極板との対向面積がこれに比例して単純に大きくなることも明らかである。そうであれば,先願には,正極板と負極板との対向面を3面とすることだけではなく,複数のもの,すなわち,2面や4面以上とすることも記載されているに等しいということができる。したがって,先願には,セパレータを介して対向している前記正極板の作用物質含有層と前記負極板の作用物質含有層との対向面が少なくとも5面であることも記載されていると認められ,正極板と負極板との積層数(すなわち,対向面の面数)をどの程度とするかは,要求される重負荷放電時の放電容量のレベルに応じて決定される,単なる設計的事項にすぎないといえる。
52
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-10
事件番号:平成25(行ケ)10118
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東芝
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「蛍光体およびそれを用いた発光装置」
争点:実施可能要件(違反あり→なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:材料(蛍光体)
ポイント:上記の発明特定事項は,Sr3Al3Si13O2N21属結晶と,Sr3Al3Si13O2N21結晶のそれぞれ対応する化学結合の長さを比較することを意味するものであることは明らかである。そして,Sr3Al3Si13O2N21属結晶における「M1-NおよびM2-Nの化学結合の長さ」,及びSr3Al3Si13O2N21結晶における「Al-NおよびSi-Nの化学結合の長さ」については,いずれも,それぞれの結晶における「格子定数および原子座標から計算された」ものであることが特定されているものの,その具体的な数値や求め方については,本願明細書の発明の詳細な説明には明記されていない。しかし,単結晶XRD及び粉末XRDによる測定結果に基づいて格子定数及び原子座標を求め,これらを乗ずることで各原子の座標を求めた上で,三平方の定理により当該結合の長さを求めることができることは,明細書に記載するまでもなく,当業者にとっての技術常識である。以上のとおりであるから,本願明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載に基づいて,Sr3Al3Si13O2N21属結晶における「M1-NおよびM2-Nの化学結合の長さ」と,Sr3Al3Si13O2N21結晶における「Al-NおよびSi-Nの化学結合の長さ」を上記のとおり求めた上で,両者のそれぞれ対応する化学結合の長さを比較して,「それぞれ±15%以内である」かどうか判別することは,当業者であれば容易に実施できるものと認められる。
53
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-10
事件番号:平成25(行ケ)10117
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社東芝
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「蛍光体およびそれを用いた発光装置」
争点:実施可能要件(違反あり→なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:装置(発光装置)
ポイント:本件の発明特定事項は,Sr3Al3Si13O2N21属結晶と,Sr3Al3Si13O2N21結晶のそれぞれ対応する化学結合の長さを比較することを意味するものであることは明らかである。そして,Sr3Al3Si13O2N21属結晶における「M1-NおよびM2-Nの化学結合の長さ」,及びSr3Al3Si13O2N21結晶における「Al-NおよびSi-Nの化学結合の長さ」については,いずれも,それぞれの結晶における「格子定数および原子座標から計算された」ものであることが特定されているものの,その具体的な数値や求め方については,本願明細書の発明の詳細な説明には明記されていない。しかし,単結晶XRD及び粉末XRDによる測定結果に基づいて格子定数及び原子座標を求め,これらを乗ずることで各原子の座標を求めた上で,三平方の定理により当該結合の長さを求めることができることは,明細書に記載するまでもなく,当業者にとっての技術常識である。
54
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-10
事件番号:平成24(ネ)10091 <原審;大阪地裁平成23(ワ)6980>
事件種別:特許権侵害差止等請求控訴
原告:日新産業株式会社(特許権者) <控訴人>
被告:大昭和精機株式会社 <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「位置検出器及びその接触針」
争点:実施可能要件(違反あり)
参照条文:36条4項1号 104条の3
分野:化学
分類:構造(位置検出器)
ポイント:タングステンカーバイトは非磁性体であり,ニッケルは強磁性体であるから,タングステンカーバイト―ニッケル系超硬合金の非磁性化は,強磁性体であるニッケルを非磁性化することにより達成されるものであることは明らかであり,この非磁性化のための手段としての技術常識は,次の①及び②のとおりであると認められる。①タングステンカーバイト―ニッケル系超硬合金における炭素含有量を少なくすることにより,タングステンをニッケル中に固溶させ,ニッケルの格子定数を変化させる。具体的には,原料であるタングステンカーバイト粉末として,炭素含有量が通常よりも不足のもの(WC中に少量のW2Cを含むもの)を用いるか,焼結を脱炭雰囲気中で行うことにより,炭素含有量を少なくする。②タングステンカーバイト―ニッケル系超硬合金の原料に,タングステン,クロム,モリブデン,タンタル等を添加することにより,これらの元素をニッケル中に固溶させ,ニッケルの格子定数を変化させる。以上の技術常識に照らすと,本件明細書に記載された「非磁性材」の製造方法は,非磁性化を可能とするための手段の記載があるととはいえず,この記載の「非磁性材」の製造方法によっては,当業者は,スタイラス先端の球体を構成する「非磁性材」を作製することはできないと認められる。
55
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-24
事件番号:平成25(行ケ)10236
事件種別:審決取消請求
原告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
被告:エバーライト・エレクトロニクス・カンパニー・リミテッド(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 田中芳樹 柵木澄子
発明の名称等:「窒化物半導体発光素子」
争点:実施可能要件(違反あり→なし)
参照条文:36条4項1号
分野:化学
分類:材料(窒化物半導体素子)
ポイント:本件明細書の発明の詳細な説明における実施例4には,本件発明1と同一の積層構造を有するLED素子の製造方法が記載されており,かつ,このLED素子の発光ピーク波長(425nm)は,活性層を形成する窒化物半導体の本来のバンドギャップエネルギーに相当する発光ピーク波長(380nm程度)よりも長いこと,すなわち,このLED素子が,活性層を構成する窒化物半導体の本来のバンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーの光を発光することが記載されているといえる。したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,物の発明(特許法2条3項1号)である本件発明1について,当業者がこれを生産することができ,かつ使用することができる程度に明確かつ十分に記載されているというべきである。
56
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-10-09
事件番号:平成24(ワ)15612
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:JX日鉱日石金属株式会社(特許権者)
被告:三菱電機メテックス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 宇野遥子
発明の名称等:「疲労特性に優れたCu-Ni-Si系合金部材」
争点:実施可能要件(違反あり)
参照条文:36条4項1号 104条の3
分野:化学
分類:材料(Cu-Ni-Si系合金)
ポイント:溶解時の溶湯内での反応により生じる酸化物,硫化物等については,本件明細書の発明の詳細な説明に,直径4μm以上の介在物個数を低減させる方法の開示は全くない。そして,本件明細書の記載内容及び弁論の全趣旨からすれば,原告が本件特許出願時において直径4μm以上の全ての介在物個数を0個/mm2とするCu-Ni-Si系合金部材を製造することができたと認めるに足りず,技術的な説明がなくても,当業者が出願時の技術常識に基づいてその物を製造できたと認めることもできない。そうすると,本件明細書の発明の詳細な説明には,特許請求の範囲に記載された数値範囲全体についての実施例の開示がなく,かつ,実施例のない部分について実施可能であることが理解できる程度の技術的な説明もないものといわざるを得ない。
57
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-20
事件番号:平成26(行ケ)10052
事件種別:審決取消請求
原告:ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「一種,またはそれ以上の有効成分を含んでなるアミン反応化合物」
争点:サポート要件(違反あり→あり)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:用途(柔軟剤)
ポイント:本願明細書には,香料成分の基となるイミン等の生成過程,及び,それが分解して芳香物質を生成するまでの反応の一般的な説明は記載されている。しかし,上記の一般的な説明のほかには,本願明細書のには,本願請求項1の発明特定事項である列挙された特定のアミン化合物で,かつ,その臭気度が,ジプロピレングリコールに溶かしたアントラニル酸メチルの1%溶液のそれよりも低いものにつき,任意の香料ケトン又は香料アルデヒドと反応させて得たイミン化合物又はβアミノケトン化合物であれば,望ましく遅延した速度で香料を放出し,清々しい香りの残留性を改良するという本願発明の上記課題を解決できることについては何ら理論的な説明はされていない。以上によれば,当業者といえども,本願明細書の発明の詳細な説明の記載から,本願請求項1において規定された反応生成物の全てが,望ましく遅延した速度で香料を放出し,清々しい香りの残留性を改良するという本願発明の課題を解決できるものであると認識することはできないものというべきである。
58
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(行ケ)10339
事件種別:審決取消請求
原告:X(無効審判請求人)
被告:株式会社ブリヂストン(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「透明フィルム」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:化学
分類:材料(ガラス用透明接着剤)
ポイント:本件請求項1の「受酸剤粒子が,金属酸化物(ただし,…を除く),金属水酸化物又はこれらの混合物であり」との記載に照らすと,ここにいう金属酸化物や金属水酸化物は受酸剤として作用し得るものであることが前提であり,技術常識に照らして受酸剤として使用することができない物質が含まれているということはできない。原告は,本件発明における受酸剤として挙げられたAl(OH)3及びFe(OH)2は,甲7文献において受酸効果が得られないことが示されているから,本件発明はサポート要件を具備しないと主張する。実験条件が異なれば化学反応の進行も異なることは技術常識であるところ,甲7文献における実験条件は,耐久試験用モジュールを温度121℃,湿度100%RHの環境下に240時間放置するというものであり,太陽電池が使用される通常の条件よりも高温かつ高湿度であるから,かかる特定の条件下で行われた実験の結果,Al(OH)3及びFe(OH)2がMg(OH)2と比較して受酸効果が低かったとしても,これによって,太陽電池用封止膜に配合する受酸剤としてAl(OH)3及びFe(OH)2を用いることができないことが裏付けられたということはできない。
59
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裁判所:大阪地裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(ワ)9255
事件種別:職務発明対価請求
原告:P1
被告:HOYA株式会社
判決:請求棄却
裁判部:第21 民事部
裁判官:谷有恒(裁判長) 田原美奈子 松阿彌隆
発明の名称等:「反射防止膜を有する光学部材及びその製造方法」
争点:寄与度(40%)
参照条文:35条
分野:化学
分類:構造(光学部材)
ポイント:本件特許は,原告,P2,P3の3名を発明者として特許登録されているのであり,P2が発明者ではないことを前提とする原告の主張は,容易にはこれを認めることができない。また,原告自ら,本件職務発明の原告の寄与度を40%と被告に回答している。以上の点に加え,寄与度が40%であることを前提に算出した登録補償金及び登録報奨金の支払を受けながら,原告が,本件訴訟提起以前に,その算定に異議を述べた等の事実が認められないことを考慮すると,原告自ら回答した40%の寄与度を覆すべき理由はないといわざるを得ず,原告の主張は,採用できない。
60
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-29
事件番号:平成25(行ケ)10228
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ティオテクノ/株式会社ブリヂストン (特許権者)
被告:株式会社鯤コーポレーション (無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「光触媒体の製造法」
争点:共同出願要件(違反あり→なし)
参照条文:38条
分野:化学
分類:製法(光触媒)
ポイント:Cの証言によっても,Cが技術指導をした内容は,あくまでPTA溶液(アモルファス型過酸化チタンゾル)やPAゾル(アナターゼ型酸化チタンゾル)を製造し,これらを利用して光触媒(酸化チタン膜)を製造する方法やそのコーティング方法,及び,せいぜいPAゾルにおいて,アナターゼ型の酸化チタンの結晶が,PTA溶液に分散しているものが存在することなどにとどまり(このような内容は本件文書に記載された技術指導の内容とも沿うものである。),基体に対する高い接着力を実現するという課題の解決のために,アモルファス型過酸化チタンゾル(PTA溶液)を光触媒と混合して用いること,すなわちバインダーとして用いることまでは及んでいないものと解される。Cは,本件訂正発明の特徴的部分の完成に創作的に関与したものではなく,本件訂正発明の共同発明者ではないものと認められる。
61
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裁判所:大阪地裁
判決日:2014-05-13
事件番号:平成25(ワ)3742
事件種別:特許権侵害差止請求
原告:カースル株式会社(特許権者)
被告:株式会社トライアルカンパニー/三菱アルミニウム株式会社(被告補助参加人)/アルファミック株式会社 (被告補助参加人)
判決:請求棄却
裁判部:第21 民事部
裁判官:谷有恒(裁判長) 松阿彌隆 松川充康
発明の名称等:「通気口用フィルター部材」
争点:技術的範囲の属否(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:構造(フィルター)
ポイント:甲12等試験,甲6等試験及び甲19試験をもって,本件製品が「120~140%まで自由に伸びて縮む」ことを証明する証拠と評価することはできないし,他にこれを立証する的確な証拠はなく,かえって,丙3及び丁8の各試験の結果に照らすと,本件特許の構成に即した本件製品の伸び率は,最大でも114%にとどまると認められる。したがって,本件製品に使用される不織布が,構成要件Bの「120~140%まで自由に伸びて縮む」不織布であると認めることはできない。
62
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-05-22
事件番号:平成24(ワ)14227
事件種別:損害賠償請求
原告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
被告:三洋電機株式会社
判決:請求認容
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 藤田壮
発明の名称等:「p型窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法」
争点:技術的範囲の属否(属する)
参照条文:70条
分野:化学
分類:製法(p型窒化ガリウム系化合物半導体)
ポイント:構成要件Bの「実質的に水素を含まない雰囲気」とは,このような作用効果を奏するような雰囲気,言い換えれば,アニーリングにより低抵抗なp型窒化ガリウム系化合物半導体を得ることの妨げにならない程度にしか水素を含まない雰囲気を意味するものと解するのが相当である。被告方法は,1.3%のアンモニアを含む雰囲気中でアニーリングを行い,これにより,p型窒化ガリウム系化合物半導体を製造するのであって,アニーリング雰囲気中の1.3%のアンモニアから生じる水素原子は,窒化ガリウム系化合物半導体をp型化することを妨げていない。そうであるから,被告方法は,アニーリングにより低抵抗なp型窒化ガリウム系化合物半導体を得ることの妨げにならない程度にしか水素を含まない雰囲気中でアニーリングを行うものであって,本件発明の構成要件Bを充足する。被告方法は,Mgがドープされた窒化ガリウム系化合物半導体から水素を離脱させるというものであって,Mgはp型不純物であり,窒化ガリウム系化合物半導体から水素を離脱させることは,窒化ガリウム系化合物半導体から水素を出すものであるから,被告方法は,本件発明の構成要件Dを充足する。したがって,被告方法は,本件発明の技術的範囲に属する。
63
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-06-24
事件番号:平成24(ワ)15613
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:JX日鉱日石金属株式会社(特許権者)
被告:三菱電機メテックス株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 髙橋彩 植田裕紀久
発明の名称等:「曲げ加工性が優れたCu-Ni-Si系銅合金条」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:材料(銅合金条)
ポイント:原告が行った各実験は同一の試料であってもその都度異なる測定結果が生じるというのであり,仮に各実験が正確であるとしても,わずかな測定部位等の違いにより(220)面集積度の分布状況に0.1~0.5以上のずれが生じる可能性があることになる。そして,原告の上記実験結果において,(220)面集積度の分布範囲が構成要件Fの数値限定の上限3.0と同じ(甲8実験,甲45実験)であり,又は下限2.28と同じ(甲46実験)若しくはこれに近接した数値(甲39実験)となっていることに照らすと,別の実験をしたり,異なる部位を測定したりすることによって構成要件Fの数値限定の上限又は下限を超える可能性が高いということができる。そうすると,上記の各証拠は,被告製品2に関して,構成要件E及びFを充足するM702Uを被告が製造販売していたと認めるには足りないと解すべきものとなる。したがって,本件の関係各証拠を総合しても,被告が構成要件E及びFを充足する銅合金条を製造販売していたと認めることはできない。
64
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-07-10
事件番号:平成24(ワ)30098
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:三井金属鉱業株式会社(特許権者)
被告:日揮触媒化成株式会社
判決:請求認容
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 植田裕紀久
発明の名称等:「スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法」
争点:技術的範囲(属する)
参照条文:70条
分野:化学
分類:製法(スピネル型マンガン酸リチウム)
ポイント:被告の使用する方法は,本件発明の構成要件A~Cを充足することに争いはなく,構成要件Aの電解二酸化マンガンに構成要件Bのリチウム原料と構成要件Cの化合物とを加えて混合し,750℃以上の温度で焼成することも争いがないから,構成要件Dを充足すると認められる。また,上記方法により製造されるマンガン酸リチウムがスピネル型であることも争いがないから,上記方法は構成要件A~Dを充足することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法(構成要件E)も充足すると判断すべきものである。構成要件Dは,構成要件Aの電解二酸化マンガンに,構成要件Bのリチウム原料と,構成要件Cの列記元素を含む化合物とを加えて混合し,焼成することを要件とするものであるが,特許請求の範囲の文言上,これら以外の物質を加えることを排除していないから,ホウ酸添加工程の存在により構成要件Dの充足性を欠くことはないと解される。また,構成要件Eについてみても,以上に説示したところによれば,本件発明はマンガンの一部がどのような元素で置換されたかを問うことなく「スピネル型マンガン酸リチウム」と総称しているとみることができるから,ホウ素を含む複合酸化物であったとしても,構成要件Eの充足性を否定することはできないというべきである。
65
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-07-17
事件番号:平成23(ワ)23651
事件種別:特許権侵害差止請求
原告:新日鐵住金株式会社(特許権者)
被告:東レ・ダウコーニング株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 三井大有 藤田壮
発明の名称等:「4H型単結晶炭化珪素の製造方法」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:製法(単結晶炭化珪素)
ポイント:本件発明は,高品質の単結晶炭化珪素を得るために導入された炭化珪素原料粉末を原料とし種結晶を用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法においても解決できなかった課題を解決するために,炭化珪素からなる原材料を加熱昇華させ,単結晶炭化珪素からなる種結晶上に供給し,この種結晶上に単結晶炭化珪素を成長する方法において,炭素原子位置に窒素を所定量導入するという技術手段を採用したものであると認められる。そうだとすれば,構成要件Aの「昇華再結晶法」は,結晶性固体を「昇華」させて再び結晶させる,すなわち,生成物と同じ物質からなる多結晶固体原料を昇華させてから結晶させて単結晶の生成物を得ることを意味すると解するのが相当である。一方,被告方法は,●(省略)●これは構成要件Aの「昇華再結晶法」に当たらない。したがって,被告方法は,本件発明の構成要件Aを充足しない。被告方法は,本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。
66
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-09-11
事件番号:平成25(ワ)27293
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:ソルヴェイ・エスエー(特許権者)
被告:蝶理株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 藤田壮 宇野遥子
発明の名称等:「グリセロールからジクロロプロパノールを製造するための方法であって,該グリセロールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:製法(ジクロロプロパノール)
ポイント:本件揚農記事は,グリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成しエピクロロヒドリンを得る方法が開発の焦点となっていることを背景として,グリセロール法のうちアジピン酸を触媒として用いる方法につき,効果は高いものの高沸点副産物を生じる欠点があることを指摘した上で,この高沸点副産物の処理について研究した記事であると認められる。そうすると,平成21年11月ころの揚農において,アジピン酸を触媒として用いるグリセロール法が研究対象となっていたことが認められるとしても,これをもって,揚農が,別紙製造方法目録記載の第1の工程により工業的にジクロロプロパノールないしエピクロロヒドリンを製造していたとはいえず,本件揚農記事は,揚農が工業的にアジピン酸を触媒として用いてジクロロプロパノールを生産している事実を認めるに足りるものではないと言わざるを得ない。したがって,揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造していることを認めるに足りる証拠はないから,揚農がジクロロプロパノールを製造することが本件発明1の技術的範囲に属するとは認められない。
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成23(ワ)26676
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:三洋電機株式会社 (特許権者)
被告:日亜化学工業株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 植田裕紀久
発明の名称等:「窒化物系半導体素子」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:材料(窒化物系半導体)
ポイント:本件特許1の特許請求の範囲にいう「転位」とは,原子レベルの線状の結晶欠陥のうち,①半導体素子製造過程での機械研磨によって発生し,かつ,②結晶中の表面から深い位置に発生したものをいうと解するのが相当である。かかる解釈は,本件特許1に係る審決取消訴訟(知財高裁平成24(行ケ)10302)において,特許請求の範囲にいう「転位」とは「基板の機械研磨によって生じ得る加工変質層のうち,結晶中の深くまで生じ得る原子レベルの線状の結晶欠陥を意味する」旨判示し,これを前提に本件特許1に無効理由がないとした知的財産高等裁判所の判断に沿うものと解される。上記「転位」の意義に照らすと,被告製品が構成要件C1を充足するというためには,(a) 被告製品の製造過程において機械研磨により結晶中の深い位置に原子レベルの線状の結晶欠陥が発生したこと,(b) 被告製品の第1半導体層のn側電極との界面近傍における転位密度が1×109cm-2以下であることが必要となる。乙21写真に現れた深さ約0.2μmのコントラストは,加工変質層と呼ばれる領域にとどまっていると考えられるのであって,結晶中の深い位置に存在すると認めるに足りないから,本件特許発明1及び1-2にいう「転位」に当たるとはいえないと解すべきである。
68
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成23(ワ)34237
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
被告:三洋電機株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 植田裕紀久
発明の名称等:「窒化物半導体素子」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:化学
分類:材料(窒化物半導体)
ポイント:本件原出願及び本件分割出願においては,窒化物半導体素子の発明は,いずれも,下地層に接近した側に結晶欠陥が多い領域と,下地層より離れた側に結晶欠陥が少ない領域とを有する第2の窒化物半導体層を備えることを必須の構成としていたことが明らかであり,基準面より上の領域と比較してそれより下の領域の結晶欠陥の数が少ないものや,両者が同数のものは,特許請求の範囲及び発明の詳細な説明に記載されていなかったものと認められる。そうすると,本件発明の構成要件Aの「GaN基板」は基準面より下の領域の結晶欠陥の数が上の領域のそれよりも相対的に多いものとして特定されるGaN基板を意味するとの解釈は,このような出願経過からも裏付けられるものである。構成要件Aの「GaN基板」は,基準面より下の領域の結晶欠陥の数が上の領域のそれよりも相対的に多いものであることを要すると解すべきである。被告製品1のGaN基板における結晶欠陥の数は,GaN基板の厚さ方向において略均一(8×106個/cm2以下)であって(構成a),厚さ方向に結晶欠陥の数の偏在がないのであるから,構成要件Aの「GaN基板」を充足しないものと判断することが相当である。被告製品1は,構成要件Aの「GaN基板」の構成を有しないものであるから,本件発明の技術的範囲に属しない。
69
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-12-25
事件番号:平成23(ワ)35723
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:日亜化学工業株式会社 (特許権者)
被告:三洋電機株式会社
判決:請求認容
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 植田裕紀久
発明の名称等:「窒化ガリウム系発光素子」
争点:技術的範囲(属する)
参照条文:70条
分野:化学
分類:材料(窒化ガリウム系発光素子)
ポイント:被告製品に形成された光反射側第2膜~第7膜が全体として高反射膜であるということができる。そして,光反射側第1膜は構成要件Cに列記された材料の1種であるAlNから成る膜であり,その両端は発光層の端面及び光反射側第2膜に接している。したがって,被告製品の光反射側第1膜は,上記材料の1種から成り,かつ,端面及び高反射膜に接して形成された単一層の膜であると認められる。次に,被告製品の光反射側第1膜に端面保護機能があることは,被告において,それが端面を酸化作用から保護する機能及び膜厚分だけ定在波を移動させることで光反射側の端面における定在波エネルギーを一定程度減少させる機能を有する旨の主張をしていることからも明らかである。したがって,被告製品の光反射側第1膜は構成要件Cの「保護膜」を充足する。
70
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-29
事件番号:平成25(行ケ)10337
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社カネハ(無効審判請求人)
被告:西中織物有限会社/大建工業株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「縁なし畳及びその製法」
争点:判断遺漏の有無(遺漏あり)
参照条文:157条
分野:化学
分類:構造(縁なし畳)
ポイント:無効審判手続において,請求項3について甲10を引用例とする公然実施に関する主張があり,当事者双方でその点について攻防が尽くされたと認められるにもかかわらず,審決は,その点についての判断を何ら示さなかったことになる。以上によれば,審決には,無効請求不成立の判断をするに当たり,原告の無効理由に関する主張に関して判断を遺漏したという違法があることは明らかである。そして,この点は,審決の結論に影響を及ぼすおそれがあると認められる。
71
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-05-16
事件番号:平成23(ワ)40428
事件種別:不正競争行為差止等請求
原告:東洋興商株式会社
被告:株式会社カルモア/Aⅰ/Aⅱ
判決:請求認容
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 西村康夫 森川さつき
発明の名称等:「マグセライド」
争点:品質等誤認表示該当性(該当)
参照条文:不競法2条1項13号
分野:化学
分類:材料(脱臭フィルター)
ポイント:本件表示1ないし6に接した被告商品の取引者又は需要者は,これらの表示において示されている被告商品の性質や,被告商品における脱臭方法等の説明が,一般的知見若しくは被告カルモアにおける実験結果等により化学的に裏付けられており,又は化学的に裏付け若しくは説明が可能なものであると認識する蓋然性が高いものと解される。そうすると,本件表示1ないし6において示されている被告商品の性質や,被告商品における脱臭方法等の説明が,このような裏付け又は説明可能性を欠くものであれば,本件表示1ないし6は,被告商品の取引者又は需要者につき,被告商品の品質等についての誤認を生じさせるものというべきことになる。そこで,まず,触媒作用についての一般的知見による裏付けの有無について検討すると,被告商品において脱臭剤として用いられているマグセライドは,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とするものであると認められる。しかし,本件各証拠によっても,上記物質が,一般に本件表示1ないし6において表示されているような性質(油脂成分又は臭気成分を触媒作用により酸化・加水分解する性質)を有するものとして知られているものとは認められない。したがって,本件表示1ないし6において表示されている被告商品の触媒作用が,一般的知見によって裏付けられているものとは認められない。
72
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-01-30
事件番号:平成23(ワ)38799
事件種別:不正競争行為差止等請求
原告:億光電子工業股份有限公司
被告:日亜化学工業株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 高橋彩 植田裕紀久
発明の名称等:「発光ダイオード」
争点:不正競争該当性(非該当)
参照条文:不競法2条1項14号
分野:化学
分類:材料(発光ダイオード)
ポイント:本件プレスリリース1は,①被告がチップワンストップに対して第1訴訟を提起した旨の事実と共に,②チップワンストップが原告製品1を輸入販売した旨,及び,③チップワンストップのように原告製品1を我が国に輸入し,販売する行為が本件特許権の侵害となり,かかる行為に対しては被告が特許権侵害訴訟を提起するなどの対抗措置を取ることになる旨の事実を告知し,流布するものであると認めるのが相当である。本件プレスリリース1により告知流布された上記事実のうち,①及び②は,弁論の全趣旨によれば,虚偽の事実でないことが明らかである。他方,③の事実は,原告が製造したLEDを日本に輸入し,販売する行為が特許権侵害になる旨をいうものであるから,事柄の性質上,我が国における原告の営業上の信用を害するものということができる。そうすると,これが虚偽であるとすれば,14号に該当すると認めるべきものとなる。そこで,本件プレスリリース1により告知流布された上記③の事実が虚偽であるかを検討するに,<ア>原告製品1が本件訂正後発明の技術的範囲に属しない場合,又は,<イ>本件特許が無効と認められる場合には,虚偽の事実に当たると解すべきことになる。原告製品1が本件訂正後発明の構成要件Dを充足しないと認めることはできない。分割要件違反の有無については第1次的には専門的知識経験を有する特許庁の審判手続により判断されるべきところ(特許法178条6項参照),本件訂正後特許についてこれを無効とする審決がされることが見込まれるということはできない。
73
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裁判所:大阪地裁
判決日:2014-02-06
事件番号:平成25(ワ)3537
事件種別:特許料請求
原告:株式会社ジー・ティー・オノエ(特許権者)
被告:株式会社粉室製作所
判決:請求棄却
裁判部:第21 民事部
裁判官:谷有恒(裁判長) 松阿彌隆 松川充康
発明の名称等:「高強度ねじ及び高強度ねじ用鋼」
争点:ロイヤルティ支払い合意の存在の有無(不存在)
参照条文:民651条
分野:化学
分類:材料(合金)
ポイント:本件販売委託契約書の前文記載によれば,本件販売委託契約が,甲6発明又は甲7発明の実施品の販売に適用されるものであることは明らかである。甲6発明又は甲7発明の実施の有無にかかわらず,原告が想到したとする技術と何らかの関連性のあるタッピングねじの販売の全てに本件販売委託契約が適用されるかのような原告の主張は到底採用できない。
74
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-24
事件番号:平成25(ネ)10255
事件種別:審決取消請求
原告:バイエル・クロツプサイエンス・エル・ピー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 平田晃史
発明の名称等:「芝草品質の改良方法」
争点:新規性(なし→あり)
参照条文:29条1項3号
分野:医薬類
分類:農薬(芝草品質改良)
ポイント:本願発明は「芝草の密度,均一性及び緑度を改良するためのフタロシアニンの使用方法」であるから,「芝草の密度,均一性及び緑度を改良するための」は,本願発明の用途を限定するための発明特定事項と解すべきであって,銅フタロシアニンを含む組成物の有効量を芝生に施用するという手段が同一であっても,この用途が,銅フタロシアニンの未知の属性を見出し,新たな用途を提供したといえるものであれば,本願発明が新規性を有するものと解される。そこで,刊1発明における銅フタロシアニンの用途について検討すると,刊1発明は,銅フタロシアニンを着色剤として用いて芝草を緑色にするという内容にとどまるものであって,刊行物1には,芝草に対して生理的に働きかけて,品質を良くするという意味での成長調整剤(成長調節剤)としての本願発明の用途を示唆する記載は一切ない。加えて,着色剤と成長調整剤とでは,生じる現象及び機序が全く異なるものであって,証拠によれば,①植物成長調整剤は「農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤,発芽抑制剤その他の薬剤」(農薬取締法1条の2第1項)に該当する「農薬」であるのに対して,着色剤はこれに該当しないこと,②文献上も両者は異なるものとして分類されていること,③商品としても,両者は区別されて販売されていること,④成長調整剤は芝草の生育期に使用されるのに対して,着色剤は芝休眠時に使用されるなど使用時期も異なることなどからすると,本願発明における芝草の「密度」,「均一性」及び「緑度」の内容は必ずしも一義的に明らかではないものの,本願発明は,刊1発明と同一であるということはできないものと認められる。
75
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-02-19
事件番号:平成25(行ケ)10129
事件種別:審決取消請求
原告:ディアナ・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 齋藤巌
発明の名称等:「美容処理におけるジヒドロカルコンに富むフェノール性画分の使用」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(体重制限)
ポイント:本願の優先権主張日当時,マルス(シルベストリス)リンゴ(「M.sylvestris」)は,ヨーロッパに分布する代表的なリンゴの品種の一つとして周知であったことが認められる。そうすると,引用例1に接した当業者においては,引用例1の実施例の画分6及び7の原料として,周知のマルス(シルベストリス)リンゴの成熟果実を使用することを試みることの動機付けがあるものと認められる。また,当業者は,引用例1記載の方法と同様の方法でマルス(シルベストリス)リンゴの成熟果実から画分6及び7に相当するポリフェノール性画分を抽出,精製すれば,上記画分には,画分6及び7と同程度の割合でフロリジンやフロレチンを含有することを理解するものといえる。以上によれば,引用例1に接した当業者であれば,相違点イに係る本願発明の構成(「バラ科植物成熟マルス(シルベリトリス)リンゴ果実からの抽出によって得られる少なくとも1のジヒドロカルコンに富むポリフェノール性画分を含む」構成)を容易に想到することができたものと認められる。
76
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-16
事件番号:平成25(行ケ)10089
事件種別:審決取消請求
原告:エイワイファーマ株式会社(味の素株式会社承継人)
被告:株式会社大塚製薬工場(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「2室容器入り経静脈用総合栄養輸液製剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:製剤(経静脈用総合栄養輸液)
ポイント:引用例3の記載を踏まえても,引用発明の2室開通後,点滴終了後までのビタミンB1の安定性が不十分であると当業者が認識することはない。したがって,引用例3の記載を踏まえれば,引用発明の2室開通混合後のビタミンB1の安定性を改善する動機があるとの審決の判断には,誤りがある。そして,2室開通混合後のビタミンB1の安定性確保以外に引用発明に引用例2に記載された発明を適用する動機を見出すことはできないから,引用例2の開示内容について検討するまでもなく,審決の相違点2に関する判断には誤りがある。引用例1は,第1室に混注した後のビタミン類の安定性について検討した結果,医療機関等のクリーンベンチ内で第1室にマルチビタミン剤を混注し,混注した口に専用キャップをしたピーエヌツイン-2号を,アルミ外包装に脱酸素剤と一緒に入れポリシーラーにより閉じたものを14日分まで患者に交付できることを報告する論文であるから,引用例1から導き出される引用発明において,マルチビタミン剤混注後のピーエヌツイン-2号を滅菌することは予定していないと認められる。したがって,たとえ輸液製剤を高圧蒸気滅菌することが周知であるとしても,引用発明に適用する動機付けはない。
77
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-30
事件番号:平成25(行ケ)10058
事件種別:審決取消請求
原告:X(無効審判請求人)
被告: アルコンリサーチ,リミテッド/協和発酵キリン株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 平田晃史
発明の名称等:「アレルギー性眼疾患を処置するためのドキセピン誘導体を含有する局所的眼科用処方物」
争点:進歩性(あり→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(眼科用組成物)
ポイント:本件特許の優先日当時,ヒトのアレルギー性結膜炎を抑制する薬剤の研究及び開発において,当該薬剤における肥満細胞から産生・遊離されるヒスタミンなどの各種の化学伝達物質(ケミカルメディエーター)に対する拮抗作用とそれらの化学伝達物質の肥満細胞からの遊離抑制作用の二つの作用を確認することが一般的に行われていたのであるから,当業者は,甲1記載のKW-4679を含有する点眼剤をヒトにおけるアレルギー性眼疾患の点眼剤として適用することを試みるに際し,KW-4679が上記二つの作用を有するかどうかの確認を当然に検討するものといえる。そうすると,甲1及び甲4に接した当業者においては,甲1記載のアレルギー性結膜炎を抑制するためのKW-4679を含有する点眼剤をヒトにおけるアレルギー性眼疾患の点眼剤として適用することを試みるに当たり,KW-4679が,ヒト結膜の肥満細胞から産生・遊離されるヒスタミンなどに対する拮抗作用を有するかどうかを確認するとともに,ヒト結膜の肥満細胞からのヒスタミンの遊離抑制作用を有するかどうかを確認する動機付けがあるものと認められる。
78
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-30
事件番号:平成25(行ケ)10208
事件種別:審決取消請求
原告:エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 平田晃史
発明の名称等:「炭酸ジメチルを用いたインドール化合物のメチル化」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:製法(インドール化合物)
ポイント:引用発明は,6-ニトロ-1H-インドールの窒素原子のメチル化をヨウ化メチル(CH3I)を用いて水素ナトリウム(NaH)の存在下で反応を行ったものであるが,刊行物1の趣旨からすれば,窒素原子のメチル化が生じれば足り,メチル化剤や塩基は変更し得るものと理解される一方で,ヨウ化メチルには毒性があり,水素ナトリウムは反応性の高い強塩基であることにかんがみると,当業者にとって,安全上,副生成物の廃棄,経済上の問題を解決するために,引用発明のメチル化方法を,周知の方法であった安全性の高い炭酸ジメチルを用いる上記の方法を試してみることには動機付けがあるといえる。
79
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-07
事件番号:平成25(行ケ)10170
事件種別:審決取消請求
原告:セルジーン コーポレイション
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン,その使用方法及び組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(乾癬治療)
ポイント:引用発明の化合物は,不斉炭素原子が1つあるから,2つの光学異性体を有する。当業者は,本件優先日当時の技術常識の下では,引用発明の化合物について光学異性体を得て,それらの薬理活性や薬物動態について検討をし,乾癬に適したものを選択することは,通常行うことと考えられる。そして,引用発明の化合物の光学異性体が容易に入手できるものであることやTNF-α阻害活性,PDE4阻害活性,cAMP上昇活性等の薬理活性が慣用の方法により測定できることからすると,引用発明の化合物の二つの光学異性体のうち炎症性疾患の治療により適した方を選択し,炎症性疾患の一つである乾癬に適用することとして本願補正発明に至ることについては,当業者が容易になし得たことであると認められる。
80
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-07
事件番号:平成25(行ケ)10183
事件種別:審決取消請求
原告:ノバルティス アーゲー(特許出願人)/バリアント ファーマシューティカルズインターナショナル インク.(キューエルティーインク(特許出願人)の訴訟承継参加人)
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大須賀滋 小田真治
発明の名称等:「眼の光力学的治療による視力改善用組成物」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(視力改善用)
ポイント:引用例1の単回のホトダイナミックセラピー臨床試験では,部分的な新生血管の閉止とある程度の視力の改善という目的に沿った結果が得られたものの,閉止されずに残存する新生血管や再発も観察されたのであるから,それらを閉止して視力をさらに改善するよう再度のホトダイナミックセラピー処置を試みることは,本件優先日当時の技術水準からみても,医療従事者にとってごく自然な発想である。したがって,引用発明のホトダイナミックセラピー処置を反復して本願発明に至ることは,当業者が容易に想到し得たことである。
81
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-10
事件番号:平成25(行ケ)10209
事件種別:審決取消請求
原告:カルピス株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「動脈硬化予防剤,血管内膜の肥厚抑制剤及び血管内皮機能改善剤」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(血管内膜の肥厚抑制・血管内皮機能改善)
ポイント:本願優先日当時においては,ACE阻害剤であれば原則として血管内皮の収縮・拡張機能改善作用又は血管内膜の肥厚抑制作用のうち少なくともいずれか一方を有するとまではいえず,個々のACE阻害剤が実際にこれらの作用を有するか否かは,各別の実験によって確認しなければ分からないというのが,当業者の一般的な認識であった。しかも,IPP及びVPPと,引用例2から引用例5に記載されたシラザプリル等のACE阻害剤との間には,性質,構造において大きな差異が存在する。他方,IPP及びVPPと上記ACE阻害剤との間に,ACE阻害活性を有すること以外に特徴的な共通点は見当たらない。本願優先日当時の当業者の一般的な認識に鑑みれば,当業者が,ACE阻害活性の有無に焦点を絞り,引用発明においてIPP及びVPPがACE阻害活性を示したことのみをもって,引用例2から引用例5に記載されたACE阻害剤との間には,ACE阻害活性の強度及び構造上の差異など種々の相違があることを捨象し,IPP及びVPPも上記ACE阻害剤と同様に,血管内皮の機能改善作用,血管内膜の肥厚抑制作用を示すことを期待して,IPP及び/又はVPPを用いることを容易に想到したとは考え難い。また,仮に,当業者において,引用例2から引用例5に接し,前記一般的な認識によれば必ずしも奏功するとは限らないとはいえ,ACE阻害活性を備えた物質が上記作用を示すか否か試行することを想起したとしても,IPP及びVPPは,性質,構造において上記ACE阻害剤と大きく異なり,特にIPP及びVPPのACE阻害活性は上記ACE阻害剤よりもかなり低いものといえるから,試行の対象としてIPP及び/又はVPPを選択することは,容易に想到するものではないというべきである。
82
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(ワ)4303
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:株式会社バイオセレンタック(特許権者)
被告:コスメディ製薬株式会社/岩城製薬株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第46部
裁判官:長谷川浩二(裁判長) 清野正彦 髙橋彩
発明の名称等:「経皮吸収製剤,経皮吸収製剤保持シート,及び経皮吸収製剤保持用具」
争点:進歩性(なし)
参照条文:29条2項 104条の3
分野:医薬類
分類:用途(経皮吸収)
ポイント:乙13発明と乙16文献に記載された発明は,技術分野,解決すべき課題及び課題解決原理が共通し,経皮吸収製剤の形状及び強度並びにその構造的な強さを形成・保持するための基剤及び成形方法という課題解決手段にも共通性があること,粘弾性・保水力の大きいゼリー様のヒアルロン酸溶液を乾燥させると非常に強固な固体となるという物性が技術常識として知られていたことに照らせば,乙16文献に接した当業者がこれを乙13発明と組み合せる動機付けがあり,当業者において,乙13発明の基剤を乙16文献の基剤に置き換え,角質層を貫通するように十分強い生体適合性材料の一つとしてヒアルロン酸を基剤(マトリックス)に選択することも,容易に想到し得たことであって,これを乙13発明に組み合せて成形した経皮吸収製剤が皮膚を貫通するのに十分な強度を有することも,容易に理解し得たということができる。また,本件発明に係る経皮吸収製剤の作用効果が格別顕著なものであることを認めるに足りる証拠はない。したがって,本件発明は,乙13発明に乙16文献を組み合せることにより,当業者において容易に想到することができたものというべきである。
83
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-18
事件番号:平成26(行ケ)10059
事件種別:審決取消請求
原告:ユーロ-セルティック エス.ア.
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「ヨードホールを含有する乾燥リポソーム製薬組成物を含むパッケージ及び同組成物を適用する方法」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:製剤(乾燥リポソーム)
ポイント:引用例1発明のリポソーム固体に含まれるポビドンヨード自体は,凍結乾燥されていることから,引用例2のポビドンヨード粉末と類似した状態であると考えられる。また,凍結乾燥させたリポソームが,合成樹脂と反応する等の合成樹脂容器では保存できない事情があることをうかがわせるに足りる証拠は見当たらない。そして,これらのことに照らすと,当業者であれば,引用例1発明のポビドンヨードを含有する凍結乾燥させたリポソーム固体も,引用例2のポビドンヨード粉末と同様に,特にガラス容器に保存する必要はなく合成樹脂容器に保存することもできることに想到することは容易であり,医薬品の容器として通常用いられているガラス又はプラスチック等の材料の中から,引用例2においてポビドンヨード粉末を保存できるとされた合成樹脂容器(「プラスチック材料製のパッケージ」に相当する。)を保存容器として選択し,相違点(A)の構成に至ることは,当業者が容易に想到し得たものといえる。引用例1発明において,相違点(A)に係る本願発明の構成とすることに当業者は容易に想到し得たものであり,それと同時に相違点(B)に係る本願発明の構成も達成されるものであるから,引用例1発明において,相違点(B)に係る本願発明の構成とすることも当業者が容易になし得たものといえる。
84
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-24
事件番号:平成26(行ケ)10024
事件種別:審決取消請求
原告:ユーロ-セルティーク エス.エイ.
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 柵木澄子
発明の名称等:「ヘルペスの治療のためのPVP-ヨウ素リポソームの使用」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:用途(ヘルペス治療)
ポイント:引用例1及び引用例2に接した当業者においては,引用発明である医薬製剤に含有される薬理学的に有効な量のヨウ素を含有するヨウ素複合体について,有効成分の長期的かつ局所的な活性を得るために,引用例2に記載されたリポソーム粒状担体と組み合わせて含有する製剤とすることの動機付けがあるものと認められるから,相違点1に係る本願発明の構成を容易に想到することができたものと認められる。
85
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-24
事件番号:平成26(行ケ)10045
事件種別:審決取消請求
原告:ノバルティスアーゲー
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 大鷹一郎 田中芳樹
発明の名称等:骨代謝疾患の処置のための医薬の製造のための,ゾレドロネートの使用」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:医薬類
分類:製剤(ゾレドロン酸)
ポイント:ゾレドロン酸の急速投与については,腎臓に対する安全性が課題の一つとされ,引用例2の第Ⅰ相臨床試験でも,その点の確認が行われ,第Ⅱ相試験(引用例1)を経た上で,さらにはそれに引き続く第Ⅲ相臨床試験において,腎臓に対する安全性の関係で異なる結果が生じることも可能性としては存在したが,引用例1及び2の第Ⅰ相臨床試験,第Ⅱ相臨床試験では,4mg5分間投与で腎臓に対する安全性に疑問を呈する結果は確認されていないこと,引用例3の記載も本願優先日当時,第三世代のビスホスホネートであるゾレドロン酸に直ちに当てはまるものではないと理解されることからすると,引用例1及び2において安全性が一応確認されたゾレドロン酸4mgの5分間投与という投与時間を更に延長し,これを15分間とする動機付けがあると認めることはできない。
86
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-07-16
事件番号:平成25(行ケ)10291
事件種別:審決取消請求
原告:クミアイ化学工業株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「固体農薬組成物,その製造方法およびその散布方法」
争点:発明の同一性(同一→非同一)
参照条文:29条の2
分野:医薬類
分類:農薬(水田用)
ポイント:本願発明と拡大先願発明はいずれも物の発明であるところ,本願発明において,液体溶媒に分散された固体農薬活性成分が繊維作物の破断物の内部空隙まで浸透せずに表面に結着して存在する場合,生成物同士を比較すると,本願発明と拡大先願発明との間で固体農薬活性成分の存在形態に違いがない以上,両者を区別することはできない。また,拡大先願発明において,ケナフ粉の空隙と焼成軽石成分粒子の大小関係次第では,ケナフ粉の内部にアニロホス,ベンフレセートを含めた固体の農薬活性成分粒子が侵入することも考えられるが,この場合,農薬活性成分が繊維作物破断物の内部へ浸透する場合の本願発明と,固体農薬活性成分の存在形態に違いがなくなり,両者を区別することはできないことになる。このように,本願発明と拡大先願発明の固体農薬組成物に重なり合う部分があることは否定できないが,本願発明の請求項に「液体の農薬活性成分」又は「農薬活性成分を液体溶媒に溶解もしくは分散させた液状物」を「含有」するという記載がある以上,拡大先願発明との対比においてこの点を無視することはできないのであって,拡大先願発明がこの点を具備しない以上,相違点と認めざるを得ない。
87
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-30
事件番号:平成25(行ケ)10196
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテック,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:特別部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 設樂隆一 富田善範 清水節 八木貴美子
発明の名称等:「血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→あり)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:用途(ベバシズマブ)
ポイント:本件先行処分では,「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」との用法・用量によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は解除されておらず,本件処分によってこれが解除されたのであるから,本件処分については,延長登録出願を拒絶するための前記の選択的要件のうち,「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」との要件(前記第1要件)を充足していないことは,明らかである。本件においては,「本件処分を受けたことによって本件特許発明の実施行為の禁止が解除されたとはいえない」とはいえず,特許法67条の3第1項1号の定める,拒絶要件があるとはいえない。
88
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-30
事件番号:平成25(行ケ)10197
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテック,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:特別部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 設樂隆一 富田善範 清水節 八木貴美子
発明の名称等:「抗VEGF抗体」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→あり)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:用途(ベバシズマブ)
ポイント:本件先行処分では,「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」との用法・用量によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は解除されておらず,本件処分によってこれが解除されたのであるから,本件処分については,延長登録出願を拒絶するための前記の選択的要件のうち,「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」との要件(前記第1要件)を充足していないことは,明らかである。本件においては,「本件処分を受けたことによって本件特許発明の実施行為の禁止が解除されたとはいえない」とはいえず,特許法67条の3第1項1号の定める,拒絶要件があるとはいえない。
89
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-30
事件番号:平成25(行ケ)10198
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテック,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:特別部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 設樂隆一 富田善範 清水節 八木貴美子
発明の名称等:「抗VEGF抗体」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→あり)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:用途(ベバシズマブ)
ポイント:本件先行処分では,「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」との用法・用量によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は解除されておらず,本件処分によってこれが解除されたのであるから,本件処分については,延長登録出願を拒絶するための前記の選択的要件のうち,「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」との要件(前記第1要件)を充足していないことは,明らかである。本件においては,「本件処分を受けたことによって本件特許発明の実施行為の禁止が解除されたとはいえない」とはいえず,特許法67条の3第1項1号の定める,拒絶要件があるとはいえない。
90
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-30
事件番号:平成25(行ケ)10195
事件種別:審決取消請求
原告:ジェネンテック,インコーポレイテッド
被告:特許庁長官
判決:請求認容
裁判部:特別部
裁判官:飯村敏明(裁判長) 設樂隆一 富田善範 清水節 八木貴美子
発明の名称等:「血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→あり)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:用途(ベバシズマブ)
ポイント:本件先行処分では,「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」との用法・用量によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は解除されておらず,本件処分によってこれが解除されたのであるから,本件処分については,延長登録出願を拒絶するための前記の選択的要件のうち,「政令で定める処分を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」との要件(前記第1要件)を充足していないことは,明らかである。本件においては,「本件処分を受けたことによって本件特許発明の実施行為の禁止が解除されたとはいえない」とはいえず,特許法67条の3第1項1号の定める,拒絶要件があるとはいえない。
91
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-30
事件番号:平成24(行ケ)10399
事件種別:審決取消請求
原告:帝人株式会社
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第4部
裁判官:富田善範(裁判長) 田中芳樹 荒井章光
発明の名称等:「粉末薬剤多回投与器」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→なし)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:用途(アレルギー性鼻炎)
ポイント:本件製剤と旧製剤とは,粉末薬剤としては,成分,分量,用法,用量,効能,効果等において全く同じであると認められる。そして,本件製剤は,本件先行処分により禁止が解除された本件発明1の実施形態である旧製剤のノズルについて,カウンターを搭載する実施形態に限定したものにすぎないから,本件製剤は,本件発明1の実施形態としては,旧製剤に含まれるというべきである。そうすると,本件処分は,本件先行処分により禁止が解除された本件発明1の実施形態について,ノズルにカウンターを搭載するという,より限定した形態について本件処分の承認事項の一部を変更したものにすぎないから,本件出願については,前記①の「『政令で定める処分』を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」の要件を充足するということができる。
92
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(行ケ)10326
事件種別:審決取消請求
原告:アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「キナゾリン誘導体,その製造法および該キナゾリン誘導体を含有する抗癌作用を得るための医薬調剤」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→なし)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:物質(キナゾリン誘導体)
ポイント:本件先行処分と本件処分の各承認に係る内容を比較してみると,本件処分における本件医薬品の上記効能又は効果は,本件先行処分において承認された本件医薬品のそれ,すなわち,「手術不能又は再発非小細胞肺癌」の範囲を限定したものという関係に立つものと認められる。そうすると,本件処分において禁止が解除された範囲は,本件先行処分の禁止の解除の範囲に包含されるものということになる。すなわち,本件先行処分は,EGFR遺伝子変異陽性か陰性か,ないしは,化学療法未治療例か化学療法既治療例かを問うものではないから,本件処分の「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」との効能又は効果によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は,本件先行処分によって既に解除されていたものというほかない。そうすると,本件処分については,「本件先行処分を受けたことによって既に禁止が解除されている」と評価判断することができるものであるから,本件処分を受けたことは,特許法67条の3第1項1号の「その特許発明の実施に第67条2項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」の拒絶要件に該当するものというべきである。
93
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成25(行ケ)10327
事件種別:審決取消請求
原告:アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 神谷厚毅
発明の名称等:「キナゾリン誘導体,その製法及び抗癌作用を得るためのそれを含有する医薬品」
争点:本件延長登録処分を受けることの必要性(なし→なし)
参照条文:67条の3第1項1号
分野:医薬類
分類:物質(キナゾリン誘導体)
ポイント:本件先行処分と本件処分の各承認に係る内容を比較してみると,本件処分における本件医薬品の上記効能又は効果は,本件先行処分において承認された本件医薬品のそれ,すなわち,「手術不能又は再発非小細胞肺癌」の範囲を限定したものという関係に立つものと認められる。そうすると,本件処分において禁止が解除された範囲は,本件先行処分の禁止の解除の範囲に包含されるものということになる。すなわち,本件先行処分は,EGFR遺伝子変異陽性か陰性か,ないしは,化学療法未治療例か化学療法既治療例かを問うものではないから,本件処分の「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」との効能又は効果によって特定される使用方法による本件医薬品の使用行為,及び上記使用方法で使用されることを前提とした本件医薬品の製造販売等の行為の禁止は,本件先行処分によって既に解除されていたものというほかない。そうすると,本件処分については,「本件先行処分を受けたことによって既に禁止が解除されている」と評価判断することができるものであるから,本件処分を受けたことは,特許法67条の3第1項1号の「その特許発明の実施に第67条2項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」の拒絶要件に該当するものというべきである。
94
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裁判所:大阪地裁
判決日:2014-03-13
事件番号:平成25(ワ)1470
事件種別:特許権侵害差止等請求
原告:井筒屋化学産業株式会社(特許権者)
被告:株式会社理研グリーン
判決:請求棄却
裁判部:第26 民事部
裁判官:山田陽三(裁判長) 松阿彌隆 西田昌吾
発明の名称等:「松類の枯損防止用組成物及び防止方法」
争点:技術的範囲の属否(属しない)
参照条文:70条
分野:医薬類
分類:農薬(松類の枯損防止)
ポイント:本件では,原告は,本件特許出願の手続において,当初は,「活性成分及び界面活性剤を溶剤に溶解させた後,水を加える方法」以外の方法により製造された組成物も含むクレームについて出願をしていたものである。しかし,特許庁審査官からの拒絶理由通知に対応するため,敢えて上記方法により製造された組成物に限定する補正をし,それにより特許を受けたことが認められる。このように,特許出願の手続において敢えて限定したクレームについて,その技術的範囲を拡張する主張は包袋禁反言の原則により許されないものというべきである。したがって,被告製品の構成は本件特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるというべきである。
95
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-04-16
事件番号:平成24(ワ)24317
事件種別:特許権侵害差止請求
原告:株式会社エイワイシー(専用実施権者)
被告:株式会社グロービア
判決:請求棄却
裁判部:民事 第40部
裁判官:東海林保(裁判長) 実本滋 足立拓人
発明の名称等:「ハイドロキシシンナム酸誘導体又はこれを含むトウキ抽出物を含有する痴呆予防及び治療用の組成物」
争点:技術的範囲の属否(属しない)
参照条文:70条
分野:医薬類
分類:用途(痴呆予防及び治療)
ポイント:本件発明は,痴呆「予防『及び』治療用の」組成物であると記載されるところ,食品は治療の用途で用いられるものではないから,痴呆の予防のみならず「治療用の」組成物でもあるとした上記記載の組成物は,食品組成物ではなく,医薬組成物であると解するのが自然である。そうすると,本件出願経過を経て,特許査定がされた本件発明において,原告が,構成要件Cの「組成物」になお,食品組成物が含まれると解されるとして,被告各製品が本件発明の技術的範囲に属すると主張することは,禁反言の原則により許されないと解するのが相当である。被告各製品が構成要件Cの「組成物」に該当するかについて検討すると,証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告各製品は,いずれも栄養補助食品(健康食品・サプリメント)であり,食品組成物に当たることは明らかであるから,本件発明の構成要件Cの「組成物」に該当しないと認めるのが相当である。したがって,被告各製品は,構成要件Cを充足しない。よって,被告各製品は,本件発明の技術的範囲に属しない。
96
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-23
事件番号:平成26(ネ)10051 <原審;東京地裁平成24(ワ)24317>
事件種別:特許権侵害差止請求控訴
原告:株式会社エイワイシー(専用実施権者) <控訴人>
被告:株式会社グロービア <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 田中正哉 神谷厚毅
発明の名称等:「ハイドロキシシンナム酸誘導体又はこれを含むトウキ抽出物を含有する痴呆予防及び治療用の組成物」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:医薬類
分類:用途(痴呆予防)
ポイント:控訴人は,特許庁審査官は本件発明に係る「組成物」に食品組成物が含まれると考えて審査を行っており,これが医薬組成物のみを指すことを前提に審査された形跡はないと主張する。しかしながら,仮に,特許庁審査官が,請求項1における「組成物」に医薬組成物のみならず食品組成物が含まれると理解していたのであれば,請求項1の発明は,本件補正の前後を問わず,「フェルラ酸を含有する食品」を含む点で,引用文献2に記載された発明に対して新規性を有しないこととなるから,本件特許権者に対し,その旨の拒絶理由が通知されることとなるはずである。それにもかかわらず,本件特許の審査の過程を通じて,このような拒絶理由が本件特許権者に通知されることがなかったことに照らすと,特許庁審査官が請求項1における「組成物」は食品組成物を含むものではないと理解していたことは明らかである。
97
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-12-24
事件番号:平成25(ワ)4040
事件種別:特許権侵害行為差止請求
原告:中外製薬株式会社(特許権者)
被告:DKSHジャパン株式会社/岩城製薬株式会社/高田製薬株式会社/株式会社ポーラファルマ
判決:請求認容
裁判部:民事 第29部
裁判官:嶋末和秀 (裁判長) 鈴木千帆 西村康夫
発明の名称等:「ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法」
争点:技術的範囲(属する)
参照条文:70条
分野:医薬類
分類:製法(マキサカルシトール)
ポイント:訂正発明が工程を短縮できるという効果を奏するために採用した課題解決手段を基礎付ける重要な部分(訂正発明の本質的部分)は,ビタミンD構造又はステロイド環構造を有する目的物質を得るために,かかる構造を有する出発物質に対して,構成要件B-2の試薬(本件試薬を含む。)を塩基の存在下で反応させてエポキシド化合物を製造し(第1段階の反応),同エポキシド化合物を還元剤で処理する(エポキシ環を開環する)(第2段階の反応)という2段階の反応を利用することにより,所望の側鎖(マキサカルシトールの側鎖)を導入するところにあると認めるのが相当である。したがって,被告方法は,均等の第1要件を充足する。被告方法は,ビタミンD構造の出発物質に本件試薬を使用し,第1段階の反応と第2段階の反応という2段階の反応を利用している点において,出発物質及び中間体をシス体からトランス体に置き換えても,従来技術に比して工程を短縮できるという訂正発明の目的を達することができ,訂正発明と同一の作用効果を奏するものと認められる。したがって,被告方法は,均等の第2要件を充足する。訂正発明を知る当業者は,被告方法実施時点において,訂正発明におけるビタミンD構造の出発物質をシス体からトランス体に置き換え,最終的にトランス体の物質Dをシス体に転換するという被告方法を容易に想到することができたものと認められる。したがって,被告方法は,均等の第3要件を充足する。乙4発明をマキサカルシトールの製造に応用することを想到した当業者においても,乙9記載の試薬を乙4発明と組み合わせて被告方法を推考する動機付けがあるとはいえない。相違点1は,当業者において容易に推考できるものとはいえない。以上によれば,被告方法は,被告ら主張の公知技術から容易に推考できたものとはいえない。したがって,被告方法は,均等の第4要件を充足する。訂正発明において,出発物質及び中間体がビタミンD構造の場合に,シス体に意識的に限定したとか,トランス体を意識的に除外したとまでは認められない。したがって,被告方法は,均等の第5要件を充足する。
98
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-08-27
事件番号:平成26(ネ)10016 <原審;大阪地裁平成23(ワ)12716>
事件種別:損害賠償等請求控訴
原告:ネオケミア株式会社(特許権者) <控訴人>
被告:株式会社KBC <被控訴人>
判決:控訴認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「二酸化炭素外用剤調製用組成物」
争点:実施料率(7%)
参照条文:102条3項
分野:医薬類
分類:用途(二酸化炭素外用剤調製用)
ポイント:①公刊物である平成15年9月30日付けの「実施料率(第5版)」(社団法人発明協会研究センター編,甲16)によれば,「医薬品・その他の化学製品」につき,平成4年度から平成10年度の実施料率の平均値は,イニシャル・ペイメント条件のあるものにおいて6.7パーセント,ないものにおいて7.1パーセントであったこと,②株式会社帝国データバンク作成の「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~本編」(平成22年3月,甲58)において,「国内企業・ロイヤルティ料率アンケート調査と文献調査におけるロイヤルティ料率の比較」と題する表には,化学の産業分野における日本国内のアンケート結果は5.3パーセントである旨が,「産業別司法決定ロイヤルティ料率(2004年~2008年)」と題する表には,化学産業の「平均値」が司法データは6.1パーセント,市場データは5.4パーセントである旨が,それぞれ記載されていることに鑑みれば,補償金支払請求に当たっての本件特許発明の実施料率については,7パーセントと認めるのが相当である。
99
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-03-07
事件番号:平成24(行ウ)591
事件種別:行政処分取消義務付け等請求
原告:レクサン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド/コーリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー(特許出願人)
被告:国/特許庁審査官(処分行政庁)/特許庁長官(裁決行政庁)
判決:請求認容
裁判部:民事 第29部
裁判官:大須賀滋(裁判長) 小川雅敏 森川さつき
発明の名称等:1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体
争点:特許査定の取消の可否(取消)
参照条文:行政不服審査法
分野:医薬類
分類:物質(ヘテロアリールピペラジン誘導体)
ポイント:本件で問題となっているのは,補正が出願人の真意に基づくという意味で適法である場合の補正の許容される範囲の問題ではなく,補正が真意に基づかないという意味で不適法である場合にその適法性の確保を図るべき場合である。したがって,少なくとも,本件補正書を出願人の真意に基づいて補正する場面においては,同法17条1項本文のみが適用され,同項但し書きの規定は適用されないものと解される。もとより,そのようにして適法に補正がされた後の補正書に基づく補正の許容範囲については,同項ただし書の規定が適用される。本件の場合に適用の対象となるのは,同項但し書きに掲げられた条文のうち,同法17条の2第5項(その前提としての同条1項4号)である。そうすると,同法17条の2第5項で許容される特許請求の範囲の減縮に当たるか否かの基準となるのは,本件拒絶査定時における補正された特許請求の範囲であり,この記載を基準として特許請求の範囲の減縮に当たるかどうかが判断されることになる。そして,この規定により,同項2号の特許請求の範囲の減縮に当たると判断されれば,本件補正書(真意に基づく内容に補正された後のもの)による補正が認められることになる。以上は,原告ら(出願人)が自ら補正する場合であるが,審査官が特許法164条3項に基づき,出願人の真意を確認すべき場合であると特許庁長官に報告した場合には,特許庁長官は,同法17条3項2号の規定に基づいて,相当の期間を定めて,手続の補正(真意に基づく内容への本件補正書の補正)をすべきことを命ずることもできるものと解される。以上のとおり,本件において,担当審査官には手続上の義務違背があったものであるから,本件特許査定には手続上の瑕疵があるものと認められる。
100
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-27
事件番号:平成25(行ケ)10211
事件種別:審決取消請求
原告:アンチキャンサー インコーポレーテッド
被告:特許庁長官
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「細胞応答のリアルタイム測定」
争点:進歩性(なし→なし)
参照条文:29条2項
分野:バイオ
分類:細胞(トランスフェクト細胞)
ポイント:引用例5には,生きている細胞中において染色体を蛍光標識する新規な手段である,H2B-GFPを安定的に産生する HeLa細胞株を樹立したとの発明が開示されている。当業者が,染色体のダイナミクスを観察するに際して,染色体のみを着色して観察するだけではなく,その一部分を別の色で着色したり,別の方法で撮像したりするなど,様々な方法を用いて,その動態を把握したいと考えるのは極めて自然に想起されることである。引用例5の記載に接した当業者であれば,H2B-GFPを安定的に産生する生細胞を用いて,染色体の様々なダイナミクスを観察する際に「多重標識」を行う,すなわち,染色体を標識する緑色のH2B-GFPに加えて,他の色の蛍光タンパク質を細胞の適当な部位に発現させることは,容易に試みることであるといえる。
101
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-09-25
事件番号:平成26(行ケ)10008
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社ベックス(無効審判請求人)
被告:ネッパジーン株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第1部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 大寄麻代 大須賀滋
発明の名称等:「エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法」
争点:サポート要件(違反なし→なし)
参照条文:36条6項1号
分野:バイオ
分類:方法(外来遺伝子導入)
ポイント:本件発明においては,DNA濃度は発明特定事項とはなっていないところ(請求項1ないし3),発明特定事項以外の実施条件については,当業者が通常採用する条件を予定しているものと解するのが合理的であるから,本件発明の前提とするDNA濃度についても,当業者が通常採用する程度の濃度と解するのが相当である。そして,遺伝子導入効率及び生存率に好適なDNA濃度を検討するために行われた実施例において,0.01μg/μℓは最小値として設定されていることや,ヒト子宮頸癌細胞の一種であるHeLa細胞に高電圧パルスを与える従来のエレクトロポレーション法においても,0.01μg/μℓという濃度を採用したものは見当たらないことからすれば,DNA濃度0.01μg/μℓは,当業者が通常採用する程度の濃度であるとは認められず,同濃度に基づく遺伝子導入効率が低いことをもって,本件発明が課題を解決することができないものであるということはできない。
102
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-05-29
事件番号:平成25(行ケ)10200
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社J-オイルミルズ(特許権者)
被告:日清オイリオグループ株式会社(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第3部
裁判官:設樂隆一(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「菜種ミールの製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:製法(菜種ミール)
ポイント:サンプル(1)ないしサンプル(5)は,サンプル(0)全体を機械粉砕して得られたものであるから,訂正発明3の篩分けの対象である菜種粕とは,物として異なるものである。訂正発明3の篩分けの対象である菜種粕には,2段階搾油工程の後整粒工程を経たにとどまるものは含まれるが,2段階搾油工程の後,菜種粕全体に機械粉砕を施したものは含まれない。そのため,訂正発明3の篩分けの対象である菜種粕は,整粒工程を経たものであっても,機械粉砕された粒子と機械粉砕されていない粒子との混合物となり,造粒粒子(苦み物質が搾油時に種皮と混ざって粒状となり,造粒されてマスキングされたもの)を含むものである。一方,甲1発明の篩分けの対象である上記5種の粉砕ミールは,サンプル(0)全体を機械粉砕して得られるものであるから,全量が機械粉砕された粒子であり,造粒粒子を含まないものである。そして,甲1文献は,「スクリーニングの前に種々の異なる型の粉砕機を用いた研究」に関するものであり,上記の5種の粉砕ミールは,このような研究のために準備されたサンプルであるから,その全体を機械粉砕せずに,粒度が大きな粒子についてのみ適度な粒度に機械粉砕する整粒を行った上で篩にかけることは予定されていない。したがって,上記5種の粉砕ミールに代えて,訂正発明3の篩分けの対象である菜種粕を用いる動機付けがあるとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-24
事件番号:平成26(行ケ)10103
事件種別:審決取消請求
原告:カワタ工業株式会社(特許権者)
被告:株式会社フジワラテクノアート(無効審判請求人)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「固体麹の製造方法」
争点:進歩性(なし→あり)
参照条文:29条2項
分野:食品
分類:製法(固体麹)
ポイント:審決は,甲3発明においては,回転ドラム本体内の湿度調整が行われているか明らかではないにもかかわらず,湿度調整をしているかどうかという相違点を看過したものといえる。原告は,相違点6として,「本件発明3は,「前記製麹原料の攪拌が,前記回転ドラム本体の回転により生じる原料層の傾斜面からの落下により行われ」,「温度及び湿度が任意に調整された前記回転ドラム本体内で前記製麹原料が前記傾斜面から順次落下する時に,前記回転ドラム本体内の空気に触れることにより熱交換が行われ」るのに対し,甲3発明は,ドラムの回転中に温度及び湿度の調整が行われているかは不明であり,また,原料層の傾斜面からの落下による攪拌,及び製麹原料が傾斜面から順次落下する時に熱交換が行われているかも不明である点。」があると主張する。原告の主張する相違点6の中の温度管理の点のうち,最初の室温及び回転ドラム本体内の温度を共に製麹開始温度とする点は相違点2,それ以降の回転時における上昇した温度の調整の点は相違点4の中に含まれていると評価することができるが,湿度調整の有無という相違点について,審決はどの相違点においても実質的に挙げているとはいえないから,この限度で原告の指摘は正当なものである。そして,上記相違点の看過が,本件発明3の進歩性判断に影響を与える可能性があるから,取消事由1は,その限度で理由がある。
104
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-16
事件番号:平成25(行ケ)10125
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社林原(無効審判請求人)
被告:日本食品化工株式会社 (特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 中村恭 中武由紀
発明の名称等:「新規分岐グルカン並びにその製造方法および用途」
争点:発明の同一性(非同一→非同一)
参照条文:29条の2
分野:食品
分類:製法(グルカン)
ポイント:新規α-グルカンを生成する上記の微生物PP710株及びPP349株を菌学的性質に基づいて同定した結果,微生物PP710株は,バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)に属する微生物であり,微生物PP349株は,アルスロバクター・グロビホルミス(Arthrobacter globiformis)に属する微生物であり,いずれも新規微生物であることが判明した。先願明細書には,発見されたバチルス・サーキュランスPP710とアルスロバクター・グロビホルミスPP349以外の微生物から由来したα-グルコシル転移酵素についての記載は一切ない。また,先願明細書には,これらの微生物由来の酵素及びその酵素により生成されるα-グルカンが新規である旨が記載されている。先願明細書には,特定の菌株由来の新規な酵素を用いた発明(先願発明1)が開示されているのであって,「α-グルコシル転移酵素」について,上記のバチルス・サーキュランスPP710及びアルスロバクター・グロビホルミスPP349との特定の微生物由来の酵素以外のα-グルコシル転移酵素について開示があると認めることはできない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-04-09
事件番号:平成25(行ケ)10282
事件種別:審決取消請求
原告:佐藤食品工業株式会社 (無効審判請求人)
被告:越後製菓株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 中武由紀
発明の名称等:「餅」
争点:発明の同一性(非同一→非同一)
参照条文:39条2項
分野:食品
分類:構造(餅)
ポイント:分割発明は,切り込みが,「立直側面に沿う周方向で且つ前記広大面と平行な直線状」(相違点1)で,「四辺の前記立直側面のうちの対向二側面である長辺部の立直側面の双方に夫々長さいっぱいに形成した」(相違点2)ものとされていることにより,「刃板に対して前記小片餅体を前記長辺部長さ方向に相対移動する」(相違点3)だけで,上記のような切り込みを簡単に形成でき,量産性に一層秀れるという作用効果を奏するものであり,一定程度の技術的意義を有するものといえる。一方,本件発明1は,分割発明と同様,切餅の立直側面である側周表面に切り込みを設けたものであるが,その切り込みは,「立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する」ものであるものの,単に,「周方向に一周連続させて角環状とした」もの,又は,「立直側面である側周表面の対向二側面に形成した」ものであり,分割発明のように技術的に限定された切り込みとは異なるものである。以上によれば,審決が認定した相違点1ないし3は実質的な相違点と認められるから,本件発明1と分割発明とは同一であるとはいえない。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-11-10
事件番号:平成25(行ケ)10271
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社JKスクラロースジャパン(無効審判請求人)
被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社(特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 新谷貴昭 鈴木わかな
発明の名称等:「アルコール飲料の風味向上剤及び風味向上法」
争点:実施可能要件(違反なし→あり)
参照条文:36条4項1号
分野:食品
分類:用途(アルコール飲料の風味向上)
ポイント:アルコールは,甘味,苦味,酸味,その混合,「灼く(やく)ような味」など複数の風味を有するところ,本件明細書においては,シュクラロースの添加がアルコールの苦味及びバーニング感を抑えることは確認されているものの,アルコールの有する複数の風味のうちそれら2つの風味のみを特異的に抑えることまでは確認されておらず,しかも,「アルコールの軽やか風味を生かしたまま」であるか否かは明らかにされていない。また,本件明細書は,「アルコールの軽やか風味」を,アルコールに起因する「苦味」及び「バーニング感」と併存するものとして位置付けているものと認められるところ,本件明細書上,これらの関係は不明であり,したがって,「苦味」及び「バーニング感」の抑制によって,「アルコールの軽やか風味を生かす」という効果がもたらされるか否かも,不明といわざるを得ない。被告は,「苦味」及び「バーニング感」を抑制することが「アルコールの軽やか風味」の向上であるかのような主張をするが,これは,本件明細書の客観的記載に反する解釈である。以上によれば,「アルコールの軽やか風味」という用語の意味は,不明瞭といわざるを得ない。そして,前述のとおり,当業者は,本件発明の実施に当たり,「軽やか風味」については「生かしたまま」,すなわち,減殺することなく,アルコール飲料全体の風味を向上させられるか,という点を確認する必要があるところ,「軽やか風味」の意味が不明瞭である以上,上記確認は不可能であるから,本件特許の発明の詳細な説明は,「アルコールの軽やか風味」という用語に関し,実施可能性を欠くというべきである。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-03-26
事件番号:平成25(行ケ)10172
事件種別:審決取消請求
原告:株式会社JKスクラロースジャパン (無効審判請求人)
被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (特許権者)
判決:請求認容
裁判部:第2部
裁判官:清水節(裁判長) 池下朗 新谷貴昭
発明の名称等:「渋味のマスキング方法」
争点:明確性要件違反(違反なし→あり)
参照条文:36条6項2号
分野:食品
分類:方法(渋味マスキング)
ポイント:甘味閾値は,他の方法ではなく極限法により測定するものであることが自明であるという技術常識が存在していたとまではいえず,訂正明細書における甘味閾値の測定方法が極限法であると当業者が確定的に認識するとはいえない。当業者は,同一の測定方法を用いた極限法によるスクラロース水溶液の甘味閾値であっても,2つの文献で約1.6倍異なる数値が記載されている上,訂正発明における各種飲料における甘味閾値の測定は,スクラロース水溶液に比べてより困難であるから,測定方法が異なれば,甘味閾値はより大きく変動する蓋然性が高いとの認識のもとに訂正明細書の記載を読むと解するのが相当である。したがって,甘味閾値の測定方法が訂正明細書に記載されていなくとも,極限法で測定したと当業者が認識するほど,極限法が甘味の閾値の測定方法として一般的であるとまではいえず,また,極限法は人の感覚による官能検査であるから,測定方法等により閾値が異なる蓋然性が高いことを考慮するならば,特許請求の範囲に記載されたスクラロース量の範囲である0.0012~0.003重量%は,上下限値が2.5倍であって,甘味閾値の変動範囲(ばらつき)は無視できないほど大きく,「甘味の閾値以下の量」すなわち「甘味を呈さない量」とは,0.0012~0.003重量%との関係でどの範囲の量を意味するのか不明確であると認められるから,結局,「甘味を呈さない量」とは,特許法36条6項2号の明確性の要件を満たさないものといえる。
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-12-09
事件番号:平成26(行ケ)10117
事件種別:審決取消請求
原告:ツルヤ化成工業株式会社(無効審判請求人)
被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社(特許権者)
判決:請求棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「食品の風味向上法」
争点:明確性要件違反(違反なし→なし)
参照条文:36条6項2号
分野:食品
分類:方法(風味向上)
ポイント:実験例1及び2において,シュクラロースの塩なれ効果は,パネル10名による官能により四段階の判断基準に分けて評価され,「± やや塩味がやわらげられていると感じる。」という段階ではなく,「- 塩味がやわらげられ,刺激を丸く感じる。」という段階となって初めて「塩なれ効果」があるとされていることに照らせば,「刺激を丸く感じる」との評価についての判断基準は特定されており,不明りょうであるとはいえない。
109
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裁判所:東京地裁
判決日:2014-04-17
事件番号:平成24(ワ)24256
事件種別:特許権侵害行為差止等請求
原告:富士水産株式会社(特許権者)
被告:大宝商品株式会社
判決:請求棄却
裁判部:民事 第47部
裁判官:高野輝久(裁判長) 藤田壮 志賀勝
発明の名称等:「鮪肉の保存方法」
争点:技術的範囲の属否(属しない)
参照条文:70条
分野:食品
分類:方法(鮪肉保存)
ポイント:証拠によれば,トリメータを使って鶏肉の鮮度の計測や解凍品の判別が可能かどうかを探るために,トリメータによる鶏肉の測定を実施したところ,トリメータは,鶏肉(正肉)の表面から比較的浅い部位での細胞や組織の変化を数値化する計測器であることから,解凍品はもちろんとして,生鮮品であっても,例えば-20℃以下のベルトフリーザーで冷却して表面凍結状態の正肉,冷蔵トラック輸送中-5℃前後の低温で長時間経過した正肉などは,トリメータ値が低い値を示す可能性があることが認められ,この事実によると,ある程度厚みのある生鮮肉については,内部まで凍結したものだけでなく,冷凍に至らない程度の低温(例えば-5℃)で保存されたものであっても,鮮度とは無関係に,トリメータ値が顕著に低下する可能性があるということができる。そうであれば,被告鮪肉のトリメータ値が(生)鮪肉のそれに比べて著しく低いものであったとしても,このことから,直ちに,被告鮪肉が冷凍,解凍されたものであると即断することはできない。
110
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裁判所:知財高裁
判決日:2014-10-30
事件番号:平成25(ネ)10112 <原審;東京地裁平成24(ワ)33474>
事件種別:損害賠償請求控訴
原告:雪印メグミルク株式会社(特許権者) <控訴人>
被告:株式会社明治/明治ホールディングス株式会社 <被控訴人>
判決:控訴棄却
裁判部:第3部
裁判官:石井忠雄(裁判長) 西理香 田中正哉
発明の名称等:「食品類を内包した白カビチーズ製品及びその製造方法」
争点:技術的範囲(属しない)
参照条文:70条
分野:食品
分類:構造(カマンベールチーズ)
ポイント:構成要件C及びFの「内包」の意義について,控訴人は,「内包」とは内部に含み持つことであるが,切断面から内部が見えるのは当然であり,が外部から見えない状態を意味していると主張している。この点について,当裁判所は,本件各発明の概要に照らせば,構成要件C及びFにおける「香辛料を内包したカマンベールチーズ製品」とは,本件各発明を実施することにより製造されたチーズ製品の完成品を指すものと解すべきであるから,上記各構成要件における「内包」とは,完成品であるチーズ製品の外観から香辛料が見えない状態で内部に含み持たれており,見た目が通常のカマンベールチーズ製品と異ならないことを意味するものと解するのが相当であると判断する。被控訴人製品等は,各個片の表面のうち上面,底面及び外縁部を構成する面は白カビで覆われるものの,6ポーションカット切断面は白カビに覆われずに黒胡椒とチーズが露出しており,完成品であるチーズ製品の外観から香辛料が見えない状態で内部に含み持たれているとはいえず,見た目も通常のカマンベールチーズ製品と異ならないとはいえない。したがって,被控訴人製品等は,構成要件C及びFを充足しない。