東京地裁 2020-12-24 平成30(ワ)29802

47

東京地裁 2020-12-24 平成30(ワ)29802

特許権侵害差止請求

請求棄却

民事 第47部 田中孝一(裁判長),,横山真通,西尾信員

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条

原告

株式会社大塚製薬工場 <特許権者>

被告

エイワイファーマ株式会社/ 株式会社陽進堂

発明の名称等

「含硫化合物と微量金属元素を含む輸液製剤」

分野

医薬類

分類

製剤 (輸液)

ポイント

小室Tの外側の樹脂フィルムと内側の樹脂フィルムとの間の空間は,使用時に中室及び小室Vと連通するものではなく,これに照らすと,同空間が,輸液を充填して保存し得る構造を備えているものとは認められないといわざるを得ず,同空間が「室」に当たるということはできない。したがって,被告製品及び被告方法は構成要件1C及び10Cの「室に・・・微量金属元素収容容器が収納」されている構成を具備するとは認められない。

 知財高裁 2020-12-15 令和1(行ケ)10136

43

知財高裁 2020-12-15 令和1(行ケ)10136

審決取消請求

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,都野道紀

争点

サポート要件 (違反あり→あり)

参照条文

36条6項1号

原告

ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム <特許権者>/ 大鵬薬品工業株式会社 <補助参加人>

被告

ニプロ株式会社 <無効審判請求人>

発明の名称等

「パロノセトロン液状医薬製剤」

分野

医薬類

分類

製剤 (パロノセトロン液状医薬)

ポイント

本件明細書には,24ケ月要件を備えたパロノセトロン製剤が記載されているとはいえないし,本件出願時の技術常識に照らしても,当業者が,本件各発明につき,医薬安定性が向上し,24ケ月以上の保存を可能にするパロノセトロン製剤とその製剤を安定化する許容される濃度範囲を提供するという本件各発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。

 知財高裁 2020-12-14 令和1(行ケ)10076

42

知財高裁 2020-12-14 令和1(行ケ)10076

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

実施可能要件 (違反なし→なし)

参照条文

36条4項1号

原告

エフ.ホフマンーラ ロシュ アクチェンゲゼルシャフト <無効審判請求人>

被告

アムジェン インコーポレイテッド <特許権者>

発明の名称等

「炎症性疾患および自己免疫疾患の処置の組成物および方法」

分野

医薬類

分類

組成物 (炎症性疾患処置組成物)

ポイント

本件発明1の「IL-2RβおよびIL-2Rγ親和性」が,β親和性とγ親和性を意味するものとして記載されたものとは認められず,IL-2Rβγ(IL-2Rβγ複合体)への親和性を意味するものとして記載されたと認められ,βγ親和性は測定可能であったのであるから,(d)(ⅲ)改変体及び(d)(ⅳ)改変体が,実施可能要件に違反すると認めることはできない。

 東京地裁 2020-12-08 令和1(ワ)31214

28

東京地裁 2020-12-08 令和1(ワ)31214

損害賠償等請求

請求認容

民事 第47部 田中孝一(裁判長),,奥俊彦,西尾信員

争点

技術的範囲の属否 (属する)

参照条文

70条

原告

旭化成株式会社 <特許権者>

被告

株式会社シーズワン

発明の名称等

「塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法」

分野

化学

分類

組成物 (塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム)

ポイント

原告が,株式会社DJK及び株式会社三井化学分析センターに対し,本件発明の各構成要件に対応する被告各製品の物性値及び組成値について,本件明細書の記載に従った方法による測定を依頼したところ,・・・被告各製品は,上記構成を有し,いずれも本件発明の技術的範囲に属するものと認められる。

 知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10096

48

知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10096

審決取消請求

中間判決

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

被告適格なしの主張の当否 (失当)

参照条文

179条但書/148条1項

原告

東レ株式会社 <特許権者>

被告

沢井製薬株式会社 <無効審判請求人>/ ニプロ株式会社 <参加人>

発明の名称等

「?痒剤」

分野

医薬類

分類

用途 (止痒剤)

ポイント

特許法148条1項は,「第132条第1項の規定により審判を請求することができる者は,審理の終結に至るまでは,請求人としてその審判に参加することができる。」として,1項参加人が,特許無効審判又は延長登録無効審判(以下,併せて単に「無効審判」という。)に「請求人」として参加することを明記している。したがって,1項参加人は,特許法179条1項の「請求人」として,被告適格を有するものと解される。また,1項参加をすることができるのは無効審判を請求できる者に限られ,かつ,1項参加人は,特許法148条4項のような規定がなくても,当然に一切の審判手続をすることができるとされている上,被参加人が請求を取り下げても審判手続を続行できるとされている(同条2項)。これらのことは,1項参加人が,正に「請求人」としての地位を有することを示しており,そのことからしても,1項参加人は被告適格を有するものと解することができる。

 知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10097

49

知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10097

審決取消請求

中間判決

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

被告適格なしの主張の当否 (失当)

参照条文

179条但書/148条1項

原告

東レ株式会社 <特許権者>

被告

沢井製薬株式会社 <無効審判請求人>/ ニプロ株式会社 <参加人>

発明の名称等

「?痒剤」

分野

医薬類

分類

用途 (止痒剤)

ポイント

特許法148条1項は,「第132条第1項の規定により審判を請求することができる者は,審理の終結に至るまでは,請求人としてその審判に参加することができる。」として,1項参加人が,特許無効審判又は延長登録無効審判(以下,併せて単に「無効審判」という。)に「請求人」として参加することを明記している。したがって,1項参加人は,特許法179条1項の「請求人」として,被告適格を有するものと解される。また,1項参加をすることができるのは無効審判を請求できる者に限られ,かつ,1項参加人は,特許法148条4項のような規定がなくても,当然に一切の審判手続をすることができるとされている上,被参加人が請求を取り下げても審判手続を続行できるとされている(同条2項)。これらのことは,1項参加人が,正に「請求人」としての地位を有することを示しており,そのことからしても,1項参加人は被告適格を有するものと解することができる。

 知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10098

50

知財高裁 2020-12-02 令和2(行ケ)10098

審決取消請求

中間判決

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

被告適格なしの主張の当否 (失当)

参照条文

179条但書/148条1項

原告

東レ株式会社 <特許権者>

被告

沢井製薬株式会社 <無効審判請求人>/ ニプロ株式会社 <参加人>

発明の名称等

「?痒剤」

分野

医薬類

分類

用途 (止痒剤)

ポイント

特許法148条1項は,「第132条第1項の規定により審判を請求することができる者は,審理の終結に至るまでは,請求人としてその審判に参加することができる。」として,1項参加人が,特許無効審判又は延長登録無効審判(以下,併せて単に「無効審判」という。)に「請求人」として参加することを明記している。したがって,1項参加人は,特許法179条1項の「請求人」として,被告適格を有するものと解される。また,1項参加をすることができるのは無効審判を請求できる者に限られ,かつ,1項参加人は,特許法148条4項のような規定がなくても,当然に一切の審判手続をすることができるとされている上,被参加人が請求を取り下げても審判手続を続行できるとされている(同条2項)。これらのことは,1項参加人が,正に「請求人」としての地位を有することを示しており,そのことからしても,1項参加人は被告適格を有するものと解することができる。

 知財高裁 2020-11-25 令和1(ネ)10057 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)41474>

27

知財高裁 2020-11-25 令和1(ネ)10057 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)41474>

特許権に基づく損害賠償請求控訴

控訴棄却

第4部 大鷹一郎(裁判長),,中村恭,岡山忠広

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条

原告

X <控訴人(特許権者;一審原告)>

被告

株式会社ディーエイチシー <被控訴人(一審被告)>

発明の名称等

「タンパク質を抽出する混合液」

分野

化学

分類

組成物 (タンパク質抽出混合液)

ポイント

甲8の実験の結果から,被告製品が添加された「抽材」が,被告製品によって,2層に分離し,下層にタンパク質含有層が形成されたものと認めることはできず,被告製品は,構成要件Bの「タンパク質を抽出する」ことができるとの構成を有するものと認めることはできない。

 知財高裁 2020-11-18 令和2(ネ)10025 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)27238>

34

知財高裁 2020-11-18 令和2(ネ)10025 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)27238>

特許権侵害差止等請求控訴

控訴認容

第2部 森義之(裁判長),,佐野信,中島朋宏

争点

ロイヤルティーベース (侵害製品の売上とすべき)

参照条文

102条3項

原告

日亜化学工業株式会社 <控訴人兼被控訴人(特許権者;一審原告)>

被告

東芝映像ソリューション株式会社 <被控訴人兼控訴人(一審被告)>

発明の名称等

「発光装置と表示装置」

分野

化学

分類

装置 (発光装置)

ポイント

①本件LEDは直下型バックライトに搭載されて一審被告製品に使用されていたところ,直下型バックライトは,液晶テレビである一審被告製品の内部に搭載された基幹的な部品の一つというべきであり,一審被告製品から容易に分離することが可能なものとはいえないこと,②LEDの性能は,液晶テレビの画質に大きく影響するとともに,どのようなLEDを用い,どのようにして製造するかは製造コストにも影響するものであること,③一審被告は,本件LEDの特性を活かした完成品として一審被告製品を販売していたもので,一審被告製品の販売によって収益を得ていたこと等に照らすと,一審被告製品の売上げを基礎として,特許法102条3項の実施料相当額を算定するのが相当である。

 知財高裁 2020-11-10 令和2(行ケ)10005

16

知財高裁 2020-11-10 令和2(行ケ)10005

審決取消請求

請求棄却

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,高橋彩

争点

発明の同一性 (同一→同一)

参照条文

29条の2/184条の13

原告

特種東海製紙株式会社 <特許出願人>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「ガラス板合紙用木材パルプ及びガラス板用合紙」

分野

化学

分類

構造 (ガラス板用合紙)

ポイント

相違点2は,本願発明1が「紙中に含まれるシリコーンの量が,紙の絶乾質量に対して0.5ppm以下」であるのに対し,先願発明は「有機ケイ素化合物の含有量は,より好ましくは1ppm以下であり,少ない程,好ましく,有機ケイ素化合物の含有量の下限には,限定は無いが,ガラス合紙から有機ケイ素化合物を完全に取り除くのは,困難であり,有機ケイ素化合物の含有量が極端に少ないガラス合紙は,製造に手間やコストがかかるため,有機ケイ素化合物の含有量は,0.05ppm以上であるのが好まし」いとされている点であるところ,両者は,0.05ppm以上0.5ppm以下の範囲で重なることからすれば,相違点2は実質的な相違点ではない。

 知財高裁 2020-11-05 令和1(行ケ)10165

1

知財高裁 2020-11-05 令和1(行ケ)10165

審決取消請求

請求認容

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,中平健,都野道紀

争点

新規事項の追加 (該当→非該当)

参照条文

17条の2第3項

原告

有限会社ギムティー <特許出願人>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「保温シート及びそれを用いた保温布団」

分野

化学

分類

構造 (保温シート)

ポイント

本件当初明細書等に接した当業者は,本件カバー体は透光性を有するものであると当然に理解するものといえるから,本件カバー体が「透光性を有する」という事項は,本件当初明細書等の記載内容から自明な事項であるというべきである。

 知財高裁 2020-10-28 令和1(行ケ)10137

37

知財高裁 2020-10-28 令和1(行ケ)10137

審決取消請求

請求棄却

第4部 大鷹一郎(裁判長),,本吉弘行,岡山忠広

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

日本ケミファ株式会社/ ダイト株式会社 <無効審判請求人>

被告

ジー.ディー.サール,リミテッド,ライアビリティ,カンパニー <特許権者>

発明の名称等

「セレコキシブ組成物」

分野

医薬類

分類

組成物 (セレコキシブ組成物)

ポイント

甲1に接した当業者において,甲1発明のセレコキシブを300mg含む経口投与用カプセルにおいて,経口吸収性(生物学的利用能)の改善及び薬効成分の含量均一性の改善のために,薬効成分のセレコキシブの粒子サイズを小さくすることに思い至ったとしても,セレコキシブの微細化条件として「粒子の最大長において,セレコキシブ粒子のD90が200μm未満である粒子サイズの分布を有する」との構成(相違点1-2に係る本件発明1の構成)を採用することについての動機付けがあるものと認めることはできないから,甲1及び技術常識乃至周知技術に基づいて,当業者が上記構成を容易に想到することができたものと認めることはできない。

 知財高裁 2020-10-21 令和1(行ケ)10112

58

知財高裁 2020-10-21 令和1(行ケ)10112

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

サポート要件 (違反なし→なし)

参照条文

36条6項1号

原告

株式会社ダイセル <無効審判請求人>/ 株式会社アドバンスト・メディカル・ケア <補助参加人>

被告

大塚製薬株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「エクオール含有抽出物及びその製造方法,エクオール抽出方法,並びにエクオールを含む食品」

分野

食品

分類

方法 (エクオール含有抽出物の製造方法)

ポイント

本件明細書の記載に,「ダイゼイン類」や「大豆胚軸」以外の「ダイゼイン類を含む原料」をエクオール産生微生物で発酵処理してエクオールを産生するのは,本件原出願日当時において技術常識であったことを総合すると,本件明細書では,「大豆胚軸」のみならず,特許請求の範囲に記載された「ダイゼイン類を含む原料」についてサポートされているということができる。

 知財高裁 2020-09-29 令和1(行ケ)10128

19

知財高裁 2020-09-29 令和1(行ケ)10128

審決取消請求

請求棄却

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,高橋彩

争点

サポート要件 (違反なし→なし)

参照条文

36条6項1号

原告

JFEスチール株式会社 <無効審判請求人>

被告

日本製鉄株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「低鉄損一方向性電磁鋼板」

分野

化学

分類

構造 (電磁鋼板)

ポイント

当業者は,本件明細書の記載から,一方向性電磁鋼板の板厚内部に対して引張り応力が導入されると,渦電流損が低減すること,導入される引張り応力の最大値が40MPa以上であると,渦電流損が有意に低減すること,及び,その引張り応力の最大値が鋼板素材の降伏応力値以下であれば,ヒステリシス損の増加が回避されることを,作用機序の観点から,具体的裏付けをもって理解することができるものといえる。

 東京地裁 2020-09-24 平成28(ワ)25436

60

東京地裁 2020-09-24 平成28(ワ)25436

特許権侵害差止等請求

一部請求認容

民事 第29部 山田真紀(裁判長),,矢野紀夫,西山芳樹

争点

技術的範囲の属否 (属する)

参照条文

70条

原告

味の素株式会社 <特許権者>

被告

シージェイジャパン株式会社

発明の名称等

「アミノ酸生産菌の構築方法及び構築されたアミノ酸生産菌を用いる醗酵法によるアミノ酸の製造法」

分野

食品

分類

方法 (L-グルタミン酸の製造方法)

ポイント

出願時の請求項1は,被告製法4のような,コリネバクテリウム・カルナエ由来の変異型yggB遺伝子を使用する構成を含み得るものであったところ,補正によって,そのような構成は文言上本件発明2に含まれなくなったものである。しかしながら,コリネバクテリウム・カルナエDSM20147株の全ゲノム及びyggB遺伝子のアミノ酸配列の解析がされて利用可能となったのは平成25年3月頃以降であり,本件優先日2である平成16年12月28日の時点,あるいは,本件特許2の出願日である平成17年12月28日の時点において,コリネバクテリウム・カルナエのyggB遺伝子のアミノ酸配列を特定することはできなかったものである。そうすると,本件優先日2より前から,コリネバクテリウム・カルナエがグルタミン酸生産菌であり,コリネバクテリウム・グルタミカムと近縁の細菌であることが知られていたことを考慮しても,本件発明2の出願時において,出願人である原告が,本件発明2の課題を解決し得るような,コリネバクテリウム・カルナエ由来の変異型yggB遺伝子を用いた具体的な構成を特定し,サポート要件その他の記載要件を満たす形で特許請求の範囲に記載することが容易に可能であったとは認められない。出願及び補正の経過をもって,客観的,外形的に見て,コリネバクテリウム・カルナエ由来の変異型yggB遺伝子を使用する構成を特許請求の範囲からあえて除外する旨が表示されていたとはいえず,その他,本件全証拠によっても,被告製法4について,第5要件に係る,特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとは認められない。

 知財高裁 2020-09-23 令和2(行ケ)10048

13

知財高裁 2020-09-23 令和2(行ケ)10048

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

進歩性 (なし→なし)

参照条文

29条2項

原告

X <特許出願人>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「水素エンジン装置」

分野

化学

分類

装置 (水素エンジン装置)

ポイント

引用発明と上記周知技術は,同じ水素エンジンに関する技術であり,引用発明に上記周知技術を適用して本願発明1の構成を得ることは容易想到であったと認められる。

 東京地裁 2020-09-17 平成30(ワ)18555

61

東京地裁 2020-09-17 平成30(ワ)18555

特許権侵害差止請求

請求棄却

民事 第47部 田中孝一(裁判長),,奥俊彦,西尾信員

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条/104条

原告

大塚製薬株式会社 <特許権者>

被告

株式会社アドバンスト・メディカル・ケア/ 株式会社ダイセル

発明の名称等

「エクオール含有抽出物及びその製造方法,エクオール抽出方法,並びにエクオールを含む食品」

分野

食品

分類

方法 (エクオール含有抽出物の製造方法)

ポイント

このような被告方法が生産方法の推定を受ける本件発明に関し,上記「本件特許の特許出願」日は,優先日である2007年(平成19年)6月13日ではなく,親出願日である2008年(平成20年)6月13日であるというべきところ,国際公開第2007/066655号(国際公開日2007年(平成19年)6月14日)によれば,上記親出願日の時点において,「オルニチン及びエクオールを含有する発酵物」は日本国内において公然知られた物であると認められるから,被告原料は,本件発明の方法により生産されたものとは推定されないと言わなければならない。

 東京地裁 2020-09-16 令和1(行ウ)536

55

東京地裁 2020-09-16 令和1(行ウ)536

手続却下処分取消請求

請求棄却

民事 第40部 佐藤達文(裁判長),,三井大有,齊藤敦

争点

翻訳文不提出に係る「正当な理由」の有無 (なし→なし)

参照条文

184条の4第4項

原告

メディミューン エルエルシー <外国語特許出願人>

被告

国 <処分行政庁兼裁決行政庁;特許庁長官>

発明の名称等

「IL-21に特異的な結合性分子およびその使用」

分野

バイオ

分類

抗体 (IL-21抗体)

ポイント

本件国際出願の国内移行に関する期間管理の責任を負っていたのはBP社であるというべきところ,同社は,本件国際出願の国内書面提出期間を認識していたにもかかわらず,国内書面提出期間の徒過を回避するための必要な措置を何ら講じることなく,同期間を徒過させたものであって,同期間の徒過を回避するのが困難な特段の事情があったとも認められない。したがって,BP社が同期間内に明細書等翻訳文が提出できなかったことについて法184条の4第4項所定の「正当な理由」があるということはできない。

 知財高裁 2020-09-10 令和1(行ケ)10070

15

知財高裁 2020-09-10 令和1(行ケ)10070

審決取消請求

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,都野道紀

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

テクニカ合同株式会社 <無効審判請求人>

被告

栗田工業株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「気泡シールド工法で発生する建設排泥の処理方法」

分野

化学

分類

方法 (建設汚泥の処理方法)

ポイント

原告甲1発明に開示された発明は,「推進工事,シールド工事,基礎工事,浚渫工事のような建設工事等で発生する泥土」であって,高い含水比により流動性が高い反面,気泡の存在は想定されていないものを対象とし,これに凝集剤を適切に供給することよって「凝集された無数の土粒子間に自由水を満遍なく抱合して,粒状化した状態に処理」【0049】するという発明である。これに対し,気泡シールド工法によって発生する泥土は,含水比が低く,気泡を有している点において,原告甲1発明が想定する泥土とは性質が異なるのであるから,当業者には,このように性質の異なる泥土を,原告甲1発明の対象とすることの動機付けはないというべきである。

 知財高裁 2020-09-03 令和1(行ケ)10173

24

知財高裁 2020-09-03 令和1(行ケ)10173

特許取消決定取消請求

請求認容

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,高橋彩

争点

明確性要件 (違反あり→なし)

参照条文

36条6項2号

原告

積水化学工業株式会社 <特許権者>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「両面粘着テープ,車載部品固定用両面粘着テープ,及び,車載用ヘッドアップディスプレイカバー固定用両面粘着テープ」

分野

化学

分類

構造 (両面粘着テープ)

ポイント

本件発明1の「示差走査熱量計により測定される結晶融解温度ピークが140℃以上である」とは,示差走査熱量計による測定結果のグラフのピークが140℃以上に存在することを意味し,複数のピークがある場合のピークの大小は問わないものと解され,その記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。

 知財高裁 2020-08-27 令和1(行ケ)10139

4

知財高裁 2020-08-27 令和1(行ケ)10139

審決取消請求

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,中平健,都野道紀

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

アテネ株式会社 <無効審判請求人>

被告

株式会社ボンマーク <特許権者>

発明の名称等

「メタルマスク及びその製造方法」

分野

化学

分類

構造 (メタルマスク)

ポイント

甲1文献においては,めっき法を採用するのが好ましいとされている一方で,甲3文献においては,甲3記載技術である電解マーキング法について,電解めっき法に劣るマーキング方法であると否定的な評価がされているのであるから,甲1文献及び甲3文献に接した当業者が,敢えてめっき法とは異なる甲3記載技術を甲1発明に適用しようとすることは考え難いというべきである。また,甲1発明においては,アライメントマークの耐久性や識別性等の向上がその目的とされているといえるのに対し,甲3文献においては,甲3記載技術について,「得られるマーキング皮膜は・・・安定した黒色皮膜を得ることが困難であり,皮膜の退色,離脱,溶出等の問題がある」(欠点(1)),「明瞭さに欠ける」(欠点(4))など,上記の甲1発明の目的を達することを阻害する欠点が存在する旨が記載されている。以上の各事情を考慮すると,甲3記載技術を甲1発明に適用することについては,阻害要因があるというべきである。

 知財高裁 2020-08-26 令和1(行ケ)10155

41

知財高裁 2020-08-26 令和1(行ケ)10155

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

発明の同一性 (非同一⇒非同一)

参照条文

29条の2

原告

エイワイファーマ株式会社 <無効審判請求人>

被告

株式会社大塚製薬工場 <特許権者>

発明の名称等

「含硫化合物と微量金属元素を含む輸液製剤」

分野

医薬類

分類

製剤 (輸液製剤)

ポイント

当業者は,甲1から,収容室23にシステイン,またはその塩,エステルもしくはN-アシル体を収容し,区画室28に微量金属元素を収容するという構成を認識することができないところ,本件発明1の「アセチルシステイン」は,システインのN-アシル体であるから,相違点1-1及び相違点1-2は,実質的な相違点ということができる。

 東京地裁 2020-08-21 平成29(ワ)27378

35

東京地裁 2020-08-21 平成29(ワ)27378

特許権持分一部移転登録手続等請求

請求却下(発明者該当性確認部分)

民事 第40部 佐藤達文(裁判長),,??野俊太郎,齊藤敦

争点

発明者該当性 (非該当)

参照条文

29条1項柱書/2条1項

原告

X

被告

小野薬品工業株式会社/ Y <特許権者>

発明の名称等

「癌治療剤」など

分野

医薬類

分類

製剤 (抗体医薬)

ポイント

①本件発明の技術的思想を着想したのは,被告Y及びZ教授であり,②抗PD-L1抗体の作製に貢献した主体は,Z教授及びW助手であり,③本件発明を構成する個々の実験の設計及び構築をしたのはZ教授であったものと認められ,原告は,本件発明において,実験の実施を含め一定の貢献をしたと認められるものの,その貢献の度合いは限られたものであり,本件発明の発明者として認定するに十分のものであったということはできない。

 知財高裁 2020-08-20 令和2(ネ)10016 <原審:東京地方裁判所平成31(ワ)4944>

32

知財高裁 2020-08-20 令和2(ネ)10016 <原審:東京地方裁判所平成31(ワ)4944>

特許権侵害差止等請求控訴

控訴棄却

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,高橋彩

争点

共有者実施の共有特許権の侵害該当性 (不成立→不成立)

参照条文

73条

原告

株式会社ツインズ <控訴人(共有特許権者;一審原告)>

被告

Y/ 株式会社COOLKNOT JAPAN <被控訴人(共有特許権者;一審被告)>

発明の名称等

「チューブ状型組立基体の紐」

分野

化学

分類

構造 (結ばない靴紐)

ポイント

控訴人は,平成28年4月以降,従前の事業形態(商流)とは異なり,独自に原告製品を日本で製造し販売している。そして,原告販売行為について,他の共有者である被控訴人Y,B及びAとの事前の協議や許可はされていないから,控訴人は,本件定めに違反したものとして,本件各特許権の持分権を喪失したというべきである。以上によれば,控訴人は,本件特許権1の持分権を喪失していることから,被告販売行為が本件特許権1(控訴人の共有持分権)を侵害することはない。

 知財高裁 2020-08-05 令和1(行ケ)10082

11

知財高裁 2020-08-05 令和1(行ケ)10082

審決取消請求

請求棄却

第4部 大鷹一郎(裁判長),,中村恭,岡山忠広

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

ネオケミア株式会社 <無効審判請求人>

被告

株式会社メディオン・リサーチ・ ラボラトリーズ <特許権者>

発明の名称等

「二酸化炭素含有粘性組成物」

分野

化学

分類

組成物 (炭酸ジェル)

ポイント

甲1に接した当業者は,甲1発明において,二酸化炭素の経皮吸収の効率性の向上のため,気泡状の二酸化炭素を効率的に発生・保持させ,気泡状の二酸化炭素の保留性(持続性)を高める必要性があるものと認識するものとはいえないから,甲1発明のA剤に含まれる,皮膚上の皮膜形成に寄与する「増粘剤」であるポリビニルアルコール又はカルボキシメチルセルロースを,二酸化炭素の経皮吸収の効率性を向上させるための増粘剤としてアルギン酸ナトリウムに置換する動機付けがあるものと認めることはできないし,また,上記置換をすることが当業者が適宜選択し得る設計事項であるものと認めることはできない。

 知財高裁 2020-08-05 令和1(行ケ)10084

12

知財高裁 2020-08-05 令和1(行ケ)10084

審決取消請求

請求棄却

第4部 大鷹一郎(裁判長),,中村恭,岡山忠広

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

ネオケミア株式会社 <無効審判請求人>

被告

株式会社メディオン・リサーチ・ ラボラトリーズ <特許権者>

発明の名称等

「二酸化炭素経皮・経粘膜吸収用組成物」

分野

化学

分類

組成物 (炭酸ジェルキット)

ポイント

甲1発明のパック剤は,「短時間で」優れた血行促進作用を示し,適用部位に不快な刺激感を与えず,肌にしっとり感を与えることに技術的意義があるものと理解するから,甲1発明において,二酸化炭素が短時間で空気中に発散してしまうという問題点を解消するために酸と炭酸塩との反応を遅延させる必要があるものと認識するものとまで認めることはできない。また,甲1発明の上記技術的意義に照らすと,甲1に接した当業者が,甲1発明においても,炭酸ガスを高濃度で「長時間」保持することができ,血行促進効果の持続性が高い薬用化粧料を提供することが課題であると認識するものと認めることはできない。甲1に接した当業者は,甲1発明において,A剤を炭酸塩を含有する含水粘性組成物とし,B剤を炭酸塩と酸から構成される複合顆粒とする構成とする動機付けがあるものと認めることはできない。

 知財高裁 2020-08-03 令和2(ラ)10004 <基本事件・東京地方裁判所令和元(ワ)31210>

51

知財高裁 2020-08-03 令和2(ラ)10004 <基本事件・東京地方裁判所令和元(ワ)31210>

訴訟行為の排除を求める申立ての却下決定に対する抗告 <損害賠償請求>

抗告認容

第4部 大鷹一郎(裁判長),,中村恭,岡山忠広

争点

相手方弁護士排除申立

参照条文

弁護士法25条1号/弁護士職務基本規程27条1号

原告

塩野義製薬株式会社/ ヴィーブ ヘルスケア カンパニー <抗告人(基本事件原告;特許権者)>

被告

ギリアド・サイエンシズ株式会社 <相手方(基本事件被告)>

発明の名称等

「HIVインテグラーゼ阻害活性を有する多環性カルバモイルピリドン誘導体」

分野

医薬類

分類

物質 (カルバモイルピリドン誘導体)

ポイント

弁護士法25条1号の規定の趣旨に鑑み,相手方である当事者は,裁判所に対し,他の所属弁護士(所属弁護士であった場合を含む。)が本件基本規程27条1号により職務を行い得ない事件に該当するため本件基本規程57条に違反する訴訟行為であることを理由として,その訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権を有するものと解するのが相当である。

 東京地裁 2020-07-22 平成31(ワ)1409

54

東京地裁 2020-07-22 平成31(ワ)1409

特許権侵害差止等請求

請求棄却

民事 第40部 佐藤達文(裁判長),,三井大有,今野智紀

争点

試験又は研究のためにする特許発明の実施該当性 (該当)

参照条文

69条1項

原告

X <特許権者>

被告

アムジェン株式会社

発明の名称等

ウイルスおよび治療法におけるそれらの使用

分野

バイオ

分類

ウイルス (がんのウイルス治療)

ポイント

特許権者である原告が本件特許権の存続期間中にその独占的実施により利益を得る機会は確保されるのであって,それにもかかわらず,本件特許権の存続期間中にT-VECの製造承認申請に必要な試験のための生産等をも排除し得るものと解すると,本件特許権の存続期間を相当期間延長するのと同様の結果となるが,それは,平成11年最判も判示するとおり,特許権者に付与すべき利益として特許法が想定するところを超えるものというべきである。以上のとおり,平成11年最判の趣旨は本件治験についても妥当するので,本件治験は,特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たる。

 知財高裁 2020-07-02 平成31(行ケ)10040

6

知財高裁 2020-07-02 平成31(行ケ)10040

審決取消請求

請求認容

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,石神有吾

争点

進歩性 (なし→あり)

参照条文

29条2項

原告

日本ゼオン株式会社 <特許出願人>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池」

分野

化学

分類

構造 (リチウムイオン二次電池用正極)

ポイント

甲1及び甲2には,引用発明において,導電助剤として用いるカーボンナノチューブとして甲2実施例1CNTを適用することを動機付ける記載又は示唆を見出すことができない。

 知財高裁 2020-07-02 平成30(行ケ)10158/ 平成30(行ケ)10113

44

知財高裁 2020-07-02 平成30(行ケ)10158/ 平成30(行ケ)10113

審決取消請求

請求認容<A事件>

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,石神有吾

争点

サポート要件 (違反あり→なし)

参照条文

36条6項1号

原告

アメリカ合衆国

被告

高田製薬株式会社

発明の名称等

「ボロン酸化合物製剤」

分野

医薬類

分類

製剤 (凍結乾燥粉末形態のボロン酸化合物)

ポイント

実施例1FD製剤に相当量の本件化合物が含まれること,本件化合物の溶解性,加水分解性,保存安定性については,当業者が合理的に期待できる程度には,これを肯定することができる。

 知財高裁 2020-07-02 平成30(行ケ)10159/ 平成30(行ケ)10153

45

知財高裁 2020-07-02 平成30(行ケ)10159/ 平成30(行ケ)10153

審決取消請求

請求認容<A事件>

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,石神有吾

争点

サポート要件 (違反あり→なし)

参照条文

36条6項1号

原告

アメリカ合衆国

被告

ホスピーラ インコーポレイテッド

発明の名称等

「ボロン酸化合物製剤」

分野

医薬類

分類

製剤 (凍結乾燥粉末形態のボロン酸化合物)

ポイント

実施例1FD製剤に相当量の本件化合物が含まれること,本件化合物の溶解性,加水分解性,保存安定性については,当業者が合理的に期待できる程度には,これを肯定することができる。

 知財高裁 2020-06-30 平成31(行ケ)10024

2

知財高裁 2020-06-30 平成31(行ケ)10024

審決取消請求

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,石神有吾

争点

新規事項の追加 (なし→なし)

参照条文

17条の2第3項

原告

株式会社ユニコム <無効審判請求人>

被告

Y <特許権者>

発明の名称等

「小動物用酸素治療装置」

分野

化学

分類

装置 (小動物用酸素治療装置)

ポイント

補正後の請求項A4乃至A6は,通孔の大きさの特定という形ではあるが,ケージから外部に適切に空気を放出することにより,ケージ内の酸素濃度を最適に保つことを定めているところ,この酸素濃度を最適に保つという効果は,酸素含有空気が適切に供給されて初めて実現されることは明らかなのであるから,補正後の請求項も,酸素濃度が適切に保たれないような量の酸素含有空気が供給される場合は想定しておらず,3L/minといった少量の酸素含有空気が供給される場合を排除しているものと解するのが相当である。このことは,補正後の請求項A4乃至A6から導かれるものであって,酸素大量事項の有無によって左右されるものではない。したがって,酸素大量事項の削除も,新規事項の追加には当たらないものと解される。

 知財高裁 2020-06-29 令和1(行ケ)10142

18

知財高裁 2020-06-29 令和1(行ケ)10142

特許取消決定取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,佐野信,中島朋宏

争点

サポート要件 (違反あり→あり)

参照条文

36条6項1号

原告

日本製紙クレシア株式会社 <特許権者>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「ロール製品パッケージ」

分野

化学

分類

構造 (ロール製品パッケージ)

ポイント

本件ロール製品パッケージの本件接合部分の破れにくさのみを評価した本件官能評価の結果から,縦に2段で4個のロール製品を包装した持手部のないキャラメル包装パッケージを原告把持方法によって運搬した場合に,本件接触部分も破れにくいと認められるとはいえないというべきである。

 知財高裁 2020-06-24 平成31(ネ)10015 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)35663>

59

知財高裁 2020-06-24 平成31(ネ)10015 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)35663>

特許権侵害差止請求控訴

控訴棄却

第4部 大鷹一郎(裁判長),,國分隆文,筈井卓矢

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条

原告

大塚製薬株式会社 <控訴人(特許権者;一審原告)>

被告

株式会社アドバンスト・メディカル・ケア <被控訴人(一審被告)>/ 株式会社ダイセル <被控訴人補助参加人>

発明の名称等

「エクオール含有大豆胚軸発酵物,及びその製造方法」

分野

食品

分類

組成物 (大豆胚軸発酵物)

ポイント

被告製品に用いられている「EQ-5」は,大豆胚軸から抽出された原料イソフラボンに種菌を加えて発酵させて得られた発酵物であり,原料イソフラボン中の90%以上は,ダイゼイン類,ゲニステイン類及びグリシテイン類のイソフラボンであるから,原料イソフラボンは,高濃度のイソフラボンを含有する「大豆胚軸抽出物」に該当することは明らかである。そうすると,「EQ-5」は,コストが高く,発酵のために別途栄養素が必要となるような「大豆胚軸抽出物」を発酵原料とする発酵物に当たるから,本件発明1の「大豆胚軸発酵物」に該当しないものと認められる。したがって,被告製品は,本件発明1の「大豆胚軸発酵物」に該当しないから,本件発明1の構成要件1-Cを充足するものと認められない。

 知財高裁 2020-06-17 令和1(行ケ)10118

40

知財高裁 2020-06-17 令和1(行ケ)10118

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,佐野信

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

X <無効審判請求人>

被告

アルコン リサーチ リミテッド/ 協和キリン株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「アレルギー性眼疾患を処置するためのドキセピン誘導体を含有する局所的眼科用処方物」

分野

医薬類

分類

用途 (点眼剤)

ポイント

本件化合物と,塩酸プロカテロ-ル(甲20),クロモグリク酸二ナトリウム(甲34),ペミロラストカリウム(甲37)は,化学構造を顕著に異にするものであり,三環式骨格を同じくするアンレキサクノスと本件化合物のモルモットの結膜からのヒスタミンの遊離抑制効果が異なり,ネドクロミルナトリウムと本件化合物のヒト結膜肥満細胞に対する安定化効果が異なることからすると,ヒト結膜肥満細胞に対する安定化効果も,その化学構造に応じて相違することは,当業者が知り得たことであるから,前記文献の実験結果に基づいて,当業者が,本件化合物のヒト結膜肥満細胞に対する安定化効果を,前記文献記載の化合物と同様の程度であると予測し得たということはできない。また,前記文献の各記載から,塩酸プロカテロ-ル(甲20),クロモグリク酸二ナトリウム(甲34),ペミロラストカリウム(甲37)がヒト結膜肥満細胞からのヒスタミン放出阻害率について30μM~2000Mの間で濃度依存的な効果を有するのか否かが明らかであると認めることはできず,他に,これらの薬剤がヒト結膜肥満細胞からのヒスタミン放出阻害率について30μM~2000Mの間で濃度依存的な効果を有するのか否かが明らかであると認めることができる証拠はない。したがって,前記文献の各記載から,本件化合物のヒト結膜肥満細胞からのヒスタミン放出阻害について前記のような効果を有することを予測することができたということはできない。

 知財高裁 2020-06-11 令和1(行ケ)10115

14

知財高裁 2020-06-11 令和1(行ケ)10115

審決取消請求

請求棄却

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,関根澄子

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

エヴァーライト エレクトロニクス カンパニー リミテッド <無効審判請求人>

被告

日亜化学工業株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「発光装置,樹脂パッケージ,樹脂成形体並びにこれらの製造方法」

分野

化学

分類

装置 (発光装置)

ポイント

引用発明1は,樹脂成形体を切断する工程を有しておらず,このため,切断時の樹脂成形体とリードフレームとの剥離を防止することを目的として切断箇所のリードフレームに切り欠き部を設ける必要がないものである。原告が周知技術として提出した証拠(甲5~8,10,11)のうち,甲10及び甲11は,いわゆる多数個同時生産方式によって製造される発光装置を開示したものでないことから,切断時のリードと樹脂部との剥離という課題については記載も示唆もない。

 知財高裁 2020-06-03 令和1(行ケ)10096

9

知財高裁 2020-06-03 令和1(行ケ)10096

特許取消決定取消請求

一部請求認容

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,佐野信

争点

進歩性 (なし→あり)

参照条文

29条2項

原告

日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社 <特許権者>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「樹脂組成物,及びこれを用いたポリイミド樹脂膜,ディスプレイ基板とその製造方法」

分野

化学

分類

組成物 (樹脂組成物)

ポイント

甲1には,甲1発明1において,ポリイミド樹脂膜の支持体への密着性を向上させることができるカップリング剤として,本件発明2記載のアルコキシシラン化合物は記載されていない。また,本件発明2記載のアルコキシシラン化合物がキャリア基板に形成したポリイミド樹脂膜上に回路を形成後,キャリア基板から剥離するフレキシブルデバイス基板形成用のポリアミド樹脂組成物から形成した樹脂膜のキャリア基板への密着性を向上させるのに適するものであることが本件優先日の当業者の技術常識であったことを認めることができる証拠はない。そうすると,甲1に接した当業者が,本件発明2に記載されたアルコキシシラン化合物を選択する動機付けがあるとは認められないから,相違点3が容易想到であると認めることはできない。

 知財高裁 2020-06-03 令和1(行ケ)10087

21

知財高裁 2020-06-03 令和1(行ケ)10087

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

サポート要件 (違反なし→なし)

参照条文

36条6項1号

原告

東芝映像ソリューション株式会社 <無効審判請求人>

被告

日亜化学工業株式会社 <特許権者>

発明の名称等

「発光装置と表示装置」

分野

化学

分類

装置 (発光装置)

ポイント

発光装置が「高輝度」であることが本件発明の前提や課題となっているとはいえず,本件発明の課題は,光,熱,水分及び直流電界による蛍光体の劣化である。そして,当業者は,本件明細書における上記課題を解決するための手段や効果の記載(段落【0011】,【0014】,【0139】),さらには,実施の形態や実施例・比較例についての記載(本件明細書の段落【0044】,【0045】,【0050】,【0102】~【0137】)などから,特許請求の範囲にある構成を採用することで,上記課題が解決できると認識することができるものと認められる。

 知財高裁 2020-05-28 令和1(行ケ)10075

3

知財高裁 2020-05-28 令和1(行ケ)10075

審決取消請求

一部請求認容

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,関根澄子

争点

進歩性 (あり→なし)

参照条文

29条2項

原告

株式会社ユポ・コーポレーション <無効審判請求人>

被告

ヨウル チョン ケミカル カンパニー, リミテッド <特許権者>

発明の名称等

「ポリオレフィン系延伸フィルムの製造方法および該方法により製造されたポリオレフィン系延伸フィルム」

分野

化学

分類

構造 (ポリオレフィン系延伸フィルム)

ポイント

引用発明2Bの基材層は1層のものであるものの,引用例2自体に2層以上の積層構造であってもよいことが記載されていること,引用例2には,複合フィルムが,少なくとも2層構造の層数は中間層に2軸配向のポリプロピレンフィルム層を含む3層以上であることが好ましく,例えば(A)ポリプロピレン,(B),ポリプロピレン,(C)ポリエチレンを,ダイ内で(B)よりなるフィルムが中間層となるように積層し,共押出で製造された構造が従来技術として記載されていることからすれば,引用発明2Bの基材層として,中間層に2軸配向のポリプロピレンフィルム層を含む3層の共押出で製造された複合フィルムを使用する動機付けはあるといえる。他方,阻害事由の主張はないから,相違点2-3に係る構成は,引用発明2Bに従来技術に記載された技術を適用して,当業者が容易に想到することができたものである。

 知財高裁 2020-03-30 令和1(ネ)10064 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)14685>

17

知財高裁 2020-03-30 令和1(ネ)10064 <原審;東京地方裁判所平成29(ワ)14685>

職務発明対価請求控訴

一部控訴認容

第4部 大鷹一郎(裁判長),,古河謙一,岡山忠広

争点

発明者貢献度 (5%→5%)

参照条文

35条

原告

X <控訴人兼被控訴人(元従業員)>

被告

株式会社日本触媒 <被控訴人兼控訴人>

発明の名称等

「多孔質架橋重合体材料の製造方法」

分野

化学

分類

方法 (多孔質架橋重合材料の製造方法)

ポイント

1審被告の指摘する諸事情を踏まえても,本件各発明の内容及びその技術的意義,本件各発明の完成に至る経過に照らすと,本件各発明は1審原告を含む本件各発明の発明者らの創意工夫がなければ,発明の完成に至らなかったものであり,1審被告の貢献度は,95%と認定するのが相当である。

 大阪地裁 2020-03-26 平成30(ワ)9966

29

大阪地裁 2020-03-26 平成30(ワ)9966

損害賠償請求

請求棄却

第26 民事部 杉浦正樹(裁判長),,野上誠一,大門宏一郎

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条

原告

株式会社サンワード商会 <本訴原告・反訴被告(特許権者)>

被告

ニチリンケミカル株式会社 <本訴被告・反訴原告>

発明の名称等

「金属組成物を含有する水性組成物,および,該水性組成物からなる消臭剤,抗菌剤および防カビ剤」

分野

化学

分類

組成物 (消臭剤)

ポイント

原告は,被告製品はセルフィールを水で希釈し,これに酸化タングステンとスルホン酸を添加したものであると主張する。しかし,これを認めるに足りる証拠はない。そもそも,原告は,セルフィールが本件発明の実施品であることを前提として主張するが,その点についての立証もない。なお,特許第5944072号の特許公報の【0024】等記載の被告製「TioTio」(これがセルフィールであることは,被告も認める。)の分析結果によると,アルミニウムとチタンの含有量は,本件発明の構成要件記載の含有量に満たない。

 東京地裁 2020-03-26 平成29(ワ)24598

46

東京地裁 2020-03-26 平成29(ワ)24598

特許権侵害差止等請求

請求棄却

民事 第46部 柴田義明(裁判長),,安岡美香子,古川善敬

争点

サポート要件 (違反あり)

参照条文

36条6項1号/104条の3

原告

旭化成株式会社 <特許権者>

被告

日本製紙株式会社

発明の名称等

「セルロース粉末」

分野

医薬類

分類

物質 (セルロース粉末)

ポイント

本件差分要件は,粉末セルロースについての平均重合度と本件加水分解条件下でのレベルオフ重合度の差に関するものであるところ,明細書の発明の詳細な説明には,実施例について,粉末セルロースの本件加水分解条件でのレベルオフ重合度についての明示的な記載はなく,また,優先日当時の技術常識によっても,それが記載されているに等しいとはいえない。したがって,本件明細書の発明な詳細には,本件特許請求の範囲に記載された要件を満たす実施例の記載はないこととなる。そうすると,本件明細書の発明な詳細において,特許請求に記載された本件差分要件の範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に具体的な例が開示して記載されているとはいえない。

 知財高裁 2020-03-25 平成31(行ケ)10019/ 同10030

57

知財高裁 2020-03-25 平成31(行ケ)10019/ 同10030

審決取消請求

請求棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,熊谷大輔

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

シージェイジャパン株式会社 <第1事件原告(無効審判請求人)> シージェー チェイルジェダン コーポレーション <第2事件原告(参加人)>

被告

味の素株式会社 <第1・2事件被告(特許権者)>

発明の名称等

「L-グルタミン酸生産菌及びL-グルタミン酸の製造方法」

分野

食品

分類

方法 (アミノ酸の製造方法)

ポイント

当業者が,甲8発明に甲10,13~15及び周知技術・技術常識を適用して,コリネ型細菌において浸透圧調節チャネルをコードするyggB遺伝子に着目し,それにグルタミン酸の排出を促すような変異を導入することを動機付られることはないというべきである。

 東京地裁 2020-03-24 平成28(ワ)35157

31

東京地裁 2020-03-24 平成28(ワ)35157

特許権侵害差止等請求

一部請求認容

民事 第47部 田中孝一(裁判長),,横山真通,本井修平

争点

技術的範囲の属否 (属する)

参照条文

70条

原告

日亜化学工業株式会社 <特許権者>

被告

HTC NIPPON株式会社/ 兼松コミュニケーションズ株式会社

発明の名称等

「発光装置及び表示装置」

分野

化学

分類

装置 (発光ダイオード)

ポイント

本件蛍光体は,構成元素として少なくともY,Al及びOを含んでいるものであるところ,YとAlとを含む酸化物としては,YAGのほかに,Y4Al2O9(YAM)とYAlO3(YAP)が知られていること,もっとも,エネルギー分散型X線分析装置による分析の結果,本件蛍光体からは,Y,Al及びOのほかに,Ceも検出されたこと,そして,顕微レーザーラマン分光装置による測定の結果,本件蛍光体のラマンスペクトルのピークがCeで付活されたYAG蛍光体(Y2.85Ce0.15Al5O12)のラマンスペクトルのピークとほぼ同じ位置に現れたこと,一方,Ceで付活されたYAM(Y3.96Ce0.04Al2O9)及びYAP(Y0.99Ce0.01AlO3)については,顕微レーザーラマン分光装置で測定した各ラマンスペクトルをCeで付活されたYAG蛍光体のラマンスペクトルとそれぞれ比較すると,ピークの現れた位置が全く異なっていたことがそれぞれ認められる。そうすると,本件蛍光体は,Ceで付活されたYAG蛍光体であると推認するのが相当というべきである。したがって,被告LEDの構成1eの本件蛍光体はCeで付活されたYAG蛍光体であり,構成要件1Eを充足するというべきである。

 知財高裁 2020-03-19 令和1(行ケ)10100

7

知財高裁 2020-03-19 令和1(行ケ)10100

特許取消決定取消請求

請求認容

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,高橋彩,石神有吾

争点

進歩性 (なし→あり)

参照条文

29条2項

原告

日亜化学工業株式会社 <特許権者>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「窒化物半導体積層体及びそれを用いた発光素子」

分野

化学

分類

構造 (窒化物半導体積層体)

ポイント

引用文献4から6に記載された発光素子は,いずれもAlGaN層又はAlGaAs層を組成傾斜層とするものであるが,引用文献4では緩衝層及び活性層における結晶格子歪の緩和を目的として緩衝層に隣接するガイド層を組成傾斜層とし,引用文献5では,隣接する2つの層(コンタクト層及びクラッド層)の間のヘテロギャップの低減を目的として当該2つの層自体を組成傾斜層とし,引用文献6では,隣接する2つの半導体層の間のヘテロギャップの低減を目的として2つの層の間に新たに組成傾斜層を設けるものである。このように,被告が指摘する引用文献4から6において,組成傾斜層の技術は,それぞれの素子を構成する特定の半導体積層体構造の一部として,異なる技術的意義のもとに採用されているといえるから,各引用文献に記載された事項から,半導体積層体構造や技術的意義を捨象し上位概念化して,半導体発光素子の技術分野において,その駆動電圧を低くするという課題を解決するために,AlGaN層のAlの比率を傾斜させた組成傾斜層を採用すること(本件技術)を導くことは,後知恵に基づく議論といわざるを得ず,これを周知の技術的事項であると認めることはできない。よって,本件技術が周知の技術的事項であるとして,相違点1,2に係る構成に想到することが容易であるとした本件取消決定の判断には誤りがある。

 知財高裁 2020-03-19 平成31(行ケ)10018/ 平成31(行ケ)10029

56

知財高裁 2020-03-19 平成31(行ケ)10018/ 平成31(行ケ)10029

審決取消請求

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,上田卓哉,山門優

争点

進歩性 (あり→あり)

参照条文

29条2項

原告

シージェイジャパン株式会社 <甲事件原告(無効審判請求人)> / シージェー チェイルジェダン コーポレーション <乙事件原告(参加人)>

被告

味の素株式会社 <甲事件・乙事件被告(特許権者)>

発明の名称等

「アミノ酸生産菌の構築方法及び構築されたアミノ酸生産菌を用いる醗酵法によるアミノ酸の製造法」

分野

食品

分類

方法 (アミノ酸の製造方法)

ポイント

甲2発明に接した当業者は,甲2発明において,GDH遺伝子のプロモーター配列の-35領域及び-10領域の配列と目的遺伝子の発現量の強化の程度及びそれによるグルタミン酸生産能の向上との関係に着目し,グルタミン酸を高収率で生産する能力を有する変異株を得るために,GDH遺伝子のプロモーター配列の-35領域及び-10領域の配列を本件発明1-1の配列に置換する動機付けはないから,当業者は上記構成を容易に想到できたものとは認められない。

 知財高裁 2020-03-17 平成31(行ケ)10063/ 平成31(行ケ)10061

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知財高裁 2020-03-17 平成31(行ケ)10063/ 平成31(行ケ)10061

審決取消請求(第1事件)/ 審決取消請求(第2事件)

請求棄却

第3部 鶴岡稔彦(裁判長),,山門優,高橋彩

争点

明確性要件 (違反なし→なし)

参照条文

36条6項2号

原告

株式会社アプトデイト <第1事件原告・第2事件被告(無効審判請求人)>

被告

湖北工業株式会社 <第1事件被告・第2事件原告(特許権者)>

発明の名称等

「タブ端子の製造方法およびその方法により得られるタブ端子」

分野

化学

分類

方法 (タブ端子の製造方法)

ポイント

特許請求の範囲の記載について,「SnPOx(xは2~4を表す)」との記載は,非晶質を含むリン酸スズの化合物について元素の組成比を用いて表現するものであり,「SnPOx(xは2~4を表す)からなる皮膜」とは,皮膜を分析して検出されたリン酸スズの化合物で,小数点以下の数値を含む元素の組成比を用いて表現されたものが「SnPOx(xは2~4を表す)」に該当することを意味することが理解できる。本件訂正発明10の「溶接部分の少なくとも一部に,SiO2換算で厚さ20nm以上の,SnPOx(xは2~4を表す)からなる皮膜が形成されてなる」との記載は,本件明細書の記載及び当業者の出願当時における技術常識を基礎とすれば,第三者の利益を不当に害するような不明確なものではなく,明確性要件に適合するというべきである。

 知財高裁 2020-03-12 令和1(行ケ)10095

26

知財高裁 2020-03-12 令和1(行ケ)10095

特許取消決定取消請求

請求棄却

第1部 高部眞規子(裁判長),,小林康彦,関根澄子

争点

明確性要件 (違反あり→あり)

参照条文

36条6項2号

原告

ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト <特許権者>

被告

特許庁長官

発明の名称等

「多結晶質シリコン断片及び多結晶質シリコンロッドの粉砕方法」

分野

化学

分類

方法 (多結晶質シリコンロッドの粉砕方法)

ポイント

本件明細書の記載を考慮し,出願当時の技術常識を基礎としても,本件発明の「炭化タングステンを含んでなる表面を有する」「粉砕工具」の「工具表面」に「含有」される炭化タングステン粒子の「質量により秤量」したメジアン粒径の意義を理解することはできず,本件発明の技術的範囲は不明確といわざるを得ないから,本件発明に係る特許請求の範囲の記載は,明確性要件を充足しないというべきである。

 知財高裁 2020-03-11 令和1(ネ)10065 <原審;大阪地方裁判所平成30(ワ)5189>

30

知財高裁 2020-03-11 令和1(ネ)10065 <原審;大阪地方裁判所平成30(ワ)5189>

特許権侵害差止等請求控訴

控訴棄却

第2部 森義之(裁判長),,眞鍋美穂子,佐野信

争点

技術的範囲の属否 (属しない)

参照条文

70条

原告

X <控訴人(特許権者;一審原告)>

被告

Y/ ケアシェル株式会社 <被控訴人(一審被告)>

発明の名称等

「養殖魚介類への栄養補給体及びその製造方法」

分野

化学

分類

組成物 (養殖魚介類への栄養補給)

ポイント

本件控訴に理由はなく,控訴人が当審において追加した請求にも理由がないから,本件控訴を棄却し,当審における追加請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。

 東京地裁 2020-02-28 平成29(ワ)27238

23

東京地裁 2020-02-28 平成29(ワ)27238

特許権侵害差止等請求

一部請求認容

民事 第46部 柴田義明(裁判長),,安岡美香子,佐藤雅浩

争点

サポート要件 (違反なし)

参照条文

36条6項1号/104条の3

原告

日亜化学工業株式会社 <特許権者>

被告

東芝映像ソリューション株式会社

発明の名称等

「発光装置と表示装置」

分野

化学

分類

装置 (発光装置)

ポイント

本件明細書1の各実施例からYとGd,AlとGaの置換割合を変化させたとしても,本件発明1の蛍光体がガーネット系の蛍光体である以上,「より高輝度で,長時間の使用環境下においても発光光度及び発光効率の低下や色ずれの極めて少ない発光装置を提供すること」という課題を解決できることは,当業者が認識できる範囲のものであるといえる。したがって,本件発明1は,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえるから,特許法36条6項1号の要件(サポート要件)を充足する。

知財判例年鑑リスト 検索データベース

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化学(2011年~2019年):1348件・電気(2015年~2017年):176件・機械(2015年):86件
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